― 全員が元エンジニアだからできる、寄り添い方
SES業界では珍しい「マッチング部門」。営業でもエンジニア本人でもない“中立”の立場で、一人ひとりのキャリアに向き合う専門チームです。メンバー6名は全員が元エンジニア。「エンジニアがちゃんと幸せになれるか」を軸に、日々どんな向き合い方をしているのか。部門長の渡部高広さんに聞きました。
エンジニアと会社の“あいだ”に立つ
―― まず、渡部さんのご経歴から教えてください。
渡部:2017年にアイエスエフネットへエンジニアとして入社しました。その後、社内でエンジニアの労務管理をするようなポジションを1年ちょっと経験して、2年ほど前に今のマッチング部門へ。現在は部門長を務めています。
―― そもそも「マッチング部門」は、なぜ生まれたのでしょうか。
渡部:SESの会社では、営業が案件を取ってきて、お客様の要望に合うエンジニアをアサインする、という流れが多いと思います。ただ、営業はどうしても「決めたい」「売上を上げたい」という思いが強い。一方でエンジニアは「キャリアを叶えたい」。ここが噛み合わないことがあるんです。
私たちの部門は、いわば中立の立場です。会社として利益も上げなければいけないし、かといってエンジニアが希望を叶えられなければ辞めてしまう。どちらかに偏ると、会社としてサステナブルじゃないんですよね。決定率を優先して変化や成長の手応えのない案件に決めていくとエンジニアは辞めていくし、希望ばかりを通すと今度は現場で潰れてしまう人が増えてしまう。そのバランスを取るために、キャリアダウンにならないか、この案件にアサインする理由は何か、といったところを案件ごとに精査しています。
元エンジニアだからこそ築ける、エンジニアとの深い信頼関係
―― メンバーはどんな方が揃っているんですか。
渡部:今6名いるのですが、実は全員が元エンジニアです。もちろん、どこまで深くやっていたかは人によりますが、かなり深いところまで経験してきたメンバーもいます。というのも、スキルシートや職務経歴書に書かれている内容だけでは、本人が本当にできることと少しズレていたりするんですよ。逆に「こんなこと書いても」と本人が思っていたことが、実はお客様に刺さる強みだったりもする。そこをヒアリングで引き出していくには、やはり知識がないと深掘りができないんです。
―― 技術がわかるからこそ、引き出せるものがある。
渡部:そうですね。テクニカルなスキルだけでなく、人柄のようなポータブルスキルも、なかなかスキルシートには書き起こせません。「こういうお話をされていました」と共有できるのは、話を深く聞けているからこそだと思います。
ヒアリングをメインで担当しているメンバーは、エンジニア歴が長く、現場でリーダーやチームマネージャーを経験してきた社員で、アイスブレイクから丁寧に入って、「エンジニアあるある」みたいな話から、“こんなこと聞いちゃっていいのかな”という壁を取り払うのがすごく上手いんです。「相談して本当に良かったです」と言ってもらえたり、現場に出ると疎遠になりがちなのに、その後も色々と連絡をくれる関係性ができたり。押し付けるのではなく、相手の話をちゃんと聞く。そのバランス感覚を持ったメンバーが揃っています。
「やりたい」の“奥”を、一緒に掘る
―― エンジニアとしての経験がまだ浅いと、選べる案件も限られますよね。そういう方にはどう向き合うんですか。
渡部:最近多いのは「AWSをやりたい」「構築をやりたい」という声です。でも聞いていくと、“待遇が高そう”“流行りそう”“安定しそう”といった、なんとなくの動機の方も多いんです。そういうときは、「運用に行くことは、本当にプラスにならないんですかね?」と問い返します。下積みの大切さもありますし、いきなり構築に行っても、運用がわかっていない人が作ったものって、ちょっと危ないよね、という話もある。実際、希望どおり構築に入って“思っていたのと違う”と潰れてしまった方もいました。必ずしも本人が思うところに行くのが正解とは限らないんです。
―― とはいえ、頭ごなしに否定はしない。
渡部:はい。本気で努力されていて、それに基づく経験もある方なら、私たちも真剣に「そこに行くにはどうするか」を一緒に考えます。一方で、なんとなくで言っているなという方には「なぜそう思ったんですか?」と深掘りする。イメージがつかない方には、逆に「どういうことはやりたくないですか」「何が苦手ですか」から入っていく。そして「この現場でこう活躍したら、“◯◯さんがいてくれて助かる”と言ってもらえますよ」と、働くイメージを持ってもらう。すると「ちょっとやってみようと思います」と言ってくださる方も多いんです。今すぐやりたいことができなくても、それが“やりたいことに近づいている”と見えれば、進んでいる実感になる。その見せ方も大事だと思っています。
―― 中間を取るだけでなく、長い目で逆算してあげているんですね。
渡部:本当に「そのエンジニアがちゃんと幸せになれるか」を考えているんです。それは自分たちが元エンジニアだからです。アサインされて“思っていたのと違う”と挫折してしまう辛さもわかる。たくさんのエンジニアを見てきたので、「このタイプの方はおそらく厳しいだろうな」というのも、ある程度わかるんですよ。何の努力もせずに入って“お客様が育ててくれるだろう”という方は、やはりうまくいかないことが多いです。だからこそ、「こうした方が幸せじゃないですか」という話もします。
スキルダウンを防ぎ、キャリアを“追いかける”
―― 営業部門とは、どう連携しているんですか。
渡部:営業部門は、一番連携している部門です。「なんでダメなんだ」と言われることも正直あります。営業は数字の責任を持っていますから。ただ、私たちの部門はルールをかなりかっちり決めていて、それも営業のトップや関連部署と合意を取りながら作っているんです。たとえば契約金額のルール。一定期間案件に入っていたエンジニアが戻ってきたら契約金額を上げる。そうやってスキルダウンにならない仕組みにしています。案件がバッティングしたときの扱いも細かく決めています。曖昧だと揉めることもあるので(笑)、あえて細かくしているんです。
―― それでも判断が難しいときはどうしているんですか。
渡部:どうしてもこの人じゃないと、という戦略的に落とせない案件で他のエンジニアがいない、というケースもあります。そういうときは、まずエンジニアに正直に説明して、合意が得られたら「会社のために協力してもらえませんか」とお願いすることもあります。ただ、明らかなキャリアダウンを売上優先でポンと通すことは絶対にしません。基本は“エンジニアの合意が取れているか”なんです。同じ現場に行くとしても、「ここでこう頑張ればいい」と自分のミッションを持って入るのか、やらされて無理やり行くのかで、モチベーションも満足度も全然変わってくる。だから、アサインされた案件への満足度アンケートも取っています。
―― 教育部門との連携もあるとか。
渡部:私たちのマッチング部門部門と教育部門は、同じ「エンジニア開発本部」という本部にあります。本部のミッションはエンジニアのスキルアップと単価アップです。実は研修のアサインも私たちがやっているんですよ。たとえば「クラウドをやりたい」という方にサーバーの研修をアサインすると、「なんで?」と言われることがある。でも、クラウドはオンプレかクラウドかの違いで、サーバーやネットワークの知識は土台として必要ですよ、とお伝えすると、割と納得いただけるんです。
―― 最近は「エンジニアのカルテ」も始めたそうですね。
渡部:以前は、行きたい案件にレベルが足りず一旦ほかの案件に行くと、戻ってきたときにリセットされてしまう感じがあって、そこがネックでした。今は、1年後・3年後に何をやりたいかを書いてもらって、会社として追いかけていく仕組みを作っています。SESだと1年半〜2年で現場が変わることが多いので、次の現場でそこに近づくには今何をやるべきか、を面談で擦り合わせていきます。目標を持ってもらって、それが妥当かもチェックして、“階段を5段飛ばし”していないか、取ろうとしている資格は妥当か、この経験年数ならお客様はどこまで期待するか。そういう話も含めて、一緒に整理していきます。
ヘルプデスクからでも、キャリアは伸ばせる
―― 「同じ仕事の繰り返し=スキルダウン」とも限らないんですね。
渡部:そうなんです。たとえばヘルプデスクからヘルプデスクへの異動でも、その中に運用や情シスの要素があったり、一部構築が含まれていたり、成長できる要素があるかを見ます。ポジションも、リーダーやマネージャー、トレーナーといった役割があるかどうか。ヘルプデスクは単価が安いイメージを持たれがちですが、“突き抜けた”ヘルプデスク――立ち上げまでできるような方だと、構築をやっている人より単価が高いこともあります。英語が必要だったり、外資系だったりすると、さらに上乗せされることもあります。「ヘルプデスクだから稼げない」わけではないんです。意外と知らない方も多いので、そういう話もエンジニアに伝えています。
―― 実際に、良いキャリアを歩んだ方の例はありますか。
渡部:本当にいろいろなパターンがあります。他の拠点(ブランチ)で「1から育てるからこっちに来てほしい」という案件があって、そこに移って一気に単価が上がり、優しく育ててもらえる環境でぐっと成長した方。同じような仕事を続けながらマネジメントを覚えて、リーダー・マネージャーになっていった方。あとは、社内の内勤部署のほうが合いそうだと感じて、管理職を探していた部署に繋いで、社内異動になり今も活躍している方もいます。実は私自身も内勤にコンバートした一人で、「あれがなかったら辞めていたかもしれない」という方もいるんです。
―― SESだと「この案件がダメなら次の案件」となりがちですが、選択肢が広いと。
渡部:東京在住でも「地元が大阪」「北海道に戻りたい」という方もいますし、ご両親の介護といった事情もあります。地方の拠点にも行けますし、内勤に移ることもできるので、「辞めなきゃいけない」ではなく、いろいろな選択肢があるというのは、アイエスエフネットの強みだと思っています。
求職者の方へ ―「まず、何でも相談してください」
―― 最後に、会社選びをされている方へメッセージをお願いします。
渡部:いろいろお伝えしてきましたが、それでも辞めてしまう方はいます。その現実もちゃんと見ています。なぜ辞めてしまうのかを考えると、多くは情報不足やすれ違い――今日お話ししたようなことが伝わっていない、というのが大きいんです。マッチング部門も教育部門も、みんなエンジニア出身なので、気持ちが分かる人が多くて、できないことは「ごめんなさい」と言いますが、できることや分からないことは丁寧に説明します。
もう一つ、アイエスエフネットは“いい人が多い”です。それは何でも言うことを聞いてくれるという意味ではなくて、その人のことを考えて、何に困っているかをちゃんと聞いた上で話してくれる人が多い、ということです。「希望のキャリアを叶えます」と言い切るより、「まず何でも相談してください。とにかく聞きます。その中で最適なものを一緒に考えましょう」。それが、私たちがお伝えしたいことです。
今回の記事を読んで、当社についてもう少し知りたいと思っていただけた方へ。