株式会社グラスト(以下、GRUST)では、社員がワクワクして働き、成長できる職場づくりを目指して、社内制度もプロポーズ休暇や失恋休暇、サ活(サウナ活動の略)支援制度など、ユニークなものが多く存在します。
また「ビジネスで必要なものは、会社でまかなうべき」という考えから、ストッキングなどの備品サポートやランチ代サポートなど、社員の金銭的負担を減らすような制度も多くあります。
そこで今回、GRUST 人事広報部の池澤、塩崎にインタビュー。なぜGRUSTではユニークな社内制度を設けているのか、またどのように社内制度を企画したり制度化しているのかをご紹介いたします。
GRUSTがユニークな社内制度をつくる理由「社員がワクワクして働ける会社でありたい」
―― あらためてGRUSTではどういった社内制度があるのか教えて下さい。
池澤:現在は16の社内制度があり、たとえばユニークなものですとブロークンハート(失恋休暇)制度という、失恋したら最大5営業日の休暇を取れるというものがあります。この制度は、ある社員が婚約目前に破局してしまったことがキッカケで生まれました。まわりの社員も心配するくらい、ショックで仕事が手につかない様子だったので、それであれば休んで心身ともにリフレッシュしたほうがいいよと。
ライフイベントって、結婚や出産といったポジティブなものだけでなく、大失恋含めネガティブなライフイベントもあるじゃないですか。そこで会社としてもそうした社員を少しでもサポートできるような、受け皿となる制度があってもいいと思うんですね。
ユニークな制度として、他にはアメニティ制度というのもあります。ビジネスマンとしての清潔感を保つために必要なちょっとした備品、たとえば制汗スプレーや汗拭きシート、またハンドクリームやリップクリーム、さらにはネクタイやストッキングなどを用意しています。
塩崎:GRUSTは女性社員も多いので、特にストッキングが用意されているのは嬉しいですよね。ちょっとストッキングが破けてしまったときに、買いに行くのも手間がかかりますから、会社に備品として用意してあるのはとても助かっています。
池澤:あとは100円前後で買えるお菓子をオフィスに用意している企業も多いと思うのですが、GRUSTではお菓子やカップラーメンなどを無償で用意しています。もともとは独身社員の食をサポートするといった意味合いでシングルサポート制度と名付けていますが、誰でも食べていいようになっています。
ただ、カップラーメンなどだけだと栄養バランスが偏ってしまい、それを会社が推奨するのも良くないので、最近は100円でお惣菜を買えるようにしたりと、健康面をケアした形を模索しながら進めています。
写真右:池澤、写真左:塩崎
―― なぜ、そういったユニークな社内制度をつくっているのでしょうか?
池澤:GRUSTは社員みんながワクワクして働ける、成長できる会社でありたいと考えていて、それが社内制度を充実させている大きな理由です。
というのもGRUSTは創業10年目のタイミングで、社名や企業理念含め、企業ブランドの再構築を行いました。そのタイミングで、いろいろな業種、業界の企業を調べたりもしていたのですが、採用にはコストをかけるけれども、入社した社員に対しての待遇が良くない企業というのが少なくないと感じたんですね。
そこでGRUSTに入社してくれた社員が働きやすい、従業員満足度の高い環境をつくっていくために、賃金形態や評価制度はもちろん、社内制度含めて充実させていこうと。特に社内制度に関しては他社よりも充実させていきたいと思い、定期的に新しい社内制度を企画して導入したり、既存の制度をブラッシュアップしたりしています。
塩崎:グラストの制度導入に際して他社の福利厚生や社内制度をリサーチして、参考にすることはあります。ただし、やってはいけないと考えているのが、GRUSTの組織規模やカルチャーにフィットしない制度を導入してしまうこと。カルチャーフィットしない制度は、ただ利用されないといったことだけでなく、会社が目指す方向と違う方向へ社員を導いてしまう可能性があります。
たとえば過去に仮眠室を設けることを検討したのですが、それによってみんなが会社に寝泊まりして仕事するような雰囲気を助長してしまいかねません。そういった働き方をGRUSTは目指しているんだっけ?と考えたら、そうではないよねと。
そこでGRUSTのカルチャーにフィットするかどうかを様々な角度から慎重に判断し、良さそうなアイデアだけを導入するといった形で進めています。
「ビジネスで必要な個人出費は会社でまかなうべき」社員が仕事にフォーカスし、より成長できる環境を目指して
―― 社内制度はどのようなプロセスで、企画から制度化までに至るのでしょうか?
池澤:基本的には人事広報部を中心にブレスト会議を定期的に実施し、企画出しを行っています。しかし、社員が求めていない制度や利用されない制度にならないよう、社員の声を取り入れることを大切にしていて。
たとえば社員が求めているものは何かを知るべく、定期的にアンケートを実施しています。またアンケートだと本音を書きづらいと思っている社員もいるでしょうから、普段の雑談や飲みの場での会話などから、社員がどういったことを求めているのかを把握したり、みんなの趣味やライフスタイルから着想を得たりして、「これならGRUSTの社員に喜んでもらえるね」というアイデアを大事にしています。
塩崎:また、社内制度はネーミングも重要だと考えています。どういった内容なのかがスッと理解できることはもちろん、語呂のよい、インパクトのあるネーミングを心がけています。
そうすることで、「新しい制度がはじまったぞ」と社員にワクワクしてもらいたいと思っていて、対外的にも企業ブランディングに繋がっていくと考えています。
そして、いざ制度にしてみたものの、なかなか浸透しないものもあったりします。そうした制度は廃止したり、運用フローを変えてみたりと、常に改善していくことも大切にしています。
―― 会社、そして個人の成長に繋がっているなと感じる制度はなにかありますか?
池澤:食事代を補助する「パワーランチ制度」と「エナジーディナー制度」は、社員同士の交流を深めたり、コミュニケーションをとるキッカケになってまして、個人の成長、しいては会社の成長に繋がる制度だなと思います。
やはりマネジメントメンバーは、食事の席で部下の悩みを聞いてあげたり、相談に乗ってあげたりする機会ってあると思うのですが、仕事の話をしているのだから、それはもう仕事のひとつなわけです。それであれば、ランチ代や飲み代を補助しようと。
たとえば新しい社員が入ったからチームランチをしようというときも、パワーランチ制度でひとり1,500円まで支給されます。申請すれば何度でも利用でき、拠点長であれば金額の上限なしで利用できます。
アメニティ制度などもそうですが、ちょっとした備品だったり、同僚や部下との飲み代など、ビジネスをしていく上で必要な個人出費は、できる限り会社がまかなうべきだと思っているんですね。そうすることで、より社員が仕事にフォーカスできる、成長できる環境になっていきますし、そうした個々人の成長が会社の成長へと繋がっていくのだと考えています。
GRUSTでの成長シナリオは多様だからこそ、社内制度も多様性のあるものにしていきたい
―― 社内制度以外に、GRUSTのみなさんがワクワクして働ける環境づくりとして取り組んでいることがあれば教えてください。
池澤:ここ最近で言いますと、コロナ禍ということもあり、なかなか美容室に行くタイミングがなかったりするよねということで、カリスマ美容師の方にカットを依頼し「グラサロン」というのを開催したのですが、みんなとても喜んでくれました。コロナ禍でなかなか外出ができない社員と、お客さんが少なくなった美容師さんの声をヒントにこのアイデアができました。同じように、先日はネイルアーティストの方もお呼びして、ネイルをしてもらったり。グラストは対面型の仕事も多く、女性社員も多いため、身だしなみに対してのサポートということで募集を募ったところ女性社員から予約殺到となりました。今後もこの「グラサロン」は続けていきたいなと思っています。
塩崎:あと最近ですと、「グラTV」という社内広報版YouTubeチャンネルがスタートしました。いまGRUSTは全国に拠点がありますが、同じ部署でも場所が違うと意外と会社のメンバーのことを知らなかったりします。特にコロナ禍では飲みにもいけない日が続きますので社員同士での交流が希薄化するだろうと思い、このアイデアが生まれました。また、今後入社するメンバーが過去動画をアーカイブで見ることができればさらにグラストのことや仲間のことを知ってもらえるきっかけにもなります。
主に「グラTV」では意外とみんなが知らない会社のことやグラストに最近起こった面白いことなどを動画コンテンツで発信していこうと。たとえば最近ですと、あるマネージャーが結婚したということで、代表の井尾と人事部長、そして当事者の3人で馴れ初めから結婚するまでの意思決定のプロセス、さらには新婚生活までを赤裸々に話すというのを配信したのですが、そのコンテンツの内容そのもの以外にも代表と人事部長とマネージャーの距離感の近さだったり、それぞれの人柄というのが、なかなか直接会う機会がない社員にも動画であれば伝わるんですよね。
物理的に離れているからこそ、会社や各拠点の雰囲気などを伝えやすい動画コンテンツは今後も続けていきたいですし、今後はもう少し業務的なナレッジであったり、経営的な重大発表を代表自ら直接伝えるなど、「グラTV」の視聴率がさらにあがっていく工夫をしていきたいと考えています。
―― 最後に、人事広報部としておふたりの展望を教えて下さい。
池澤:GRUSTが全国に拠点をつくって急成長していくぞというタイミングで私は入社し、実際にGRUSTの急成長を目の当たりにしてきました。そして会社が大きくなればなるほど、物理的にだけでなく、心理的にも社員同士の距離が離れてしまいがちなため、そこをどう解決するかが人事としての役割だなと思っています。
また会社の成長にあわせて、新しく入社される方も多くいらっしゃいます。そのときに人事広報部が会社の成長にブレーキをかけてしまわないためにも、新しく入社した方が「この会社に入ってよかった」と思えるキッカケづくりを、いかにたくさんしていけるかが重要だと思っています。
そのキッカケのひとつとして、オリジナリティを追求したGRUSTらしい福利厚生、社内制度を今後もつくっていきたいなと。そして成果を出して出世していく成長シナリオもあれば、ライフワークバランスのとれた働き方の実現が人によっては成長シナリオであったりと、成長の意味は人それぞれです。そうした成長の多様性にあわせて、多様性のある福利厚生や社内制度をつくっていきたいと考えています。
塩崎:人事広報部として、「GRUSTだからこそ、できることは何か」ということをもっと追求していきたいと思っています。
そして社内制度もいまは16個ありますが、もっとユニークなものを増やしていきたいですし、社員からでたアイデアをすぐに社内制度化できるような仕組みをつくっていきたいなと。そのためにも、社員からアイデアが出やすいよう、社員との信頼づくりを進めていきたい、そう考えています。