こんにちは!ボーディングスクールコンサルティング株式会社(BSC)の佐藤 迅です。
昨年、BSCの横山社長と藤本執行役員とともに約1週間、カナダのボーディングスクールを訪問するため、出張してまいりました。
本記事は、カナダのボーディングスクール訪問の前編として、カナダでの学校訪問やその特徴についてご紹介させていただきます!
目次
出張の目的
今回の出張の目的は、カナダのボーディングスクールを実際に訪問し、現地でしか分からない学校の雰囲気や教育環境、生徒たちの様子に触れながら、それぞれの学校が持つ特徴や強みを改めて確かめることが、今回の大きな目的でした。
今回訪問したカナダのボーディングスクール
今回訪問した学校は下記の通りです(訪問順)。
① Bishop's College School
② Ashbury College
③ Albert College
④ Lakefield College School
⑤ Trinity College School
⑥ Trafalgar Castle School
⑦ Bishop Strachan School
⑧ Appleby College
⑨ Pickering College
⑩ St. Andrews College
⑪ Shawnigan Lake School
⑫ St. Michaels University School
⑬ Glenlyon Norfolk School
今回の訪問はカナダをほぼ横断する行程となりました!
季節外れの大雪に見舞われながら、学校間を移動する日もありました...。
前編では①〜⑦の学校について、実際に訪問して感じた特徴とともにご紹介いたします。
それでは、実際の学校訪問で撮影した写真とともに、カナダのボーディングスクールの特徴についてご紹介いたします。
現地で見えてきた、カナダのボーディングスクールの全体像
今回の学校訪問を通じて感じた、カナダのボーディングスクールの特徴を3点ご紹介させていただきます。
特徴①|アメリカ×イギリスのハイブリッドな教育環境
これまで、私はアメリカとイギリスのボーディングスクールを訪問してきました。 その2ヵ国において、学校、教育制度、そして学生の雰囲気に至るまで、特徴が明確にあります。
それぞれの国の特徴を、簡単に表にまとめました。
今回のカナダのボーディングスクールを通して感じた特徴を一言で表すと、「ハイブリッド」でした。 学校訪問を通じて、私自身が「ここはアメリカっぽいな」や、「ここはイギリス式なんだ」といった印象を持った場面が多々ありました。
ここで、改めて上記の表にカナダのボーディングスクールの特徴を加えてみます。
それぞれの国の特徴や要素を組み合わせて、生徒に対して包括的な教育を提供するのがカナダのボーディングスクールの最大の魅力とも言えます。
以前寄稿したイギリスのボーディングスクールの特徴と同様に、カナダのボーディングスクールでは、生徒は制服を着用しています。毎日校章が胸元に入っているジャケットを着用する学校もあれば、曜日によってはジャケットではなく、セーターを着用する学校もあります。
(Bishop Strachan Schoolの売店)
また、もう一つイギリスのボーディングスクールの特徴と似ている点として、ハウス制度が挙げられます。
ハウス制度は、ハリーポッターのように複数の寮に分かれて、学業、スポーツ、音楽といった様々な要素で競い合います。ハウスごとに競い合うことによって、お互いをより高め合い、結束力が強固になり、生徒同士のコミュニケーションも増すのがメリットであり、特徴です。
学校によって、それぞれのハウスを表す名前、ロゴ、色が採用されており、生徒はハウスを象徴するものを身に着ける文化があります。
また、制服文化も学校のコミュニティを強固なものにする要素の一つでもあります。
(St. Andrews Collegeの売店にて販売されている、それぞれハウスを象徴するネクタイ)
(Appleby College Schoolのハウスごとのネクタイ)
特徴②|主要都市へのアクセス
世界中にある国々で、カナダは国土が世界で2番目に大きいです。 国土が広いと、ボーディングスクールから、最寄りの空港や主要都市まで果てしなく距離がありそうですが、実際はそうではありません。
カナダのボーディングスクールは、アメリカやイギリスと比べると学校数が少ないのが特徴です。
カナダの主要な私立学校が加盟するCAIS(カナダ認定私立学校協会)には95校以上の加盟校がありますが、そのうち寮を備えたボーディングスクールは29校です。つまり、加盟校の約3分の2は通学制の学校であり、カナダではボーディングスクールが比較的限られていることが分かります。
また、CAISにはボーディングスクールに特化した「Canadian Boarding Collective(カナディアン・ボーディング・コレクティブ)」という取り組みもあり、カナダのボーディングスクールの魅力を発信しています。
その加盟校の8割もの学校が、主要都市(トロント、オタワ、ビクトリア等)まで1時間以内の場所に位置しています。そのため、空港までのアクセスの負担が少なく、週末のアクティビティの際に主要都市に行く機会が豊富にございます。
特徴③|高校での成績が大学進学につながる仕組み
アメリカやイギリス、そして日本は国内の大学進学を考える際に、必ず大学受験や試験の対策を行います。
ただ、カナダの国内大学進学は少し異なります。
カナダの国内大学進学においては、高校の成績が大学進学に直結します。アメリカやイギリスとは異なり、大学進学のためのテストは基本的にはオプションです。そのため、学校は生徒に対して充実した教育環境を、そして生徒は名門大学進学を目指すべく、さらに熱心に勉強に取り組むという相乗効果が見られます。
仮に、カナダの国内大学進学を目指していなくとも、そのような生徒に囲まれた環境で勉学を共にできるというのもメリットの一つです。
ここまで、今回の学校訪問を通じて感じたカナダのボーディングスクール全体の特徴をご紹介しました。
ここからは、実際に訪問した各校について、それぞれの特徴や魅力、実際に足を運んだからこそ感じた学校の雰囲気とともにご紹介していきます。
訪問校紹介(前編)
① Bishop's College School
Bishop's College School(BCS)は、ケベック州シャーブルックに位置する1836年創立の歴史ある共学校です。生徒数は約270名、そのうち寮生率は約85%と非常に高く、まさに寮生活が学校生活の中心を成しています。IB(International Baccalaureate)ディプロマ・プログラムの認定校であり、学業だけでなくリーダーシップや人格形成にも力を入れています。
学校全体の雰囲気は非常にアットホームで、教職員と生徒との距離が近いことが特徴です。初めて海外留学をする生徒でも安心して学校生活を始めやすく、「学校全体が一つのコミュニティ」という印象を受けます。また、250エーカーの広大なキャンパスを活かし、アルペンスキーやクロスカントリー、乗馬、クライミングなど24種目にも及ぶスポーツプログラムが用意されており、自然の中でのアウトドア教育も充実しています。
(BCSの食堂)
特に卓越しているのがアイスホッケープログラムです。BCSのホッケーチームは長い伝統を持ち、現在はU18/VarsityとU17/Prepの2つのエリートチームを擁し、Midwest Prep Hockey League(MPHL)やNew England Preparatory School Athletic Council(NEPSAC)といった北米屈指の強豪リーグに所属。年間40〜50試合という過酷なスケジュールをこなしながら、NHLをはじめとする多数のプロ選手を輩出してきました。学業との両立を前提とした専属コーチ体制やオフアイストレーニングも整っており、ホッケーに情熱を持つ生徒にとっては北米屈指の環境といえます。
② Ashbury College
Ashbury Collegeは、カナダの首都オタワに位置する伝統ある共学校で、IB(国際バカロレア)認定校として高い学業水準を誇ります。対象学年はGrade 4〜12(寮は9〜12年生から)、生徒数は約750名、うち寮生は約111名で寮生率は約15%です。60ヵ国以上から生徒が集まる国際色豊かな環境で、大学進学を強く意識した教育が行われており、Model UNやディベート、ロボティクス、ボランティア活動など、課外活動も非常に充実しています。
学校の雰囲気は落ち着きがありながらも国際色豊かで、首都という立地を活かし、国際政治や外交に関心を持つ生徒にとって刺激的な環境であることも魅力です。都市型のキャンパスでありながら、寮は比較的小規模で、生徒同士や教職員との距離が近い温かなコミュニティが形成されています。
特徴的なプログラムとして、Ashburyは世界50ヵ国・250校以上が加盟する国際教育ネットワーク「Round Square」の一員です。IDEALS(国際理解・民主主義・環境・冒険・リーダーシップ・奉仕)の理念のもと、加盟校間での交換留学や国際プロジェクト、サービスラーニングに参加できる点は、オタワという外交都市に立地する同校ならではの強みといえます。
③ Albert College
Albert Collegeは、オンタリオ州ベルビルにあるカナダで最も歴史のある共学寄宿学校です(1857年創立)。対象学年はPre-Kindergarten〜Grade 12(寮は7年生から)、生徒数は約300名。寮生率は約30%で、15ヵ国以上から集まる生徒一人ひとりへのきめ細かなサポートが特徴です。
学力だけでなく、人間性や責任感を育てる「Character Education(人格教育)」に力を入れている点も同校の大きな特色です。学校全体は非常に温かく家庭的な雰囲気があり、教員と生徒との距離も近いため、留学生に対するサポート体制も充実しています。学業だけでなく、スポーツや音楽、芸術活動とのバランスも良く、初めて海外で学ぶ生徒にとって安心して成長できる環境が整っています。
(Albert Collegeの食堂)
特徴的なプログラムとして、Albertは教育理念に「Five A's(Academics, Arts, Athletics, Active Citizenship, Adventure)」を掲げています。学業に加えて芸術・スポーツ・市民活動・アドベンチャー教育の4分野をバランスよく組み合わせるこの枠組みは、同校の教育の骨格をなすものです。
また、寮の部屋にも本校ならではの特徴があります。多くのボーディングスクールでは2人1部屋が一般的ですが、本校では1人部屋が中心となっています。プライベートな空間が確保されているため、留学生も学校生活のオンとオフを切り替えやすく、勉強に集中したり、ゆっくりと自分の時間を過ごしたりできる環境が整っています。
④ Lakefield College School
Lakefield College Schoolは、オンタリオ州レイクフィールドの美しい湖畔に位置する1879年創立の伝統校です。対象学年はGrade 9〜12、生徒数は約445名(うち寮生300名、寮生率は約68%)です。AP(アドバンストプレイスメント)コースやAP Capstoneの機会を提供するなど学業面も充実していますが、最大の特徴は「Experiential Learning(体験型学習)」と「Outdoor Education」を教育の柱としている点です。
315エーカーの自然豊かなキャンパスでは、カヌーやキャンプ、アウトドアリーダーシップなどの活動が日常的に行われており、教室内だけでは得られない学びを重視しています。競争よりも挑戦する姿勢や協調性を育む校風であり、生徒が主体的に成長できる環境が整っています。
特徴的なプログラムとして挙げられるのが、湖畔という立地を活かしたアウトドア教育です。カヌーやセーリング、クロスカントリースキーなど、卒業後も長く楽しめるスポーツ・アクティビティに力を入れているのが他校にはない大きな魅力です。自然の中で充実した学校生活を送りながら、学業と人間的成長の両方を目指したい生徒に適した学校といえます。
⑤ Trinity College School
Trinity College School(TCS)は、オンタリオ州ポートホープにあるカナダ屈指の名門ボーディングスクールです。対象学年はGrade 5〜12(寮は9〜12年生から)で、全校生徒数は約600名で、全校ベースの寮生率は約45%です。難関大学への進学実績でも高く評価されています。
校風は伝統を感じさせる落ち着いた雰囲気があり、生徒たちは知的好奇心を持って学習に取り組んでいます。授業ではディスカッションを重視した学びも多く、主体的に考え、自分の意見を発信する力を養います。また、芸術やスポーツにも力を入れており、学業だけに偏らないバランスの取れた教育が行われています。
(Trinity College Schoolの教室)
学業面での特徴的なプログラムは、リベラルアーツの理念に基づく120以上の科目に加え、カナダで数少ない認定校の一つである「AP Capstone Diploma」です。これはGrade 11・12の2年間を通じて、批判的思考力・協働的な問題解決力・研究スキルを教科横断的に磨く高度なプログラムで、大学レベルの研究・論述に取り組む機会を提供しています。TCSの知的な校風を象徴するプログラムといえるでしょう。
⑥ Trafalgar Castle School
Trafalgar Castle Schoolは、オンタリオ州ウィットビーにある歴史ある女子校です。対象学年はGrade 4〜12(寮は7年生から)で、CAIS公式プロフィールでは全校生徒240名です。少人数制の教育を採用しており、生徒一人ひとりが積極的に授業や学校活動へ参加できる環境が整っています。
校舎は歴史的な城館を利用しており、伝統を感じられる落ち着いた雰囲気が特徴です。一方で、STEM教育やリーダーシップ教育にも積極的に取り組んでおり、現代的な教育内容とのバランスが取れています。女子だけの環境で学ぶことで、自信を持って発言や挑戦をしやすく、生徒同士の結び付きも強いことが特徴です。
特徴的なプログラムとして、Trafalgarは「Future Ready Competencies(未来対応力)」を教育の軸に据えたカリキュラムを展開しています。STEAM教育やロボティクス、AIリテラシー・AI倫理といった最新分野もカリキュラムに組み込まれており、伝統的な校舎の中で最先端の学びに触れられる点が同校ならではの魅力です。安心感のあるコミュニティの中で、自立心やリーダーシップを育みたい生徒に適した学校といえます。
⑦ Bishop Strachan School
Bishop Strachan School(BSS)は、トロントにあるカナダを代表する名門女子校です(1867年創立)。対象学年はJK〜Grade 12(寮は8〜12年生から)、CAIS公式プロフィールでは全校生徒970名、寮生70名で寮生率は約7%です。学業面ではAP(アドバンストプレイスメント)コースを提供しております。
学校は「女子が自信を持って挑戦できる環境づくり」を教育理念の一つとしており、特にSTEM教育やリーダーシップ教育に力を入れています。最新設備を備えた学習施設や充実した芸術教育など、幅広い分野で高水準の教育を受けることができます。
校風は洗練されており、生徒一人ひとりの自主性が尊重されています。トロントという都市部に位置することから、多様な文化や社会との接点も多く、国際的な視野を広げながら学べる環境が整っています。
特徴的な学習環境として、BSSはSTEAMに重点を置いた学習スペースや、アート・デザイン・マルチメディア・フィルム関連の施設を備えています。さらに、屋外にはオンタリオ州の女子校として初めてターフフィールドを導入するなど、学業・芸術・スポーツのいずれにおいても最先端の環境を整備している点が同校ならではの強みです。女子校ならではの環境の中で、自信と主体性を育みながら、学業・課外活動ともに高いレベルを目指すことができる学校です。
今回は、カナダのボーディングスクールの特徴とともに、今回の出張で訪問した7校をご紹介しました。
後編では、⑧Appleby College〜⑬Glenlyon Norfolk Schoolの訪問校について、それぞれの特徴や魅力をご紹介いたします。ぜひ後編もご覧ください!