ナマステ、いつもご覧いただきありがとうございます。
我々iTipsは、インド バンガロールに職業訓練校「oyakata skill training centre」を開校し、日本やインドの建設および製造現場で活躍する人材の育成、就職支援を行っています。人材育成にあたっては、各生徒の将来の夢やキャリアプラン、そして、企業が求める人材像やスキルなどの市場ニーズをヒアリングし、早期戦力として活躍できるよう指導カリキュラムの向上に努めております。
今回は、私たちの活動における「指導カリキュラムの向上」と「カリキュラムの製品化の実現」をゴールとして、約三か月間のインターンに取り組んだ大学院生・藤田さんに、活動の内容やご自身が感じた成果についてお話を伺いました。
インターンシップに参加する学生には、与えられたミッションの下、自ら定めた目標に対し、主体的に考え周りを巻き込む“Initiative(自走する力)”と、様々なメンバーとの対話を通じてゴールまでやり抜く“Tenacity(粘り強さ)”を身に付けていただいています。
私小西が、これまでインタビューさせていただいたインターンの皆さんは、自ら目標を定め、iTips社員・訓練生・企業担当者など様々なメンバーと積極的に関わることで目標を実現してきました。
iTipsでは今回のインタビューの主役、藤田さんのように責任感をもち、初めての経験にも立ち向かい、困難に対してもポジティブに“Passion(楽しむこと)”をもって(←これが大事!)取り組むことができるメンバーを募集しています。この記事がみなさんの気持ちを動かすきっかけになればと思います。
それではインタビュースタートです!
目次
過去の経験から見えた課題と新たなインターンへのチャレンジ
企業ヒアリングから価格設定まで、藤田さんが作り上げたカリキュラム
現地訓練校における藤田さんの活躍
訓練生のギャップに直面、藤田さんの苦労とは?
藤田さんが考える「特別教育」の価値とは?
藤田さんからのメッセージ:iTipsで挑戦する人へ
過去の経験から見えた課題と新たなインターンへのチャレンジ
小西:まずはどのような経緯・動機でiTipsのインターンに応募されたのかお聞かせください。
藤田:数年前、大学の「Be a global entrepreneur!」プログラムの一環として、日本の大手ゼネコンの海外インターンシップに参加し、インド・グジャラート州の建設現場で施工管理業務に携わりました。その中で、インドにおける職人さんの技術不足・作業者への育成不足を肌で感じ、「インド現場でのソフトスキルの向上に働きかけることができないか?」「ここにビジネスチャンスはないだろうか?」と考えるようになりました。
そうした折に、iTips のインターン募集を見つけたことが、応募のきっかけとなりました。
小西:インターンを通じて、具体的に見えた課題に対して解決の糸口を新たにご自身で見出したのですね。大学でのアントレプレナー授業での学びと、ゼロイチのチャレンジを続ける我々iTipsの挑戦はリンクしているように感じます。
さて、iTipsにおける藤田さんのミッションはどのようなものでしたか?
藤田:日本の建設現場で働く際に必要とされる「労働安全衛生法に基づいた資格」取得を目標にした、カリキュラムの作成と授業の実施になります。
この資格を取得するためには、法令上「日本での実技」と「学科」の習得が要件になります。iTipsの訓練校はインドにありますので「日本での実技習得」は実現することはできません。従って、日本の現場で働く際に早期に生かせるスキルの習得を目指しました。
一方で「学科の取得」については、日本で取得する必要はありません。
このような法令の内容については、私がiTipsのインターンをスタートし渡印する前に調査しました。
小西:資格取得は法律上難しいという結果から、実践力強化と学科取得に的を絞ったわけですね。
藤田:はい、軌道修正しましたが目指すところは、訓練生が日本の建設現場で早期戦力となるようスキルを身につけること。資格取得はできませんが、自信をもって現場に送り出せるよう授業を組み立てカリキュラムを作成しました。
企業ヒアリングから価格設定まで、藤田さんが作り上げたカリキュラム
小西:それではその授業とカリキュラムとはどのような内容でしょうか?
藤田:この授業で習得できるスキルは、建設現場で必須とされる「玉掛け」「アーク溶接」「フルハーネス型墜落制止用器具」「足場組立」になります。この4つのスキルを資格取得レベルまで引き上げることを目的とした「特別教育4点セットコース」を教育メニューとして形にしました。
小西:建設現場においては、これら4つの作業以外にも様々な業務がありそれに応じて必要な資格も多岐にわたると思いますが、なぜこの4つに絞ったのでしょうか?
藤田:渡印するまでの一か月間半、日本の企業に、現場ではどのようなスキルが必要かをヒアリングさせていただき、その結果、この4点に需要があることが分かりました。企業の方々と直接お話しし、現場に即したニーズを把握できたことは非常に貴重な経験になりました。
小西:この「特別教育4点セットコースのご案内」資料には、導入時の金額も記載されていますが、プライシングはどのように決めたのですか?
藤田:まずは日本の競合他社の値段を調査、次にiTips側のコストを算出したうえで適切な値段を算出しました。先ほどお伝えした通り、インドでは資格の取得はできないため、学科取得のみを扱う事業者との値段の比較も行いました。
小西:競合調査や利益率の算出まで行ったのですね。学生の立場でここまで踏み込んだ業務を経験できるのは、なかなかないことだと思います。藤田さんにとっても大きな自信になったのではないでしょうか。
現地訓練校における藤田さんの活躍
小西:それでは「特別教育4点セット」のスキル習得にむけて、訓練校ではどのようにカリキュラムを進めていきましたか?
藤田:「特別教育」実施の意義を「実践力強化」と「学科取得」とお話しましたが、「実践力の強化」つまり実技面においては、小刀根さんが担当され、私は主に「学科取得」を担当しました。
小西:お、何度かこのwantedlyのストーリーで登場いただいている板金職人の小刀根さんですね。日本の職人さんから直接指導を受けることは訓練生にとっては大変貴重な経験になりますね。
藤田:実際小刀根さんから直接指導受けた訓練生のスキルはやはり高いです。訓練校では、小刀根さんに指導を受けた訓練生が先輩として後輩を教えるという好循環も生まれています。
小西:インドの訓練校の中で日本の技術の継承が生まれているのですね!
藤田:小刀根さんが専門とする溶接技術の習得は非常に難しいのですが、企業からのニーズが高い分野なんです。「溶接の経験が少しでもあると助かる」という声を多くいただいていたため、授業でも「溶接」を優先的に取り入れるようにしました。
小西:企業の声を取り入れ、よりニーズにマッチしたサービスの提供を目指していたのですね。現場の意見をしっかり受け入れながら、事業を磨き上げ、iTipsにとって価値あるサービスを柔軟に作り上げたところに、藤田さんの誠実さと強みを感じます。
続いて、藤田さんが担当された「学科取得」の内容について教えてください。
藤田:まずはEラーニングをベースに、確認テスト、解説を繰り返し訓練生の知識の向上を図りました。授業やテストを実施しながらカリキュラムを調整し、生徒がつまずきやすいポイントを丁寧に補強するよう工夫しました。
私が直接指導した訓練生は合計6名。みんな確認テストは高得点、学科においてはばっちりの仕上がり。そして企業からのリクエストが多い「溶接」についても訓練校で経験を積んでいるので自信を持って現場に送り出せます。
小西:藤田さんを始めとするiTipsに関わるメンバーの思いと期待を背負った訓練生たちは、この期待と身につけた技術を武器に、日本でしっかり活躍してくれることでしょう!
訓練生のギャップに直面、藤田さんの苦労とは?
小西:藤田さんは明確な目標を持ち、その目標にたどり着くための道筋を自然に描きながら、今回のミッションに楽しんで取り組まれていた印象です。多少の困難があっても軌道修正しながら着実にゴールに向かって進められたように感じました。
もちろん、現場では苦労もあったかと思います。そのあたりについて教えていただけますか?
藤田:そうですね。訓練生は日本語のスキルが高く、授業中の反応も良かったので、内容もかなり理解しているんじゃないかと思っていました。たとえば、授業中私の解説に対し、「うんうん」と日本人的なリアクションが返ってきたので、「お、結構わかってるな〜」と感じていました。
小西:「うんうん」のときに首を縦に振るあたり、訓練生の皆さんは日本人の仕草も身についていますね。
藤田:しかし実際にテストをしてみると、理解度は決して高くない。
丁寧なコミュニケーションの大切さを痛感しました。訓練生はみんな素直で「期待に応えたい」という気持ちの表れで、つい「うんうん」という表現を返したのかもしれません。なお、理解度が低かった部分は、そのままカリキュラムのブラッシュアップにもつなげました。
小西:それは大事なポイントですね。特に日本で「労働安全衛生法に基づいた資格」を取得する際、Eラーニングの受講だけで完了しますが、真の理解につながっているとは限らないと思います。特に言語も慣習も違う外国で働く場合、双方向の丁寧な教育が不可欠だと感じます。
建設現場は一歩まちがえると重大な事故につながる現場です。“わかった風”は最も危険だと私も建設現場での事故のニュースを見て改めて感じました。
藤田さんが考える「特別教育」の価値とは?
小西:ここまで「特別教育」の立ち上げから訓練校での事業の進行についてお伺いしました。つづいて、「特別教育」についてどのようにプロモーションしていくのが適切だとおもいますか??
藤田:正直、インドでは「資格」という証明が取れないことは内定先企業に活用いただくという点でややマイナスポイントであるとは理解しています。ただ、そのマイナスポイントを超プラスにかえるほどの価値がこのサービスにはあると感じています。
まずは「溶接技術の習得」です。実際に建設現場で働きはじめると、溶接技術の習得に時間を費やすことは難しいです。我々のiTips訓練校では20時間以上の割いて溶接技能を習得します。
次に学科についてですが、日本では学科の取得はEラーニングの受講だけで完了する場合が多く、授業があっても通訳を介することが多いようです。その点iTipsの授業は対面で訓練生の日本語の習得度に合わせて丁寧に説明します。
iTipsのサービスには確かな付加価値があると自信を持っています。
写真は授業開始の挨拶の様子。規律を重んじる日本式授業はiTipsが育成を通じて大切にしたい価値のひとつです。
藤田さんからのメッセージ:iTipsで挑戦する人へ
小西:藤田さんのインド現地でのインターンの任務はいったんこちらで一区切りですが、藤田さんが形にしたこのカリキュラムは訓練校で引き続き遂行され、藤田さんの想いは訓練生一人ひとりの心の中にもしっかりと根付いていると思います。
人を動かすのは、人の想い。その想いが素直で真摯であればあるほど、周りの心を揺さぶり、行動を生むと感じています。藤田さんの熱意や誠実さは、iTipsに関わる人々に良い影響を与え、前に進む力になるはずです。
私も今回のインタビューを通じて、藤田さんの行動力・楽しむ力・困難に対して真摯に向き合う誠実さのようなものを感じました。
最後に、iTipsインターンの先輩として今後どのような人にインターンシップにチャレンジしてもらいたいですか?
藤田:まずはインドでの生活、想定外の出来事に対して楽しめるひと。いい意味であまり気にしすぎず、柔軟に対応できることが大切だと思います。そして、自分で課題を見つけ、チャレンジできるひと。iTipsには、そんな熱意を受け止めて、大きな裁量やチャンスを与えてくれる環境があります。
思い切って飛び込んでみてください。きっと、今までとは違う景色が見えてくると思います。
バンガロール滞在中の iTips メンバーとの写真からは、インドでの生活がとても濃密な時間だったことが伝わってきます。藤田さんは「インドに住みたい」と話されていました。「インドは、行きたいと望む者を必然のように招き寄せ、気づけば何度も戻りたくなる。」そんな国だと思います。この記事を読んで心が動いたみなさん。
ぜひ、その思いをきっかけに挑戦してみてください!!