はじめに
私が2017年1月に創業した株式会社キカガクはもうすぐで3期目を終えようとしています。
今回はキカガクの社長がどんなことを3年間考えたり経験してきたか知りたいという応募者や新入社員向けのメッセージでもあり、起業家ってどんな体験をしているの?と興味本位の方にこんな生態系だよと伝えるメッセージでもあります。
簡単な会社紹介
キカガクのことをご存じない方も多いと思うため、簡単に会社の紹介をしておくと、キカガクでは主に社会人向けにAI領域の数学やプログラミングを教えるといった事業を行っています。
主力事業はオフラインの研修であり、いまどきの教育というとWebサービスをイメージされる方も多いかと思いますが、全くそうではなく、大人向けの塾といった方がわかりやすいかも知れません。
写真:キカガクのセミナールーム
自己紹介:キカガクの吉崎
みなさんの周りには起業家の方はいらっしゃるでしょうか。
普通は大学を出て会社に入り、そこで成果を上げて昇進していき、定年まで勤め上げるということが普通である中、私はその普通とは異なる道を歩んでいます。
舞鶴高専を卒業し、京都大学大学院を出てから東証マザーズに上場しているITベンチャー企業(現在は東証一部上場)に就職しました。
ベンチャー企業という点は少しずれているかもしれませんが、京都大学の同期の1~2割くらいはIT系のベンチャー企業に就職していたので自分の中では割と普通の選択でした。
この会社では、研修期間中に色々とアピールできる機会を幸運にもいただけたことで、入社2ヶ月後の本配属は社長室となり、社長の夢を叶えるためのサービス開発を行っていました。素晴らしい環境でした。
その一方で、会社内の先輩から一緒に起業しないかと誘いを受け、入社7ヶ月と早くも退職して1社目を共同創業します。
その会社は方向性の違いもあり、設立1ヶ月後には辞めて、今度は1人で会社の設立をしました。
それが今の株式会社キカガクであり、2017年1月。当時25歳の冬でした。
高専出身というところからわかる通り、経営という領域には全く触れたことはなく、得意なことは数学とプログラミングのみといったところです。
税金についても何もしらない、株式とは何かわからない。
そもそもどうやってお金って受け渡しするの?というところからのスタートでした。
起業してから3年後の未来にあった景色
起業してから約3年。
この週明けから社員は20人になります。
いまは比較的順調であり、不安がないというと嘘になりますが、みんな同じ方向に向かって突き進めていると思います。 ただ、これは今でこその話であり、これまでの3年間は常に色々な葛藤を抱えながら会社を進めていました。 いまの会社のメンバーもこの過去を知らない人も増えてきた今だからこそ、これまでの葛藤やこれから考えていることを共有する場として、このブログを綴ります。
写真:社員旅行にて、みんなでサバゲーに挑戦(2019.11.13)
1年目:何もかもが「ない」苦しみ
事業がない
会社を創業してまずは事業を作らないといけません。
普通なら事業を思いついてから起業するものかも知れませんが、すぐに2社目を創業した私にとって会社を作った後に何をするかを考えるところから始まります。
1社目で立ち上げていたAI領域の教育事業をそのまま引き継げることになっていたため、ひとまずはこの事業を続けながら、次の方向性を探ろうと思っていました。
お金がない
なんといっても、お金はほとんどありません。
会社の資本金は50万円で、登記に25万円、Macbook Proに25万円と登記直後に資本金はなくなりました。
前の会社を創業したメンバーと一緒に家賃2万円という神奈川県のはるか彼方に移り住んでいたこともあり、食費を3万円以内に抑えて、光熱費を1万円、国民健康保険を1.5万円払い、電車賃1万円、1ヶ月の生活費を必要最低限に抑えて生き延びることから始まりました。
今になっては戻りたくないレベルの生活ですが、当時は意外と気楽なものでした。
怒る上司もいないし、好きなだけ本も読めるし、10万円くらいなら最悪バイトすれば稼げるため、生活が続かなくなる心配はない。
まだAIという領域の教育を行っている人はほとんどおらず、その一方でAIという言葉が流行り始める頃にこの事業を思い立っていたことが幸いして、当時はconnpassで3-5万円のイベントを集客していました。
connpassでこの金額感のイベントに集客できていたのは信じられないのですが、このあたりが早期参入者のメリットというところでしょうか。
もし集客にノウハウが必要であったり、お金が必要であれば、キカガクは教育事業を今は行っていなかったかも知れません。
給与が払えない
1月に創業してから3月まで集客は順調であり、なんとか生き延びていました。
肩書は代表取締役社長という立派な名前がついていますが、まだ自分への給料は1円も払えておらず、3ヶ月無休の無給です。
結局6ヶ月間は会社のお金が減るのが怖くて仕方なかったので、無給で働き続けました。
会社の役員は役員報酬を期の始まり3ヶ月以内に決めないといけません。
創業1期目はまだ会社の収益が超不安定な中で、自分の報酬を先に決めないといけないという難しい選択を迫られます。
税理士に相談し、6ヶ月まで延長する方法があるとのことで、ある程度売上の見通しの立つ6ヶ月目まで役員報酬を決めずに会社から貸付でギリギリの生活費だけ捻出していました。
うまく雇用できない
教育事業を続けていくうちにセミナーのサポートなど、どうしても人手が必要になってきたので、インターン生を募集することにしました。
社員を募集しようか悩んだのですが、やはりお金の不安が拭えなかったことがあり、セミナーなど収益が上がる場面だけ手伝ってもらうのであればどうにかインターン生へのバイト代が支払えるため、この選択となりました。
人を雇用した経験など当然ありません。
このときに知ったのですが、人を雇用するというのは大きなストレスと向き合うことだと知りました。
自分の給料も払えない状況で、給料を払うのは雇用した人優先で、手を貸してほしいのに手取り足取り教えないといけなく、なんでお金を払って教えないといけないのかと毎日このストレスによって、怒りっぽくなっている自分がいました。
そして、インターン生に厳しくあたり、ひとりまたひとりとインターン生が辞めていきます。
このときの教訓として今でも気をつけていることは、「猫の手も借りたい」ときに猫の手を借りてはいけないということです。
雇った人に能力がないのではなく、雇った人に仕事をお願いする能力が私になかったのです。
ただ、お金を払っているのは自分だという事実が私の目をくもらせて、他己責任にしてしまう自分がいました。
このときのインターン生には本当に大人げない対応で困らせてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです。
オフィスが借りられないし、キャッシュフローが回らない
オフィスも借りることができません。
毎回貸し会議室を借りるのもコスト的に割高になってきていたり、毎週同じ場所が取れずに、セミナーを開催するごとに場所を転々としていたため、オフィスを借りることを検討し始めました。
不動産屋に行き、希望の条件を伝えて探し始めましたが、驚くべきことに遭遇しました。
それは1期目の会社はオフィス探しをするとことごとく断られるということでした。
おそらく決算書がないという理由で、1期目不可と指定されている物件が意外と多いのです。
また、セミナーを行うため不特定多数の出入りがあるのですが、これも多くの物件でNGでした。
申請できたところでも信用がないという理由で断られ続けます。
また、法人で事務所を借りるときには敷金が8~12ヶ月分かかるという大きな問題があります。
そして、その敷金は資産であるため、手元からお金が消えますが、損金として扱うことができないというキャッシュフローの問題があります。
いまの説明にピンと来たでしょうか。これは大きな問題です。
例えば、今年の売上が順調で1000万円の利益が出ていたとしましょう。
法人税は約40%程度であるため、決算後に約400万円を納税する必要があります。
ただし、家賃100万円のオフィスの敷金10ヶ月分であったとき、手元にある利益の1000万円から敷金を支払うことができますが、もちろん手元のお金は0円になります。
ただし、敷金はオフィス解約後には返ってくる一時的に預けているお金であるため、支払ったというよりも預けたという表現が正しく、税務上は利益0円ではなく、利益1000万円のままなのです。
そうなると、手元にお金は1円もないけれど、決算後に400万円払わないといけません。
個人で始めた会社でそんなにたくさんの貯金があるわけもなく、法人向けの事務所を借りるために、膨大な敷金が手元から消え、常に会社の現金は底を尽きる直前です。
一度でもオフィスを借りるとこの莫大な敷金分だけ手元のキャッシュが減り、事業を進めにくくなる問題と戦っていかないといけません(今では融資を駆使してカバーする技術を身に着けました)。
もっと知りたいという方は、すごく前に発表した起業の苦労談をご参照ください(今となっては恥ずかしい)。
事業もお金も人望もオフィスもない。
正直1年目はなんでこんな辛い思いをしてまで会社を続けているんだろうと葛藤する日々でした。
それでもキカガクの教育が良かったと言ってくださる受講生の方に支えられ、その声だけが励みになり、もっと多くの人生を豊かにできるような体験を提供したいとその一心で歯を食いしばり続けました。
写真:池袋のオフィスがオープンした記念の会を受講生と一緒にお祝い (2017.5.14)
それでもがむしゃらに続けると見えてくるものもある
しかし、悪いことばかりでもありませんでした。
事業に必要なものこそ何もなかったのですが、思いつきで始めた教育事業に対する思いは自分が想像していた以上に強くなっていきました。
親が学校の先生であったことも影響していますが、塾でバイトをしていた経験などもあり、教えることにはある程度の興味を持っていましたが、本業にするとは考えてもみませんでした。
実際に教育事業を行う中で見えてきたこととして、大人向けの教育は思っている以上に充実していないことが見えてきます。
小中高大まではカリキュラムがある程度決められていることに対して、大人の学びは企業毎にニーズがことなる分、学ぶべき事柄も多種多様であり、教育事業者として参入することが難しいのです。
特化したカリキュラムを作ると受講する人数が減ってしまい、ビジネスとして成り立ちません。
そう考えると、入門編は受講生が多くいるためビジネス的には美味しく、上級編は受講生が限られているため、ビジネス的には美味しくないのです。
美味しくないとはいえ、取り組まないと各企業が成長することはありませんが、持続可能なレベルの教育企業でここをちゃんと取り組めているところはほとんどないと思います。
だからこそ、各企業がうまく教育を行うことができていないと嘆いている今の状況が生まれているのだと感じました。
なるほど。教育とビジネスはトレードオフがある。
最適な先生ってどんな人だろう
また、この頃から講師像に対して考えるようになりました。
人工知能の領域となると専門性も高く、教育を行っている人はこの道の研究者です。
私自身も京都大学時代には論文を書いたり、学会発表もしていたので、どのような人が集まっているか理解できていました。
ただし、本当にこの道の研究者が初学者を指導することが最適なのかと疑問を抱きます。
私の講義には大きな特徴があります。
「厳密さ」と「わかりやすさ」のどちらかを取らないといけないときには、「わかりやすさ」を必ず優先します。
専門家から見ればつっこみたくなる解説かも知れませんが、学びはじめの初学者にとってはそんなこと気にならないのです。
逆に厳密に話しすぎると、全体像をうまく掴むことができずに、挫折してしまうのです。
そう考えると、初学者にとって最適な先生とはこの道のプロフェッショナルではなく、自分と同じ目線で教えてくれる先生であることがわかってきました。
写真:1期目の終わりの吉崎(現社長)と今西(現副社長)
2年目:組織としての1年目
採用がはじまる
2期目が始まり、幸いにも年初から数人入社してくれることが決まりました。
インターン生のときの失敗もあったため、会社のお金に余裕ができてからと決めており、結局ほんの少しの採用ですら動き始められたのは2期目からでした。
ただ、この頃は初めての社員の採用ということもあり、どのような人を採用すると良いのかが全然わかっていませんでした。
初期の採用とは意思決定の連続であり、本当にその人で良いのか、給与はいくらにすべきか、どのようなポジションで入ってもらうか、ストックオプションはつけるのか、つけるとしたらどのくらいが適切かを考えないといけません。
もちろん答えは、全くわかりません。
相手に希望を聞いたり、他の会社ではどうしているのかを聞きに行き、それを参考に毎回決めていきました。
この時点で覚悟していたこととして、最初から完璧な意思決定ができるわけがないので、失敗しながら1年後にはある程度わかるようになっておこうと開き直っていました。
当然、この1年には多くの壮絶なドラマが待っていることは言うまでもありません。
この頃から講師候補の人を何人か採用し始めました。
そして、このときに採用していた人は全員もともとAIに関わっていなかった人です。
バックグラウンドが文系の人もいました。
最初はうまくいくかわからないため、不安で仕方がないですし、会社としても未経験の人を採用していますとはブランドの価値を落とす可能性があるため、隠している状態でした。
果たして、吉と出るか凶と出るか。
写真:今西からレクチャーを受ける新入社員
事業を停滞させるという選択
未経験者を採用するということは、事業を加速させるのではなく、しっかりと育てる必要があるため、事業を停滞させるということを意味しています。
ベンチャー企業とは成長することが当たり前で、みんな成長を目指して入社してきてくれます。
その一方で、この1年は事業としては成長させないことを決めました。
具体的には今まで以上に難易度の高いセミナーは作らず、今までと同レベルのセミナーのみを作っていくことにしました。
私自身が取り組めば、さらに難易度の高いセミナーを作ることはできましたが、それでは、ずっと私がしんどくなり続け、後続の講師も育ちません。
これでは短期的に成長できても長期的に伸びる戦略とは言えませんでした。
同じ時期に創業した会社は億単位の資金調達をどんどん発表している中、焦っていないというと嘘でした。
私も資金調達を発表したり、キラキラした報告をたくさんしたいという気持ちはありました。
でも、それではこの教育業界は変わりません。
お金を調達すればプロフェッショナルを雇うことができます。
しかし、その雇えるプロフェッショナルとは私が一期目に違和感を抱いていた「この道の研究者」であるはずです。
私の考える理想的な教育者ではありませんでした。
私が理想と考える等身大で教えてくれる教育者はもちろん人材市場にはいません。
私達自身の力で新しい教育者の形として生み出す以外に方法がありませんでした。
そして、生み出すためには必要なことはお金ではなく、粘り強く指導していく時間でした。
もちろん教育に時間を割くときに会社が潰れないための必要最低限のお金は必要でしたが、それは億単位の調達ほど必要ではありません。
長期的に教育業界を伸ばしていくためにも、この新しいスタイルの教育者を生み出していく。
そのためには、短期的な成長を犠牲にすることは仕方ない。
事業を停滞させるという勝負に出ました。
写真:新入社員の教育に多くの時間を割く(彼は元英語教師で、今では執行役員に昇進)
新規事業に挑戦するも失敗
未経験者の採用の横で、teach4me(ティーチフォーミー)という新規事業を立ち上げてみようと挑戦がはじまりました。
1年目の終わりに感じていた入門編しか取り組めない問題を解決できないかと思い、これはキカガクの力だけでは無理なので、ユーザーを巻き込んだサービスでいこうと決めました。
サービスの内容としては、Zoomというオンラインミーティングツールを使い、1対1で技術を教えるだけです。
ただし、教わった人が次の人に教えるという知識のバトンパスを渡すというルールです。
最初の教える人はキカガクのメンバーが行いますが、それ以降はユーザー同士で教えあってくれるため、どんどん学べる人が増えていきます。
そして、キカガクは上級編などのコンテンツ作成に力を入れていけば、多くの人に入門編だけでなく上級編の内容まで広げられるのではと考えていました。
また、教え合いによって理解度も深まりますし、教えることによってお金が手に入るので、次に教わることに対するお金もほとんど必要なく、継続的な学びの障害となっているお金の問題も解決してくれるサービスでした。
写真:teach4me
このサービスを加速させていくためにスキルセット採用でメンバーを集めていきました。
サービスを作っていくためにはサービス開発経験者を採用するのが手っ取り早いと思ったからです。
ただ、思ったよりも新サービスのユーザーが集まらない問題や資金的にそこまで余裕がない問題があり、チームメンバーのモチベーションも低下。
私自身も毎月赤字を垂れ流しながらなんで続けないといけないのだろうと思うようになっていました。
図:見やすいように平滑化を行った売上と利益
図にあるように、これまでは営業利益が出るように事業を調整してきていましたが、2018年の後半から大きく赤字に転換していることがわかります。
新規事業に関わっていた人の退職者が続出
新規事業をクローズしたことにより、関わっていた人たちを次にどのような仕事をしてもらうかアサインに困り始めます。
先述した売上と利益の図を見て分かる通り、実は新規事業中に赤字が大きくなるのではなく、サービスは閉じてからが勝負なのです。
クローズ後から赤字が止まりませんでした。
理由は新規事業が動いているときは多少なりとも売上が上がっているのですが、クローズをすると売上は0になり、関わっていた人たちの人件費がかかり続けるためです。
資金調達を行っている会社は赤字で成長を加速させるのが普通であるため、赤字に対するダメージは小さいのですが、弊社のようなほとんど資金調達を行っていないケースだと利益を出して、その利益を使って次のために投資をしていくため、「利益が出ない=会社の成長が止まる」といっても過言ではありません。
毎月の業績発表にメンバーのモチベーションは下がり続けます。
この頃から3期目にかけて新規事業に関わっていた人が続々と退職していきました。
この頃のメンバーで今も残ってくれている人は14人→8人となりました。
新規事業の失敗に、採用した人は退職していき、2年目は失敗だらけの1年。
前進しているのか後退しているのか。
なぜここまで辛い思いをしてまで会社を続けないといけないのか、わからなくなってきていました。
3年目:蕾が花咲きはじめる
新講師陣の爆発的な成長
2年目の終わり頃から会社とは少し距離を取り、今後の方向性をひとりで考えるようになっていると、その裏側で爆発する音が聞こえてきました。
2年目に事業を停滞させると決めてずっと育ててきていた新講師陣が凄まじい勢いで成長していたのです。
それぞれのバックグラウンドについては以下のインタビュー記事がわかりやすいのですが、全員が全くの未経験者であることがわかると思います。
それでも受講生にわかりやすく伝えたいという一心で毎日遅くまで勉強して、教える練習を何度も行ってすごい成長をしていました。
思っていたことが確信に変わった瞬間でした。
紹介している彼らの受講生満足度は恐ろしいほど高いものでした。
ここまで来ると、私と同じレベルで取り組める企画にアサインができるようになります。
キカガクの成長が始まった瞬間でした。
案件が次々に成功しはじめる
今年の4月から始まった新しいチャレンジとして、愛知県豊田市で実施する製造業特化型データサイエンス集中コースがありました。
ここには上記の祖父江くんが1人で愛知県に常駐し、教材の開発から講師まで半年間ひとりで走りきってくれました。
上記の紹介にある通り、その1年前まで市役所で働いていたため、それまでは、プログラミングの経験もなければ、製造業の知見もあるわけでもありませんでしたが、講義期間中にも積極的に製造現場に出向いて現場の知見を聞きだして講義資料に即時反映させるといった努力を繰り返し続けてくれました。
いまでは、メンバーの中で画像処理では誰も追いつけないレベルまで習熟しています。
ちょうど先週の金曜日にこのコースも終わり、彼の説明に対するアンケートを取ると、以下のような結果でした。
大満足な人が圧倒的に多く、キカガクの目指していた講師像が正しいということが証明された瞬間でした。
この案件以外にも、ディープラーニング協会のE資格対応や、毎回満席の長期コース、リテールAIとの協業など多くの案件を成長している講師がそれぞれ成功に導いてくれています。
私自身も案件に取り組める時間が増え、東京大学で非常勤講師に就任したり、Preferred Networks社が提供しているChainerチュートリアルへの執筆協力や、メルカリ社の経営層向けにレクチャーを行うといった日本を代表する大きな舞台に挑戦する機会もいただきました。
採用ポリシーが決まった組織の強さ
事業を停滞させて1年以上の時間がかかりましたが、未経験者での採用が成功したことにより、どのような人を採用していくとキカガクが今後成長していくことができるのかがわかり、採用ポリシーを決めることができました。
今後はスキルセットによる採用は一切行わず、パーソナリティによる採用のみを行うと決めました。
もちろん言葉でいうだけであれば難しいことはありませんが、この決断の肝は、パーソナリティ採用でも育てることができる環境を準備できるかにあり、この環境を1年以上事業を停滞させて作り上げてきました。
おそらく、この方法を他の企業で取り入れることは難しく、これがキカガクの差別化要因になることは間違いないと思います。
他の企業は「知識が豊富でわかりやすい講師」を採用しようとしてもそのような人材は市場にいないため、講師不足という問題に遭遇してしまいます。
その反面、キカガクでは「教育に熱意があり、成長したい人」であれば採用し、しっかりと育成することで、「知識が豊富でわかりやすい講師」を内部で生み出すことができるため、スケールするときの人材の問題の大半を解決することができています。
これからの方針
これからはわかりやすく伝えるセミナー事業を伸ばすだけでなく、もっと多くの人が勉強できる場を作るべく、知識を体系化して、それを公開していくプラットフォームを作成していきます。
そして、教科書に乗っている内容を整理するだけでは企業の技術向上には不十分であるため、業界特化型のコースも増やしていく事業開発支援も積極的に行っていきます。
入門編から上級編まで社会にとって本当に必要な知識を還元していきたい。
そして、人や企業の成長を加速させたい。
この教育こそが次の世代に残すべき教育であるはずと信じています。
会社紹介について詳しくはこちらの資料をご参照ください。
終わりに
これまでの3年間を振り返った記事でしたが、書き始めてみるとやはり失敗ばかりだったなぁと。
それでも苦しい中でも付いてきてくれた仲間を信じて走ってきて良かったと今では思っています。
もちろん辛いときもあります。
そのときに、ビジョンが明確にあれば、それは達成のための努力だとポジティブに考えることができるはずです。
キカガクでは、このブログではまだまだ書ききれないほど、厳しい時期をたくさん乗り越えてきました。
その分だけ仲間の結束力が固く、教育をより良くしていきたいという気持ちが強い人達が集まってくれています。
今回の記事で胸が熱くなった人、キカガクで一緒に働きましょう!
少しでもタメになったという方は、記事をシェアしていただけると、とても嬉しいです。
長文を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
追記(2020.2.18)
キカガクの考えるこれからの『教育』について綴りました。
仲間を募集しています。