はじめに
2025年2月28日、フィリピンのケソン市にて「東南アジアにおける日本のスマート農業技術実証支援プロジェクト(Smart Agriculture Demonstration Support Consignment Project in Southeast Asia)」と題したセミナーが開催されました。本セミナーは農林水産省とフィリピン農業省が共催したものですが、ONE-VALUEが日本企業と東南アジア市場をつなぐ役割を担いました。当日は会場で70名以上、Zoomを通じて200名以上が参加し、日本のスマート農業技術の東南アジア展開に向け活発な議論が展開されました。
東南アジアにおける農業DXの現状と課題
東南アジアは、世界の重要な農業地帯として、域内および世界市場への農産物供給を担っています。しかし、フィリピンやベトナムを始めとする国々では以下のような課題が存在します。
- 伝統的な農法への依存による低い労働生産性と販売価格に比して高い生産コスト。
- 農産物生産者には、小規模農家が多く、協同組合の運営や生産拡大、品質管理、トレーサビリティの推進を進めるうえでの課題が残っている。
- 気候変動の影響による異常気象、病害虫の増加などに起因する、生産性・品質の不安定化。
本セミナーにおいて、フィリピン農業省のシェリル・マリー・ナティビダド=カバリェロ次官は、東南アジアの各国政府が農業DXの推進とデジタル技術の導入の重要性を強調しました。
農業先進国・日本のスマート農業技術
日本は、農業でのIoT、AI、自動化技術の活用の分野において世界的リーダーとして知られています。本セミナーでは、日本企業が以下のような先端技術を紹介しました。
- 株式会社Rootの拡張現実(AR)を活用した農業支援「Agri-AR」
- E-Supportlinkによるフィリピンのバナナ農園を対象としたリモートセンシング技術
- ソリマチベトナムが紹介した協同組合管理のデジタル化技術
農林水産省輸出・国際協力局二国間関係課の佐藤史明副課長は、これらの技術が生産性向上だけでなく、持続可能な農業発展と国際基準への対応を可能にすると説明しました。
ONE-VALUEの役割と今後の展望
ONE-VALUEは、長年にわたり日本の農林水産省と連携し、東南アジア各国との国際協力プロジェクトを推進してきました。今回のセミナーでは調整役を務め、日本企業と東南アジア地域の企業や協同組合をつなぐ重要な役割を果たしました。
今後もONE-VALUEは、日本の先進的なスマート農業技術の東南アジアでの普及を支援し、現地企業や農業団体が最新技術を活用し、競争力を高められるようにサポートを継続することで、東南アジアの農業DX推進と国際市場での競争力向上に貢献してまいります。