みなさん、こんにちは。
「これ、整理しておいてください」と一覧を渡されたとき、みなさんはどこから手をつけるでしょうか。たいていは、空いているところを上から埋めていくと思います。頼んだ人の意図をなぞって、言われた形のまま返す。早いし、間違いも起きにくい。私もそうすると思います。
先日、社内のチャンネルに流れてきた報告は、そうではありませんでした。
■ 頼まれたのは、整理でした
ある案件で、モノを発注するための一覧がありました。品目があって、数量があって、送り先がある。どこの会社にもある、あの表です。
それを整理しておいてほしい、という依頼が、今月から社員になったばかりのメンバーに渡りました。まだ案件の全体像を、いちばん知らない立場の人です。
数時間後、スレッドにこう返ってきました。
取り急ぎ発注リストのやつ全て整理できました!
ここまでは、依頼どおりです。続きが、依頼の外に出ていました。
■ 「検品の際絶対苦労するって分かるので」
渡された表は、ひとつのセルの中に複数の種類がまとまって入っている形でした。一行で読めるので、発注する側から見れば、むしろコンパクトです。
彼はそこに手を入れて、行をぜんぶ分けました。理由が、報告にそのまま書かれています。
検品の際絶対苦労するって分かるので、一つ一つちゃんと来てるよね、チェックできてるよねが分かるような設計に変えています。
検品というのは、届いた品物が注文どおりかを一つずつ確かめる作業のことです。段ボールを開けて、手を動かして、数える人がいる。その人は、まだこの表を見ていません。というより、この時点ではまだ存在していません。何週間か先に、この表を持って倉庫に立つ誰かです。
彼が直したのは、自分の作業ではありませんでした。まだ会っていない人の、まだ始まっていない作業です。
■ 直したことで増えた面倒も、自分で引き受ける
行を分ければ、当然ながら行数が増えます。増えれば、発注する側は見にくくなる。ひとつ直すと、別のところが不便になる、、、よくあることです。
報告には、その副作用への手当まで書いてありました。
行数おおくて見にくいなと思うので、行数でグループ化もしております。見にくいときはおりたたんで見てください
そして、どちらの見やすさを優先したのか、その判断の理由も一行で添えられていました。両方を立てられないところは、立てられないと認めたうえで、自分で決めて、決めた理由を残す。ここまでやって、ようやく「整理できました」になっています。
■ 分からないことは、分からないまま返す
報告の最後は、【不明点】という見出しで締められていました。挙がっていたのは二つです。
ひとつは、ある項目の中身が画像なのか、そもそも必要なのかが読み取れないこと。もうひとつは、こちらで数えた数が、想定と合っているかどうか。どちらも、埋めようと思えば埋められます。それらしい値を入れれば、表の見た目は完成します。
彼は、埋めませんでした。該当するセルにコメントを残し、確認に回して返しています。
埋まっている表は、間違っていても正しく見えます。だから、分からないところを分からないまま返せるかどうかは、けっこう大きな分かれ目だと思っています。空欄は目立ちますが、それは弱さではなく、次に見る人への申し送りです。
■ 渡す先から、逆算する
この報告を読んで、いいなと思ったのは、視線の向きでした。
渡された形を見て、そのとおりに返すのではなく、この表が次にどこへ行って、誰の手元でどう使われるのかを先に見に行っている。依頼した人の満足ではなく、その先の現場を基準にしている。入って日が浅い人が、いちばん先に「次の人」を見ていたことに、私たちのほうが少し背筋が伸びました。
リデルのミッションは「個人の影響力を、人々の未来のために。」です。人起点という言葉を、私たちはクライアントに向けて使うことが多いのですが、出どころは同じだと思っています。顧客の顔が見えている人は、たいてい、隣の席の人の手間も見えています。逆に、社内で見えていないものが、社外でだけ見えるということは、たぶん起きません。
定型の作業は、リデルでもどんどんAIへ寄せています。表を整える、体裁を揃える、抜けを拾う。そのあたりは任せたほうが速い。ただ、「この表を次に持つのは誰か」という問いだけは、いまのところ人が立てています。渡された仕事を、渡す先から考え直すこと。ここは、まだ私たちの仕事です。
■ こんな人と働きたい
・渡された形をいったん疑って、次に受け取る人の側から組み直せる人
・自分が直したせいで増えた面倒を、人に押しつけず自分で引き受けられる人
・分からないことを、分からないまま出せる人
入ったばかりでも、目の前の一覧を作り直していい会社です。「これ、このままだと次の人が困りますよ」と言える場所を探している方は、ぜひ一度お話ししましょう。
まずはカジュアルに、「話を聞きに行きたい」からどうぞ。