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【学習支援統括スタッフインタビュー】教育格差を解決するために「現場にしかない答え」を見つけたい

みなさん、こんにちは!

Learning for All 採用担当の長島です。

今回は、学習支援マネージャーを務める木村のインタビューを掲載します。

木村は2016年1月より学生教師としてLearning for All のプログラムに参加し、以降スタッフとして葛飾区・墨田区のプログラムに従事、2018年4月に入職しました。学生教師、スタッフを経てどのような考えで入職に至ったのか、今後目指すものは何か、ぜひご一読ください。


※こちらの記事は2018年6月に掲載したものを編集して再度公開しております。※

LFAに参加したきっかけを教えてください。

LFAに参加する前から家庭の経済的な理由によって教育機会が制限されてしまう日本の現状に対して問題意識を持っていました。それは、自分自身経済的に厳しい家だったことがあります。特に大学に入ってからひしひしと感じるようになりました。たとえば、友人たちは気軽に留学に行き、予備校に通ったりしている。一方私は、学費はもちろん生活費にいたるまで自分で稼がないといけない。ただ「大学に通う」ということのために、バイト漬けの日々を送っていました。友人たちは、そんな苦労が背景にあることすら知らず、「なんでお前勉強しないんだよ」と言ってきました。そういった経験から、私自身は「その人の見えない苦労に目を向けられる人でありたい」という思いを強め、将来的には経済的に恵まれない子どもへの教育機会を整えていきたいと考えていました。ところが、ある人にそれを話したところ「本当に当事者の子どもたちはそれを求めているのか?」と問いかけられたんです。そのとき、まさに私自身が、当事者の苦労を知ろうともせず、勝手に解決策を考えていることに気づきました。きちんと当事者である子どもたちの置かれた立場を知らなければいけない、と思いました。そこで以前から知り合いだったLFAのスタッフに相談し、LFAなら子どもにしっかりと向き合えると思いプログラムに参加することを決めました。

学生教師やスタッフを務める中で特に印象に残っている出来事を教えてください

たくさん印象に残っていることはありますが、その中でも印象的だったのは2年前のプログラムの学校連携拠点での出来事です。その学校は、ちょうど外部の窓口になっていた副校長先生が変わったばかりのタイミングで、「本当にこの団体に、自分の学校の子どもを任せていいのか」と疑心暗鬼な様子でした。学校の先生からしたら、よく知らない団体に、しかも勉強が苦手だったり、自信を失っている子どもをみてもらう、というのはとても不安なことだと思います。こういった成果が出ているんですよ、ということは伝えたものの、その先生の不安もすごくよくわかりました。

当時の私は、現場統括として、現場に直接関わるわけではないけれども、現場の責任者を務める学生スタッフのサポートをする立場でした。私はその立場からできることとして、その拠点の責任者である学生スタッフがいい現場をつくれるようにして、学校の先生も安心して任せられるような教室にしよう、と思いました。そのときの責任者だった学生は、責任者を務めることははじめてだったので、彼の苦手なことは何かを洗い出して、その部分に関して特に打ち合わせをしたり、相談を聞いたりするようにしました。彼自身も、いい現場を子どもたちに届けるんだ、という強い思いがあり、一緒に関わる学生ボランティアやメンバーにその思いを伝え、しっかりとチームを作っていました。

そうして迎えた指導初日。責任者である学生スタッフを始め、彼の作ったチームがしっかりと準備をしたおかげで、子どもたちは、ボランティアの学生と笑顔でおしゃべりしながら、集中して勉強に取り組めていました。学校の副校長先生も見に来てくださっていましたが、その姿に「あの子達があれだけ集中して勉強に取り組めるんですね」と驚いていました。それ以降、副校長先生は大変快く協力してくださるようになりました。

それだけでもすごく印象的だったのですが、そのプログラムが終わったあとの出来事も、今でも忘れられません。次のプログラムに向けて子どもを募集した際、参加したい子どもが前よりも多くなりました。現場のキャパもあってLFAの教室で受け入れられるのは定員が決まっていたので、数名は参加を見送るしかありませんでした。しかし、副校長先生が「意欲のある子達がいて、こうやってLFAさんがやってくださっているから、私たちでなんとかしたい」とおっしゃり、放課後の自習室を始めるようになり、その放課後自習室は、私たちがその学校に関わらなくなってからも継続されるものになりました。

こうして学生スタッフの頑張りを支えることで、直接現場に行ったりするわけではなくても、子どもたちが変容することができる。それだけでなく、子どもたちに関わる大人や学校までも変容するようになる。そういったことを実感した出来事でした。


LFAに入職した理由を教えてください。

LFAに入職した理由は大きく二つあります。一つ目は、社会を変えていく速さです。もともとは「教育制度から変えたい」という思いから文科省を志望し、大学院も公共政策大学院に進学していました。院生のときに、上でもお話したようなきっかけからLFAのボランティアに初めて参加しました。そのとき、そしてその後も長く関わることになった学校拠点での経験が印象的でした。そこの学校で行っていたLFAの学習支援の取組みは、もともと学校が独自でLFAと連携しておこなっていた事業でした。その事業の成果が認められ、三年目には区の事業として、その学校のある区内全ての中学校に同じ形態の学習支援を導入することが決まりました。ちょうど困窮者自立支援法が成立し、各自治体で自立支援のための政策を実施していく必要があったという追い風もあったのですが、私にとっては「いい現場を作り成果を出すことが、たった三年で一つの区を変えていくんだ」という経験でした。そこから、文科省にいくよりもLFAに関わっていた方が早く社会を変えていける、と私は考えるようになりました。

もう一つは、目の前の現場にこそ教育格差を解決するための答えがある、と思ったからです。ボランティアとして現場で活動して、困難に直面する多くの子どもに出会いました。その出会いの中で、子どもたちは「学習遅滞」にとどまらない、本当に様々な困難を抱えていることを知りました。そして、その困難の中で、「勉強したくてもできない」ではなく、勉強したいという思いすらもつことができていない状況なのだと知りました。自分が弟妹の面倒を見ないといけなかったり、父親のDVで引越ししてきたご家庭は、男性からの電話は出ないようにしていたり。一人一人がどんな困難を抱え、今この瞬間何を必要としているのか、に寄り添うことからしか、本当の解決は見えてこない、と思うようになりました。そうしてLFAに入職し、職員として働いています。

LFAで実現したいこと、木村さん自身の今後のビジョンについて聞かせてください。

上でも触れたように、教育格差を解決するための答えを見つけたい、と思っています。そしてもう一つ、そのような「社会課題を解決するコミュニティ」がどのようなものか、一つの形を作りたいという思いがあります。教育格差や子どもの貧困と呼ばれる問題は様々な課題が密接に絡んで起きている事象だと思うのですが、ひとつひとつの課題を確実に解決していけるような社会になっていって欲しいです。そのような社会には、どのような人たちがいて、どのような仕組みがあって、どのように行動しているのか。そういう一つのあり方を社会に提示することが、今最も必要なことではないか、と思います。


私は、今学習支援事業部という部署で現場統括をしています。実際に現場に携わる学生ボランティアを支える仕事です。まずは今のポジションで、このコミュニティから上記にあげた「社会課題を解決するコミュニティ」を作っていくのが直近のビジョンです。そこで達成したいことを、では組織規模ではどうなるか?地域規模では?と、より大きな形にしていきたいと考えています。LFAで子どもの課題を解決する答えを見つけながら、そのような答えを見つけられるコミュニティを作っていきたいです。

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