空間デザインのプロが自ら体現する「未来のワークプレイス」。フロンティアコンサルティングのオフィス戦略
「働く人と働く場所の未来をつくる」。 このパーパスを掲げ、数多くの企業のオフィスデザインやワークプレイス構築を手掛けてきたフロンティアコンサルティング(以下、FC)。企業の組織課題を空間の力で解決するプロフェッショナル集団にとって、「自社オフィス」は単なる作業場ではありません。
FCでは、全国5拠点(東京、札幌、名古屋、大阪、福岡)のワークプレイスを、それぞれの都市環境に合わせた機能的かつ個性的な空間としてデザインしています。お客様に向けて新たなワークステージを創造するFCにとって、まずは自分たちがそのモデルケースとなる空間で働くことが重要という考え方が根底にあるからです。
FCのオフィスは単なる作業場ではなく、物理的な壁をなくし、役職や部署による隔たりを設けないオープンなレイアウトや、業務に合わせて席を選ぶ自律的なフリーアドレス制。そして、アクセスの良さや地元建材の活用に至るまで、立地も内装も一切の妥協はありません。
本記事では、FCが誇る全国の多彩なワークプレイスの写真と共に、空間に込められた本質的なこだわりと緻密な設計哲学を紐解きます。
東京本社『OTEMACHI KORTO』が体現する「関わりしろ」
日本経済の中心地・大手町に構える東京本社のコンセプトは、『OTEMACHI KORTO』。エスペラント語で「中庭」を意味するこの空間は、企業とワーカーがそれぞれのパーパス実現と働きがいを高めていくことを目的に、ステークホルダーや社会との多様な関わりを育む「関わりしろ」として設計されています。
オフィスに入ってまず目を引くのが、エントランスと一体になった『BUZZ LOUNGE』です。ここではイベントやセミナーを通じてリアルな「関わり」を育み、社内外のコミュニティ形成を支援しています。エントランスに面した場所にはファシリティマネージャーのワークスペースを配置し、日常的な運営だけでなく、コミュニケーションハブとして機能させています。
空間の随所には、パーパス実現に向けたインスピレーションを刺激する仕掛けが散りばめられています。
- パーパスライブラリー: 「トレンド・プロジェクト・デザイン・コミュニティ」の4カテゴリーで選書し、社員の学びを後押し。外部の選書サービスも活用し、クリエイティビティを刺激します。
- ダイアローグスペース: カフェカウンターを設け、個々がパーソナリティを開示し、企業と個人のパーパスを擦り合わせる創造的な対話の場となっています。
- プレシャスプラスチックアート: 海ごみ等の廃プラスチックから生まれたタイルで壁面アートを制作。タイル製作を行う地域との継続的な関わりを通じて、環境問題への関心を自然と高めています。
- tonari: 海外拠点を含む全国の支店を常時接続する等身大スクリーン。まるで隣にいるかのようなライブ感で、拠点間のコミュニケーションをシームレスに繋いでいます。
さらに、ロッカーのサイズを極小化し物量を大幅に減らすことで、属人的な業務を見直すきっかけを生むなど、働き方の根本からデザインしています。
こうしたフラットな情報共有を促すカルチャーに加え、デザインの奥には生産性や心地よさを担保する機能美が隠されています。
特筆すべきは「白銀比(大和比)」の採用です。正方形のピッチで設計された大手町ビルの区画に対し、日本人が本能的に美しいと感じ、空間的にも感覚的にも馴染むこのモデュールを設計軸に据えました。建築資材のロスを減らし環境に貢献するだけでなく、視線の抜けや動線の変化と組み合わせたシークエンス(連続性)のデザインを緻密に計画しており、各会議室から特注の照明に至るまで、この白銀比で構成されています。
また、オープンな風土の象徴として、東京本社は外から中が見える1階のショールーム型となっています。面接前に求職者が外からオフィスの雰囲気を見学に来ることも。最終面接時には必ず全員へオフィス案内を実施しており、会社のありのままを見せる透明性の高さも大切にしています。
「出社する価値」の再定義と、インサイドアウトのワークビジョン
FCの自社オフィス構築のアプローチは、ロケーションや面積といった外部環境要因から考える従来の手法とは一線を画します。「自分たちはこう働きたい」という姿から逆算し、必要なロケーション・面積・設備・家具などをインサイドアウトで検討する「ワークビジョン」のアプローチを完全実践しています。
その象徴とも言えるのが、東京本社における「集中ブース」の扱いです。広いオフィス内に集中ブースはわずか3席のみ。「集中したい業務なら在宅で」という逆張りの哲学が凝縮されており、出社の目的を「関わりと共創」に明確に絞り込んでいます。
各拠点のコンセプトを読み解くと、FCが定義するリアルな場の価値は「体験の共有・対話・関わりの創出」に集約されます。働く場所とともに、そこでの働き方についても常に新しく最適であることを意識的に実践し、その経験を顧客への提案における強烈な説得力へと昇華させています。
都市環境と共鳴する、全国各拠点のローカライズ
FCでは、全社共通の設計軸として「Reception / Lounge / Conference / MTG Room / Solo Room / Open MTG / Project Space / Backyard」の8ゾーン構成を採用し、目的に応じた使い分けを可能にしています。その上で、各拠点の都市環境やチーム特性に合わせた個性豊かなローカライズが行われています。
〈大阪支店:Mi Do Relation ー緑“交流の輪”をPARKからOFFICEへー〉
2026年1月、グラングリーン大阪パークタワーへ移転した大阪支店。「街・アート・テクノロジー・思い」の4つのリレーションが重なり合う空間です。エントランスの『CONNECT BASE』を中心に、ダイナミックな没入体験を提供する『イマーシブ映像壁面』や、廃材を活用した社員制作アート『ART LINK』など、このオフィスならではの体験を創出。アトリエ型ワークエリア『KNOWLEDGE SKY』では、実寸大のサンプルやホワイトボードを活用し、リアルなコミュニケーションからアイデアを立ち上げています。
〈名古屋支店:ワーカーのための「ビオトープ」〉
東海地区の新たなワークステージの生態系を醸成する場。エントランスはワントーンで仕上げられ、左右非対称の空間ボリュームと自然素材のテクスチャーで「整えすぎない心地よさ」を追求しています。桜通に面した開口部で街と繋がり、空間全体にゆとりを持たせることで、ワーカーが自由に動き回り発想が交わる設計となっています。
〈福岡支店:体験の共有を通じた「関わり方」と「働き方」のブレンド〉
博多・天神のコンパクトシティに着想を得た福岡支店。最大の特長は、ゾーンごとにモジュールをすべて変えた「ショールーム型」の設計です。来訪者に様々なワークシーンを体験させることで、最適なワークプレイスへの気づきを提供します。那珂川や天神中央公園の眺望を取り込み、中心の『ビッグテーブル』ではランチやミーティングを通じた体験共有と文化醸成が行われています。
〈札幌支店:ミニマリズムによる「コミュニケーション」と「集中」の両立〉
入居ビルのガラスウォールを踏襲した、機能性を追求するミニマリズムなデザイン。社内外のディスカッションを促す『プロジェクトゾーン』の無駄のないシンプルな空間がクリエイティブな思考を引き出す一方、外部の採光を取り込んだ『パーソナルデスクエリア』では深い集中を促し、少数精鋭のチームパフォーマンスを最大化させています。
空間のプロフェッショナルとして、自らの働く環境に一切の妥協を許さないフロンティアコンサルティング。その洗練されたオフィスの裏側には、緻密な計算と社員への思いやり、そして社会に対する明確なパーパスが存在しています。 「ただ綺麗な場所」ではなく、哲学と機能が融合したこの本質的なワークプレイスは、ここで働く社員自身の成長とパフォーマンスを力強く後押ししてくれるはずです。