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【安藤聡取締役インタビュー】監査等委員として内部統制を強化しグループを守り抜く

インヴァスト株式会社で監査を担当する安藤聡取締役にお話を伺いました。監査等委員会が担っている役割やインヴァストグループを守るという観点から、重要なポイントについて語っていただいています。

主要な業務は取締役の職務監査と内部統制のチェック

-安藤取締役の業務内容と役割についてお話いただけますか。

常勤監査等委員として取締役を務めており、監査等委員会の委員長としてインヴァスト株式会社の監査等委員会を運営しています。

監査等委員会は会社法上の機関で、会社法によって役割が定められています。取締役の職務の執行を監査し監査報告を作成する、監査法人など会計監査人を評価・選任する、それから取締役の選任議案等に対して意見を述べる、といった役割を担う委員会です。

3つの役割のうち、取締役の職務執行の監査においては内部統制がきちんと機能しているかどうかをチェックすることが重要なポイントとなります。

内部統制とは、例えば取締役が職務の執行に関して法令や定款を遵守する、損失を出すリスクを管理する、情報をきちんと管理するなどの体制を整え実行していくことです。株主総会に提出する招集通知にはこれらの事項についての記載がありますから、問題がないかどうかを多様な点から判断するんです。

取締役の職務執行が法令に違反していないかをチェックするときは、取締役会、経営会議、リスク管理委員会やコンプライアンス委員会に出席して、取締役の職務が法令や定款に反していないかを確認します。

また稟議書などを見て、社内の意思決定としてまずい点はないかなどを調査します。さらに、取締役の職務の執行とは取締役が直接執行しているものだけではなく、職員に対して行った指示に基づいて行われた、スタッフによる職務の執行も含むんです。

そのため、会社が行っている職務の執行が法令や定款に違反していないか、適切な情報管理ができているか、リスクを管理できているかなど社内の動きを全て調べる必要があります。

そして、株主総会の招集通知に書かれている内容に対し「大丈夫です」という監査報告を最後に提出するのが監査等委員会の重要な役割となります。

監査等委員会は私と社外取締役2名の合計3名から構成されており、私以外の監査等委員は社外取締役です。常勤監査等委員である私は、社内で起きていることについて報告書にまとめて監査等委員会で社外取締役の先生方に報告し、監査等委員がそれぞれ業務執行取締役に対し意見を具申していくのです。

お客様のリスクを可能な限り排除し、信頼していただくために

-安藤取締役はインヴァスト証券株式会社などグループ企業でも同様の業務を行っているのでしょうか。

はい、インヴァスト証券株式会社とインヴァストキャピタルマネジメント株式会社(以下ICM)でも監査役を務めております。

-3社をご担当されていると、かなりお忙しいのではないですか?

忙しさは時期によって異なっており期末から株主総会までは非常に忙しいのですが、それ以外の時期はそれほどでもありません。

ただ、やらなくてはならないことはけっこうあるんです。インヴァスト株式会社で株主総会に提出する監査報告を作るための準備をはじめ、子会社にあたるインヴァスト証券株式会社とICMでは株主としての親会社であるインヴァスト株式会社に対し提出する書類が大量にあります。

それらの書類がしっかりと作成されているかどうかをチェックリストを用いて精査しなければなりません。また、ICMには会計監査人がおりませんので、会計監査までする必要があります。

そのため、毎月取引の全仕訳やBS/PLを全てチェックしており、貸金業法に基づいた業務監査も担当するなどICMのタスクも実は少なくないんです。ただ、3社の中ではインヴァスト証券株式会社の業務が最も多く、全体の6割位を占めています。

というのも、お金を預かる事業であり個人のお客様も多数いらっしゃるため、お客様に対してご迷惑をおかけしないよう、最も慎重に取り組む必要があるからです。

インヴァスト証券株式会社ではお客様が当社の開示している資料を見た上で取引するかどうかを決めます。金融商品取引法には適合性の原則があり、お客様ひとりひとりに対し適切に商品をオファーしているか、お客様それぞれが無理しないように取引できているか、お客様自体が当社の開示書類を見て内容を理解しているかなどの条件を満たす必要があります。

お客様に安心してお取引頂くための材料を用意し、当社の商品について信頼していただかなければならないということです。お客様にとってのリスクを可能な限り排除する必要があるので、インヴァスト証券株式会社の業務ウェイトが最も大きくなっているんです。


「ブリキのパンツを履いている」と呼ばれたことも

-安藤取締役のご経歴についてお話いただけますでしょうか。

もともと地元が神戸であり、学卒で兵庫相互銀行に入行し最初は個人営業を担当していました。それから、現在のインヴァスト証券株式会社の前身にあたる丸起証券に出向になったんです。

その後、証券アナリストの資格を取得して東京へ異動となり、IPOにおける引受審査業務に携わるようになりました。計13社の上場主幹事を務めましたが、私は引受審査部長など審査の責任者を任されました。当時の経験は現在でも非常に役立っています。

というのも、IPOの引受審査は会社が上場企業として適正であるか否かを判断する業務なのですが、とてもむずかしい立場なんです。

上場する企業のオーナーは自社の株式が価値を生み出すようになるため大きな資産を手に入れますよね。一方、証券会社は引受業務によって手数料が入ってくる。

つまり「上場したい」「上場させたい」という環境の中で厳格に審査する姿勢が要求されるわけです。

そこで私は、審査業務の公正性を保つために、企業のオーナーや証券会社の営業サイドの立ち位置には絶対に立たないよう心がけていました。株主やマーケット、それに取引所の立場ではどうなのか?という目線で判断しなければブレてしまいますから。

そのため、現社長の川路など私の業務を理解している皆さんからは、守りが非常に堅いという意味で「ブリキのパンツを履いているのではないか」と呼ばれたこともあったくらいです(笑)。当時の経験を、今は株主やお客様の目線からの判断に変えて業務に取り組んでいます。

-業務におけるスタンスの重要性ですね。ほかに、引受業務での経験が役立っている部分はありますか?

そうですね、引受審査では会計、法律、内部統制や内部監査についても勉強する必要がありますので、それらに関する知識はもちろん役立っています。

それから、もうひとつ大きいのが「日本語」ですね。有価証券届出書は日本全国、どこで誰が読むかわかりません。

従って、誰が読んでも同じように受け止めてもらえる文章にする必要があるんです。投資家が会社側の意図と異なる解釈をし、それが重大な虚偽記載となってしまうと、処罰や訴訟の対象になってしまいますから。

そこで、ひとつひとつが同一の意味として受け止められる文章を作るために、日本語について徹底的に勉強したんです。

日本語を勉強した経験は現在でも非常に役立っています。というのも、私は社内規程をチェックする役割も担っているからです。

社内規程は内部統制に大きな影響を与えますから。法令を守るようにできているか、読めば誰でもわかるようになっているか、規程を守れば会社のリスクはなくなるか、といった点からチェックしています。

ですから、規程の改定案などの日本語が曖昧だと「なんだこれは」と感じてしまうんです。専門的な用語への説明が不足しているのはまだマシな方で、文章自体が日本語として適切ではないケースも少なくありません。

主語と述語が対になっていない、接続詞を使いまわして何を意味しているのかわからなくなっているなど。日本語の重要性をもっと理解してもらいたいと考えています。

規程をしっかりと作り、役職員が法令を遵守できる環境を整えれば、役職員を守ることができますし、結果的に会社を守ることができます。その意味で、私の役割は「グループ全体を守る」という点にあるんです。

ただ、きちんとした規程を作るためとはいえ、細かく指摘しているので社内では本当にうるさがられているでしょうね(笑)。


インヴァストの魅力はフラットな組織と自由な勤務スタイル

-求職者の方に対してインヴァスト株式会社の魅力はどのような点にあると感じますか?

皆さんおっしゃるでしょうけれども、フラットな組織であるという点と、勤務形態が自由であるという点が魅力だと考えています。

組織がフラットなのは社長をはじめとする役員の人柄も大きいと思います。実は、うちの役員が激昂しているシーンを一度も見たことがないんですよ(笑)。本当に平穏な会社ですので、従業員の皆さんにとっては、自由で非常に働きやすい環境と言えるのではないでしょうか。

勤務形態が自由な点としてはまずフレックスタイム制度があります。小さなお子さんがいらっしゃる方が保育園への送り迎えに使えるなど、働き方をフレキシブルに設計できるのは魅力的ですよね。

またリモートワークも導入しており、自宅で終日仕事をしたり、家である程度の業務をこなしてからゆっくり出社するスタッフもいます。仕事をする場所も時間も選べるというのは、本当に幸せな環境だと思っています。

ただし、対面で仕事することによって初めて身につくというスキルもありますので、使い分けはしっかりした方がいい、とも感じています。

-リモートワークのお話が出ましたが、安藤取締役はリモートワークを活用されているんでしょうか。

はい、リモートワークを使っており、出社するのは週に1回か2回程度です。毎週の経営会議や取締役会および準備のために出社することがあります。でも、月曜から金曜まで毎日出社することはなくなりました(笑)。

-ご自宅で過ごす時間が増えたと思うのですが、生活上の変化は何かありますでしょうか?

寝る時間が増えたという変化はあるかもしれません。というのも、証券会社独特の慣習が身についており私は早い時間に出社していたので、朝の7時過ぎくらいには会社に着いていたんです。

そのためには5時に起きる必要があったのですけれど、リモートワークだと早く起きる必要がないので、その分寝る時間が増える(笑)。

あとは、自宅から歩いてすぐのところにある郵便局や区役所などを平日の昼間に訪れて各種の手続きができてしまうのは便利でありがたいと感じています。あ、一度だけ平日の午後6時ころからゴルフの練習に行ったことがあります(笑)。

-インヴァスト株式会社に入社して欲しい人材の要件はどのようにお考えですか?

まじめに仕事をすること、そして自分で自分を律することが出来ることが大切だと思っています。

当社は少数精鋭で人が少ないですから、いろんな業務を任されるんですね。上司の指示も細かいわけではないため裁量の範囲が非常に広い。自分で自分を律することができなければ、与えられているテーマをやり遂げられないんです。

あとは、社風を好きになってくれる方でしょうか。会社の社風が合わないというのはお互いにとって不幸ですからね。

(取材日:2022年8月5日 聞き手:垣本陸)

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