長期にわたって続く紛争、新たに勃発している戦争の影響により、いま多くの難民の子どもたちが学ぶ機会を奪われています。子どもたちを一日も早く学びの場に戻れるようにする支援は必要不可欠であり、子どもたちは学校という安全な場所で心の安定も取り戻していきます。しかし学齢期の難民の子どもの約半数は学校に通えておらず、児童労働、児童婚、武装集団への徴用などのリスクの増加につながっています。UNHCRはこうした状況を根本的に変えていくべく、教育支援に取り組んでいます。
学齢期の難民の子ども 1240万人
その約半数は、学校に通えていません
難民の子どもたちの教育事情
UNHCRの2024年難民教育報告書*によると、学齢期の難民の数は推定1240万人。そのうち46%が就学できていません。これは約570万人の難民の子どもたちが教育機会を逃していることを意味します。難民の初等教育総就学率はそれぞれ67%に留まり、中等教育では37%、高等教育では9%にまで落ち込みます。
また、多くの難民の少女たちにとって教育への平等なアクセスは依然として手の届かない状態にあります。
「学校に通うことで、児童労働、早婚や妊娠、犯罪への関与、強制的な徴兵といった危険から子どもたちを守ることができます。しかし、難民のほぼ4分の3は低・中所得国に逃れており、その多くは自国民にすら十分な教育を提供することさえ困難です。言語の壁、スペースやリソースの不足、書類の問題…これらすべてが、難民の子どもたちと受け入れ政府の双方に多大な課題をもたらしています。」フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は難民教育の重要性、そして国際社会からの支援を訴えます。
*THE UNBREAKABLE PROMISE: RESILIENCE AND RESOLVE IN REFUGEE EDUCATION
「教育を受けることができなければ、誰も前に進めません。生徒は心の中で、何かになるという夢を大切にしています」
避難先で学び続けようとする子どもたち、一緒に奮闘する大人たちのストーリーをお届けいたします
ウクライナ
避難した先で母を失い、祖母に見守られながら机に向かう日々
避難先のハルキウの集合センターでオンライン授業を受けるボグダンくん(10歳)とビクトリアちゃん(7歳)。それを見守るのは祖母のタマラさんです。2人の母親のタチアナさんは、紛争下でハルキウへ逃れた後、新型コロナウイルスが重症化し亡くなりました。その時タマラさんはすぐに荷物をまとめてハルキウへ向かい、2人と再会。「もう2度と離れないと約束したわ」。タマラさんは当時を振り返ります。
パキスタン
洪水で被害を受けた学校に通う子どもたち
子どもたちのまっすぐな目。その気持ちが伝わってくるかのようです。2022年パキスタンは国土の3分の1が浸水する大洪水で約790万人が避難を余儀なくされ、国民も難民も大変な困難に直面しました。シンド州の村に住むアリさんは、学校に戻りたくて水が引くのを心待ちにしていたといいます。同国では、多くの子どもたちが洪水で被害を受けた学校で学んでおり、清潔な水へのアクセスも限られた厳しい状況におかれています。
エチオピア
ある日突然避難を強いられ、今日も青空の下で教え学ぶ
ソマリア難民の子どもたちが朝のコーランの授業を受けるのは、一次的にしつらえられた学校です。教えるのは、同じく難民のイシハクさん。彼の存在は、エチオピアの学校が難民の生徒を入学させることができない場合などに教育格差を埋める一助になっています。母国で授業中に戦闘に巻き込まれたイシハクさんは、子どもたちとともに避難。その日から自身の家族の消息はわかりません。いつか再会できることを願いながら、この場所で自分の役割を果たすと決意しています。
ルワンダ
歩けるところは杖をつき、時には友達の背中に乗って
バハティさんは学校が大好きですが、足に障がいがあり通学は容易ではありません。それでも、学校までの道のりは随分楽になりました。Educate A Child(エデュケート・ア・チャイルド)*とUNHCRのパートナーシップにより、新たな通学路ができたからです。今では勉強と遊びの時間も増えたといいます。「友達が学校に行くのを助けてくれます」と、バハティさん。学んだことを活かして、障がいを抱える生徒のために世界を変えていく。そんなビジョンを持つ彼の夢は、大統領になること。
*「エデュケート・ア・チャイルド」は 、カタールのシャイハ・モーザ・ビント・ナーセル妃殿下が立ち上げたエデュケーション・アバブ・オール財団の世界規模のプログラム。1千万人以上の非就学児童が質の高い教育を受け続けられるようにすることを使命にしており、2012年以来UNHCRの活動を長期にわたって支援
ウガンダ
学べることに感謝する日々に故郷を思う
「捧げることをいとわず教育を与えてくれる人々がいることは良いことで、愛されていると感じます。素晴らしい仕事をしてくれた人々に感謝しています」と、ソフィーさん。それでも、心にはいつも故郷があります。「南スーダンが恋しいのは、両親がそこにいるからです」。ソフィーさんの将来の夢は母国で医師になることで、好きな教科は生物。ウガンダに逃れてきたときに自然科学の本を持ってきたほどです。生物が好きな理由は、「自分の体について教えてくれるから」。
バングラデシュ
夢だった教え手としての道を歩みはじめ子どもたちと夢を育む
UNHCRの訓練を受け、ティーチング・アシスタントになったロヒンギャ難民のシャーさんとバングラデシュ人のミンハーさん。クトゥパロン難民キャンプの学習センターで、4歳から14歳までの子どもたちに読み書きや計算を教えています。シャーさんは言います。「ここを去るその日まで、勉強する子どもたちを軌道に乗せ続けたいです。教育を受けることができなければ、誰も前に進めません。生徒は心の中で、何かになるという夢を大切にしています」。
ウクライナと周辺国で、UNHCRは政府やパートナー団体と連携し、教育関連の支援を実施しています
ポーランド
UNHCRはウクライナの人々に就学率の改善を目的にしたキャンペーンへの参加を促した。就学率が低い要因としてウクライナとの頻繁な往来や言葉の壁などが考えられる。
スロバキア
2023年8月時点で、1000人以上が2023/2024年度の公立学校および幼稚園への登録支援を希望。UNHCRは登録とデータ収集で教育省を支援。
ハンガリー
UNHCRは教育サブワーキンググループによるBack to school( 学校に戻ろう)キャンペーンをオンラインで普及。教育制度へのアクセスに関する情報を保護者に提供。
モルドバ
オンライン学習を続ける子どもたちに社会的な交流と安全な学習環境を提供するため、全国の学校に設置されているテックラボ。ラボは公用語の授業や精神衛生のためのセッション、デジタルスキルの訓練にも使用。UNHCRはラボの設置のため、南部の学校に机や椅子、パソコンなどを支援。
ウクライナ
ウジホロドにあるUNHCRのパートナー団体が提供する集合シェルターでは、授業を実施している。
UNHCRの教育支援
学校は、避難を強いられた子どもたちに学びと心の安定、安全な場所を提供します。 支援を受けて学び続けることで、子どもたちは自分の未来を切り拓く力を身に付けていきます。
【アフガニスタン・バダフシャン州の村】十分な学習スペースを提供するため、通常住まいなどに使われるレフュジー・ハウジング・ユニットを学校に設置
学校や教育施設の建設
子どもたちの学びと心の成長をサポートするために不可欠な教室や学校施設を建設。誰もが教育を受けられるような環境を確実なものにしていきます。
【タンザニア】インスタント・ネットワーク・スクールは、デジタルコンテンツやインターネットへのアクセスを提供し、もっとも周縁化されたコミュニティで教育の質の改善に貢献
質の高い教育を提供するための革新的な支援
テクノロジーを活用し、難民の子どもたちがどこにいても質の高い教育を受けることができるよう支援しています。モバイルネットワークとデジタルリソースを使って、遠隔地にいる難民にも教育を提供。
【ケニア】「当時は教科書が1冊しかなく、20人で使わなければなりませんでした」と、学生だった頃を振り返る南スーダン難民のアヤクさん。自身が育ったカクマ難民キャンプの中学校でインセンティブ教員に
※実施している支援の一例です
教師のためのトレーニングなどを支援
UNHCRは教育支援の一環として、教師のためのトレーニングや給料を提供。とりわけ生徒の心の健康をサポートするうえで重要な役割を担う女性教師を支援しています。
国際情勢が激しく揺れ動く時代、今、私たちにできること
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は「私たちは国際情勢が激しく揺れ動く時代を生きています。現代の紛争は、人々に深刻な苦しみをもたらし、脆弱かつ悲惨な状況を生み出しています」と訴えます。
日本から届ける支援は、避難を強いられた人々を援助するUNHCRにとって、なくてはならない支援です。継続的な支援を続けていただくことにより、迅速な緊急援助、水・食料の安定した供給や、長期の資金計画が必要な学校教育や難民への職業訓練や自立支援などを進めることが可能となるのです。故郷を追われ難民となった人たちは、極限の状況下で支援を待っています。
ひとりでも多くの難民となった人たちに寄付という形で支えていけるよう、私たちは今日も街頭で一人ひとりに声をかけています。
「今日、ここで、あなたと会えたから一歩踏み出すきっかけになった」。新たに国連難民サポーターに参加くださる方からのお言葉です。
ひとつひとつの積み重ねが大きな力となって、難民の命を救うことができる。
日本から届ける難民支援。私たちと一緒に難民支援の輪を広げていきませんか?
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