天才たちを、一つ屋根の下に集めたら、令和のトキワ荘ができるのではないか!?
こうした期待から「現代版トキワ荘」と呼ばれる取り組みが生まれることがあります。
しかし、私たちLEGIKA(レジカ)は、長年マンガ家シェアハウスを運営してきて分かったことがあります。
それは、単に集まっただけでは何にもならないということです。
LEGIKAが取り組むマンガ家育成の取り組み「トキワ荘プロジェクト」は、現代版トキワ荘の一つとして取り上げられることが多いです。
マンガ分野以外でも、専門型の住まいのプロジェクトは散見されます。
そんな中、極めて重要でありながら、マスメディアの方もクリエイティブ業界の方も、ほとんど見過ごしている点があるのです。
それは、住まいを通じた能力形成においては、生活場面こそが一番大事であることです。
住まいは、猛トレーニングに明け暮れる訓練キャンプではなく、ありのままの姿でリラックスできる場として機能しなければなりません。
仮に戦場のキャンプのような「現代版トキワ荘」をつくったとしても、心身ともに疲弊して長続きはしないことでしょう。
リラックスできる生活場面で、どういう時間を過ごせるか……。
このことが、「現代版トキワ荘」として最も重要な要素なのです。
マンガ業界視点やビジネス視点が強すぎると、居住するマンガ家にインプットを与えたい、あるいは大量のアウトプットから鍛えたい……という思いが強く出過ぎてしまいます。
しかし、住まいは住まいです。
逃げ場がない環境での「詰め込み」は、必ず無理を生じさせます。
「現代版トキワ荘」を目指す運営者においては「住まいとは何か?」を徹底的に追求しなければならないのです。
私たちLEGIKAが確信していることがあります。
それは、暮らしの中で力を抜き、本当の自分でいられるときに、どういう学びを得られるか……という視点の大事さです。
本当の自分でいるときに、自分の弱さに気付くなどして人間性を磨き、自分にはない力を持つ他人をリスペクトできるようになり、そして自分の力を少しずつでも伸ばしていこうと思えてきます。
暮らしの中には逃げ道はありません。
自分の弱さと向き合いながら、何度も何度も気付かされ、痛感させられることが出てきます。
やがて毎日の思いが自分の行動指針として染みこんでいきます。
こうした暮らしの中での気付きが、長期間にわたってクリエイターとして走り続ける原動力となるのです。
表面的なインプット・アウトプットトレーニングよりも、何百倍も大事なことなのです。
トキワ荘プロジェクトの特徴を、Nano Banana Proに読ませたところ、非常にきれいにまとめてくれました(一か所誤字がありますが、内容に間違いはないですね)。
大事なのは「1.共に暮らす」の部分で、職業人としての基本的な価値観や、集団成長のための素地を築くことです。
トキワ荘プロジェクトでは、こうした生活場面での学びを促進するために、セルフマネジメントの手法をインプットしたり、学習志向の人間関係を築くためのコミュニティポリシーを学ぶようにしています。
また改めて紹介していきたいと思います。
「現代版トキワ荘」と呼ばれる取り組みを見かけたら、この1の部分が組み込まれているのか、運営者はどのような思想・哲学を持って取り組んでいるのか、ぜひ注目してみてください。
トキワ荘プロジェクトとは
サービスコンセプト:中長期的にプロのマンガクリエイターとして活躍することを目指し、共に暮らし、共に競い、共につくることをキャリアづくりのキーとしてマンガ人材開発に取り組む
人材開発方針:心理的安全性の高いコミュニティを通じて、集団全体で成長するチーミングを重視する
ハウス数:直営4棟、提携2棟(2025年10月31日現在)
総参加者数:712名(2025年11月05日現在)
URL:トキワ荘プロジェクト / 上池台トキワソウルーム