目次
◆ 目指し続けた年間MVP
◆ 気づかされた「覚悟の違い」
◆ モチベーションに左右されない
◆ 本気の人に本気で向き合う。
◆ 想像していなかった景色
◆「誰かのために」の成果
◆「無冠の女王」を超えて
◆ 目指し続けた年間MVP
「私はMVPや優秀賞も新人賞も獲ったことがないし、その景色を見たことがないんですよね。だからこそ、メンバーや後輩の社員の皆さんは諦めずに目指してほしい」
入社から5年半、大きな表彰には一度も縁がなかった。
学生時代に熱中したチアダンスでは、世界の舞台で頂点に立ったこともある。仕事でも、同等以上の熱量で目標に向き合ってきたはずだった。
コンスタントに目標を達成し続けてきたものの、煌めく壇上に立つのは同期の社員や自分よりも後に入社した社員たち。
会社の1年間を象徴するほどの成果を挙げてこそ、その場に立つことができる。髙橋は何年も、その光を浴びる社員の姿を見上げてきた。
「年間MVPを獲りたい」
その場に立つために、覚悟を決めて数字を追い続けた。
もともとRAの職に就いたときから、「自分もその企業の社員のつもりで」という意識で採用にかかわってきた。その想いはずっと変わらない。
入社当初、業務内容を何もわからない中でも、自分にできることをする。むしろ正しい業務へのアプローチを知らないからこそ、企業に深く入り込んでいく以外に選択肢はないと考えていた。結果として企業からの信頼を得て、成果に繋げてきた。
社内でも有数の採用規模の企業を担当しながら、複雑な業務が同時並行で求められる採用フローをまとめ上げていく。自分の動きに関係しない損失が生じたときも、それを飲み込んで前を向き続けた。
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◆ 気づかされた「覚悟の違い」
「特にリーダーに昇格する前の2年間は、本気で獲りにいこうと思っていました。やるなら1位を獲らないと意味がないと思っているので」
本気の2年間を通して、1年目に感じたのは、「覚悟の違い」。
自身を「要領が良い方ではない」と捉えているからこそ、朝も夜も時間を重ねた。それでも、ふとしたときにSlackを覗くと、いつも同じ社員がオンラインで業務をしていることが画面に表示されている。
結果的に、髙橋の4ヶ月後に入社したその社員が、年間MVPを獲得。しかも、RAとして第1号となる受賞だった。
「業務量もそうなんですけど目の色が違うというか、時間的にも気力としても、普段の仕事ぶりから“今年は獲る!”っていう気迫がわかるくらいで、覚悟が違うと思いました。私も本気でやっていたつもりだったんですけど、ちゃんと負けたな、って」
その経験から、「肚を決めた」と言うほどの1年を過ごした。
自分でも最大限といえる程に業務に向き合い、会社に向き合い、数字に向き合った。そのつもりだった―――。
それでも、求めた場所には届かなかった。
翌年の受賞者は、入社1年半のキャリアアドバイザー(CA)。圧倒的な成績を挙げて、誰もが認める象徴的な存在感でMVPを獲得した。
「あのタイミングで、私の能力値では無理なんだな、って思いました。
死ぬ気でやったのに、年間MVPは獲れなかった。リーダーに昇格したら表彰の対象外なので、それも含めて諦めがついたタイミングでした」
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◆ モチベーションに左右されない
2年間求め続けたMVPを逃した後も、髙橋の仕事へのスタンスは変わることはなかった。
「モチベーションっていう言葉は、あんまり好きじゃないんです」
目の前の目標をクリアする。
それは髙橋にとって、ただ自然なこと。
学生時代のチアダンスでも、前職の旅行代理店での仕事も、当然ナイモノでの5年半も。自身が納得できる結果のために、やるべきことに全力を注ぐのは当然で、常に上を目指してきた。
モチベーションは外部環境に左右されるものでもなく、自身のメンタルを言い訳にすることもなく、ただ「自分が求めるから、やる」というシンプルな取り組み方。
そんな日々を通して、「目標への向き合い方」は変わらないまま、目指すべき「目的」に変化が生まれていく。
「これまでは、とにかく自分のためにやってきたんです。負けず嫌いなので、やるからには1位を獲りたい。そう思っていました」
誰かと競うことや1位を獲ること。表彰をされて収入が上がること。そこから受ける刺激や影響への想いは消えることはない。ただ、自身の中での優先順位が変わっていった。
「自分だけの、自分のための欲求を満たすのって、限界があるんですよね。自分が良ければいいとか、他の人と比べて“自分が”と考えたり、逆に“自分なんて……”と考えたりしていると、知らないうちに変なストレスを抱えることもあります。
それを、ただ目の前のお客さんのため、会社のため、メンバーのためにと考えるようになってから、ちょっとのことでは怯まなくなりました(笑)」
◆ 本気の人に本気で向き合う。
リーダー昇格後の1年間を、髙橋は「種目が変わった」と表現する。
RAとしての4年半を経て、新たに任されたのはCA6名のマネジメント。
「今まで挑戦してきた“表彰レース”から卒業した、というか、違うゲームが始まったような感じで戸惑いはありました(笑)
目標の分野や規模も変わるし、アンテナを向ける方向や脳の使い方もぜんぜん違って。リーダーとして、メンバーを勝たせたい。そういう立場の重みもありましたし、新しい課題に挑戦する1年でした」
これまでとは畑の違うCAメンバーのマネジメント。近くで働く姿を見てきたものの、現場のリアルを知っている訳ではない。
MVPどころか表彰についても頭の片隅にもないくらいの変化だった。業務の対象も要点も違う中で、要領を掴むのにも戸惑いながら、ただ目の前の「誰かのため」に向き合い続けた。
RAとしての企業に対する業務だけではなく、学生に向けた支援にもこれまで以上に注力をしていく。
実際に、当初は「今のままでは採用は厳しい」と感じた学生。
それまで企業側に深くかかわってきたからこそ、採用基準も熟知している。学生を担当するCAにも率直にそれを伝えると、学生から「もう一度、高橋さんに対策の面談をしてほしい」と返ってきた。
課題を提示した上で再度の面談に臨むと、想像していた以上の内容。そこで学生の本気を感じて、髙橋の中でもスイッチが入る。学生に費やした面談時間は合計で4時間にも及び、内定を得たこともあった。
「本気で受かりたいと思っている学生には、私も本気で向き合う。本来、企業を担当するRAではあるんですけど、熱量が伝わる学生にはいくらでも時間をとって対策をしよう、って私の中で決めているんです」
そうして学生、企業、CAそれぞれにとっての価値を生み出していく。
◆ 想像していなかった景色
新しい環境への困惑と新鮮さが入り混じった1年間を経て、2025年のキックオフで髙橋は司会を任された。
2日前の打ち合わせの場で、「今年のMVPは該当者なし」と聞いた。
「そんなことがあるんだ、って。年間のパフォーマンスを見ていて、今年はこの人だろうな、って思っていたので意外でしたし、それだけMVPの条件は高いんだ、って改めてMVPの重さを感じました」
これまでのキックオフでは一度もなかった出来事。
その事実に驚く以上に、髙橋の心中では「メンバーを勝たせることができなかった……」という想いが渦巻いていた。
そして迎えた、キックオフ当日。
会を進行しながら全社員に及ぶ影響を想像し、自身への悔いを抑えつつ、年に一度の場を任された以上、考えていたのは役割をやり通すこと。
各賞の発表が進み、会場は称賛の空気が生まれていく。
MVP発表の流れで、壇上のスクリーンに映し出される映像。
それぞれの社員がMVPへの想いを語る中で、この後には「年間MVP該当者なし」が発表される…。
そこで、思いもよらない映像が流れた。
《――― 私はMVPや優秀賞も新人賞も獲ったことがないし、ずっと“無冠の女王”と言われていたので、その景色を見たことがない。だからメンバーや後輩社員は、諦めずに目指してほしい》
自分が「諦めた」からこそ、メンバーに向けて発した言葉のはずだった。
しかし、その後に続く映像では、過去の受賞者からの祝福のメッセージが流れ、自分の名前が呼ばれている……。
すぐには意味が掴めなかった。
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◆「誰かのために」の成果
本来であれば、表彰の対象外のはずだった。
その枠を超えて、髙橋はリーダーとして初めての年間MVPを受賞した。
「頭の整理ができませんでした。
“リーダーは対象外”という条件を本気で信じていたし、この1年間は表彰のことは考えてもいなかったので。一緒に司会をしていた社員に“今年はMVPないんだよね?”って確認しましたし、その後の受賞コメントも何を話したかぜんぜん憶えてない(笑)」
映像の中では、担当企業の人事からのメッセージもあった。
「学生への情熱が、他のエージェントよりも圧倒的に強い」
「一緒に戦っている同僚。ほぼ自社の人事部のような存在」
「髙橋さんが採用を変えてくれて、自社の新しい採用につながった」
「自分が人事としてやってきたことを見返そうと思うほど」
「髙橋さんだからこそ、絶対に繋がりを続けていきたい。当然のMVP」
自分のために、ただひたすら求めてきたものが、予想もしないタイミングで訪れた。「誰かのために」と積み重ねてきたことが、時間を超えて実を結んだ。
ただの「取引先の1社」ではなく、目指すべき目的を共に共有して取り組んできた結果が報われた。何よりも「社員の1人として」という想いで支援してきた企業の担当者からの言葉が、嬉しかった。
「あんなにも欲しかったMVPが、リーダーになって諦めてから受賞できるなんて……。5年半、働いてきて“やっと認められた”と思えました」
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◆「無冠の女王」を超えて
代表の霜田も、髙橋について「陽の目を見ることがなかった」と言う。
同時に「(髙橋が)いるかいないかで、組織としての幅や安心感の部分で、ずっと大事な役割を担ってくれてきた」と評する。
リーダーとして初の年間MVP授賞は、ナイモノの成長の大きな節目として、まさに象徴的な出来事だった。だからこそ、異例の表彰。
「あんまり“リーダーとして受賞した”というつもりはなくて、ただチームや会社の数字のため、企業のためにやっていた結果というか、リーダーとしてはまだまだ足りていないことばかりなので。
会社として規模も体制もひとつ上のフェーズに上がって、目指すところへのアプローチや社員の働き方も、また変わっていくタイミングにあると思っています。
何者でもなかった自分に期待をしてくれて、評価をしてもらえる環境。自分が会社にとって意味のある存在になれたらいいし、まだできているとも思っていないので、これからリーダーとしてメンバーがちゃんと勝てる環境をつくる、そのために動いていきたい」
フェーズも変わり、社員の個性も志向も変わる。
「ちょっと前までは、売上や表彰や役職で刺激されていた部分もあったし、それも大事なことだとも思うんです。これからは、“自分はこういう未来をつくりたい”とか“何を成し遂げたいか”というところで、本気で挑戦できる社員が多い組織にしていけたら、と考えています」
「無冠の女王」が賞を得て、これまで以上に目の前の誰かのために向き合いながら、会社としての更なる成長を見据えた挑戦を繰り返す。それが、ナイモノの新しいフェーズを生み出していく。
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