インヴァスト株式会社で事業推進部ヴァイスプレジデントとして新規事業開発を担当している鎌田奈緒氏に、新規事業開発の業務とやりがいについて話を伺いました。
新サービスを企画・開発するために行っている業務の進め方や、未経験からの参加で戸惑った点と自信につながった点などインヴァストの新規事業開発体制について語って頂いています。
インヴァスト証券の顧客対応部門からワークショップきっかけに新規事業開発へ
-プロフィールをご紹介頂けますか。
現在30代半ばなのですが、ずっと金融業界で働いています。最初は証券会社の対面営業で、お客様の個人宅に伺って金融商品を紹介する仕事を3年位担当した後に最初の転職をしました。別の証券会社で運営企画部門に配属され、お客様に接するスタッフの教育研修を担当したんです。
前職の会社は300席体制の大きなコールセンターを持っており、正社員や派遣社員がたくさん働いていました。彼らの教育や現場で顧客対応のSVを担当しながら、研修カリキュラムを構築するところまでが私の業務でした。
その後、8年前にインヴァスト証券株式会社に入社し、カスタマーサポート部門で顧客対応の担当になったんです。お客様からのメールや電話問い合わせへの対応をメインに、Webサイトのページやブログのコンテンツを作成したり、お客様へのお知らせを発信する業務でした。
私が所属していたのはサービスの使い方を含めお客様へのフロント業務を統括するセクションで、社内に対してはお客様から問い合わせの多い事項についてフィードバックし、サービス向上に活かす役割を担っていました。インヴァスト株式会社には2021年10月に移籍して現在に至っています。
-インヴァスト証券からインヴァストへの転籍は業務指示でしたか?それともご自身で希望されたのでしょうか。
インヴァスト証券で新規事業開発に関するワークショップが開催されたんです。その時、新規事業についてのアイデアを提出したのがきっかけで、私の案に近い事業開発ができるから来ないか?と誘われてインヴァストへ移りました。
会社が変わったと言っても、インヴァストとインヴァスト証券は同じビルにありますので、階数が変わったくらいで大きな環境の変化がなかったため、転職したという意識はあまりないんです(笑)。
情報収集やリサーチ繰り返し有識者の意見も取り入れて新サービスの企画を検討中
-現在はどのような業務に携わっていらっしゃるのでしょうか。
新規事業開発部門で新しいサービスについて考える業務を担当しています。Bibroというお金と投資を無理なく学習できるアプリの検証バージョンを3月にリリースしており、しばらくは関連業務に集中していました。
Bibro公式サイト
https://bibro.info/
その後、Bibroが第2段階の開発フェーズに入りましたので、さらに進化したプロダクトにできるようアプリ内部の仕組みについてアイディエーションや要件定義などを行っています。また、現時点では詳しくお話することはできないのですが、鶴見さんが取材記事で述べていたような、「ひとりひとりにお金のコーチを」をテーマにしたサービスについての検討にも入っているところです。
鶴見豪常務取締役インタビュー
https://www.wantedly.com/companies/invinc/post_articles/396598
このサービスはまだお見せしたりリリースできる段階ではなく、どのような価値を提供できるか、ターゲットをどう設定すべきかなどについて調査や検討を続けている状態です。
他社がどのようなサービスを提供しているのかリサーチしたり、関連するカンファレンスに参加したり、関係者の方に直接お話を聞かせて頂いたりなど周辺情報の収集にかなり時間を費やしています。
また、米国やイギリスでは主流になっているけれども日本ではまだあまり浸透していないノウハウについて取り入れたいと考えて文献を読んで研究したり。欧米ではこの領域に関する分野がかなり進んでいますし、資産運用や投資に対するマインドが日本とは異なる面もあるんです。
こうして、リサーチが必要な場合には調査して反映させた上で、新サービスとして自分なりに落とし込んだアウトプットを提出するんですね。すると、皆さんから様々なフィードバックが寄せられますので、持ち帰って検討しフィードバックを反映した新しいアイデアを再度見ていただいて、という作業を繰り返している段階です。
-お話を伺っていると、面白そうでやりがいを感じてらっしゃるように感じます。
そうですね、やりがいを感じる仕事です。事業開発の進め方も多様だと思いますので、頑張っていきたいと思っています。
開発前からBibroのプロジェクト全プロセスに関与できたのが自信に
-現在の仕事で成長ややりがいを感じる点はどこでしょうか?
まだ成果が出ていないので成長につながっているかどうかはわかりませんが、新規事業開発という全く未経験だった業務を担当しているので、やること全てが自分にとってプラスになっているという感覚は持っています。
新規事業を作っていくためのフローも知らなかった段階からフレームワークを学び、サービスを創り上げていく方法を身に着けたり。そんな中で3月にBibroをリリースできたのが私の中では自分のステップとして大きかったな、と感じています。
実はBibroの名前がまだなかった頃、当社に転籍する前からプロジェクトに参加していたんです。コンセプトを付箋でホワイトボードにペタペタ貼っていた段階からフローができて実際の開発に進んで、リリースに至るまでの新規事業開発における全プロセスに関与できたのが自信につながりました。
-Bibro開発の中ではどんな役割を担当していましたか?
ビジネス回り全般です。Bibroで利用するコンテンツを用意したり紹介する書籍の権利関係を整備したり、アプリとして必要な利用規約などの作り込みも担当しました。
画面デザインや管理画面の機能についても開発チームに要望して実現するなど、Bibroに関しては手広くいろいろやらせて頂くことができたんです。
-Bibroの新規事業開発に参加した際に苦労する点はありましたか?
はい、これはある程度どうしようもない外的な要因の部分なんですが、Bibroのリリースにあたり出版関係の会社さんや著者の方から書籍を紹介する許可を取ることは想定していた以上に苦労しました。権利関係に複雑な面があったんです。
それ以外の面では、色々失敗して怒られるのを覚悟して転籍したんですけれども、皆さんのサポートが手厚すぎて失敗を失敗と思わせないような環境で仕事をさせて頂いたので苦労や失敗としては自覚していないんです(笑)。
ですから書籍の紹介許可を取るなど実務的な面で苦労した点はありましたが、社内で業務を進める上で困ったことは特にないままここまで来ることができています。
ただ、これは苦労にはあたらないですが、リズムを掴むまでは少し時間がかかってしまったかもしれません。以前に担当していたカスタマーサポートの組織をマネジメントする業務では、仕事がルーティン化されていたり、ある程度自分自身の業務が見えていたんです。まずは目の前に仕事がある状況というか。
基本の顧客対応はもちろん、チームのメンバーもいたのでひとりひとりと話をして彼らの業務の進捗確認から進めていくなど日々のやるべき業務が明確でしたが、インヴァストに転籍した当初、新規事業開発チームには鶴見さんがいて、そこに私がジョインした形だったんです。
そうして完全にひとりで仕事をする環境になったんですけれど、そんな経験はほとんどなかったので、自分で仕事を見つけながら働くにはどんなペースでやればいいんだろう、という戸惑いは少しありました。
信頼されていることの裏返しなのでしょうけれども、特に日々進捗を報告するということもないので、例えば1週間ダラダラ過ごそうと思ったらできてしまうんじゃないかというような環境です。思考を切り替えて、どんなスケジュールでどんなふうに動くか、いつまでにどこに到達したいのか、自分で考え動き始めるという仕事のリズムを掴むまでに少し時間が必要だったと言えるかもしれません。
上場金融会社なのに風通し良く堅苦しさない「いい意味で衝撃的な会社」
-将来のキャリアプランや目標についてお話頂けますでしょうか。
事業推進部で新しい事業を創っていくからには、それが当社にとって代表的な事業となるよう育てていきたいと考えています。
Bibroは第1段階をリリースしてみて、提案したかった価値がユーザーに届いているのかという面から改善点が非常にたくさん見えてきました。使って頂いた方からのフィードバックも多数頂戴しておりまして、もっと改善していかないと私たちが目指すプロダクトにはならない、ということがわかったんですね。
現在ブラッシュアップしているところなんですけれども、今後の開発とリリースを通じてみんなに「ああ、あのBibroね」と言ってもらえるような、インヴァストの代表的なサービスにできればいいなと思っています。
ちなみに私、Bibroの名付け親なんです(笑)。Bibroという名前は、お金や投資にまつわる書籍の要約がパーソナライズされて配信されてくるサービスというところから、本の意味を持つビブリオという言葉が由来のひとつです。
また、検証版のBibroのアプリ内ではキャラクターにお兄さんが出てくるんです。「今日はこんな勉強をするよ」と語りかけてくるイメージなんですね。
もともとBibroは信頼できる身近なお兄さん的な存在が面倒を見てくれたりサポートしてくれたり助言してくれたりするっていいよね。というところから着想を得たものなので、「兄貴」的なイメージを残したかったんです。ですから、BigBrotherの「Bro」をかけて、Bibroという名前になっています。
-お仕事以外で、なにかお持ちの目標はありますか?
そうですね、プライベートの話になってしまいますが、子供がいま2歳なので立派な大人に育てたいと思っています(笑)。当社は10時から15時がコアタイムのフレックスタイム制度が導入されているので、子供を育てるという点ではすごくありがたいなと感じています。
というのも、以前の業務はシフト制で勤務時間が固定されていたので、例えば保育園で夕方に面談がありますと言われると出席するのが難しかったんですね。
半休を取らなければいけなかったのですが、「仕事もきっちりしたいのに」と葛藤することもあって。当社では勤務時間を始め仕事を自由に組み立てられるので助かっています。ライフワークバランスに関するストレスを感じなくなり、充実しています。
-インヴァスト社内の雰囲気はどんな感じなんですか?
転籍してからの雰囲気は、インヴァスト証券でもそれまで一緒に仕事していた人たちの一部がそのまま来ているので、旧知のメンバーも多くそれ程差異は感じなかったんですが、外部からインヴァスト証券に入社した際は風通しの良さを強く感じましたね。
すぐそこに社長が座っていたり、飲み会の席で隣に社長がいるというのもすごいな、と思う経験でした。仕事と直接関係のない雑談を社長と直接できるなんて、以前の職場では想像もつかなかったんです。いろいろな面でフラットですよね。
トップの方々がそんな感じなので、私たち従業員も仲が良くて、皆で協力しあえる居心地のいい会社だと思っています。上場している金融会社ってコンプライアンスが厳しく堅苦しいという先入観をどうしても持ってしまいがちですよね。
そんなイメージを抱いている方々にとって当社はいい意味で衝撃的な会社かもしれません(笑)
-社内の交流は多いんですか?
新型コロナが影響するようになってからは減りましたけれど、以前は交流が活発だったなと思います。それこそ、事業部を超えた飲み会なども多く開催されていました。
でも、入社する予定の新人が入社前に社内のゴルフカップに参加してくれたりと今でも交流は多い会社ですね(笑)。当社とインヴァスト証券を兼務で仕事している人もいますので、両社の垣根が低くなっているのも影響しているのかもしれません。
-鎌田さんが一緒に働きたいと思うのはどんな人材でしょう?
そうですね、新規事業開発は自由な環境で自分のやり方で進めることができますので、こんなサービスを作りたいという新事業に対するブレない軸と熱量を持つ人々に集まってほしいと思っています。
(取材日:2022年5月26日 聞き手:垣本陸)