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段取りはあなたを自由にする?ーコンサル会社が教える段取りとはー

段取り研修ーー新卒の自分にとって最も役に立った研修です。段取りはコンサルティングにおいて重要な技術です。段取りによって安心して働くための戦略的な思考が身につき、仕事にも生活にも活かせます。以下、段取りが重要な理由、具体的手法、どう活かすかを紹介します。

なお、「段取り」というのは「ゴール・ステップ・実行者・期限を含む、次回のマイルストーンまでのマイルストーン」とニュートン・コンサルティングでは考えています(※)。ゴールとは達成したいことを、ステップとはゴールに行きつくまでの具体的な道筋(どんなタスクがあるのか、何回社内でのチェックをするかなど)を、また実行者とはそのタスクを遂行する人を、そして期限はそれらタスクとゴール達成の時間制限のことを指します。続いてマイルストーンとは、プロジェクト達成までに行う重要なタスクとその期限のことです。そのため「次回のマイルストーンまでのマイルストーン」というのは、重要なタスクを行うために重要なサブタスクのことを指します。つまり段取りとは、目標達成のためのタスクを明確にすることです。ではなぜ、タスクを細かく明確にすることがコンサルタントにとって重要なのでしょうか。

なぜ重要なのか

ポイント①:段取りとは期待値調整である

段取りが重要なのは、段取りをすることで期待値調整ができるからです。期待値とはスピード感やタスクの質のイメージのことです。例えば、頼んだ仕事がいつまでにできるかの期限、成果物のデザインや内容の細かさ、正確さなどのイメージを指します。そして期待値調整とはここでは、そういったイメージについて、お互いの期待値をすり合わせて合意することです。お互いがどういう形で仕事を達成するかを明確化することで仕事達成時の成果物のイメージのずれが小さくなります。このために、段取りが重要なのです。

ポイント②:段取りとは効率化である

さらにもう一つ重要な点は段取りによって仕事の効率化ができることです。しなくていい仕事を見極め、優先的にすべきこと、遅らせると全体に影響することを明確にできます。つまり、少ないリソースでより大きな成果を出せます。例えば、仕事をするにあたり取引先から資料のデータをEメールで受け取り、そのデータをもとに来週までの作業を依頼されていたとします。このときに、先に送られた文書だけチェックしておくという段取りをしていれば、約束の期限直前に文書が間違っていたことに気づき送りなおしてもらうというような遅れを避けられます。また、資料のうち目的に関係ある部分を見極めておくことで、仕事に必要な時間や協力の必要な人が分かります。段取りによって無駄な仕事を省き、ミスによる作業の遅れを防ぐことができるのです。

まとめると、仕事のイメージのずれを防ぎ、無駄な仕事やミスを予防するために段取りが重要なのです。次の節ではニュートン・コンサルティングで実際どんな段取りをしているのか紹介します。

ニュートンの段取り

どんな段取りをするのか

ニュートン・コンサルティングでは、大きく分けて2種類の段取りをします。一つは仕事全体の大きな段取り、もう一つは細かなタスクの段取りです。仕事全体の段取りは、WBS(Work Breakdown Structure)と呼ばれるツールを使い、タスクや人員、時間配分を調整します。他方細かな段取りでは、細かなタスク(分析や資料作成など)の方向性がずれていないか確認するためにチーム内のダブルチェックの日程や、そのための作業の具体的方法を決めます。また顧客とのやり取りの際にも、その後の打合せ予定の合意や、効率的に打合せをするための事前コミュニケーション項目の決定、打合せ前の社内調整予定の決定など、段取りをします。


実際の「細かな」段取りの例:この記事を書くためにした段取り

実際に仕事で段取りを繰り返してみて気づいた成功の秘訣は、単刀直入に要望を伝え合い、修正することをためらわないことでした。私自身は、「何度もやり取りすると上司に悪いかな」「聞かずに答えが出せれば高く評価されるだろう」「一発で答えを出せないとだめだ」「計画は完璧でなくてはならない」などという発想が強かったため、「むしろ何度か修正を繰り返しながら相互の認識をすり合わせるプロセスを踏んで良い」ということが新しい発想で、仕事をする上での安心材料になりました。ただし、何もかも聞くわけではなく、「目的」「目的達成に必要な仕事(誰が・いつ・何をする)」「必要なコミュニケーション(打合せなど)の日程」などを仮に用意して調整するとスムーズかつ有効な段取りができると思います。つまり段取りの成功の秘訣は、仕事のステップを受動的ではなく能動的に決めることです。なお、具体的な思考と行動のステップを大まかに表したのが、以下のフローチャートです(次の段落で説明)。


フローチャートは自分で考えるフェーズと、仕事相手と共に考えるフェーズの2つに大きく分かれています。必ずしもこの限りではないですが、主に自分で考えてから仕事相手と共有して相談すると能動的な段取りがしやすいでしょう。まず自分で考える1つ目のこととして、ある仕事やタスクを行う目的を認識します。例えば、資料作成の仕事では、資料を実際に使う人がその資料を使って何をしたいのかを目的と認識してもよいでしょう。次に目的達成に必要な要素やタスクを洗い出します。資料作成の例では、資料作成の前にどんな分析や事前情報調査が必要か、そしてその要素を満たすための仕事のステップなどを考えます。そしてここから仕事相手と考えるフェーズです。ここまでで洗い出した要素と仕事ステップについて、また関係者と打合せをが必要ならその日程も含め提案します。そして提案に関して、相手との認識の齟齬がないかやり取りをし決定します。その後作業に入り、変更が生じた場合はすぐ連絡し認識を合わせます。このように段取りを計画段階から、作業に入っても、振り返り、修正しながら能動的に決めていくのが成功の秘訣だと思います。

段取り研修の衝撃

生活の中で期待値を「調整」できる

私が驚いたのは、段取りを普段の生活にも活かせることです。家族や友人と約束や計画をするのが格段に上達し、負担が軽くなりました。日常生活でもコミュニケーションを取る中で、相手が何をしたいのか、自分はどうしたいのか、普段の会話や約束や計画をするときにあえて意識的に注意を払うことで、抜けや漏れがないか、また見過ごせないお互いの期待のずれがないかなどをチェックできるようになりました。具体的には、外国人や異性、年齢の差やバックグラウンドの違いのある様々な人とのコミュニケーションの負担が減りました。例えば恋愛のパートナーとどんなデートがしたいか確認したり、家族とキッチンの使い方をどう変えたいか確認したり、曖昧にしていた部分についてストレスなく相談ができるようになりました。以前より丁寧なコミュニケーションをする術として段取りが機能していることは嬉しい驚きです。

段取りという技術を活かす

ここまでを通して伝えたいことは2つあります。一つは、段取りによってコミュニケーションを戦略的に行えば、仕事や生活に活きるということです。段取りをして仕事相手の意向を丁寧に確認すれば、期待値のずれを恐れずに仕事を進められ、また何かをするときも段取りをしてまず目的から考えれば、本質的な物事だけに集中できます。

もう一つの伝えたいことは、段取りは「何かに活かす」ための手段だということです。段取りは面白い技術ですが、技術を活かすためには段取りをしたい物事の目的についてまず考える必要がありますし、段取りをすること自体が目的と合わないときは段取りをやめる選択をするべきだと思います。突然の変化や事件、または直感を楽しむことも大切な人生の要素ですし、重要でないことについて段取りをして完璧にやる意義はないと思います。段取りよりも、何のためにそれをするかという目的意識を育てることはもっと重要でしょう。

コンサルタントを目指してこの記事を読んでいる私と同じくらい若い人には、この本を薦めますーー『優秀なる羊たち: 米国エリート教育の失敗に学ぶ』。自分を理解し、自分が何をしたいか目的を考えるためには自分の好きなことに時間を使ったり、自分の声を聴くのが重要だと思います。自分の声を聴き、自分に必要なことのために時間を使う、そのためには、どうしたらいいでしょうか?

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(※)段取りは必ずしもニュートン・コンサルティングの定義するものに限らず、解説書も多く出ていますので、それぞれ参考にできると思います。

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