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ベトナム拠点責任者に聞く|変わりつつあるベトナム人材マーケットで、進化するコンサルタントの役割

こんにちは! ICONICの採用担当です。

グローバル化が進んでいるとはいえ、海外の状況は自国のようにはわからないもの。そこで今回は、ベトナムの人材マーケットや人材紹介ビジネスにおける日本人の役割の変化について、ICONIC Co., Ltd. (Vietnam)の責任者である長浜に話を聞きました。

長浜 みぎわ
ICONIC Co., Ltd. (Vietnam)
General Director

生産から消費へ——ベトナム人材マーケットの変化①

—まずはベトナムマーケットについて、ここ数年での変化や現状を教えていただけますか?
一番の大きな変化は、ベトナムを生産拠点としてだけでではなく、大きな消費が見込めるマーケットとみなし、販売拠点としての役割を強化する企業が急激に増えてきていることですね。

ベトナムの人口は2023年に1億人を超えて、東南アジアではインドネシア、フィリピンに次ぐ3位の人口ボリュームのある国です。しかもベトナムの平均年齢は33歳と、消費意欲の旺盛な20-30代が中心のとても若い国なんです。つまり、この先の消費地としての伸びしろが大いにある、ということなんですね。


【ベトナムの人口ピラミッド(2023年)】

出典:https://www.populationpyramid.net/viet-nam/2023/


実際に、2023年度の海外からベトナムへの直接投資件数は、製造業の次に小売・卸売が多く前年比で+50%増、倉庫・運輸も+75%増と、消費地としての伸びしろを見定めた投資が伸びています。


出典:Jetroビジネス短信(https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/gtir.html


では、進出日系企業は今後の事業展開方針をどのように考えているのでしょうか。「特にどの機能を拡大するのか」という質問に対する回答によると、生産機能を拡大しようとしている企業がこの2年間で2〜3割に減少してきているに対し、販売機能を拡大しようとしている企業は同時期に6割超へと急激に増加しています。


出典:Jetro2023年度進出日系企業実態調査アジア・オセアニア編よりP19
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/a261e38b2e86c8d5/20230023rev2.pdf


こうしたマーケットの状況を反映し、セールスやマーケティング、販売など、エンドユーザーとの接点があるフロント系職種のニーズがここ2-3年のうちに急激に増えてきていると感じています。実際、弊社における毎月のご成約職種の動向でも、ここ最近は営業・マーケティング系職種が毎月上位にランクインしています。

—ベトナムへの進出目的や現地拠点に期待される役割が変わりつつあることにより、人材ニーズも変化してきているというわけですね。

権限移譲が進む採用オペレーション——ベトナム人材マーケットの変化②

—進出している日系企業内でも、組織作りなどの面で変化はありますか?
通常業務における現地スタッフへの権限移譲が進み、より一層、現地スタッフ主体の運営を目指している企業が増えていると思います。

日系企業のベトナムへの進出には、アメリカの対越制裁解除にともなう1990年代中旬の第一次進出ブーム、ベトナムのWTO加盟にともなう2000年代後半の第二次進出ブーム、という主に2回のブーム期がありました。進出直後の企業では、日本本社から派遣された駐在員を中心に立ち上げを行いますが、第一次ブーム期に進出した企業はすでに創業して約30年、第二次ブーム期の企業でも創業後15年以上が経っています。

今となっては、すでに通常のオペレーションの構築は完了し、ベトナムの現地スタッフへの権限移譲が進んでいる企業も多々あります。このようなローカライズの進んだ企業では、人事周りも例外ではなく、人件費予算管理にダイレクトに影響する最終意思決定以外の人事業務は、採用周りのオペレーションも含めてベトナム現地の人事担当者が主管し、彼らが我々の人材紹介サービスのカウンターパート(交渉相手)となります。

それゆえに、弊社においても、ローカライズの進んだ日系企業に対し、日越のコンサルタントがタッグを組んでしなやかに役割分担をしながらサービス提供をするという、よりチームプレーをベースとした柔軟な立ち回りを求められる場面が増えています。

真の「グローバル人事のパートナー」へ。進化するコンサルタントの役割

—ベトナムの人材マーケットが変化したことにより、人材紹介ビジネスにはどんな影響があるのでしょうか?
ICONICの人材紹介事業の黎明期には、企業側を担当する採用コンサルタントの役割は日本人が担っていました。日系企業のカウンターパートも、当時は、日本人であることが多かったためです。

しかし、先ほどお伝えした通り、ここ数年の間でベトナムのマーケットや人材ニーズは大きく変化し、日系企業といえどもカウンターパートはベトナム現地の人事担当者であることが多くなってきています。仮に、最終決定まではしなくとも、サービスや候補者の選定に与える影響力は高く、彼らとの良好な関係を構築することはとても重要です。

そこで、企業側のカウンターパートがベトナム現地の方の場合は、弊社側のメインの採用コンサルタント(企業担当)の役割を、ベトナム現地のコンサルタントに社内でパスします。なお、案件を獲得したコンサルタントはサブのコンサルタントとして後方支援する仕組みへと改めました。

このように、日越両言語でネイティブコミュニケーションを取れるようにすることで、スムーズなサービス提供ができる体制を敷いています。

求められる役割の変化に合わせて、人材紹介部門におけるコンサルタントの目標の設定の仕方も変えました。これまではメインの担当者だけに業績計上していましたが、昨年からはそれに加えて、案件開拓をしてメイン担当に案件をパスをした後も後方支援を続けるサブ担当による業績貢献も評価するようにしました。


—このようなマーケット環境のもろもろの変化を受けて、この先、日本人である私たちがベトナムの人材市場において、人材紹介コンサルタントとして活躍していく上で、期待される役割とは、どういうものになるのでしょうか?
何でも自分がメインでやるのではなく、チームの他のメンバーが上手にこなせることは信頼して任せられるようになることを期待しています。その上で、自身のスキル、パーソナリティ、属性的な強みをより一層冷静に捉え、自分だからこそやりやすい仕事、向いている仕事に注力することで、クライアントや組織にこれまで以上に大きく貢献していって欲しいと思っています。

たとえば、新しいビジネスの種を見つけたり、新しい顧客基盤を拡大すること。ローカライズが着々と進んでいるとはいえ、進出日系企業の経営層は日本本社から派遣されて駐在しているケースが未だに多数を占めます。となると、経営層、ひいては日本本社も含めた事業方針、そこから導かれる人事方針をしっかり背景理解して、信頼に足るパートナーであると認められることが大事です。こうした関係性がベースにあることで、新しい事業展開をいち早く聞けたり、これまで閉ざされていた門戸が開いたりします。

また、その場限りのビジネスで終わらないよう、大きな事業方針転換やサービス提供過程でトラブルがあったときなどに、要所でのネイティブコミュニケーションを通じてしなやかに顧客連携をすることも、重要な役割です。

さらに、これから進出する予定、もしくは、進出したばかりで組織がまだ出来上がっていない企業に対して、組織作りや人材要件の具体化周りのコンサルティングをしたり、ベトナム進出時のあれやこれやの道先案内をすることも大きな価値となります。

このように、顕在化した人材ニーズに応えていくだけでなく、視座を一段階上げ、クライアントのベトナムでの事業運営に人事の側面から貢献していく。真の意味で「グローバル人事のパートナー」として活動していくイメージを持っていただければと思います。



—「グローバル人事のパートナー」としてクライアントから必要とされ続けるには、どうしたらいいのでしょうか。
まずは、そのクライアント企業がなぜ、ベトナムで事業展開しているのかという源流を理解しておかなくてはなりません。中国の政治リスクが高まってきたのでベトナムにシフトしたとか、販売先となる顧客企業の近くに拠点を作り既存ビジネスの維持・拡大をはかるためとか、なぜそういう人材を必要としているのかを背景状況とともに深く顧客理解しておくことが必要です。そうすることで、クライアント企業の顕在ニーズだけでなく潜在ニーズをも察し、事業方針に即した人材をこちらから逆提案することができるようになり、弊社にとってビジネスチャンスが拡大するだけでなく、先方からも重宝されます。なお、その過程で、グローバル経済や政治のダイナミズムにも触れられるというおもしろさも感じられると思います。

もう1つ、採用以外の組織人事の知見を広げていくことも大事です。クライアント企業の担当者は、事業会社の組織人事全体を視野に捉えて日頃から仕事をされている立場にあります。つまり、採用という観点だけではなく、組織人事周り全体として課題感を感じられていることが多いのです。

こうした相手に、真の意味で「グローバル人事のパートナー」と認められるためには、人事の一部でしかない「採用」の領域だけに留まるのではなく、人材育成、人事制度、労務管理、といった人事周りの周辺分野の課題感に対しても、話を聞いて理解し会話や議論ができるようにしていかなければなりません。これは言うほど簡単なことではありませんが、日々、その視座で自己研鑽を積んでいくに値するものです。私たちICONICのコンサルタントであれば、どの部門に属していても、自身の属する専門分野以外にも人事の知見を広げていく意欲をもって活動してほしいと思っています。

その意味でICONICは、人材紹介だけでなく組織人事コンサルティング事業も同様の規模で事業展開している、東南アジア地域では稀有な事業体です。社内には、人事の学びを広げることのできるリソースや同僚が豊富に存在します。また、クライアント企業に対しても、課題感の話し相手になるだけでなく、人事課題に対して採用以外のソリューションを提供して解決に寄与することができるのが、ICONICで人事領域のコンサルタントとして働くおもしろさであると思います。

—自分の力だけでなんとかするのではなく、周りのメンバーの力や組織をどう活かしていくのかを考える。むずかしいですが、そのぶん得られる組織としての成果も大きいですし、自分自身の成長にもつながるのではないかなと感じました。
これからの時代に求められる真のグローバル人材像を理解する上で、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!



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