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会計データに基づくコンサルティングで日本企業を元気にしたい―税理士・大野 氏 × 会計DX・KANBEI ―

「DXの力で日本中の会計を簡単にする」をミッションに掲げ、会計業務に特化したサービスを展開するWizのKANBEI(カンベイ)事業部

業界最安級の記帳代行サービス「KANBEI(カンベイ)」や、クラウド会計ソフトの販売事業、会計コンサルティング事業を通して、会計領域のDX化を推進しています。

今回は、昨年12月にKANBEI事業の顧問に就任した、セブンセンス税理士法人 公認会計士・税理士の⼤野 修平 ⽒を迎え、KANBEI事業立ち上げから会計業界の現状、KANBEI事業が今後目指すことなどについて、KANBEI事業部・部長の小林、副部長の笠松と語り合っていただきました。

目次

  1. お客様の課題を会計データから明確にキャッチアップしたい
  2. 記帳代行の先の“コンサルティング”へ
  3. 企業も税理士も“記帳”を手放したい
  4. ビッグデータ化による会計DX
  5. トライし続けられる人材求む

お客様の課題を会計データから明確にキャッチアップしたい

笠松:本日はよろしくお願いします。早速ですが小林さん、KANBEI事業の事業内容説明をお願いします!

小林:KANBEIは大きく分けて3つの事業を展開しています。一つ目がクラウド会計ソフトの販売事業です。事業を設立した当初からメーカー企業様にお力添えをいただき、年間で約2,000社を超える企業様に会計ソフトの導入をいただいております。二つ目が、記帳代行事業です。会計ソフトを導入いただいた企業様を中心に、記帳業務の代行を請け負っています。三つ目が、これから本格化させていきたいと考えている会計コンサルティング事業ですね。

大野:会計領域に特化した事業部ですよね。KANBEI事業はどういった経緯で立上げされたんですか?

小林:KANBEI立ち上げ以前より、Wizはプロダクト営業のノウハウは培ってきたものの、コンサルティング営業をするにあたって、お客様のニーズを把握する力がまだまだ足りていないという課題がありました。
お客様が自覚しているお困りごとや、気付いていない課題などを、どうやってキャッチアップしていくか。営業マンの個人的なスキルや知識、コミュニケーション能力に依存してしまい、フレーム化していくのが難しい部分だったんですね。

そこで、お客様を会計の面からサポートできれば、何に投資をしていて、収益は上がっているのか、コストは適正なのかなどが分かり、お客様の抱えている課題が明確になるのでは、と考えたのが始まりです。

笠松:プロダクト営業はできているけど、コンサルティング営業はできていなかった、そのため、会計データに基づいたコンサルティングという大きな流れを作っていきたい、というのがKANBEIの始まりですよね。

小林:そうなんです。「KANBEI」という事業部名も、戦国時代の名軍師といわれる「黒田官兵衛」からとっていて、企業の参謀として経営をサポートしていきたいという想いが込められています。

笠松:大野さんはどのような想いでKANBEIに携わろうと思ってくださったのですか?

⼤野:数年前に、“将来消える職業”や“なくなる仕事”、というのが話題になったと思うのですが、その中に私たち税理士が携わる仕事もいくつか含まれていました。
税理士は記帳、決算、申告という一連の流れの中で、本来であればクライアントへのコンサルティングをやっていくべきなんですよね。
ですが、記帳などに時間をとられ実際はなかなかできていない。だから税理士の仕事の大部分がAIにとって代わられる、というように言われてしまうのかと思います。
KANBEIが行う記帳代行や会計コンサルティングは、税理士がコンサルティング業に注力できるようになる有益なサービスになるのではないか、と感じ、携わってみたいなと思いました。

小林:税理士の方々にとっても有益なサービスだと感じていただけて嬉しいです。

⼤野:税理士によって意見が分かれるところもあるかもしれませんが、記帳などの単純作業は手放して、コンサルティング業に注力していけるというのは税理士にとっても大きな利点だと思います。

記帳代行の先の“コンサルティング”へ

笠松:改めて、KANBEI事業の強みはなんだと思いますか?

小林:会計データを基にコンサルティング営業をやりたいという大きなビジョンを掲げつつ、まずはクラウド会計ソフトの販売や記帳代行を通してこの2年、お客様との関係値を整えてこれたのは大きな強みになっていると感じています。
次のフェーズとして、プロダクトアウトの状態から脱却し、お客様の課題に沿ったコンサルティング営業にシフトしていきたいというのが今の想いです。

笠松:立ち上げ当初と比べて、KANBEIが携わることができるお客様の幅が広がってきたというのも、強みになってきていますよね。規模の大、小に関わらずお客様の課題に対して様々なご提案ができる体制が整いつつあります。

大野:入り口として“会計ソフト”や“記帳代行”があるけど、KANBEIが目を向けているのはその先の“コンサルティング”の部分ですよね。

企業も税理士も“記帳”を手放したい

小林:KANBEIは記帳代行サービスを展開していますが、いま記帳代行の市場規模感ってどう思われますか?

大野:中小企業の大半が自社での記帳ってできてないと思います。主に顧問の税理士にお願いしているのではないでしょうか。
また、税理士側からするとその“記帳”が業務としてのボトルネックになっているんですよね。そこに圧倒的に時間をとられているから、他のことができないというジレンマがあると思います。

小林:企業側も、大野さんのような税理士側も“記帳”を手放したいと思っている訳ですね。

大野:そうだと思います。記帳よりももっと付加価値があるサービス、例えばコストコンサルティングや節税提案、資金調達などに力を割くことができるようになると、税理士の有益性もあがってくると思います。
企業にとっても、税理士にとっても記帳代行は需要があり、それだけ市場規模が大きいと言えるのではないでしょうか。
実際に企業の方にKANBEIのサービスをご案内した時の反応ってどんな感じですか?

笠松:企業の規模によってまちまちですが、やはり「任せられるんだったら楽だよね」という一定のニーズはあるなと感じています。会計の知識をお持ちでない方も多いので。

大野:本業をやる上で、会計に特別詳しくなる必要はないですもんね。

笠松:そうなんです。なので、記帳をお任せいただいているお客様からは、全面的に頼っていただいている、というのはありますね。

大野:企業の代表の方などが、いきなり簿記の勉強をし始めるというのも現実的ではないですよね。そんなことやるんだったら売上を少しでも立てた方がいい。そこは役割分担だと思うんです。
今まではその選択肢が税理士しかほぼなかったと思うのですが、KANBEIだったら、記帳はやってくれるし、申告は税理士に連携してくれる、さらにコストコンサルティングまでやってくれる。いいことづくしですよね。コストの分析もなかなか自社ではできないと思います。

小林:記帳って手を抜こうと思えば抜けますが、ある程度細かくしっかりしておかないと、コストの分析もできないですよね。

ビッグデータ化による会計DX

大野:KANBEI事業の現状の課題ってなんでしょうか?

小林:会計周りってやはり複雑で難しいので税理士さんはいなくならないと思います。その中で税理士の方々とどのように共存していくのか、は課題です。その点大野さんに入っていただいて色々アドバイスをいただきたいです。

大野:税理士との共存というのはKANBEI事業にとって外せないところですね。
先ほどもお話しましたが、記帳中心の税理士業に課題を感じている税理士の方は多くいると思います。記帳は手放して、コンサル業に集中したいなと思っている税理士の方たちと提携し、Win-Winの関係を築いていくというのは今後めちゃくちゃ大切ですよね。
笠松さんはどこに課題を感じていますか?

笠松:KANBEI事業はもともと、“会計データを入れたら自動的にコスト診断を行い、削減が可能な事業者に問い合わせや見積もり依頼ができる”、というプラットフォームをつくることを構想として持っているんです。

大野:それすごくいいですよね。

笠松:ありがとうございます。ただ、ひとことでコスト診断といっても、業種、業態、企業規模、地域、などによって診断基準となる金額も用途も変わってきます。現状はまだまだデータが足りていないため、会計データをさらに蓄積して、ビッグデータ化していく必要がありますよね

小林:企業情報の深いところにある“会計データをとる”というのはすごくハードルが高いんですよね。買ってきたり探してきたりできるものではないので、営業リソースも時間も割かなければならないところですが、ここをスピード感をもって行っていくというのは立ち上げ当初から課題に上がっているところです。

大野:税理士からの信頼を得られれば、KANBEI事業も一気に拡大できるかなという気がしています。
あと、インボイス制度が開始されると、記帳もますます複雑になっていきますよね。インボイス事業者なのかそうじゃないのかっていうのをまず区分しなければならない。
税理士事務所としては結構頭が痛いというか、悩ましいです。記帳ってやっぱりネックだよね、という感じで世間に広がると思います。
繰り返しになりますが、KANBEIが税理士たちの市場を奪うという感覚は全くなくて、役割分担だと感じています。税理士がやりたがらないことをKANBEIがやる。
インボイス制度の開始はKANBEIにとっては逆にチャンスかもしれません。

笠松:KANBEIで実施した分析データなどを、税理士さんにも活用いただくとか、共存の仕方は色々模索していきたいところですね。

トライし続けられる人材求む

大野:今後KANBEI事業を拡大するにあたり、どんな方にジョインして欲しいですか?

小林:会計業界に明るい方、専門性がある方、プラスアルファで営業力がある方だと望ましいです。

大野:かなりハイスペックな方を求めていますね(笑)

小林:普通の営業とは一味違いますからね(笑)KANBEI事業を立ち上げてから「難しいことをやっているな」という感覚は自分自身もずっと持っていて。プロダクト営業もコンサルティング営業も、これまである程度経験してきましたが、KANBEIに携わるようになって常に難しいことにトライし続けているなと感じています。
自分で言うのも何ですが、KANBEI事業部にいる若手がうらやましいですね。市場価値が高い人材に育つと思います。

笠松:会計領域って求められるものが広いですよね。ある時は創業の相談を受けたり、ある時は事業売却の相談を受けたり、給与や労務に関してのご質問をいただいたりもします。KANBEIというプロダクトを自分たちで作り育てていくという大変さもあります。
こんなにたくさんのことを学べる事業部はWizの中にもないですし、そこが自分自身楽しく感じています。同じように楽しんでもらえる方と一緒に働きたいなと思います。

大野KANBEIは税理士業界にポジティブな影響を与えられるポテンシャルがあるなと思います。KANBEIによって税理士がより付加価値がある仕事に集中できるようになると、税理士の存在価値も上がっていく。税理士が付加価値のある仕事に集中することで、中小企業がもっと元気になって、経済に良い影響を与え、日本という国もどんどんよくなる、そんなよい循環のスタートがKANBEIからできたらいいですよね!


【⼤野 修平 ⽒】セブンセンス税理士法人 公認会計士・税理士。 大学卒業後、有限責任監査法人トーマツへ入所。金融インダストリーグループにて、主に銀行、証券、保険会社の監査に従事。トーマツ退所後は、セブンセンス税理士法人にて開業支援、融資支援、税務顧問などの業務を行う。また、毎週、補助金と融資の勉強会を開催し、中小企業の資金繰り支援にも力を入れている。

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