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【活動報告】タイで産地開拓に挑み、“日本品質の野菜を日本以外の畑で栽培”を実現したい

農作物の輸送に特化した物流会社である福岡ソノリク。実は、タイに農作物を生産する子会社・タニヤマサイアムがあり、今回は2022年8月に行ったタイ視察についてレポートします。

タニヤマサイアムについて


タイのバンコクに本社を構えるタニヤマサイアムは、約1000軒の生産者と連携して、オクラやアスパラガス、ヤングコーン、マンゴーを生産・輸出しています。タイの平均気温は30℃前後、湿度70%という高温多湿の気候です。そのため日本では旬の時期が限られるアスパラガスやオクラも、タイで栽培すれば一年中安定した品質で供給できるという大きなメリットがあります。

タニヤマサイアムは創業者が1980年代に日本からアスパラガスの種を持ち込んで栽培に取り組んだのが会社としてのはじまりでした。現在では日本人の社員4名、タイ人の社員82名、201名のパートワーカーが働いています。日本の人口減少によって国内マーケットが縮小することに危惧を抱き、海外でも事業を展開したいと考えた福岡ソノリクが2020年にグループ会社として迎え入れました。

タイ視察の目的


現在は、取締役の園田が約3ヶ月に1度のペースで現地を訪問し、タニヤマサイアムの状況を把握したり、現地生産者と栽培状況などについて面談したりしています。

2022年8月には園田がタニヤマサイアムのオフィスがあるバンコクを中心に2週間ほど滞在し、アスパラガス生産者と価格調整やオクラに発生したハダニという害虫対策について協議しました。

加えて、今回の視察は「新たな産地の開拓」という大きな目的がありました。今後タイの農地でさつまいもとアボカドの生産に新たに取り組みたいと考えており、現地の生産者や自治体職員とお会いして、タニヤマサイアムと連携して生産に取り組んでいただけないか相談しました。

その結果、現地の生産者や県知事がさつまいとアボカドの生産に関心を示してくれ、今後産地開拓の手応えを感じることができました。生産量は年間数千〜数万トンを想定しているので、実現すれば大規模な産地となります。


現在、タイも人件費や物価が上昇しています。そのため生産者は付加価値の高い農作物は何なのかを探っていますが、それを見極めるにはマーケティングの視点が必要になります。

福岡ソノリクはマーケットのポテンシャルを踏まえて産地開拓をしていること、タニヤマサイアムが40年近くタイで生産に取り組んできた実績があること、そうした点から今回の提案に興味を持っていただけて、前向きに産地化を進めていけそうです。

やはり現地に住んでいる方々に興味を持っていただき、生産に取り組んでいただかなければ、大きな産地づくりはできません。今回の視察でそのきっかけづくりができてよかったと思います。

産地を開拓するにあたって、現地の方の温度感は直接お会いしないとわかりません。他にも産地の土地感、気候、栽培に関する状況など、現地に足を運び、そこに住む人と会うことでしか得られない情報がたくさんあります。今回の訪問では、新しい農作物の生産に対する現地の人の熱量が高いことを知り、手応えを感じました。

タイで産地開拓をする理由と今後の展望


日本の農作物は品質が高く、タイでは高く評価されていますが、高価格で流通しているため一部の消費者にしか流通していないと感じています。現地で高品質の農作物を生産し、求めやすい価格でご提供することでより多くの消費者に味わってもらいマーケットを拡大できるのではと考えています。

また、日本からみて海外で産地化を進めることは、日本と海外との産地リレーによる周年供給、国内の旬の時期以外でも通年食べられることや、日本国内での不作時の供給維持といったメリットもあります。

もちろん、海外で日本品質の農作物を生産することは一筋縄ではいきません。産地ごとに気候や生息している虫の種類も違うため、日本での方法をベースにしながらも、現地の状況に合わせてうまく調整しなくてはいけません。日本の生産者とも連携して力を借りながら、何度も現地を訪れて、産地と向き合う必要があります。まずはタイでさつまいもとアボカドの大規模産地化を実現させたいと思います。

また、タイでは生産者側にいる福岡ソノリクですが、ゆくゆくは日本のように物流業にも進出したいと考えています。タイの物流は数十年前の日本のように温度帯などの管理が行き届いていないのが現状です。福岡ソノリクの保管技術を活かした農作物の物流を、タイや東南アジアのその他の国々で広く展開していくのが今後の目標です。

取材・文/平川朋子

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