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「中高生ひとり一人の可能性を一人でも多く、最大限伸ばす」をミッションに掲げ、2010年の創業から次世代デジタル人材育成を手がけるEdTech企業、ライフイズテック。学習指導要領の必修科目に「情報」が加わり、学校教育におけるプログラミングの重要性は増すばかりです。日本のIT人材不足を根本から解決しうるサービスを提供するために、エンジニアにできることはなんでしょうか。執行役員 VPoEとしてライフイズテックが提供する全プロダクトの責任者を務める奥苑に話を聞きました。
Profile
奥苑 佑治(Yuji Okuzono)
執行役員 VPoE/サービス開発Div. 部長
1987年生まれ。福岡県出身。小学生から陸上長距離を始め、スポーツ推薦で高校へ進学した後、ITに興味を持ち専門学校へ進学。 卒業後、東京のベンチャー企業に入社。SI事業の立ち上げとして、インフラからアプリケーション開発まで幅広いスキルを身につける。その後、SIとEC事業を軸とした会社を起業し、0ベースでのビジネス立ち上げを経験。 2014年にバンク・オブ・イノベーションのCTOを勤めた後、2016年ライフイズテックへジョイン。アーキテクチャ設計、マネジメントを主体とした業務に従事。
人間の限界を超えるのがITの力
ー まず、奥苑さんがエンジニアを目指した経緯を教えてください。
福岡の田舎で育ち、幼い頃はITについては何も知りませんでした。ただ、中学のときにITブームがあり、堀江貴文さんや藤田晋さんをよくニュースで見かけるように。藤田さんの著書「渋谷ではたらく社長の告白」を読み、技術についてはよくわからないものの、「すごいな」と憧れを感じていました。
そんなとき、高校でITの専門家の講演を聞く機会がありました。そこで「時間を超えるのはITしかない」という言葉に衝撃を受けました。これまで人間が1時間かけてやっていたことを、わずか1分で実現するのがITの力。「これまでの常識や限界を超える力がITにはある」と感じ、ゼロからIT業界を目指すことを決め、高校卒業後に専門学校に進学しました。
ベンチャーブームということに加え、「高学歴ではない自分が、どうすれば能力を最大化できるか」と考えた結果、東京のベンチャー企業に就職。インフラ設計からアプリ開発まで、幅広くスキルを伸ばしました。藤田晋さんの影響もあり「社会人3年目には起業したい」と決め、実際に起業したのですが、当時はビジネススキームや経営についてあまり理解していなかったこともあり、しばらくして会社を畳むことになりました。
その後、バンク・オブ・イノベーションのCTOに就任したのですが、CTO同士の交流会でライフイズテックを知りました。社会課題として教育への興味はあったので、アドバイザーとして関わらせてもらうことに。当時はプロダクトがまだなく、サービスとしては中高生向けのIT・プログラミングキャンプだけだったのですが、そこに参加している子どもたちを見て、「なんていきいきしているんだろう」と思ったんです。感情をあれだけ揺さぶられる場所は、なかなかないんじゃないかと思いました。この体験をより多くの人に届けたいと思うと、オフラインの素晴らしさは理解しつつも、プロダクトの重要性を強く感じました。今ほど「情報教育が大事だ」という社会的な風潮はありませんでしたが、非常に価値があることだと確信しました。また私自身、2児の父ということもあり、エンジニアとして子どもたちに誇れる仕事がしたかったというのも大きな理由です。
学生だけでなく社会人にも価値を届けたい
ー 創業期のライフイズテックに入社されたあと、さまざまなプロダクトに関わられたのですね。
まず、現在ライフイズテックが展開しているのは以下のサービスです。
・中学校・高校向けプログラミング学習用EdTech教材クラウド教材「Life is Tech ! Lesson」
・国内最大規模のIT・プログラミングキャンプ&スクール「Life is Tech ! 」
・ディズニー・プログラミング学習教材「テクノロジア魔法学校」
・法人向けDX研修サービス「DXレディネス研修」
私が入社してまず取り組んだのは、ディズニーの世界を楽しみながらプログラミングやクリエイティビティをオンラインで学ぶことのできるプログラミング学習教材「テクノロジア魔法学校」の立ち上げでした。
また、当時のライフイズテックは中高生に直接プログラミングを教えてはいたものの、プロダクトを作る会社ではなかったので「エンジアリングとは何か」、つまりSaaSプロダクトを開発して展開するための考え方を社内に浸透させることも同時に始めました。体制を整えながらプレイヤーとして開発を進めつつ、経営へ粘り強く啓蒙を続けました。
キャンプなどオフラインでの体験の良さは、一人ずつの特徴や進捗に応じて丁寧な指導ができることです。しかしソフトウェア開発を同じ考え方で進めてしまうと、生産性が保てません。「多くの人に価値を届けられる」というソフトウェアの良さ、いわば新しい価値観を社内全体にインストールするために、経営陣と本気で話し合う日々が続きました。
ー 現在はライフイズテックが展開するすべてのプロダクトを管轄されています。
ライフイズテックでは現在、中学・高校向けプログラミング学習用EdTech教材クラウド教材「Life is Tech ! Lesson」の提供をはじめ、国内最大規模のIT・プログラミングキャンプ&スクール、社会人向けDX研修など幅広い年代に向けてサービスを提供しています。
その中でも現在は特に、中高生向け情報・プログラミング学習サービス「Life is Tech ! Lesson」に注力しています。2,650の公立・私立学校で約50万人の方が利用いただいており、業界に与えるインパクトと責任が非常に大きいプロダクトです。実際に業界関係者の方から「情報教育に影響を及ぼすレベルのシェアになっている」とおっしゃっていただいています。私も、このプロダクト次第で未来の日本社会が大きく左右されるという覚悟を持って進めています。
2025年の大学入学共通テストから、すべての国立大学で原則として新たに「情報」を加えることが決まりました。こうした試験を始め、学生たちがプログラミングを通じて課題解決能力を問われる場面はますます増えていくでしょう。そうなると、教育を受けた中高生が成長して大学、そして社会へ進んで行った先に、果たして適切な受け皿があるのか、という新たな課題が生まれます。私たちのような社会人に対しても情報教育を届けて、初めて社会全体の底上げができたと言えるのです。そのため、今後は学生に限らず多くの人に向けて情報教育プロダクトを届けてライフサイクルを回し、ずっとタッチポイントを持っていくことを目指しています。文部科学省や経済産業省、内閣府など国の機関とも連携し、日本のIT人材育成に貢献していきたいと本気で考えています。
教育から日本の未来を変えるプロダクトを
ー 最後に、どんなエンジニアと働きたいですか。
まずは自立している人ですね。ライフイズテックでは「自由」と「自主性」を大事にしており、エンジニアに限らず、時間も場所も自由に選んで働くことができます。その分、役割を果たすこと、成果を出すことが求められる。常に自分が何をすべきか考えて実行できる人が活躍できると思いますね。あとはリーダーシップです。自主的にユーザーのペインや組織の課題を見つけ、解決方法を考えて動ける人が合っていると思います。
開発組織は基本的にリモート勤務なので、オンラインでのやりとりがほとんどです。会社全体よりも少し平均年齢が高いチームなので、「熱気あふれる」という雰囲気ではありませんが(笑)、新しく入社する人の歓迎ランチをしたり、定期的に1on1を実施しています。
正直、スタートアップなので人事制度はまだまだ整っていないのが実状です。逆に言えば、社歴や年齢にとらわれずパフォーマンスを評価してほしいという人にとってはぴったりな環境だと思います。
あとは、「社会課題を根本的に解決したい」と本気で思える人がいいですね。私はライフイズテックのサービスを通じてIT人材を育成することで、長期的に日本のGDPを上げることができると信じています。自分が手がけるプロダクトの先に、社会変革がある。ありがたいことに、ライフイズテックはインパクトスタートアップとして認識され、今後はWeb3やブロックチェーンなど最新技術も積極的に取り入れていく予定です。ただ、そうした環境ゆえの刺激を求めるのではなく、「未来を変える」ことに心から価値を感じられる人ではないと、ユーザーの課題を根本的に解決できるプロダクトは作れないと思っています。「プロダクトを通じて、本気で社会を変えたい」という気持ちの方にお会いできることを楽しみにしています。