2015年の創業以来、クロスボーダーマーケティングカンパニーとして、成長を続けてきたENGAWA株式会社(以下、ENGAWA)。創業10周年を迎え、新たな未来に向け、舵を切りはじめています。試練と変化の10年を越えた今、次に目指すステージとは。
代表取締役社長の牛山さんに、10周年の想いと未来への展望を伺いました。
激動の10年を越えて。感謝と共に、次の未来へ
――ENGAWA創業10周年、この節目を、今どのように捉えていますか?
10年の節目を迎え、本当に感慨深いです。最初は数名のメンバーで始まったENGAWAが、今では50名を超える多国籍な社員が活躍するグローバルな組織へと成長しました。
振り返れば、決して平坦な道のりではありませんでした。特に、2020年の新型コロナウイルスの流行による市場の急変は大きな試練でしたし、2021年にAnyMind Groupにジョインし、グループで上場を経験したことも、大きな転換期でした。
――市場が大きく変動する中でも、成長を続けてこられた要因は何だったのでしょうか?
コロナ禍で多くの企業が売上を落とす中、主力事業である「インバウンド(訪日外国人)」向けのマーケティング市場にも大きな影響がありました。そもそも旅行自体ができなくなったことで、訪日客を対象にしたプロモーション施策が根本から見直しを迫られたんです。
そこで私たちは迅速に施策を転換しました。現地取材が難しい中、スタジオからの産品紹介動画やバーチャルイベントなど、オンラインで地域の魅力を伝える新コンテンツに挑戦しました。
また、オンラインメディアやSNSに特化した施策を展開し、データ分析やデジタルマーケティングのノウハウをさらに深めました。こうした取り組みによって、厳しい状況下でも売上を維持し、成長軌道に戻すことができました。
これらの新しい取り組みによって、特に省庁・自治体の案件では、私たちの強みである「クリエイティブの多様性」と「新しい施策の実行力」を評価いただき、新たなプロジェクトの機会を数多くいただくことができました。これは大きな自信になりました。
常に時代や市場の変化に合わせた新しい挑戦を続けたこと、また、それを支えてくれた社員たちの努力が、現在のENGAWAの成長基盤を築いていると感じています。支えてくださったクライアントやパートナー、そして何より苦しい時期を共に乗り越えてくれた仲間たちには、心から感謝しています。
――様々な経験を経て、ENGAWAの強みをどのように再認識されていますか?
これらの経験を通して、変化への適応力と、常に新しい価値を創造しようとする挑戦心が、私たちの最大の強みであると再認識しています。
また、AnyMind Groupへの参画は、ソリューションの強化とグローバル展開を加速させる上で非常に大きな機会となりました。AnyMindは自社開発ソフトウェアを持つテクノロジーカンパニーで、アジア圏を中心とした拠点やローカルネットワークに強みがあります。ENGAWAの欧米豪のインフルエンサーネットワークやメディアの強みを掛け合わせることでデータを活用した高度なSNS・デジタル施策の実行やグローバル展開がさらに加速しています。
この10周年は、単なる通過点ではありません。これまでの経験と感謝を胸に、次の10年、さらに未来へと飛躍するための、重要なスタートラインだと考えています。
「日本と世界に共感をつくる」新たなMVVに込めた想い
――10周年を機に、新たな経営方針やビジョンを掲げられたそうですね。
はい。これからのENGAWAが進むべき方向性をより明確にするため、MVV(Mission, Vision, Value)を刷新しました。私たちの新たなミッションは『日本と世界に共感をつくる』です。これは、クライアントの製品やサービスを海外に届けるだけでなく、これまで見過ごされてきた日本の価値を再発見し、世界中の人々に消費・体験してもらうことで、国境を越えて人々の人生を豊かにする「上質な共感」を創り出したいという思いが込められています。経済的な豊かさに加え、心の豊かさを提供することで社会に貢献したい。私たちはビジネスシーンにおいてそのプロフェッショナルであることを目指しています。
――ビジョンとバリューについても教えていただけますか?
ビジョンとしては『日本を代表するクロスボーダーマーケティング・カンパニー』を掲げました。これは単なる業績目標ではなく、クロスボーダー領域において、社会に持続的な価値を提供し、必要とされる存在であり続けたいという決意表明です。
そして、その実現を支えるバリュー(行動指針)として『楽しく働くグローバルプロフェッショナル』を掲げました。これは、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして挑戦と成長を続け、クロスボーダーという難しい課題の解決を通じて社会に貢献すること。そして、クライアントはもちろん、社員自身の物心両面の幸せを追求し、常に高い目標に挑む姿勢を大切にしています。このMVVを全社員で共有し、日々の仕事に取り組んでいきたいと考えています。
追い風吹く市場とテクノロジーの力で、さらなる高みへ
――ENGAWAが事業を展開する市場環境については、どのように見ていらっしゃいますか?
現在、私たちにとって大きな追い風が吹いていると感じています。特にインバウンド市場は、目覚ましい回復と成長を遂げています。例えば、2025年1月には訪日外国人旅行者が過去最高の378万人(前年比41%増)を記録し、2024年の年間訪日客数は3686万人と過去最高を更新¹。消費総額も8.1兆円(前年比+53%)に達し、非常に高い成長規模を持った輸出産業となっています²。
政府も2030年に訪日外国人6000万人、消費額15兆円という高い目標を掲げており、観光庁の予算も増額され、地方を中心としたインバウンド誘致への投資が活発化しています*³。
――特に注目しているトレンドはありますか?
訪日市場では、国籍や年齢、旅行目的に大きな多様化が見られます。韓国や台湾からのリピーターの増加に加え、欧米やオーストラリアからは、より深い文化体験や高付加価値なサービスを求める声が強まっています。団体旅行から個人旅行へのシフトも進み、旅行スタイルはより自由で個性的に。さらに、多彩な地域の自然や伝統文化に触れたいというニーズも高まっており、地域ごとの魅力を活かした提案が求められています。
また、特に注目しているのは、旅行中に100万円以上を消費するようなラグジュアリー層の存在です。この層は全体の1%程度でありながら、消費額全体の14%を占めており*⁴、彼らに向けた質の高いサービスや体験を提供することが、市場全体の成長を牽引する鍵になると考えています。ENGAWAとしても、この高付加価値層へのアプローチは強化していきたい領域です。
*¹ JNTO. 訪日外客数(2024年12月および年間推計値)https://www.jnto.go.jp/news/_files/20250115_1615.pdf
*² 観光庁. インバウンド消費動向調査 https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001856155.pdf
*³ 観光庁. 令和7年度 観光庁関係予算決定概要 https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001854639.pdf
*⁴ 観光庁. 地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりに向けたアクションプラン https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001483863.pdf
――テクノロジーの活用については、どのようにお考えですか?
テクノロジー、特にAIの活用は、今後の成長に不可欠だと考えています。私たちが所属するAnyMind Groupは『AI-Native Comany』を掲げ、世界24拠点で全社一丸となってAIと人の共創による変革を行っています。AIを前提とした業務により生産性と質の両面で進化をする取り組みです。ENGAWAもAIを積極的に駆使し、自らの業務とサービスを刷新し、より高度で効率的なクロスボーダーマーケティング・ソリューションを提供していきます。今後も日進月歩で進化するテクノロジーを、ビジネス成長を加速させるエンジンとして最大限に活用していく方針です。
活況を呈するインバウンド市場という追い風と、ENGAWAがこれまで培ってきたクロスボーダーマーケティングの知見、そしてAIをはじめとするテクノロジーの力を掛け合わせることで、私たちはミッションである『日本と世界に共感をつくる』を実現し、ビジョンである『日本を代表するクロスボーダーマーケティング・カンパニー』へと邁進していきます。
ENGAWAで働くということ。成長と挑戦、そして仲間
――採用候補者の方に向けて、ENGAWAで働く魅力について教えてください。
ENGAWAの一番の魅力は、やはり多様なバックグラウンドを持つグローバルな仲間たちと共に、国境を超えたダイナミックなプロジェクトに主体的に関われるチャンスがあることだと思います。世界中のインフルエンサーと連携した大規模なマーケティングキャンペーンを企画・運営したり、日本企業の海外進出を戦略段階からサポートしたりと、他ではなかなか経験できない、スケールの大きな仕事に携わることができます。
(※実際のプロジェクト事例はこちら:https://engawa.global/works/)
――どのような成長機会がありますか?
ENGAWAは、社員一人ひとりが、ただ日々の業務をこなすだけでなく、自身の仕事を通じて社会に貢献し、自己実現を追求できる場でありたいと考えています。クロスボーダーマーケティングという領域は、常に変化し、新しい知識やスキルが求められます。だからこそ、挑戦を重ねながら専門性を高め、グローバルな視点を養うことができます。バリューに掲げた「楽しく働くグローバルプロフェッショナル」を目指し、社員の意欲に応じた「学び」と「挑戦」の機会を積極的に提供しています。
また、社員同士の信頼関係と成果へのコミットメントのバランスも大切にしています。一人ひとりが主体性を持ちながらも、チームとして連携し、高い目標に挑む。そんな文化がENGAWAの成長を支えています。個々の強みを活かしたキャリア支援にも注力し、定期的な1on1などを通じて、成長を後押ししています。
未来へ。"The Quality Company"を目指して
――最後に、ENGAWAが目指す未来について、改めてお聞かせください。
私たちはこれからも、『日本を代表するクロスボーダーマーケティング・カンパニー』に向けて、常に進化し続けます。そして、事業規模を拡大するだけでなく、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして自信と誇りを持って仕事に取り組み、クライアント、そして社会全体に対して質の高い価値を提供できる、真の“The Quality Company”を実現していきたいと考えています。
10年後、さらにその先も、世界から必要とされる企業であり続けられるよう、全社一丸となって挑戦を続けてまいります。