DEI担当の取締役兼執行役員に聞く!ニューロマジックが「Famiee」導入と「Business for Marriage Equality」賛同に至った想いとは?
ニューロマジックでは、2024年11月に同性婚・事実婚の社員に向けた福利厚生制度を実現するために「Famiee」を導入し、2024年12月に「Business for Marriage Equality(以下 BME)」への賛同を表明いたしました。
今回は、福利厚生を導入するまでの道のりや、BMEに賛同するに至った背景等を、DEI担当の取締役兼執行役員の永井菜月さんにじっくりお話を伺いました!
ニューロマジックがDEIに積極的に取り組み、多様性を尊重する社内文化を醸成している背景には、どのような想いがあるのでしょうか?是非ご一読ください。
▍Famiee(ファミー)とは
「Famiee」は民間発行のパートナーシップ証明書の発行サービスです。2024年現在パートナーシップ制度を施行している自治体は470ですが(※2)、従業員の居住地の自治体が対応しているとは限りません。「Famiee」は現住所のある自治体に関わらず家族関係証明書を取得・利用でき、受入表明をしている全国の企業・自治体等で利用することができます。
URL:https://famiee.org/
※2:https://www.marriageforall.jp/marriage-equality/japan/
▍Business for Marriage Equalityとは
「Business for Marriage Equality」は、日本で活動する3つの非営利団体による、婚姻の平等(同性婚の法制化)に賛同する企業を可視化するためのキャンペーンです。公益社団法人 Marriage For All Japan(MFAJ)、NPO法人 LGBTとアライのための法律家ネットワーク(LLAN)、認定NPO法人 虹色ダイバーシティが共同で運営し、賛同企業を募っています。2024年11月13日時点で、571の企業・団体が、婚姻の平等(同性婚の法制化)への賛同を表明しています。
URL:https://bformarriageequality.net/
ーーどのような課題認識から、「Famiee」の導入と「Business for Marriage Equality(BME)」への賛同を推進されたのでしょうか?
まず、日本においては、まだ同性婚が法的に認められていない現状があります。 そのため、同性のパートナーを持つ社員や、戸籍上の性別がパートナーと同じであるジェンダーマイノリティの社員にとって、これまで結婚に関わる慶弔見舞金や慶弔休暇といった福利厚生制度の適用を受ける際に、「関係性の事実確認」が大きな壁となっていました。
また、事実婚の社員についても、住民票などで同居関係を証明できたとしても、福利厚生の利用に関する明確なガイドラインがなかったため、不安を感じる社員もいたのではないかと思います。
私は以前からそういった不安を解消したいと思っていたので、役員に就任する前から同性婚の社内ルール改定への取り組みを行っていました。
DEI領域の執行役員に就任したことで社内にDEIチームも発足し、よりドライブをかけて制度の導入を進めることができました。
ーー誰もが安心して働ける環境づくりを目指すため、実際に「Famiee」の導入や福利厚生制度を整備する上で、何か特に悩んだことや、乗り越える必要があった壁などはありましたか?
制度を整備するにあたっては、公平性の観点を最も重視しました。
例えば、同性婚の場合、異性婚であれば必要のない書類の発行費用が発生することがあります。 そのため、そうした費用の一部を会社が負担する仕組みも導入しました。
また、中には婚姻関係について上司に知られたくない という人もいると思うので、望まないカミングアウトをせずに制度を利用できるよう、申請ルートにも配慮をしています。 通常の申請では上司が承認者になっていますが、本件についてはコーポレートグループが直接承認できるルートを新たに設定しました。プライバシーに配慮した手続きが可能なので、誰でも制度を活用できるようにしています。
Famieeという民間のパートナーシップ証明書サービスを採用したのも、居住地の自治体がパートナーシップ制度を導入しているかどうかに左右されず、全国どこに住んでいる社員でも利用できるという点が大きかったですね。 アプリで手軽に申請できる点や、第三者機関による本人確認が行われる信頼性も決め手となりました。
Famieeは現在iOSにしか対応していませんが、Androidを使用している方で、かつパートナーシップ宣誓制度の利用ができない自治体に住んでいる方については、公正証書の提出で婚姻関係の福利厚生制度が適用されるようにしています。公正証書の作成にかかる費用も、一部会社で負担できるようにしています。※Android版は今後リリース予定です(2025/04/25 現在)
ーーBMEへの賛同は、どのような意思決定を経てなされたのでしょうか?
Famieeの導入によって、社内の環境は一歩前進したと考えています。 しかし、一企業が変わっただけで、マイノリティの方々の苦労が全てなくなるわけではありません。 より多くの方が平等に権利を享受できる社会の実現のためには、社会全体の意識改革と法整備が不可欠です。
BMEは、日本国内の婚姻の平等(同性婚の法制化)を推進する企業を可視化するキャンペーンです。「社会を変えるスピードを上げる」「同性パートナーと生きている人たちの、くらしの安定と安心」「次の世代の子どもたちに、誰であっても好きな人と家族になれるという希望を手渡す」という考えに強く共感しました。
ニューロマジックとしても、社内だけでなく、社会全体でDEIを推進していくという強い意志を示したいと考えていたため、DEIチームのメンバーや役員陣にも相談し、BMEへの賛同を決定しました。
ーーFamieeの導入やBMEへの賛同といった取り組みを経て、社内外で何か変化や反響はありましたか?
社内メンバーからは温かいリアクションをもらいましたし、Famiee賛同コミュニティの一員になれたこと自体が、我々の取り組みを進めていく推進力になっています。
ーー最後に、永井さんがDEI担当の取締役兼執行役員として、今後ニューロマジックで目指していきたいことを教えてください
ニューロマジックは、「都市のような組織を目指し、社会の変化に対して影響し続ける」 というビジョンを掲げています。 多様な個性が集まり、それぞれの「らしさ」を尊重し合える、そんな「To Be Happy」を体現できる組織でありたいと思っています。
DEI領域の取締役兼執行役員として、これからもマイノリティの方や課題を持つ方々にとって、当事者ファーストの施策となるよう、制度の整備や意識改革を進めていきます。
その一環として、2024年にはDEI研修も社内で実施しました。
ニューロマジックの取り組みを通して、社外の方にも「自分らしく生きられる社会」の実現に向けて、少しでも何かを感じるきっかけになれたら嬉しいです。