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【Behind The Scenes】商品の魅力#1 LaFabricの商品企画を担当する2人に語ってもらいました

こんにちは!

ライフスタイルデザインの「赤いイナズマ」こと赤妻です。

9月に突入し、少しずつ秋っぽい気候を感じられる季節になりました。

秋は、食欲の秋、スポーツの秋、ツーリングの秋と様々な呼ばれ方をしているように

楽しみなイベントが目白押しかと思います!

弊社でも、先日一大イベントである

AW(秋冬物)リリース!

を行いました!

正直、全部オススメです。選べません。(断言)

※福利厚生の一環として、弊社では半期に一度商品リリースと同時に「LaFabric」のポイントを付与しております。(PRオワリ)


さて、今回はそんな商品リリースに関わる人達のお話として

Behind The Scenes:商品の魅力

の第1回をお届けしたいと思います!

こちらも連載形式で第1回は、クリエイティブ統括 商品・素材開発スペシャリストの峯村さんと

生産管理&商品企画リーダー 佐々木さんにお話を伺いました!

音声データ(Podcast)はこちら↓

Behind The Scenes:商品の魅力 #1 by FABRIC TOKYO's Podcast

【プロフィール】峯村昇吾
1982年東京都出身。青山学院大学経済学部経済学科卒業。大手繊維専門商社にて、川上全般の原料メーカーと素材開発を行い、アパレルメーカー向けテキスタイルの企画提案営業を担当。3年間の海外駐在を経て、国内外の幅広い素材開発・調達に従事。2013年モリリン㈱入社し、国内外の原料に特化した素材開発に従事。2015年11月にライフスタイルデザインに参画。素材開発・調達担当ほか、クリエイティブ全体を統括。


【プロフィール】佐々木辰憲
1984年香川県出身。バンタンハイスクール ファッションデザイン科卒業。エスモードジャポン東京校総合科メンズ選考卒業。東京コレクションブランドを経て大手アパレルのセレクトショップにて商品企画、バイヤー、生産管理などを経験後独立、ファッションブランドの立ち上げを経験。 2015年7月よりライフスタイルデザインに参画。新商品の企画開発、国内縫製工場の開発などを担当。

主な受賞歴 TOKYO Midtown award 2010 審査員特別賞水野学賞、 越後妻有 大地の芸術祭 衣の部 作品賞


【インタビュー本編】

森:今日のテーマは、「Behind The Scenes」第1回ということで、商品企画の話をしたいと思っています。聞き手は森(雄一郎)と峯村(昇吾)と佐々木で、お送りしたいと思います。今日は峯村さん――クリエイティブルーム室長と、あと佐々木タツさん――商品企画担当にお越しいただきました。簡単にお二人、自己紹介してもらいたいと思うんですけど。では、峯さんからお願いします。

峯村:商品企画、生地の素材開発をメインにしております。以上です。

森:あっさりしてるな(笑)。じゃ、タツさんも簡単に。

佐々木:峯村さんと一緒に生地の企画と、あと実際に商品になったときの商品の仕様とかを決めたり、そういうことをやっています。

森:2人ともめちゃくちゃ硬い感じで始まっているんですけど、今回は「Behind The Scenes」ということで、商品企画の舞台裏(Behind The Scenes)の話をしていきたいと思うんですけど。その前に2人が何でライフスタイルデザインにいるのかということを、教えてもらえたらと思うんですけれども。峯さん、何でライフスタイルデザインにいるんですか?

峯村:何でいるのか。僕は前職は商社でものづくりをしていまして、この会社を知る機会があったときに、僕が思っていた、「あるべき姿」じゃないですけど、これが一番いいビジネスモデルだなと思ったんですよね。ビジネスモデルに惹かれました。

森:自分がこんなビジネスモデルが理想的だなと思っていたものをやっている会社を見つけて、それで受けてみたみたいな感じですか?

峯村:そうですね。

森:はい、わかりました。ありがとうございます。じゃ、佐々木タツさん。

佐々木:僕はもともとアパレルにずっといまして、大体商品企画、ファッションデザイナーをやっていたんですけど、そのままアパレルにいてやれることとか、今後のアパレルの未来とかを考えて、ものづくりはすごく好きだったので、次の時代のものづくりみたいなことを考えていて、そういう会社だなというのを直感的に感じて入ったという感じですか。

森:なるほど。もう2年以上前の。

佐々木:そうですね。

【商品の魅力は?___深い、縛られない】

森:大体お二人とも2年ぐらい、うちの会社で活躍していただいています。経緯はまた「Member's Story」で深掘っていきたいと思うんですけど。今日は「Behind The Scenes」:商品の魅力ということで、お二人に商品の魅力を語っていただきたいと思うんですけれども、LaFabricは全部Made In Japanで商品を作っていますけども、実はいろいろな取り組みを始めてきたのが実はこの2年ぐらいだと思うんですけれども、商品面で。多分感覚値としては、商品力というのが本当に何倍にもなったかなと思っていて、その背景を教えてもらいたいんですが。

峯村さんは、うちの商品の魅力を一言で言うと、どう表現されますか?

峯村:一言で言うのはすごい難しいと思うんで、形容詞だと「深い」だと思います。

森:ディープな感じですか。

峯村:ディープにしようと思ってやっています。

森:なるほど。もうちょっと教えてもらっていいですか?ディープ、深さを追求している。

峯村:何か単純にカッコイイとか、トレンドであるとか、そういうのは、追いかけないわけじゃないですけど、そこに重きは置いていません。これからもずっと続くであろう本質を追い求めているので、いろんな側面からものづくりをしているんですね。だからこそ、訴求がぶれちゃったりもしているんですけど。(笑)

森:過去に。

峯村:そうそう。今もそうかもしれないですけど。だから、何が正解か、お客さんが求めているものはわからないですけど、今まで僕が考えている正しいことを今しているという感じです。かなり深いと思います。

森:なるほど。具体例を挙げると、どんな深さが今まではありましたか?

峯村:今、シリーズで展開している、もちろんベーシックなラインナップだけじゃなくて、オリジナルの中の、機能性のTHE TECHシリーズとか。THE TECHは顕在的な部分だと思うんですけど、ニーズ的にも。やっぱりチャレンジしているのが、環境にいいとか人権にいいと言われている、オーガニック系の部分使ったりとか、フェアトレードのものを使おうとしているところとか。あと、本当のものづくりは何だという追求しているTHE SOCIALシリーズとか――という感じですね。

森:なるほど。いろいろ工夫をしているということで。後でちょっともう少し深掘らせていただきたいと思います。タツさん、一言で魅力を言うと?

佐々木:自由とか、縛られないとか、そういうことだと思うんですけど。

森:なるほど。

佐々木:ある意味ミネさんが言ったことと同じなんですけど、僕がいたアパレルだと、そのブランドさんがあります。ブランドの方針が――うちに方針がないわけじゃないんですけども、テイスト的な方針があって。うちの会社はこういう人――というのがすごく狭くて、モードが大好きな人とか、すごくやんちゃな人とか、そういうのがあるんですけど、ある意味そういった縛りがなくて、本質的なものづくりができる。縛りがないゆえにできるのかなというふうに思っています。

森:それはお客さんの制限がないということですか?

佐々木:いや、お客さん自身は制限持っていないと思うんですね。それは勝手に売り手都合で縛りを作って、あなたはこうだみたいなのをやらなきゃいけないとか、それがアパレルビジネスの根幹だったような気がしているので。それを最初から持たずに始められるというのは、なかなか面白いのかなと。

森:なるほど。オーダーメイドならではの、その人その人にフィットさせていくというか。では、少し広範囲的なアパレルのブランドなわけですね。

佐々木:と思っています。

森:わかりました、ありがとうございます。

【顕在ニーズをとらえた商品展開、ものづくり】

商品の魅力を教えてもらった中で、もう少し詳しく聞いていきたいんですけど、具体的には、過去にどんな商品を出してきたのかというところと、あとはちょうど今、8月の後半なんですけど、秋物が立ち上がったので、どういったところを考えて商品展開しているか、そのお話をお二人にしていただきたいと思うんですが。

峯村:過去のものづくりは、さっきも言いましたけど、ベーシックラインとオリジナルラインがあって、ベーシックラインは、ある意味そこまで差別化というわけじゃなくて、本当に業界標準というわけじゃないですけど、必要なものを必要な分そろえるというイメージです。

ものづくりに関しては、やっぱり差別化シリーズで出しているのが、THE TECHシリーズ、THE SOCIALシリーズ、THE ROOTSシリーズになっています。今までも、これからもそうなんですけど、THE TECHシリーズに関しては、大きなアパレル業界、紳士服業界と言われる中で、他社がやっているような顕在的なニーズと機能、一通りそろえようとして、これからもやっていきますというところです。洗えるスーツとか、あと撥水スーツとか、ちょっとエッジきかせたやつは「アウトラスト」。NASAが開発した素材を使った商品を出したいとか、機能面でTHE TECHシリーズを出していました。THE SOCIALシリーズは、なかなか伝わりにくいんですけど、ボタニカル。化学染料じゃなくて天然染料を使って、原料もなるべく天然繊維を使ったケミカルフリーの商品を作った。THE ROOTSでは、「水の都」という、岐阜の糸の紡績から染色、織り、縫製加工まで一貫した工場で、地下水がすごく有名な工場なので、スーツづくり、染色には水がすごく大事になってくるし、そこのめちゃめちゃいい、きれいな水を使って、あとはもう本当の職人のものづくり、クラフト感をプラス・アルファした商品を出していました。

森:なるほど。ラインナップをまとめると、ベーシックなものづくりをしているベーシックシリーズというものと、あとはうちでオリジナルで企画したシリーズがTHE TECHシリーズ、THE ROOTSシリーズの3つがあって、毎シーズン商品展開をしているということですね。

峯村:はい、そうです。

森:それぞれ多分、なぜそういったものづくりをしたいかという思いがあって商品づくりをしたと思うので、ベーシックは基本的には本当にスタンダードなものを安定して提供し続けるといった思いだと思うんですけど、まず、THE TECHシリーズについて、何でこういったものづくりを始めようと思ったかというところを教えてもらってもいいですか?

峯村:THE TECHは…。スーツ発祥ってイギリスだよね。

佐々木:そうですね、イギリスですね。

峯村:イギリスとは違う四季がある国で高温多湿。夏とか全然スーツ向かないんですよね。という中で、どうしても機能が必要になってくる。日本はやっぱりすごくスーツに対しても、機能が求められている国だと思います。もちろん必然的にやらざるを得ないということだと思います。だからこそ顕在的なニーズが出てくる。

森:もともとヨーロッパ発祥のスーツをローカライズした結果、機能を持たせるという顕在ニーズがそこにあったということですね?わかりました。

峯村:そこら辺は何か、大手の紳士服量販店メーカーさんの動きを見ても一目瞭然というか。

森:なので、過去に出したのが、NASAが宇宙服に使っている素材で、アウトラストというものを使ったスーツだったりですとか、それは体感温度が37.5度前後に保たれるような作用を持つ素材…。

峯村:32度です。「37.5」はこれから出す新しい素材です。

森:失礼しました。間違えました。あとは超撥水性素材で水を寄せ付けないようなものだったりとか、あとは家庭の洗濯機で洗える「Laundry」という商品を出して人気になっています。ここ半年ぐらいで出したものだと、「AIR」がお客さんにはかなり人気です。タツさん、「AIR」について説明してください。

佐々木:AIRは、すごく普通のスーツに近いものであると思うんですけど、ウールの目付けって大体200グラムぐらいなんです――200グラムを超えています。夏物でも230ぐらい。

森:目付けとは、生地の重さですか。

佐々木:生地の重さが。それをポリエステルに置き換えると、すごく軽くなるんですよね。プラス、これに関しては生地だけじゃなくて、仕様面をすごく除きまして、本来スーツは内蔵物がすごいいっぱいあるんですけど、それをほとんど取り払って、本当にカーディガンみたいに羽織れて、ただ、ちゃんとスーツだよというような商品を打ち出しました。

森:なるほど、なるほど。中身はすごくライトにつくってあるけれども、しっかり外から見たら、スーツとしての機能は果たしているような見た目を保っているというものですね。

佐々木:そうです。

森:わかりました、ありがとうございます。AIRは僕も買いたいなと思っていたんだけれども、買おうと思ったときに在庫切れしていたという残念な感じになって、ちょっと次のシリーズを待っているんですけど、僕は。

峯村:そうですね。予想以上に売れました。

森:予想以上に売れました。

じゃ、次は、なぜTHE SOCIALシリーズを作ったのかというのを、ミネさんから教えてもらっていいですか?

峯村:イメージ、パタゴニアの取り組みとかを見てもらえればわかるんですけど。

森:はい、アウトドアブランドの。

峯村:アパレルの産業というのはマイナスの面がめちゃめちゃ多くて、ファストファッションが一時期問題になったけど、バングラディシュの縫製工場、あと中国では普通に児童労働が行われていたりとか、すごくクローズドな部分でいろんなことが行われているのが普通というのがアパレル業界なんですね。例えばインドのコットン農家も、農薬を普通に使わなきゃいけないので、農薬を使うんですけど、農薬を買うお金がなくて借りなきゃいけないというときに、公的な機関もないから、闇金から借りて、結局返せなくなって自殺するみたいな。コットン農家、インドは35歳ぐらいが平均なんですけど――というふうに、いろいろよくない部分が多いんです。

森:なるほど、『不都合な真実』みたいな。

峯村:Tシャツ1枚作るのに多分、ものすごい水の量とか使ったりとかするんですよ、染色とか、汚水とかもありますし、環境破壊も。染色するときに百何十度のボイラーでお湯を焚いて、高温で染色するんですけど、そのときの二酸化炭素とか、非常に地球環境にも人権的にも負荷が高い産業になっているので、これからはやっぱり、よくないものはよくないので、正しいことをやるのが当たり前という部分を、会社としても発信するのが、別にかっこいいわけじゃなくて当たり前だし――と思っています。

森:誠実なものづくりを、会社のスタンスとして掲げるというのが大事ということですかね。

峯村:そうです。ただ単にかっこいいのはかっこよくないと思っています。

森:なるほど。「かっこいい」のあり方というものが違うんですかね。

峯村:と思います、これからの時代は。



価値観の再定義___かっこよさとは

森:なるほど。僕、峯さんがよく言う、「価値観の変化」なんかを、六本木のタワーマンションに住むのか、清澄白河のワンルームマンションに住むのかみたいな、そういったことを例えるのが結構僕好きで、聞いている人にちょっと伝えてもらってもいいですか?かっこよさの定義が変わってきているんじゃないかと。

峯村:今までは、みんな思っていることだと思うんですけど、いい大学出て、いい会社勤めて、結婚して、家買って持って――というのが当たり前だし、成功は何か人からいいなと思われるようないい場所に住んで、いいものを食べて、いいブランドで着飾ってという物質主義的な部分じゃもうなくなっているというのは、僕だけの考えじゃなくて、もう出ているし、やっぱり何が豊かなのかなといったときには、物に囲まれているだけじゃなくて、やっぱり心の豊かさだし。

森:豊かさのあり方は、確かに。今、いろんなところで再解釈を求められていますよね。

峯村:というところですよね。ただいいところに住むとか、いいものを着飾るとかじゃなくて、自分が納得のできる、本当に自分がここに住んで気持ちいいな、これを着ていて気持ちいいなみたいな、誰といて気持ちいいなというのが一番豊かなことだと思うので、そういう商品でなきゃいけないと思います。

森:なるほど、なるほど。そういった意味では、THE SOCIALシリーズというものは、かなりその価値観からひもとかれた商品づくりを意識しているという感じですかね。

峯村:そうです。

森:わかりました。ありがとうございます。タツさん、何か追加ありますか?THE SOCIALシリーズについて。
タツさん最近、東京都民から神奈川県民になりましたね。どこでしたっけ?家は。

佐々木:藤沢市です。

森:それはやっぱり、そういった豊かさの定義を問い直したとかってあるんですか?

佐々木:そうですね。週末バーベキューしています。(笑)

森:参加したんですか?

峯村:僕はしていないんですけど。

佐々木:誰呼んでいいか、わからないんですよ。

森:いいじゃないですか、奥さんと2人で。

佐々木:そうですね。湘南とか、やっぱり増えていますよね、そういう方って。今まで都内に住んでいたけど、藤沢とか湘南地区に移り住んで、みたいな感じの方とか。だから最近人口が増えているらしいです。

森:やっぱりみんな共通しているんですか?価値観というか、都会でがつがつ働いて、物質主義的な豊かさを求めることをやめたというか、そこでもう既に満足したというか、そもそも違うと思っているとか。

佐々木:そうですね。感覚としては、藤沢とかだとまだ物質主義も――中庸なんだと思います、位置的に。そこまで「やめ切っていない人」(笑)。僕もやめ切れていないと思います。

森:やめ切れていない?正直な話。

佐々木:はい。やめ切れていない人が多分、湘南地区に集まってくるんじゃないかなというふうに思います(笑)。

森:でも、何でその人たちは、都会を離れたんですか?

佐々木:そうですね…。やっぱり休日の過ごし方とかが変わると思うので、そういうとこに求めるものがあったんですかね。何かを求めて。休日絶対に都内だと、カフェに行って、蔦屋書店に行って本読んで――それ僕だったんですけど(笑)。そういう感じだったんですけど、藤沢に行ったら海とかもあるんで、カフェじゃなくて海で本を読んだりとか、そういう感じのことができるので。

森:いいですね。

佐々木:なかなか楽しいっちゃ楽しいというか。ライフスタイルとしては新しいのかもしれないですね。

森:なるほど。まあここ10年、15年ぐらいで、本当にその辺の考え方というのはがらっと変わりましたよね。わかりました。ありがとうございます。

日本のものづくり

森:では、最後に、THE ROOTSシリーズという商品のシリーズについて、峯さんから。作った背景。

峯村:僕たちのこの業界、紳士服とか、オーダーメイド業界だと、普通にあるのがインポート、イタリアの生地。何か『LEON』に載っているような伊達おやじみたいな。全部何か、イタリアの生地がいいとか。何かみんなそこに対して憧れを持っているし、そこは評価をされているのが今の現実な気がしています。でも実際に商品単体で見ると、日本人ってやっぱりものづくり大国ですし、クオリティーめちゃめちゃいいんですよ。

森:日本製品の素材の。

峯村:はい。日本って世界基準とか言葉があるぐらい、何か自分たちよりも世界の方がいいとか、あと世界に目を向けがち。でも、最近何か流れ的にも、日本っていい国じゃんみたいな自覚をし始めていると思うんです。テレビ番組でも、日本のお父さんが海外で働いているとか、外国の記者が日本に来るとか、みんな日本のいいところに気付き始めているし、俯瞰視できて。僕がものづくりしていて、やっぱり日本のものづくり、すごいと思うから、ちゃんと本当にいいものって実はめちゃめちゃ身近にあるんだよということを伝えるために、日本のものづくりの素晴らしさとか、本当の、誰が、どこで、どうやって作っているかという、ちゃんとしたものを届けようとして、このシリーズを立ち上げましたというか。本当にいいものをただ出すというだけ。

森:最近またMade In Japanって見直されている気がしますよね、すごい。昨日も美容院に髪切りにいって、それで普段あまり読まないんですけど、雑誌読んでいたら、丸々一冊日本製とか、Made In Japan特集みたいなものがあって、結構1個1個意味があるというか、単なる日本製だと言っているわけじゃなくて、これは日本のどこどこで、みたいなことをちゃんと取材していて、いろいろ読みごたえがありましたね。

峯村:あと補足すると、日本って繊維業界すごく古くて、古いがゆえに、すごく分業制なんですよね。糸を作るメーカー、織るメーカー、染めるメーカー、縫製するメーカーみたいな。で、本当にものづくりしているんだけど、ファストファッションとかもあって、海外生産があって、どんどん産業が衰退しているのが現状で、本当に十何年前と比べたら、日本の生産って本当に何%。本当に50%から1桁台に落ちているんですよね、メード・イン・ジャパンの比率が。という中で、やっぱり限られたものづくりメーカーは、過去の分業制の商習慣というか、そもそものスタイルから、自分たちで発信するPR力はもちろんないし、そのまま埋もれているみたいな。だからこそ僕たちが、いいものをちゃんとしっかりと掘り起こすというわけじゃないけど、いいものはいいので、それをピックアップして伝える。

森:なるほど。それをしっかり伝えていかないといけないということですね。タツさんは。

佐々木:そうですね。本当に日本の生地メーカーさんは、実際、うまくいっているところは、海外と取引しているんですよ。というのは、日本人はあまり見ていない――何というんですかね。生地メーカーさんたちを見ていなくて、ただ本当にいいものだから、今はまだやっぱりファッション、ヨーロッパの方がデザインとかは、優れているというよりは、大きい会社が多いと思うので、そういうところの人は、日本の企業の生地を買いたいから買っているんですね。でも、日本の企業は安く作らなきゃいけないし、それよりもブランド、イタリアであったりとか、イギリスであったりとか、ブランドを生地にも求めて、企画の人間がそこに安心感を求めて買おうとするから、国内からはあまり注目されていない。でも、そういうものを海外の人が使うというよりは、やっぱり日本人である僕たちが使って、まずは国内の人たちに届けるということが大事なことなんじゃないかなと。

森:日本人が日本製の本当の魅力をあまり知らないという感じですか?

佐々木:そうですね。それもあると思います。

森:確かにヨーロッパのブランドとかって意外と日本製の生地とかを使っているメーカー、ブランドが多いですもんね。

佐々木:日本でしか作れないものというのはすごく多いんですよね。

森:なるほど。良い選択肢としての日本。

佐々木:だと思います。彼らからしたら別に日本じゃなくてもいいんだと思うんですけど、ただ、いいものがある。ロットもそんなに多くなくて作れるとか、いろんな要素があると思うんですけど。

森:彼らが日本製だからって買っているわけじゃなくて、その技術が日本にあったということ。

佐々木:そうです。いいものがあるから、ただ使っているというだけの話で。

峯村:海外ではとても日本の評価は高いですよ。

森:何が一番高いんですか?

峯村:もう日本のブランドができているんじゃないかと。もう日本はものづくりしっかりしているというのは、海外の人はめちゃめちゃわかっている。

森:僕は岡山出身なんで、デニムとかは産地ですけど、デニムは確かに結構、海外ブランドにも使われているし、岡山発のデニムブランドも出てきたりとかしていますけど、デニム以外も全然、日本製の生地はいいという評が高いということですか?

峯村:そうですね。だから本当の生地、産地の工場とか、メーカーとかとは、どんどんやっぱり海外の展示会に持っていっていて、海外で売ろうとしているので。

森:なるほど。で、実際売れている?

峯村:はい、売れていると思います。

森:そういった事実を実はあまり日本人の消費者は知らないからということですね。魅力が伝わりづらい構造になっていると。

峯村:そうですね。あとは、海外というかイタリアとかのブランドがBtoCを生地でやっているんです。日本のメーカーはブランド化していないので、メーカーはBtoBでしか生地を売っていないというのもあるかもしれないです。

森:メーカーというのは、繊維商社の方ということですか?

峯村:ではなくて、もう生地を作っている機屋さんとか。

森:もっと川上の方ですね。

峯村:そうです。それもあるかもしれないです。

森:BtoBで…。

峯村:海外のブランドさんに売っているんです。で、海外の、例えばイタリアの生地だったら、CANONICO(カノニコ)とかというのはちょっと有名な生地屋さんなんですけど、BtoCで売っているので、実際はCではないかもしれないけど、Cに対してCANONICOというのを訴えているので、それがうまくいっているのかもしれないです。

森:確かに。イタリアの生地メーカーは、自分たちのことをブランド化しますもんね。CANONICOとかロロ・ピアーナとか、まさにそうですよね。あとイギリスもそうですね。だけど、そういった生地山地がブランドになるみたいなのって、日本ではあまりケースがない。

峯村:出始めています。どんどん生産業は川上から川下という川の流れに例えますけど、川下はアパレル業界、商社に近くて、川上は原料ですね。本当に井戸のメーカーとかがブランドの商品出しています。織っているメーカー、編んでいるメーカーが出したりとか。そういうふうにちょっと、すごく変わり始めています。

森:なるほど、そういうことか。

峯村:なぜなら、アパレルメーカー手動だと、この業界はもう終わっていく。自分たちで何かしようとしているということです。

森:じゃ、かなり日本のものづくりとしては、未来が少しずつ切り開けてきているかなという感じではあるんですか?

峯村:いや、どうですかね。すごくやろうとはしていますけど。しかも手を取り合って。まだうまくはいかないというか。

森:規模も小さいし

峯村:そうですね。あと、toCで伝える力というのが難しいじゃないですか。

森:発信の仕方。

峯村:そうですね。やっぱり今までものづくりは、日本の産業はBtoBがものすごく介在している業界だったんだ。取引さんにとって良いものづくりをするという、愚直にやればよかったんですけどね。ものづくりをよくするだけじゃだめだという、伝える力。

森:確かに。今までやっぱり生地産業の川上の方に行けば行くほど、やっぱり下請け工場の側面が強かったわけで、下請け工場って、一番本質的にクオリティーを出しているというところがあるので、そこから直接、消費者に発信すれば、一番もしかしたら伝わるんじゃないかというところがあるんだけれども、これまで下請けだったから、発信する力がないし、BtoCに売る力がなくて、BtoBに売る力しかつけてこなかったから、そういった構造になっちゃっているという、そういった感じですね。

そんな中で、では、LIFESTYLEDESIGNができることってどんなことがありますか?

峯村:僕たちは、ものづくりから販売まで、サプライチェーン一手に手掛けているので、消費者に向けて伝える力は、今そんなに爆発的にあるわけじゃないですけど、これから成長するときには、伝える力がないといけないじゃないですか。という中で、やっぱり僕たちがお客さんに伝える力を持っているならば、ものづくりのよさとか、工場、日本のものづくりというのはこういうものだというものをやっぱり伝えられるし、日の当たらなかった工場とか、もっともっと自分たちで何かをしようとしている前向きな工場さんとかと一緒に、僕たちが工場を救うとか、日本のものづくりを救うわけじゃなくて、パートナーとして一緒にやることがいいと思います。

森:なるほど。タツさん、何かありますか?

佐々木:同じなんですけど、カスタマーとつながっているということで、カスタマーのニーズというのをちゃんと企画してあげないといけないと思うんですね。Appleじゃないですけど、本当にこの人が欲しいものは何だったのかみたいなところを、僕たちがリサーチをして、ちゃんと真意を見つけて、それを工場さんと一緒に作って、あとは工場さん自身がつながっていなかったりもするので、それの橋渡しとか、そういうこともできたらいいんじゃないかなと思いますけどね。

森:確かに工場さんって、ずっとBtoBだったから、消費者と非常に距離が遠いというのがあって、消費者が何を求めているのか、本当にその生地をつくっているのは、実際にエンドユーザーがいるわけで、そのことを把握できていないという業界の構造的な問題も結構今まであると思うんですよね。それがうちは結構インタラクティブに情報の交換を行って、それは工場と直販で、ファクトリーダイレクトでできているうちならではの強みみたいなところがあったりするので、本当に相乗効果でお互いパートナーとして成長していればという感じはありますよね。

峯村:そうですね。

森:わかりました。では、「Behind The Scenes:商品の魅力」第1回はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。

峯村:ありがとうございました。

佐々木:ありがとうございます。

インタビューの音声データはこちらから!(Podcastで公開中)

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