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『神血の救世主』編集者が語る、売れる物語に必要な4要素 【WEBTOON勉強会レポート】

こんにちは!ナンバーナイン採用チームです。

当社は「すべての漫画を、すべての人に。」というミッションのもと、漫画を創り、届け、広げることで、その価値を最大化するIP創出カンパニーです。

今回は、webtoon編集者向けの勉強会をレポートした記事を転載します。

ナンバーナインに興味をお持ちの方は、ぜひご一読ください!

ーー 以下、転載記事。

先日、ナンバーナインがオフィスを構える五反田某所にて「作品をロングヒットさせる編集術」をテーマにWEBTOON編集者向けの勉強会を開催いたしました。

4月に開催された男性向けWEBTOON勉強会の第二弾として企画された、今回の勉強会。好評だった前回の勉強会の様子は以下のnoteでレポートしています。

勉強会の講師を務めるのは、前回に引き続き『神血の救世主』『俺だけ最強超越者』などヒット作を連発している編集者の遠藤寛之さん。

この勉強会は、日本のWEBTOON業界内で会社の垣根を超えて知見を共有しあうことで、より実践的に作品づくりに関する意見交換ができる場を作っていきたいという想いのもと、企画がなされています。本noteでは、WEBTOON勉強会の様子を当日ご参加いただけなかった方にもおすそ分けできるように、要点を絞ってレポートします。

*   *   *

国産No.1ヒット『神血の救世主』担当編集が直伝!運用の上で重視している物語のフレームの考え方とは

20人ほどの漫画編集者が集まった今回の勉強会。前回から連続して参加いただいている方もいれば、前回のnoteのレポートを読んで初参加する方も。年齢、性別問わず、意欲的なWEBTOONに携わる編集者らが集いました。

遠藤寛之さん(以下、遠藤)「こんばんは、Studio No.9編集者の遠藤です。前回の勉強会は”企画の立ち上げ”がテーマでしたが、今回は運用がテーマということで、国産No.1ヒットを獲得した『神血の救世主〜0.00000001%を引き当て最強へ〜(以下、『神血の救世主』)』の事例をもとに、作品をロングヒットするために必要な視点や考え方をお話ししていきます。よろしくお願いします」

レクチャーが始まる前、前提として参加者らに遠藤さんからこんなメッセージが伝えられました。

遠藤「本題に入る前に、皆さんに改めて伝えておきたいことがあります。これは前回の勉強会でも伝えたのですが、私はWEBTOONと横読みの漫画を分けて考えることはしません。なぜなら読者はWEBTOONだから、見開きだからという理由で作品を選んでいないから。大事なのは面白いかどうか。これに尽きます。だからこそ編集者は真摯に作劇に向き合うべきです。

連載漫画の強みは、ライブ感にこそあります。特に長期連載する上では乗り越えるべきさまざまなハードルがあり、それを超えた先にロングヒットがあると思います。

今日、事例として取り上げる『神血の救世主』もさまざまなハードルを乗り越えて、今に至ります。都度課題を発見し、ライブ感で化学反応を生み出すことを恐れずに作品づくりをしていきましょう」

読者に応援されるキャラクターに必要不可欠な「嬉しいギャップ」

遠藤さんからの熱いメッセージを受けて、参加者らの姿勢もピシッと引き締まったような雰囲気に。そして、いよいよ勉強会の本編がスタート。今日の勉強会は、前回の勉強会でも語られた、WEBTOON作品で売れるために必要な4大要素「サービス」「キャラ」「ドラマ」「目的設定」に基づいて展開されていきました。

遠藤「WEBTOON作品で売れるために必要な4大要素を皆さんはご存知でしょうか。それはサービス、キャラクター、ドラマ、目的設定です。私はこの4つの要素が入ってないとWEBTOON作品として売れないと思っています。

サービスとは、読者が求めていることを提供すること。まず、サービスをよく知ってもらわないと、読者はそもそも作品に興味を持ちません。サービスで満足してもらえたら、キャラクターに興味を持ってもらえるようになります。

そして、キャラクターこそ、長期連載に欠かせないピースです。私たちはキャラクターにファンがつくと長期連載に繋がると考えているので、読者にいかにキャラクターを好きになってもらうかを考えます。では、キャラクターを好きになってもらうために必要なことはなんでしょうか。

それは読者にとって”嬉しいギャップ”をつくること。キャラクターにギャップをつくることは既にやっている人も多いでしょう。しかし、大事なのはそれが読者にとって嬉しいギャップであるかどうか。嬉しいギャップは、読者の共感と憧れをうむことに繋がります」

『神血の救世主』でも人気のキャラクター・比良坂を例に挙げ、嬉しいギャップについて解説。勉強会では敷島も登場しました。

会の序盤から早速、ナンバーナイン流のWEBTOON制作のナレッジが飛び交います。

遠藤「少しテクニック的な話をすると、キャラクターは後から覆すことができます。つまりコントロールができるので、序盤でキャラクターについて描きすぎないようにしています。

もちろん覆しづらい部分もあると思いますが、最初はあまり目立たなかったぐらいであれば後から回収が可能です。逆に注意すべき点は、キャラクターが物語の都合に流されている状態になっていないかどうか。

そこで、私たちは作家との打ち合わせの際も日々、キャラクターにまつわる情報をアップデートしながらコミュニケーションをとるようにしています。具体的には『この行動をこのキャラクターがとるのってどうしてでしたっけ?』『このエピソードを強く刺すために、読者が応援したくなる理由が欲しいです』といったフレーズを作家に投げかけながら、キャラクターを掘り下げていきます」

神血のターニングポイントは?ライブ感で化学反応を生み出すためのドラマ仕掛け

作品、キャラクターの次に売れる作品に必要な要素「ドラマ」。遠藤さん曰く、ドラマが一番難しいとのこと。このパートでは、遠藤さんが担当編集した『神血の救世主』の事例をもとに、作家との”伝説の打ち合わせ”など、ここでしか聞けないエピソード盛りだくさんの内容が語られました。

遠藤「作品にドラマが必要なのはなぜでしょうか。それはストーリーとはドラマの連続によって紡がれているからです。

ドラマとは、感情行動の発生から収束までの過程を指します。ドラマがあることで、キャラクターをより読者に理解させ、感情移入させるドラマや展開を生むことができるのです。

じつは、『神血の救世主』では今に至るまで6つのターニングポイントがあったと思っています。それぞれのターニングポイントでドラマのつくりを変えたりいろんなチャレンジをしたりながら、作品の強度を高めてきました」

遠藤さんによると、『神血の救世主』は①打ち切り回避期、②長期連載の下地形成期、③長期連載を見据えたゲームチェンジ期、④IP化の設定、⑤番外編へのチャレンジ、⑥現在、の6つの段階に分けられるといいます。

遠藤「ランキングで総合1位を獲得するなど、人気を実感したのは③長期連載を見据えたゲームチェンジ期でした。

行き当たりばったりの瞬間も正直、たくさんあります。でも、ロングヒットに必要なのはそもそも打ち切られないこと。そのため連載初期は、物語(≒ドラマ)が主人公の活躍に集約されているか、ヒキがワクワクするヒキになっているか、その話の目的設定を(担当編集であり一番最初の読者である)自分が理解できるか、この三点を徹底しておさえるようにしていました」

目的は各話ごとに設定しないと、ストーリーの進展は読者に届かない

売れるWEBTOON作品に必要な最後の要素は「目的設定」です。遠藤さんはこの目的設定の重要性を熱く参加者らに語りました。

遠藤「目的は各話ごとに絶対に必要です。なぜなら目的が明言されていないと、読者がどこまでストーリーが進んだか判断できないからです。そのため、多少わざとらしくても目的を明言することをおすすめしています。

目的を明確に提示している代表的な例として『ONE PIECE』や『名探偵コナン』といった作品が挙げられます。

『ONE PIECE』でいうと、海賊王になるという主人公・ルフィの目的、つまり物語全体の目的があったうえで、各章ごとの目的があり、各話ごとの目的が設定されていますよね。『名探偵コナン』も各話ごとに事件の解決、犯人の特定という目的と理由、そして結果が明示されています。これぐらいわかりやすく目的に直結させることで、読者は達成感を得ることができます。

つまり、言い換えると、途中で離脱してしまう作品のほとんどが目的が明確でないことが多いのです。だからこそ編集者は『ここで主人公に感心させませんか?』『〜という目的をはっきり明言させたいです!』と目的をクリアにしていくことに目を光らせるべき。そして、できていないときは質問を投げかけながら、作家に寄り添っていくことが求められます」

“運用の知見”は運用することでしか得られない。編集者こそ、学びのアウトプットを!

レポートでは割愛しましたが、勉強会ではここでしか聞けないような『神血の救世主』の原作者・江藤さんとの具体的な打ち合わせエピソードがふんだんに盛り込まれ、みなさん最後まで興味深く聞いていらっしゃいました。そして、勉強会の終盤に遠藤さんはここまでの内容を振り返りながら、こんなメッセージを呼びかけました。

遠藤「今日は長い時間、どうもありがとうございました。皆さんが来てくださっているのは本当にありがたいですし、こういったインプットも素晴らしいですが、そこにとどまらず、ぜひアウトプットをしましょう!

WEBTOONについて日々勉強したり、分析したり、知識を持っている編集者はたくさんいます。でも、編集者に本当に必要なのはアウトプットだと私は思います。特に今日話したような”運用の知見”は、運用を経験することでしか得られません。まさに百聞は一見にしかず、ですね。

ということで、ぜひ明日のコンテンツづくりから、今日の学びを実践してもらえたらと思います。そして一緒にWEBTOONを、漫画業界を盛り上げていきましょう」

その後に開催された懇親会(今回はピザパーティー)も、さらには会場を変えて行われた二次会まで大いに盛り上がった勉強会。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

そして、次回は移転予定の弊社新オフィスにて交流会を開催予定です。このレポートを読んで興味を持っていただいた方も含め、みなさんと会場でお会いできることを運営一同楽しみにしています。

編集・構成: ころく@ナンバーナインCXO
執筆: Moriya Ayuka

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