「All for Streamers」をコンセプトに、YouTube・Twitch・Mirrativなど各配信プラットフォームで活動する配信者(VTuber/ストリーマーなど)を支援するミラティブは、2025年12月18日に東証グロース市場に新規上場しました。
ライブ配信プラットフォームの枠を超え、新たな事業郡を展開するステージへと踏み出したミラティブのセールスチームには、従来のやり方にとらわれないクリエイティビティが求められています。
新たな価値創出に向けて、どのような営業戦略とビジョンを描いているのか。代表取締役CEOの赤川隼一と営業部部長の山越雅之が対談しました。
代表取締役社長 赤川 隼一
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、2006年DeNAに新卒入社。最年少執行役員として海外事業、ブラウザゲーム事業等を管轄した他、戦略投資や複数の新規事業立ち上げを担当。2015年、同社の事業として「Mirrativ」を開始。2018年2月にMirrativ事業をDeNAからMBOし、株式会社ミラティブを創業。2025年12月に東証グロース市場に上場。「わかりあう願いをつなごう」をミッションに、日本発の新たなコミュニティ・居場所の形を世に展開している。
ミラティブ事業本部 営業部 部長 山越 雅之
大学時代より広告・プロモーション領域に関心を持ち、株式会社光通信に新卒入社。広告代理店を経て、株式会社ミクシィ(現:株式会社MIXI)や株式会社Gunosy等でメディアサイドの経験を重ねる。Gunosyで執行役員、ゲームエイトCOOを務めた後、株式会社レアゾン・ホールディングスにて部長を務め、広告主サイドでのマーケティング戦略を立案。2025年9月、ミラティブに入社。
Mirrativアプリの枠を超え、よりクリエイティブな広告営業へ
――ミラティブにおける、セールスチームの役割を教えてください。
山越:大きく分けて、3つあると考えています。1つめは、既存の広告事業を伸ばすこと。現状のMirrativは、ユーザーさんからの課金が収益の柱ですが、広告事業のポテンシャルが非常に大きいと考えているためです。2つめは、ミラティブが提供できるマーケティング手法を増やし、主たるクライアントであるゲーム会社様から頼られ、選ばれる存在になること。3つめは、ゲーム会社様以外のクライアントにも機会提供できるソリューションや商材を開発することです。
――一般的な営業の枠に収まらない感じですね。
赤川:世の中にまだない価値を何度も作り出してきたのが、ミラティブの歴史です。例えばMirrativアプリxセールスであれば、配信を通じてコミュニティを盛り上げてゲームのLTV(ライフタイムバリュー)を伸ばすという、新しいマーケティング手法を生み出しました。
インストール数を競う従来の手法とは一線を画す手法でクライアントとの関係性を深め、アプリ限定のアイテムを提供していただくなど、長年にわたって多くのゲーム会社さんに実施いただいてきました。直近もFGT(*)を実施するなど、新しい商品開発や連携がさらに広がっています。
VTuberや配信業界に興味がある人なら、自分の好きなエンタメ領域で、顧客の需要を踏まえたクリエイティブな営業活動ができることが、いちばん面白い部分だと思います。
(*) FGT(Focus Group Test)... 正式リリースの前にゲームを体験してもらうこと。フォーカスグループテスト。
山越:今までのMirrativアプリに加えて、個人VTuberと企業をマッチングする「ぶいきゃす」というサービスをグループ会社のアイブレイドからローンチしました。Mirratvアプリでやってきた企画をYouTubeにも広げるなど、アプリの外に出ることでよりユニークな提案が可能になりました。
赤川:今後はゲーム以外の業界とのコラボレーション機会も増えるでしょうし、創業初期から関係性を築いてきた大手VTuber会社とのコラボ企画の幅も広がりそうです。セールスチームはクリエイティブな仕事に加えて、広告代理店のような役割も増えてくるはずなので、まずはクライアントが喜ぶことを徹底的に突き詰めていってほしいと思っています。
――新しいサービスである「ぶいきゃす」について、もう少し詳しく教えていただけますか。
赤川:VTuberといえば「にじさんじ」「ホロライブ」「ぶいすぽっ!」といった、大手VTuber事務所に所属するタレント的な存在が広く知られており、私も1ファンです。一方、彼らに憧れて活動を始めた個人VTuberが増えた結果、視聴時間の総量では今や個人勢の合計が上回っている状況なんです。ただ、個人の活動は自由度が高い反面、収益化の手段やグッズ制作のノウハウを得にくく、企業案件(PR案件)の獲得が難しいという課題があります。
「ぶいきゃす」は、視聴数や熱量に比して収益やファンを増やす機会が得られていない個人VTuberをネットワークして、価値提供していくコミュニティです。同時に、個人VTuberと企業を繋ぐことで、双方のWin-Winを実現するプラットフォームでもあります。
山越:企業が短期的な知名度アップを狙うのであれば、もちろん大手事務所のVTuberに依頼するのが効果的です。一方で、「ユーザーと一緒にコンテンツを育てていきたい」といった長期的なニーズに応えるには、マイクロコミュニティならではの熱量で視聴者と友人のような関係性を築ける個人VTuber、いわゆるKOL(*)とのコラボも極めて有効で、そんなときに「ぶいきゃす」が存在価値を発揮します。実際にクライアントと話していても、KOLのニーズが高まってきていると感じることが多いです。
(*) KOL(Key Opinion Leader)... 特定分野で高い専門知識と発信力を持つ人のこと。KOLを起用してSNSなどで商品・サービスをプロモーションする手法は、KOLマーケティングと呼ばれる。
――短期的な広告とは違う、長期的な広告ならではの難しさはありますか。
山越:コミュニティが長く盛り上がるためには、配信者さんが長く続けたいと思える企画である必要があります。短期だからと言ってクライアントのニーズを一方的に押し付けていいわけではないのですが、長期の場合はより、クライアントと配信者さんがWin-Winの関係になるように慎重にニーズを合致させていくことが重要だと考えています。
――赤川さんは、ミラティブのセールスチームにどんな動きを期待をされていますか。
赤川:営業に限らず、ビジネスに求められるのは顧客の課題解決です。そして、最も高い解像度でクライアントの課題を捉えられるのは、クライアントの声を直接聞ける営業担当者です。だからこそ、その理解を起点に、クリエイティブな課題解決型の広告商材の企画立案を担ってもらいたいと考えています。AIの進化で、よりクリエイティブなソリューションを非エンジニアでも創造しやすくなっていますしね。
山越:まさにその点、自分たちの手で広告商材を作ってクライアントに喜んでいただけることが、ミラティブの営業の醍醐味です。しかも私たちは、配信者さんや視聴者さんにも価値を提供できます。こうしたWin-Winの価値設計を前提とした営業を、今後さらに強化していきたいです。
――そのようなクリエイティブな営業を実践するにあたって、ミラティブならではの強みはどこだと考えていらっしゃいますか。
赤川:山越さんの入社半年で、すでに新しいソリューションが営業組織から出てきています。これがまず、稀有な実行力だと思います。それに加えてミラティブの面白いところは、「なければ作ればいい」という文化がベースにあることと、自社開発ができるだけの強いものづくりチームがいること。自社だけでは限界がある場合でも、今まで積み重ねてきた関係性とIPOによって強化された信頼をもとに、他社と協業する道を探ることもできます。
クライアントの課題を正しく掴んでいさえれば、多角的かつ網羅的な提案ができることが、ミラティブの強みです。
営業組織を進化させるため、"優秀な営業責任者”をスカウト
――山越さんの入社は2025年9月だそうですが、なぜミラティブにジョインされることになったのですか。
山越:もともと配信事業は未経験で生活圏にもなじみがなかったのですが、前職でゲームのプロモーションに関わったとき、VTuberや配信関連、広く言えば推し活関係の提案をよく受けました。従来のプロモーションやマーケティングに手詰まり感もあったので調べてみたところ、ポジティブな要素も多いことに気づいて興味を持ちました。そんなことを考えているタイミングで、赤川さんとお会いする機会があり、何度か対話を重ねた末に自分の求めていることや今までのスキルが活かせると感じ、入社を決めました。
――赤川さんは山越さんとは直接の面識はなかったそうですが、重要な役職・ポジションで迎え入れるのは、思い切った決断だったのではないでしょうか。
赤川:近年のゲーム産業は、中国企業の台頭やVTuber関連企業の上場など、構造的な変革期を迎えています。加えてミラティブも、ユーザー課金を主軸としたアプリ事業から、より広い配信領域へ事業の舵を切る転換期です。こうした内外の変化に向き合い、次のフェーズに進むために、広告事業を任せられる人材が必要だと、2024年頃から考えていました。
私自身も営業出身で、経験上、「優秀な営業を知っているのは優秀な営業だ」とわかっていたので、信頼できる周りの営業職の方にヒアリングしていたところ、紹介されたのが山越さんだったんです。
――山越さんのどんな部分を魅力に感じましたか。
赤川:ゲーム業界に近いところで働いた経験もですが、私が特にいいなと思ったのは、山越さんが営業側だけでなく広告主側の経験も持っていたことです。営業される側の気持ちを想像しながら物事を考えられるスキルがあり、さらに私が信頼している人たちからの評価も高い。実際に話してみると、これからのビジョンの話でも意気投合して、今に至るという感じです。
――その「これからのビジョン」について、具体的にどのようなお話をされたのでしょうか。
赤川:今後ストリーマーが、ゲーム産業に留まらずさらに影響力を持っていくことは確実だけれども、クライアント側とストリーマー側、双方のニーズを正しく理解して繋げられるプレイヤーは市場にはまだまだ少ない。ストリーマーの価値をより大きなマーケットへ広げていくために、ミラティブの営業組織を進化させたい。そんな話をしました。
山越:お話をしてみて、ミラティブの「All for Streamers」というコンセプトに共感できたことと、経営者である赤川さんに近い場所で働けること、今思えばこのあたりが、入社を決めた最後のポイントだったかなと思います。
「KOLマーケティングといえばミラティブ」と認知される存在を目指して
――赤川さんから「営業組織を進化させたい」という言葉がありましたが、山越さんはどんな進化をイメージされていますか。
山越:マーケティングの難易度は年々高まっているので、画一的な提案ではクライアントが求める成果にはつながりません。それぞれのクライアントに合わせて広告商材のラインナップを増やし、より有益な提案ができるよう、ヒアリングの仕方などを含めて、課題解決型のセールススキルをレベルアップさせていきたいです。
そんな経験を重ねる中で、広告営業の新しいスキルが生まれ、新しいポジションがどんどん増え、新しいキャリアが形成される。そんな循環ができるといいなと思っています。
――ワクワクしてくるお話ですね。具体的に、どう組織を進化させていく予定ですか。
山越:今、ゲーム業界のニーズに詳しい人は一定数いても、VTuberのマーケットをビジネス的な視点で理解している人はまだまだ少ないです。ゲームとVTuberをマッチさせて広告商材を企画できるとなると、さらに人材が限られます。私たちはMirrativアプリや「ぶいきゃす」を活かして、ゲーム会社様とVTuberと視聴者さんをつなぐプレーヤーとなり、「KOLマーケティングといえばミラティブ」と広く認知される存在を目指したいと考えています。
営業のヒューマンスキルが、長く選ばれ続けるための鍵
――セールスチームに加わってもらいたいのは、どんな人ですか。
山越:ゲームが好き、もしくは配信を見るのが好き、どちらかの要素は持っていてほしいと思っています。特に、子どもの頃からゲームに触れてきた経験や、ゲームを通じて感じた体験は、ミラティブでの仕事にも必ず活きてくるはずです。
赤川:1つ1つの仕事をやり切れる人に来ていただきたいです。エネルギーと達成意欲にあふれた気持ちの良い営業組織であるためには、長期的な視点と同じくらい、目の前の目標を達成することも大切だと考えているからです。
山越:それから、一緒に事業を前に進めていくためには、素直さや一所懸命さ、クライアントにしっかり向き合える真摯さといった人間性も、とても大切だと考えています。セールスチームのメンバーが会社として信頼を得るのはもちろん、人としてクライアントから頼ってもらえる存在になれるよう、組織としてもバックアップしていくつもりです。
赤川:今の世の中、短期的な目標達成のために信頼を毀損すると、中長期的には売れなくなります。ベーシックな営業スキルを満たしていることは前提ですが、AIでいろんなものがコモディティになっていく中で長く顧客に選ばれ続けるためには、営業個人のヒューマンスキルはますます重要視されるようになると私も思っています。
――では最後に、この記事を読んでミラティブのセールスチームで働くことに興味をもってくださった方へのメッセージをお願いします。
山越:まずは、ざっくばらんにお話したいと思っています。求職活動で「ゲームが好き」「配信を見るのが好き」と書くことは普段あまりないと思いますが、そうした話も気軽に伝えてもらえたら嬉しいです。
赤川:2025年12月にIPOしましたが、今までのミラティブらしさが失われたわけではありません。まだまだ広がっていくVTuber・ストリーマー業界で、引き続き独自のポジションでマーケットを開拓していくつもりなので、大きな成果を出したい人はぜひ来てください。
※記事の内容は取材当時(2026年2月時点)のものです。
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