【受賞者インタビュー Vol.5 】「完成された組織」から「未完成の組織」へ。新卒入社3年目で求めたエンジニアとしての真の成長とは
今回は、入社3年目にして2025年度3Qにおいて、社内表彰を受賞した、エンジニアの土方さんにインタビューしました。
若手ながら新サービス『ITトレンドMoney』の開発を担う、期待のエンジニアです。自ら開発フローの抜本的改善を提案・実行するなど、技術面から新サービスを力強く牽引する頼もしい存在です。
実は一時期、恵まれた環境に「このままでいいのか…」とに悩み、自ら新天地への挑戦を選びました。停滞期をどう乗り越え、「自分から動く」エンジニアへと変貌を遂げたのか、活躍の背景にある彼のエンジニアとして、「働くヒト」としての哲学に迫りました。
「このままでは成長できない」入社3年目の夏、自ら求めた変化
ーー受賞おめでとうございます!名前を呼ばれた瞬間、どんな気持ちでした?
ありがとうございます。正直、驚きが一番大きかったです。 他のプロダクトも大きな動きがあり、エンジニアの皆さんも活躍されていたので、受賞は五分五分かなと思っていました。でも、やっぱり名前が出た瞬間は嬉しかったですね。
ーー新卒で入社して3年目。今の新プロダクトの開発に異動されてから、一気に覚醒した印象があります。どのような経緯での異動だったのでしょうか?
異動前に開発を担当していた『bizplay』は、既に強固なユーザー基盤を築き上げているプロダクトでした。
組織規模も数十人体制と大きく、開発フローや運用ルールが安定しているため、プロダクトとしては非常に高い安定度を誇っていました。エンジニアにとっても、ある程度完成された仕組みの中で安心して開発に取り組める環境だったと思います。
先輩エンジニアから学ぶ機会も多く、開発知識を身につけながら着実に成長できる環境ではありました。一方で、一定の経験を積んだ段階で、自分自身を客観的に見つめ直すようになりました。
その安定した基盤の中に身を置き続ける中で、「このまま恵まれた環境に甘んじていては、エンジニアとしての成長が鈍化してしまう。より大きな裁量を持ち、自ら考え意思決定に関われる環境で挑戦したい」と考えるようになりました。
昨年の夏頃、意を決して上司に相談し「今よりもっと不確実で、ゼロから道を切り拓くようなプロダクト開発に身を投じたい」と、自分の正直な想いを伝え、異動の機会を得ました。
ーーなるほど。そこから一気に少人数チーム、しかも新プロダクトへ。環境の変化が激しすぎませんでしたか?
数十名のチームから、ビジネスサイド含めて4名という少人数のチームへの異動は、今の自分にとって非常にフィットした選択だったと思います。
今のチームでは開発を僕一人が担っているので、自分が手を動かさなければ一歩も前へ進みませんし、自分の意見やコードがそのままプロダクトの形になります。背負う責任の重みが一変しました。
そのプレッシャーは決して小さくありませんが、『自分がこのプロダクトを動かしている』という圧倒的な当事者意識が、今は何よりも良い刺激になっています。
「なんとなく開発」をぶち壊す。自ら提案したフローの抜本改善
ーー今回の受賞理由にもなった「開発フローの抜本的改善」について、具体的に何をしたのか教えてください。現場ではどんな課題があったんですか?
プロダクトの立ち上げ期ということもあり、手探りの状態で、要件・デザイン・コンテンツがまだ固まりきらない状態のまま、開発フェーズに進むケースも少なくありませんでした。
その結果、実装の途中で仕様の追加やデザインの再検討が頻発し、開発が何度も止まってしまう状況に陥り、「このままではリリースに辿り着けない…」という強い危機感に直面しました。
そこで、各プロセスで「何が決定事項か」「どこが未確定なのか」を明確に定義。要件の意図や目的を徹底的に明文化し、また、デザイナーと同じ目線で議論できるよう、デザインやマーケティングの考え方についても自ら学び、エンジニア視点にとどまらず意見を出せるよう意識しました。
仕様のすり合わせや認識合わせを主体的に行い、多忙な上司が拾いきれない詳細な仕様設計を僕が自ら巻き取ることで、開発サイドとビジネスサイドの橋渡し役として動くように努めました。
ーーまさに「エンジニアの枠」を超えた動きですね。
今のチームは人数が少ない分、直接意見を言いやすい環境です。事業責任者やPMである上司も「どんどん意見を言ってほしい」という方なので、「遠慮するより、プロダクトを良くするために言わないければ!」という気持ちの方が強かったです。結果的に、開発スピードも上がりましたし、何よりチーム全員の目線が揃ったのが一番の成果だと思っています。
年末に訪れた「大幅な仕様変更」。それでも折れなかった理由
ーーとはいえ、新プロダクトの開発。一筋縄ではいかなかったはずです。特に印象に残っているエピソードはありますか?
年末に大幅な仕様変更があったことですかね。
2025年内のリリースに向けて開発を完了させ、11月末に満を持して実装シミュレーションを行ったんですが、そこで根底のロジックから根本的な設計の見直しが必要なレベルの仕様変更が走ることになりました。正直、「年内リリース…は無理かも」となかなか痺れる展開でした(笑)。
ーー特にどんな部分に苦労されましたか?
一番の難関は、ユーザーを診断して家計をスコアリングするロジックの部分でした。
ここは肝になる部分なんですが、新プロダクトということもあって、最初は要件が明確ではなく、実装を進めながら「どのロジックなら価値が出るのか」「この項目も加味するべきだ」と何度も議論しました。
ここがズレたら『誰も使わないもの』になってしまう。だからこそ、ビジネスサイドの意図を汲み取って、仕様の細かい隙間を埋めていく必要がありました。
一方で、精度を高めようとするとロジックは複雑になり、実装や保守の難易度が一気に上がります。
データベース設計も含めて考え始めると選択肢が増えすぎてしまい、設計を何度もやり直しました。
結果として、最終的には当初想定していたものよりもシンプルな設計に落ち着きました。
この経験を通じて、最初から完成度を追い求めるよりも、まずはユーザーニーズを検証できる最小限の形で前に進めることの大切さに気づきました。(最初の1〜2ヶ月分の開発が無駄になったのは正直辛かったですが、今では良い学びだったと思っています。)
ーーそこでも「プロダクトが良くなるなら」と切り替えられた土方さんの強さですよね。
過去に2〜3ヶ月を投じて開発した機能が、リリースからわずか1ヶ月で提供終了(クローズ)となった苦い経験があります。
そのとき強く感じたのは、エンジニアにとって一番辛いのは忙しさではなく、「作ったものがユーザーに使われなかったこと」だという点でした。
この経験から、手段としての開発に固執するのではなく、常に目的から逆算して「この機能は本当に必要か?」を考えるようになりました。
現在は、技術的な実装の先にあるユーザーの体験価値を最優先に考え、開発に取り組んでいます。
「働く」を面白くするのは、他の誰でもない自分自身
ーー土方さんの話を聞いていると「目的意識」を大切にしているように感じます。
こうしたマインドセットの背景には、上司から事あるごとに説かれた『常に目的(意識)を』という教えが深く根付いているからだと思います。
現在は評価における目標設定においても、単なる目先のタスク整理に留まらず、『自分の描くキャリアの将来像から逆算した時、今はどのスキルを研鑽すべきか』という本質的なコミュニケーションを重ねるようになりました。
エンジニアに限らず、『背景や意図を解釈せず、ただ指示されたことをこなす』だけの時間に、1日8時間×週5日を費やすのはあまりにも苦痛じゃないですか。
だからこそ、手段としての実装に埋没せず、常に『なぜこれを作るのか』という納得感を、自分自身の原動力に変えることを大切にしています。
ーー確かに。土方さんが考える『「働く」を変える』とは、どういうことだと思いますか?
正直なところ、もし働かずに済むのなら、僕はあえて働くことを選ばないタイプかもしれません(笑)。
ですが、社会の一員として「働く」ことに人生の時間を費やす以上、その時間をいかに面白く、自分にとって価値あるものに塗り替えていくかが、とても重要だと考えています。
目的を見失ったまま漠然と働き、疲れ切った顔で愚痴をこぼしながら日々を過ごすよりも、いきいきと働ける大人でありたい ――。
そのためには、仕事を単なる『消化すべきタスク』ではなく徹底的に自分事化し、自らの手でより良く変えていく。
辛い仕事でも、ただ耐えるのではなく、自分なりに納得し、面白くしていく――。
これこそが、限られた人生の時間を、より有意義なもの・自己実現に繋げる僕なりの考えです。
この姿勢を突き詰めることは、単に個人の仕事を楽しむことに留まらず、周囲のエンジニアや組織全体の『働く』という定義そのものをポジティブに変えていくことにつながると信じています。
一人ひとりが仕事に『意思』を持つことが、社会全体の『働く』という体験をアップデートしていくことに繋がると信じています。
ーー「仕事を面白くするのは自分次第」ということですね。今後はどんなエンジニアを目指していきたいですか?
AIが瞬時にコードを生成する現在は、エンジニアの真価は『実装力』のその先に問われていると感じています。
だからこそ、深い技術知見を持ちながらも、プロダクトの収益性や事業成長にまで深くコミットできるエンジニアを目指したいです。
単に仕様通りに動くものを作るのではなく、事業のフェーズやユーザーの課題を解釈し、「今、何を優先すべきか」を理解した上で、最適な選択肢を提示する
周囲からも、『難しい局面でも安心して任せられる、現実的に前に進めてくれる存在』になりたいです。
イノベーションで「自分」を試したい人へ
ーー最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
イノベーションには、『自らの意思』や『実現したいこと』を持つ人間にとって、この上なく自由で刺激的なフィールドがあります。
逆に言えば、受け身の姿勢ではこの環境を良さを生かせず、ミスマッチに感じてしまうかもしれません。これは善し悪しの問題ではなく、純粋な適性の問題です。だからこそ、『自ら問いを立て、形にしたいものがある人』には、これ以上ないほどフィットする場所だと思います。
僕自身も、新卒入社の一つのモデルケースになれると嬉しいです。既成のレールが存在しないからこそ、自らの手で道を切り拓いていく面白さがある。
『エンジニアがここまで事業に踏み込み、形にできるんだ』という新たな可能性を後輩たちに示せるよう、これからも守りに入らず、攻めの姿勢で挑戦を続けていきます!