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ーゼミの先輩に「自分の軸とかヴィジョンとか、しっかり持たなきゃ」と言われたんです。
不安そうに話す学生に、僕はいつもこう言うようにしている。
「そんなの、今は持たなくていいよ」
新卒比率7割の会社
不動産・建築業で「中途より新卒が多い」会社はかなり珍しいと思う。
クジラ株式会社は、2012年に経営方針を転換し、2014年から本格的に新卒採用をスタート。同時に長期インターンの受け入れも始め、最も多い年には在籍インターンが30名を超えた。当時(2015〜2016年頃)は、関西で長期インターンを導入している会社が少なく、大阪府外からも多くの学生が集まってくれた。
そのまま入社して今も活躍しているスタッフも多く、結果として社員の約7割が新卒出身という、少し珍しい会社になった。
今と将来に自信が無い
「長期インターン=意識高い系」と思われがちだが、実際に応募してくれる学生たちの多くは、“このままでは不安” という気持ちを抱えていた。
『将来のヴィジョンが定まっていなくて…』
『自分の軸を持ちたいんです』
そんな学生に、僕は繰り返す。「そんなの持たなくていいよ」
20歳前後で自分の将来が見えている人なんて、ほとんどいない。僕自身もそうだった。
友達はいらない?
21歳の頃、忘れられない出来事があった。
当時不動産会社に勤めていた僕は、若くして独立した社長に憧れながらも、スタッフが次々と辞めていく現場に違和感を覚えていた。
ある日その社長に言われた。
「矢野な、覚えておけ。人生に友達はいらんねん」
その言葉にショックを受け、「やっぱり自分だけを信じられるような人じゃないと、若くして起業なんてできないのか」と落ち込んだ。
その夜、偶然にも憧れの先輩Aさんと食事をした。
「矢野ちゃん。人生に友達はいらんのよ」
まさか同じ言葉を聞くとは思わず、さらに落ち込もうとしたその瞬間、Aさんが続けた。
「でも、仲間は絶対いるよ」
その一言に、救われた。Aさんは、全国に仲間がいる人だった。
苦しい時に支えてくれたのは
19歳で不動産会社に就職し、20歳で結婚、21歳で父親になり、24歳でクジラを創業。翌年にはリーマンショック。
それなりに苦労してきた方だと思うが、苦しい時に支えてくれたのは、ヴィジョンや軸ではなく、人だった。
専門学校時代の友人Bと夜通し仕事の話をしたり、たまに会うAさんやその仲間たちとの会話に心を動かされたり。「いつまでも落ち込んでいられない」と奮い立たせてくれたのは、憧れの先輩、そして負けたくない仲間・戦友たちだった。
向き合ってくれる人との出会いを
20代で出会うべき先輩や仲間・戦友は、自分のプライドや弱さにまで踏み込んでくれる人がいい。
「人生は出会いの数だ」と言う人もいるけれど、僕は「向き合った数」だと思う。
若い人たちには、ぜひ自分の人生を支えてくれるような憧れの先輩、そしてケンカするほど本音で語り合える仲間・戦友と出会ってほしい。