はじめに

近年、日本企業によるベトナム進出は製造業から小売・サービス業、さらにIT・デジタル領域まで幅広く拡大しています。その背景には、堅調な経済成長、人口ボーナス期による消費市場の拡大、サプライチェーン再編の潮流があります。

しかし、進出やM&Aを成功に導くために不可欠なのが「精緻な市場調査」です。情報の非対称性が大きい新興国市場では、調査不足が大きなリスクにつながり、事業撤退や想定外のコストを招く事例も珍しくありません。

ONE-VALUEでは、実際に現場で情報を収集・分析し、日系企業が確かな意思決定を下せるよう支援しています。本記事では、ベトナム市場調査の重要性と代表的な手法について解説します。

ベトナム市場動向

ベトナムは2025年時点でGDP成長率7～8％を見込む高成長国です。人口は1億人を突破し、平均年齢は30代前半と若く、今後も消費市場の拡大が続くと期待されています。

• 製造業：中国+1戦略の受け皿として外資系企業が加速的に進出
• 小売業：コンビニ・EC市場が急成長
• IT分野：スタートアップ投資が活況

一方で、統計データの信頼性や市場規模の不透明性は課題であり、現地での独自調査が欠かせません。

ベトナムM&A動向

M&Aにおいても市場調査の精度が成否を大きく左右します。売上や成長率が魅力的に見えても、顧客層の偏りや規制、財務リスクを事前に把握できなければ、買収後に大きな負担を抱える可能性があります。

特にベトナムでは非公開情報が多いため、ターゲット企業の市場シェア、競合環境、消費者行動を正しく捉えることが成功の前提条件となります。

市場調査のメリット

• リスク回避：規制や文化的背景の誤解を防止
• 事業計画精度向上：投資回収モデルや売上予測の精度向上
• 競合優位性確保：差別化戦略を打ち出すための基盤
• パートナー選定：適切なターゲット企業を見極める材料

市場調査の課題・リスク

• 公的統計の信頼性が限定的
• 非公開情報の入手難易度が高い
• 法制度が頻繁に変化
• 調査会社の質の差による誤情報リスク

市場調査の種類と事例

• マクロ調査（人口動態、GDP、業界動向）
  　例：小売業進出時の都市別消費データ分析
• ミクロ調査（競合分析、価格帯調査、消費者アンケート）
  　例：食品業M&Aでのブランド認知度調査
• 規制調査（外資規制、ライセンス制度、業界特有ルール）
  　例：製造業進出時の外資持株比率規制調査
• フィージビリティ調査（投資採算性評価）
  　例：新工場設立前の投資回収シミュレーション

さいごに

ベトナムは魅力的な投資先である一方、調査不足が失敗の要因となる市場でもあります。市場調査は単なるデータ収集ではなく、M&Aや進出後の成長性を左右する経営の生命線です。

ONE-VALUEは、ベトナムにおける市場調査からターゲット企業選定、M&A実行、PMIに至るまで一気通貫で支援できる体制を持ち、日系企業の成功を後押ししています。現地に深く入り込み、実務を通じたリアルな情報を提供することが、私たちの強みです。