こんにちは! 広報インターンのmozukuです。
GIGでは毎月さまざまなテーマで勉強会を開催しており、現在はコロナウイルス感染拡大防止のためオンラインにて実施しています。
今回の勉強会では、サーバーサイドエンジニアの和田 憲幸さん、インフラエンジニアの佐藤礼於さん、バックエンドエンジニアの庄子肇さんに、
- 踏み台サーバはもう不要。これからはSSMを使おう!
- メタバースに行ってみよう
- フェイストラッキングして Live2Dモデルをグリグリしてみた
という3つのテーマについて教えてもらいました!
なお、今回の勉強会は一部「メタバース」を取り扱うことから、実際に『Hubs by Mozilla』というメタバース空間にて行いました! 実際の映像はこんな感じ。それぞれが作ったアバターが勉強会を視聴するという、ちょっと変わった体験に大盛り上がり!
踏み台サーバはもう不要。これからはSSMを使おう!
1人目の登壇者は和田 憲幸さん。セキュリティ対策についてイチから教えてもらいました。
■登壇者プロフィール
和田 憲幸(わだ のりゆき)
サーバーサイドエンジニア 静岡の技術専門学校を卒業後、SIer(エスアイアー)としてIT企業でプロジェクトに携わる。その後Webサービスのマネージャー経験を積み、2018年2月にサーバーサイドエンジニアとしてGIGにジョイン。
ポート番号とは?
和田:
まずはポート番号のお話から。ポート番号とは、サービスの入り口と出口を指定する番号です。それぞれのポート番号でできることは世界共通で決められています。たとえば、21番では、ファイルを送受信することができますが、それ以外のことはサーバー側が拒否します。
サーバーへ接続するときには、22番ポートを使ってSSHで接続することができます。SSHは暗号化しているわけですが、セキュリティ面に関して懸念が残ります。というのも、22番のポートは開放されているため、誰でも入れるようになってしまうからです。
そこで「22番ポートは開けるけど、特定の人しか入れない仕組みを作った方がいいよね」という発想から、もうひとつ管理者のようなサーバーを立て作った仕組みが、「踏み台サーバ」です。
踏み台サーバとは?
和田:
踏み台を経由すると、誰がどこにアクセスしたのか履歴が残ります。もし踏み台を経由せずに直接Webサーバーにアクセスできてしまうと、ログが追跡しにくく、攻撃されても特定しにくいんです。Webサーバーは踏み台からしか接続できないように制限しようというのが踏み台サーバの考え方であり、一般にいわれるセキュリティ対策ですね。
それでも「踏み台で大丈夫?」という考えもあります。踏み台があっても、ポートを開放することに変わりないので、何かしらの攻撃を受ける可能性はあるんです。そこで「ポートは閉じるけど、サーバーにはアクセスしたい」というワガママな願いを叶えてくれるのがSSMです。
SMMとは?
和田:
SSMでは、セッションマネージャーといわれるものを経由します。踏み台がセッションマネージャーになったイメージですね。クライアントは、Webサーバーに直接アクセスするのではなく、セッションマネージャーにアクセスします。クライアント側がSSMに接続しに行くと、セッションが確立されます。セッションが繋がると、エージェントが毎回ポーリングをし、エージェントがSSHをするという流れになります。直接アクセスしているわけではないので、22番ポートは閉じても大丈夫です。
和田:
SSMの最大のメリットは、ポートが閉じられることです。そのほかにも、SSMは新しいサーバーの接続として採用されるものですが、従来の使い方を踏襲できたり、AWSのほうでユーザー管理ができたりするのもメリットとして挙げられるでしょう。
メタバースに行ってみよう
2人目の登壇者は、佐藤礼於さん。
ご自身もハマっているという、最近はやりの「メタバース」についてイチから教えてくれました。
■登壇者プロフィール
佐藤 礼於(さとう れお)
インフラエンジニア。公立はこだて未来大学複雑系知能学科卒業後、2021年に新卒でGIGに入社。クライアントワークにて、フロントエンド/バックエンド/インフラと、Webの技術全般を担当する。
メタバースとは?
佐藤:
メタバースとは、Meta(超越する) と Universe(世界)をあわせた造語です。
インターネット上の仮想空間でアバターを操作したり、コミュニケーションをとったりしながら、もう一つの現実として生活を送れるのがメタバースです。ただしメタバースは定義があいまいで、特定のサービスを指しているものでもありません。
コロナ禍で自由に外出できない日々が続きますが、仮想空間ならば自由に外に出られますよね。インターネットとVRでメタバースは構成されているため、リアルタイムで交流したり、現実ではあり得ない空間に行ったりすることもできます。
メタバースの需要は高まっており、2024年の市場規模は8000億ドルに到達するといわれています。
佐藤:
メタバースを目指すサービスは数多くあります。日本発のサービスもありますが、それぞれ機能も方向性も異なるので、いろいろ体験してみるとよいでしょう。今回は、次の2つを紹介します。
▲出典:Second Life
『Second Life』は2003年にサービスを開始し、2007年に流行しました。メタバースの先駆けとなった伝説サービスですが、いまはユーザーがあまりいません。
『VRChat』は、コミュニケーション特化型のサービスです。Unityを使って、アバターやワールドを作れます。最近自分もアバターなどを調整したり、ワールドを作り始めてみたりしています。そのときの自分の好きな姿で参加できるのが、メタバースのいいところですね。
メタバースの今後
佐藤:
流行りはじめてまもないですが、メタバースは発展途上です。「マルチバースを実現してこそ、メタバース」という考えもあります。マルチバースとは、メタバースとして稼働しているサービス間を、相互に行き来できるようになることです。
たとえば、VRChatで買ったアバターで他のサービスに行けたり、服やアイテムを他サービスに持っていけたりするのがマルチバースの世界です。マルチバースを実現するとユーザーの囲い込みができなくなるため、難色を示す会社さんもいるでしょう。またマルチバースを実現するためには、技術を標準化する必要もあります。
佐藤:
メタバースを利用するユーザーは増えています。しかしそのような状況でも、次の2つは将来も変わらないでしょう。
- UGC(User Generated Content)
- ユーザーコミュニティファースト
UGCに関しては、いまもWeb上で文章や絵を公開できるように、メタバースでも同じことができるのが大事だと思います。実際、一部のサービスでは、作ったワールドやアバターを他のユーザーに使ってもらったり、配布したりすることができ、経済圏が成立しています。
ユーザーコミュニティファーストであることも、今後変わらないでしょう。すでにメタバースに住んでいる人たちの声を聞いて、サービスに反映していく。そうでないとユーザーが離れてしまいます。これから参入するコミュニティは、ユーザーコミュニティファーストを意識する必要があります。
フェイストラッキングしてLive2Dモデルをグリグリしてみた
3人目の登壇者は、庄子肇さん。
可愛らしいLivereiDさんとともに、Live2Dの使い方について詳しく説明してもらいました。
■登壇者プロフィール
庄子肇(しょうじ はじめ)
バックエンドエンジニア。宮城大学事業構想学部デザイン情報学科を卒業後、ベンチャー企業でエンジニアとして常駐先のシステム開発やサイト制作の経験を積んだのち、2019年10月にGIGにジョイン。
Live 2Dとは?
LivereiD:
Live2Dは、2Dのモーフィングによるシームレスアニメーションを可能にする技術です。簡単に言うと、2Dの絵を動いて見えるようにする技術ってことですね。『放置少女』や『BanG Dream!(バンドリ!)』といったゲームでも使用されているので、みなさんも一度は見たことがあるかと思います。また、最近ではバーチャルYouTuberがバーチャルの姿を手に入れ、ライブ配信をするためにLive2Dを使用することが増えています。
庄子:
Live2Dってすごいんですね! 自分もバーチャルの姿を手に入れてみたいです!
LivereiD:
まずは、庄子さんの姿を認識するフェイストラッキングソフトが必要になります。環境やPCスペック、もっている端末の種類によって使用するソフトが変わってくるので、状況に応じて選択していきましょう!
フェイストラッキングソフトを選ぼう
LivereiD:
まずおすすめしたいのは『Animaze by FaceRig』ですね。使っている人が多く、トラッキングの精度がよいと言われています。ただし、こちらはWindows専用のソフトになりますね。Macに対応しているソフトはこちらです。
- 『3tene』
FREE/PRO/STUDIOの3種類あり、Live2Dを動かすためにはPRO以上のソフトが必要になってきます。
- 『VTube Studio』
PCのWebカメラを使用することで、無料でLive2Dモデルを操作することができます。iOSやAndroidと連携して使う場合は有料アプリを購入することで使用できます。iOSの『ARKit』やAndroidの『ARCore』を使用することで、高精度なトラッキングをすることが可能。
VTube Studioを使って、Live2Dを作ってみよう
LivereiD:
このままだとカメラが認識してくれないので、次の手順でカメラの設定をしてあげます。
- 左のメニューから設定メニューの歯車を押す
- 設定メニューが開いたら、カメラアイコンを選ぶ
- Webcam Tracking設定から、カメラをONにする
LivereiD:
バーチャルの姿を手に入れたので、実際に動かしてみましょう!
庄子:
すごい! 自分も美少女になれましたよ! ついでにもうひとつお願いがあるのですが......この姿でWeb会議に出たいです。
バーチャル姿でWeb会議に出るには?
LivereiD:
バーチャル姿でWeb会議するためには、『OBS』というソフトが必要です。OBSは主にPCで動画配信を行うときに使うソフトで、無料で使えます。バーチャル姿でWeb会議にでるには、OBS上で次のように操作していきます。
- ソースウィンドウの「+」を押して、「ウィンドウキャプチャ」を選択する
- ウィンドウの洗濯で「VTube Studio」を選択する
- VTubeStudioの画面がOBS上に展開するので、赤枠内にVtubeStudioの画面を収める
- コントロールパネルから「仮想カメラ開始」を選択する
LivereiD:
これでOBSの画面が仮想カメラとして認識されるので、ZOOM等のカメラ設定で「OBS Virtual Camera」を選択すれば、相手にバーチャルの姿を表示することができます!
庄子:
うわあああああ、すごいいいいいい。会社でのWeb会議はこの姿で出ますね!何から何までありがとうございます!
まとめ
今回の勉強会では、セキュリティ対策から、最近話題のメタバースやLive2Dについて詳しく知ることができました。今後は、マルチバースな世界を実現するように、現実世界とバーチャルな世界を頻繁に行き来する時代が来るかもしれませんね!
また「気になるけど、何からはじめればよいか分からない!」と感じていたなかで、おすすめのサービスから便利なソフト、はじめる手順まで手厚く紹介してもらえたため、とても勉強になりました。バーチャル姿でのWeb会議参加にも挑戦してみたいです。
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(この記事はGIG BLOGからの転載です)