毎回社内ゲストを招いて「EC×キャリア×未来」を語る企画。今回は、取締役の鳶本さんに「ミッションドリブン・マネジメント」について伺いました。
鳶本真章さん/株式会社いつも 取締役
2006年日産自動車入社。その後、大手外資系コンサルティングファーム、および事業会社で経営企画・組織開発に携わる。2018年にトリドールホールディングスに入社し、2019年より同社執行役員CHRO兼経営戦略本部長として経営戦略および組織人事戦略をリード。2022年より当社入社。趣味はゴルフ、読書、買い物。
鳶本さんのいつも.に対するイメージ
――鳶本さんは、いつも.にどんなイメージを持たれていましたか?
ジョインして最初に思ったのは、思っていた以上に「いい人」が多い印象でしたね。いい人っていうのは、人柄もそうだし能力もそう。
どうやって効率的に回して、お客様の利益を上げに行くか。組織は大きくなる程どんどんシステム化していって、それをどう回していくかが求められてきます。EC業界では効率的に人に買ってもらうために、より仕組み化が求められますよね。そうすると、いつも.流にお客様の売上を上げていく型があって、これを回していく組織なのかなと思っていたんですよね。
でも実際は、やっていること自体は型化しているけど、そこで働く人はとても柔軟性が高いなと思いました。だからポテンシャルの高い会社だなと思いましたね。
組織は「人」の集合体です。
画一的だと遊びがきかないから、右って言ったら右しか向けない。もし、そこに右斜め45度の目標を設定したら、直戦的な速さはあったとしても柔軟に方向転換の対応ができない。その点、いつも.は柔軟性を持った人が多いから、その都度その都度で最適な判断ができていますね。ここまでやっていることを変えながら成長できている会社って、あまりないと思ってて。これは経営者の経営センスもあるかもしれないし、上手く行くか行かないかっていうのは結果論だと思うけど、チャレンジできているということは、新しい挑戦をしやすい組織なのかなと思っていました。
事業としては型化しているけど、組織としてはいい意味でも人に依存をしているから、人に対する仕組みと社員みんなの柔軟性の要素を組み合わせていけば、もっと伸びるんじゃないかなって今思っているところです。
――人の仕組みというのは例えば…?
組織は人で構成されています。だから、どういう人を会社として大事にしていくのか、どうなってもらいたいのか、何を目指していくのか、働き方はどうするか、どういう会社でありたいか、を作っていくことが僕の仕事です。
「どういう会社になりたいか」というのは、「どういう人で構成するか」ということなので、どういう風に人を評価していかなければいけないか、どういう人を採用していかなければいけないか、全てが一貫していくわけですね。
求心力と遠心力で考えると分かりやすいと思うんだけど、企業を外に伸ばしていく力を遠心力、企業の中を作っていく力を求心力って考えた時に、企業はやっぱり会社を成長させていかなきゃいけないから、基本的にはみんな外を向いてるんだよね。もちろん、これは当たり前のことなんだけど、中を振り返らなかったら、気付いたら全員バラバラな方向に向いていたっていうことが起こる。この「振り返る」タイミングは今来てるのかなっていうのは思うよね。
あなたは仕事しますか、作業しますか?
いつも.のミッションは「日本の未来をECでつくる」。そのために僕らは、どうなっていかなきゃいけないのかを社員全員で考えなければいけません。僕は何も考えずに採用することほど、人に対して失礼なことはないと思っています。人を採用するということは、人の人生を預かるわけだから。会社としてその人にどうなってもらいたいか、合う合わないはあるけど、どういう想いを持ってる人に来てもらいたいか、どういう機会を提供していきたいかを考えた上で、採用することの方が絶対大事だと思う。
――確かに、採用ってなぜか会社がその人を「我が社に相応しいか試してやる」みたいな感覚はありますよね。
だって、虚しくない?自分がやってることと会社の方向性に掛け離れを感じた瞬間に「俺、何やってんだろ」みたいな。0にはできないかもしれないけど、なくしていきたいよね。
僕はこれを目的意識があるかないかだと思っています。例えばexcelで数字をまとめるっていう業務。じゃあ、僕がカワサキさんに「新卒の今年のこういう数字をまとめてほしい」ってお願いした時に、これを「作業」で捉えてババーって並べますよね。でも、これが目的を理解して考えたら?
上司はこう言ってるけど、こっちの方が見やすいんじゃないか?実はこの情報っていらないんじゃないか?っていう風になっていけば、これは1個の改善や改革が生まれているから、これを「仕事」と言うと思っています。
事業の強みは真似できるんです。でも、人というのは究極の差別化になると思っていて、社員がイキイキしている環境をどれだけ作れるかが大事で、イケてる会社は人もイケてると思っています。
――人が集まるとミスコミュニケーションって絶対起きるじゃないですか。鳶本さんはどのように対策していますか?
しゃあないと思ってるよ。ミスコミュニケーションが起こらないってありえないって思ってます。
1個の物を見てもその人がどういう経験をしてきたかとか、どういう価値観を大事にしてるかによって感想は違う。じゃあ、どれだけこちらが伝えても、相手の背景とかその時の状況によってどう伝わるかは、絶対変わるから。僕は、ミスコミュニケーションは絶対に起こるっていう前提で考えています。
ただ、そのミスを少なくしていくために目的(ミッション)を伝えるということをしています。ミスは起こるけど、少なくともその前提の解釈を一緒にしておけば、そこだけはズレないように会話を調整できますよね。だって子供なんて絶対伝わらないよ、犬や猫もね。
悪意のあるミスって、そんなにないと思ってて、意外によかれと思って行動していることの方がほとんど。ここがズレていただけで、どこに向かってるのか、何のために今この作業をやっているのか。これを「バックトゥーオブジェクト」と呼んでいます。目的に戻るとか、その起点に戻るって意味ね。困った時やズレた時に「俺らそもそもどこまで合意してたっけ」「どこまで意識合わせていたっけ」と、戻るポイントを作っていくのが重要です。何度も言うけど、前提はずれるし、僕とあなたは違います。でも、それがええやん、みたいな。
鳶本さんが考えるミッションとは、自分の人生に責任を持つこと
――鳶本さんは、面接でどういうところを見ていますか?
まず、受けに来てくれてありがとうございます、ですね。だってさ、貴重な時間の中からさ、たくさんある求人の中から選んでさ。だから、基本的には面接は落とすとかっていう判断をしようとしているんじゃないです。
「どういう時が楽しいですか」とか、「今、真剣に何か楽しんでる?夢中になってることある?」とか、人とどういうことをしている時が一番楽しいのかを知りたいんですよ。全部違う質問しているようで、「この人は何を大切しているのか」というところを聞いているんですよね。なぜなら、うちがその人に対して機会をちゃんと提供できるのか、その人のために良いものを提供できるのかを確認したいから。
どれだけ優秀でも、うちの会社のフェーズ上、それが提供できなかったら、めっちゃ申し訳ないじゃん。普通に謝る。ちょっと今のフェイズとズレるから、後でもう1回合流できない?みたいな。
そもそも、1時間なんかで人を絶対見極められないよ。僕らも面接者から見られているし。お互いに目的が合うか合わないかの確認の場所と考えてもらえるといいですね。
――社内はどうですか?どう社員と接していますか?
「順調?」ってよく聞く(笑)
月に1回30分喋るより、1日3分会話している方が分かることは沢山あります。今大丈夫って言ってるけど、絶対これスタックしてるじゃん、とかね。
――著書に書かれていた「ミッションドリブン」は仕事以外にも全てに通ずると思うですが、鳶本さんはどうやって辿り着いたんでしょうか?
自分の人生は自分でしか責任は持てないですよね。
例えば、僕が転職するかしないかとか、職種を選ぶっていうタイミングで、周りの人は色々言ってくれます。でも、その人が僕の人生の責任は取ってくれないわけだから、自分がどうなりたいかを決めることは、唯一、自分だけなんじゃないかなと思います。少なくとも自分がこう生きていきたいっていうことを明確にしなかったら、いつかブレるよね。辛くなるよね。
少なくとも僕が自分に対して責任を持てることというのは、「自分はこう思ってる」とか「そのためには自分がどうしていきたいのか」ということ。それがミッションというか、自分はこうやって生きていくっていう軸を決めるということ。で、あとは自分でしっかりと歩むだけ。
重要なことは、目の前にあることに誰よりも真剣に取り組むこと。自分で決めるからこそね。
すごく言葉が悪いけど、自己満足の世界でしかないです。周りにどう思われても、仕方がない。自己満のためには、目の前にあることに常にこう真剣に向き合って、向き合った結果、次にどうするかって判断を自分でしていくこと。
軸はどうやって見つける?
――イツモアを読んでいる方は就職や転職に悩まれている方が多いと思います。そんな人たちに「これだけは大切にしとけ」というものはありますか?
同じことになっちゃうけど、自分の軸を持った方がいいってことかな。自分の人生は自分でしか責任持てないから、軸を決めたらもうそこに向かって目の前にあることに必死になりましょ。
――軸ってどうやって見つけるんでしょう?
何をやっている時が楽しいかを考える。
例えば、ゲーム。じゃあ、なんでゲーム好きになったのかとか、それはどういう経験があったのかとか。昔もしかしたら友達とゲームで対戦した時に、体育では勝てなかったけど、その友達から「お前すごいな」って言われた経験があるかもしれない。そうすると、実はその人の軸ってゲームではなくて、「人から認められたい」かもしれないし。
マリオをプレイしていて、ステージ1しか行けなかったのがステージ2に行けた時に、この達成感を「人と共有していく」のが好きなのかもしれないし、「自分自身で突き詰める」のが好きなのかもしれないね。
根本は変わってないのよ。年齢を重ねて経験したから、捉え方が変わってるだけで。
ヒントね。悩んでいる自分と楽しんでいる自分っていうのは、同一人物だから絶対これらには共通点がありますよ。
キャリアプランのご相談も是非お問い合わせください
今回は、取締役の鳶本真章さんにお話を伺いました。
「ミッションドリブン・マネジメント」という著書をきっかけにお話を伺いましたが、コミュニケーションの取り方についてやミッションの見つけ方については誰もが参考になる内容だったのではないでしょうか。フェーズが変わっている段階のいつも.をこれからどのように変革させていくのか、今後が楽しみです!
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。