【CEOインタビュー Vol.1】50ヵ国以上の国から多種多様なメンバーが集うワンコイングリッシュはどうやって生まれたのか?
ワンコイングリッシュの誕生
— 兒嶋さん、今日はワンコイングリッシュの創業ストーリーをお聞かせいただけますか?
兒嶋: もちろんです。ワンコイングリッシュは2014年8月に創業しましたが、そのアイデア自体はもっと前からありました。元々韓国語学校を経営していて、そこの夏期講習として英語のレッスンを提供する試みを始めたのがきっかけです。当時、英語教育に対する需要が高いことを実感してましたし、英語教育市場にはまだまだ可能性があると信じていました。また、より多くの日本人に英語を話せるようになってほしいという想いがあり、その事業をスピンアウトして会社を設立しました。
インタビュアー:英語教育に対する強い想いがあったんですね。具体的にはどのような経験がその想いを育てたのでしょうか?
兒嶋: 私自身が日本を出て海外を回り、多くの経験をしてきたことが大きいと思います。戦争を見に行った経験や、世界中の様々な文化に触れる中で、日本人は世界ともっと繋がるべきだと、日本人であるからこそ強く感じました。その想いがワンコイングリッシュの原動力であり原点になっています。
— 兒嶋さんが世界を回った経験は、どのようにワンコイングリッシュに影響を与えましたか?
兒嶋: やはり、自分自身が「世界を見て変わった」という経験が大きいですね。日本ではあまり見られない戦争や極度の貧困を目の当たりにしたことで、日常的に日本で恐れていることが実際にはそれほど大ごとではない、と気づかせてくれました。多くの日本人は失敗や「成功の道」から外れることを極度に恐れる傾向にあります。本当はそこまで過度に恐れることはないんです。私たちには自分自身の幸福を追求する自由があります。こうした感覚を多くの人に伝えたい、もっと広い視野を持ってもらいたいという想いがワンコイングリッシュの根底にあり、それは私が世界を回った経験からきているものです。
インタビュアー: 世界を旅する中で具体的にどのような出来事が印象的でしたか?
兒嶋: アフガニスタンでの戦争体験は非常に強烈なものでした。両親を失い、目の前で命が奪われるような希望もない状況の中、ビー玉のようなキラキラした目をした子どもたちを見て、日本での悩みがいかに恵まれた上での悩みなのかを痛感しました。この経験はとても印象に残っています。
ガラパゴス化と日本人の強み
— 日本のガラパゴス化についていつもお話されますが、それについて詳しくお聞かせいただけますか?
兒嶋: 日本は島国であり、長い間鎖国状態でした。その結果、独自の文化や価値観が形成されましたが、それが閉鎖的な環境を作り出しています。一方で、外の文化を取り入れて進化してきた歴史もあります。私たちは、そのガラパゴス化の良い面を活かしつつ、もっと世界と繋がるべきだと思っています。
インタビュアー: どうすれば、そのような状態を作れるとお考えですか?
兒嶋: まずはグローバル体験をもっともっと多くの人に提供することです。日本の外に出て、自分たちの強みや特性を知り、改善点を見つける。それが日本人の潜在能力を引き出す鍵だと思います。ワンコイングリッシュを通じて、その体験を提供したいと考えています。
創業当初のビジョンと実現への道
— 創業当初のビジョンについてお聞かせください。
兒嶋: 創業当時は、英会話をもっと手軽に、多くの人に提供したいという強い思いがありました。しかし周囲からは「狂っている」と言われましたね(笑)。「500円で高品質な英会話レッスンを提供するなんて無理だ」という意見が多かったです。ただ私はマーケットには確実に需要があると確信していましたし、それが可能だと信じていました。
ワンコイングリッシュの持つ社会的責任と企業の使命
— 企業の社会的責任について、どのように考えていらっしゃいますか?
兒嶋: 私たちは創業当初から社会的意義を持ってビジネスをしています。500円で高品質な英会話を提供することで、多くの人が英語を手軽に学び、グローバルに活躍できるようになる。そうした人材を増やすことが私たちの使命の一つです。また海外から日本へ来られる方々にもっと日本について知っていただくことも重要です。つまり、日本に住む全ての人材の「グローバルな意味での多様性」を促進することとも言い換えられます。コロナ禍のような状況で短期的な赤字が出たとしても、日本のグローバル化を支える、日本でも世界でも活躍できる人材を生み出していくという長期的な視点で考え、事業は続けるべきだと考えています。
インタビュアー: ちなみにコロナ禍ではどのような試練がありましたか?
兒嶋: コロナ禍は本当に厳しい時期でした。生徒様の退会が相次ぎ、スタッフの数も減少しました。スタッフが減ることで、どうしても業務が残された人に集中してしまう。そんな中、夢を持って働いていたスタッフたちに十分なサポートができなかったことは辛かったです。
インタビュアー: どのようにしてその試練を乗り越えましたか?
兒嶋: 1つは、生徒様や講師との絆です。多くの生徒様が我々の理念に共感し、支えてくれました。また講師たちも異国の地で孤独に戦っている中で、共にこの苦難を乗り越えるという強い意志を持ってくれていました。私もスタッフと講師の生活を守るため、誰一人解雇せずに雇用を維持し続けると誓い、皆が安心して働ける環境づくりに全力を尽くしました。
もう1つは、「何のためにワンコイングリッシュを始めたのか?」という原点に立ち返り続けたことです。ワンコイングリッシュがなくなれば、大げさでなく、私たちの目指すグローバル化に遅れが出ると本気で思っていましたから。だからこそ、コロナ禍を乗り越えた今、当時残って頑張ってくれたスタッフ・講師、新しくワンコイングリッシュにジョインしてくれたスタッフ・講師、みなさんと一緒にこれらの取り組みをさらに加速させることに、これまで以上に力を注いでいます。
— 今後の展開について教えてください。
兒嶋: 今後は、さらに多くの人々にグローバル体験を提供していきたいと考えています。コロナ禍で一時的に止まってしまいましたが、全国展開を目指して計画を再開しています。日本に住む私たち自身がもっと国際的な視野を持ち、世界とつながる力を身に付けることで国内外で活躍できるグローバル人材を輩出していくとともに、日本全体の多様性を促進していく活動を進めていきます。