新しい環境で最初に受け取った仕事のこと、みなさんは覚えていますか。
最初の一件で、その後の動きやすさはだいたい決まると思っています。どこまで自分で決めていいのか。どこから相談すべきなのか。最初の依頼は、業務の説明であると同時に、その会社の「渡し方」そのものを伝えてしまいます。
先日、リデルの社内チャンネルで、新しく加わったメンバーへの依頼が流れていきました。SNSアカウントの月次レポートづくりを、もっと短い工程にできないか。そんな相談です。
■ 依頼文の一行目に、ゴールが置かれていた
冒頭に書かれていたのは、これでした。
「インサイトシートのデータから、考察を含むPowerPointレポートを直接生成できる仕組みを検討・実装していただく。」
インサイトシートというのは、投稿ごとの表示回数や保存数などがまとまった集計表のことです。いまはそのデータを別の表に整え、資料に転記し、そこへ考察を書き足していく。この「整えて、転記する」をまるごと省けないか、という話でした。
いまの工程が回っていないわけではありません。毎月きちんと積み上がっているものを、さらに短くしにいく話です。
ここまでなら、よくある業務改善の相談だと思います。私たちがいいなと思ったのは、この次でした。
■ 「作ってください」とは、書かれていなかった
依頼文には、検討してほしいことが五つ並んでいました。
・データから資料を直接つくる方法
・投稿画像とキャプションを、どこまで取得できるか
・考察を自動で書けるか
・アカウントごとの情報を、どう持っておくか
・データの管理方法と、全体の構成の設計
そして最後は、最短で実現できて今後も運用しやすい方法を提案してほしい、という一文で結ばれていました。
「これを作ってください」ではありません。「どうするのがいいか、調べて提案してください」です。仕様ではなく、考える範囲を渡している。
答えを先に渡さないほうが、相手の力は引き出せます。
五つ目には、こんな一行も添えられていました。「ローカル管理による属人化を避ける」。属人化というのは、担当していた人がいなくなると、中身が誰にも分からなくなってしまう状態のことです。目の前のレポートを速くするだけでなく、半年後に別の誰かが触れるかどうかまで、依頼の時点で書いてある。
渡す側が、渡したあとの景色まで見ています。
■ 返ってきたのは、結論と、順番でした
数日後、返信が届きます。
「現在の『Excelへの整形・転記』という手作業をなくし、インサイトシートから考察付きPowerPointを直接生成できる見込みです。」
できます、ではなく「見込みです」。難しそうな部分については、当面はこちらの方式を勧めます、と代案が添えられていました。そして最後に、進め方が二つのフェーズに分けて置かれていました。まず仕組みを組んで、ひとつのアカウントで実際に作ってみる。そのうえで他のアカウントへ広げ、考察の精度を上げていく。
依頼が「どこまでできるか調べて、提案して」だったから、返ってきたのも「ここまでできます、この順番でいきます」でした。
問いの形が、答えの形を決めています。
■ 仕事は、渡し方で半分決まっている
AIを使えば、たいていの作業は速くなります。リデルでも、レポートも資料も企画も、AIと一緒に組み立てるのが当たり前になりました。だからこそ残るのは、何を任せて何を任せないかを決める仕事と、それを人に渡す仕事です。
丸投げでもなく、細かすぎる指示書でもなく。ゴールを一行で示し、考えてほしいことを並べ、判断は本人に返す。この渡し方をされた人は、二回目からは自分で問いを立てられるようになります。
リデルのミッションは「個人の影響力を、人々の未来のために。」です。影響力は、肩書きでも社歴でもなく、任された範囲の広さから育っていくのだと思います。だから私たちは、入って間もない人にも、考える余地のある仕事を渡します。
■ こんな人と、働きたいです
・「作って」ではなく「どうするのがいいと思う?」と聞ける人
・できることとできないことを、正直に分けて報告できる人
・目の前の一件だけでなく、半年後に誰が触るかまで想像できる人
最初の一件で、その人の力が決まるわけではありません。決まるのは、渡し方のほうです。
リデルの渡し方が気になった方は、まずはカジュアルにお話ししませんか。「話を聞きに行きたい」から、お待ちしています。