今回は、歩くだけで自分の身体や姿勢の状態を可視化し、日常の中で健康と美しさをサポートするスマートインソール「ardi(アルディ)」について、プロダクトマネージャーの山本健夫さんとブランディング担当の小玉千陽さんに、開発の背景やこだわり、チームについてうかがいました。ぜひご覧ください。
山本健夫さん ardi PdM(プロダクトマネージャー)担当
立教大学卒業後、新卒でヤーマン株式会社へ入社。スタートアップ企業で事業責任者・PdMを歴任。FiNC社ではAIチャットや姿勢解析機能のプロダクト開発、SEVENRICH社ではヘルスケア事業を立ち上げ、ジムやサウナ事業を運営し年商1億円を達成。パーソナルトレーナーとしての専門知識を生かし、身体に関わるサービスやプロダクト開発を得意とし、20名規模の組織マネジメントや採用・組織開発にも携わる。
小玉千陽さん ardi ブランディング担当 (ium.inc 代表)
東京工業大学卒業後、2011年にArt&Mobileに第一号社員として入社。フリーランス、大手広告代理店での活動を経て、2017年8月にデザインスタジオium inc.を設立。アートディレクションやUX/UIのコンサルティングを担い、ユーザー体験を起点とした設計とつくり込みを得意とする。
「ardi」のプロダクト開発において、どのような役割・ポジションを担当されていますか?
山本さん:
2024年12月からこのチームにジョインし、「ardi」の開発における一人目のプロダクトマネージャーを務めています。プロダクト全体の責任者として、方向性や事業の進め方を考えるポジションです。
私が担当する業務は大きく「プロダクトづくり」と「マーケティング」の2つです。
プロダクトづくりでは、ADである小玉さんや、UI・UXデザイナーと協力しながら、どのターゲットに向けて、どんな課題を解決するプロダクトにするかという方針を決めています。さらに、その方針を実現するために必要なユーザー体験を考え、アプリケーションの仕様や機能に落としこんでいます。その後、理想の体験や要求仕様を開発チームに接続し、具体的な実装方法を詰めながら、プロダクトづくりを進めています。
マーケティングでは、9月末に予定している「MAKUAKE」でのクラウドファンディングに向けた準備を行っています。事前に、「ardi」に興味を持ってくれたユーザーをLINEグループに集めるため、広告施策を立ち上げ、LPやバナーのディレクション、及び訴求内容の検証も担当しています。まだ途中の段階ではありますが、ターゲットに合わせて仮説を検証できる体制を整えているところです。
小玉さん:
山本さん経由でご依頼いただき、今年の初めから外部メンバーとして「UXデザイン」と「ブランディング」の領域でこのプロジェクトにジョインしています。グラフィックからアートディレクション、UX/UIコンサルティングを横断している強みを活かし、より価値のある体験を作れると考え、ご一緒させていただきました。
![]()
ご自身がこの仕事に惹かれた理由や、「ardi」のどんな部分に共感して関わっているのかを教えてください。
山本さん:
私はもともとパーソナルトレーナーとして仕事をしていた経験から、足から得られるデータの重要性や、それを改善することで得られるポジティブな影響について十分理解していました。
このデータを具体的に活用できたとき、ユーザーや社会に与えるインパクトは非常に大きいだろうと考え、その期待を胸にこのプロジェクトに関わることを決めました。
小玉さん:
このプロジェクトに関わると決まったときの第一印象は、大変そうというよりも、むしろワクワクの方が強かったです。
実際にオフィスで体験してみると、「こういうことなんだ」と納得すると同時に、「これには本当に大きな可能性がある」と思ったことを覚えています。
健康のためにジムに通ったり、弱った身体を鍛えたりするイメージはありましたが、インソールにセンサーが入るという発想はありませんでした。こういった理由から、「ardi」は日常の歩行データからウェルネスに変革が起きる、とても画期的なプロダクトだと感じました。
一方で、最初にお声がけいただいたとき、機能面はある程度整っていましたが、toC向けに展開する際に「何を大事にすべきか」「どう伝えるべきか」といった部分はまだ曖昧な印象でした。当時、アプリのプロトタイプもほとんど仮の状態に近く、「きちんとブランドとしてサービスを構築していく必要がある」と感じたため関わらせていただきました。
「ardi」の魅力はどんなところにありますか?
山本さん:
「いい状態で歩く」ことはとても大切です。最近では、web記事や書籍などでも、歩くことが身体にいいという話題をよく見かけるようになりました。
ただ歩くだけでも効果はありますが、さらに“よりよい状態で歩く”ことが、今求められています。その「よりよく歩く」の部分を、「ardi」を通じてサポートできることが大きな魅力です。
小玉さん:
「歩く」という日常の行動を「ardi」を使うことで計測・矯正でき、まるでジムに行くかのように変えられる点が魅力です。
無意識に歩くだけでは意味がなくても、少し意識して「まっすぐ歩こう」「右足に体重をかけすぎないようにしよう」と考えるだけで大きな変化が得られます。私自身も、日々早くユーザーになりたいと思いながらプロジェクトに関わっています。
![]()
このプロジェクトに関わる、視点や熱量の部分をお聞きしたいです。
山本さん:
私は、パーソナルトレーナーとして目の前のお客様をよりよくするために働いてきました。その経験が根底になり、現在の姿勢にもつながっています。
このプロジェクトを通じても、「ユーザーがよりよい人生を送り、ウェルビーイングな状態でいられるように」という思いが、何よりのモチベーションです。
さらに、それがやがて多くの人に広がり、社会全体が変わっていく。そんな大きな可能性も、私にとっての大きな原動力になっています。
小玉さん:
このプロジェクトは本当にワンチームで進めている感覚があります。毎週のミーティングでは、柔らかい状態のボール(=アイデアや相談)がたくさん飛んできて、それを一緒に考えながら形にしていきます。
また、さまざまなタスクが発生する中で、「ここは私がやります」「ここは●●さん、お願いします」といったように、変に周囲の様子をうかがうことなくスムーズに役割が決まる点も、このチームの素晴らしいところです。
こうした一体感は、他のクライアントワークではなかなか得られません。私自身が、「ardi」を世の中に出すことを楽しみにワクワクしながら取り組める理由のひとつになっています。
「ardi」は今後、どのような世界を目指しますか?
山本さん:
多くの人は、自分の身体や姿勢について実はあまりよく知りません。
「ardi」は、歩くだけで自分でも気づかなかったことをさりげなく教えてくれて、その情報をもとに理想の自分に近づけるサポートをしてくれます。こうした体験が、「もっと健康になりたい」「もっときれいになりたい」といった自然なモチベーションにつながるきっかけになると考えています。
さらに、このようなオンラインツールを活用することで、日常のデータを記録・活用でき、トレーナーからユーザーへ伝えられる情報量やそれに伴ったアドバイスなどが増えます。そのようなコミュニケーションから関係性そのものもアップデートでき、まさに日常の中で体験しながら改善を促す世界を実現できるツールになり得ます。
小玉さん:
人間って怠惰な生き物なので、私もですが、普段「歩くこと」を目的にして行動することはほとんどありません。出社する、誰かに会いに行く、ご飯を食べに行く…そういう“ついで”に歩いているだけなんです。
だから、正直「歩くことすらめんどくさい」と思うことも多いのですが、「ardi」があればその“ついで”の歩きですら運動になり、自分自身の改善にもつながります。センサーが入ったインソールといった発想がなければ、誰もこんな意識になることはなかったはずです。
また、怠惰な人ではなく、普段から運動習慣のある人にとっても、「ardi」を使うことには大きな魅力があります。
足は本当に大事だと表面上わかっていても、日常生活の中で「足裏のどこに重心をかけているか」まで意識できている人はほとんどいません。「ardi」は靴の中という最適な場所でデータを精密に取得し、それを分かりやすくフィードバックしてくれます。これは運動習慣のない人にとっても魅力的ですし、普段から身体を動かしている人にとってはさらに価値のある存在に感じられるはずです。
山本さん:
直近では、AIコーチの「ardiくん(仮)」を開発中です。ブランディングの観点からも、“寄り添ってくれる存在”を形にしたいと思い、キャラクターを用意しました。
特に姿勢や歩行といった普段の何気ない行動に寄り添う場合、「ardiくん(仮)」がそばにいて、自分の身体の状態にあわせてコーチングしてくれることで、自分では気づけなかった状態に気づき、さらに「どう改善すればいいか」まで教えてくれる。情報やアドバイスを通してユーザーを四六時中支えてくれる存在だからこそ、日常のなかで発揮される「ardi」の価値がより伝わると思います。
また、生成AIの進化により、「ardiくん(仮)」のようなキャラクターを、さらに自分好みのキャラクターに設定して伝え方を自在にコントロールできるようになっています。ユーザーが自分に合った声かけや口調でフィードバックを受けられることで、モチベーションを維持しやすくなるのです。逆に、一方的に理想のトレーナー像を押し付けてしまうと、自分にはあわないと感じて離脱につながる可能性があります。
こうした生成AIの技術の発展は、コーチングの在り方をよりパーソナライズし、ユーザーに寄り添うありがたい要素だと感じています。
![]()
チームの雰囲気や、メンバーとの関わりの中で大切にしていることがあれば教えてください。
山本さん:
私たちは、特定のスペシャリティに特化したメンバーが比較的少ないチームだと思います。私自身も幅広い分野で経験を積んできたタイプです。
もちろん、強い専門性を持つメンバーへのリスペクトは大きく、実際の仕事でも「この領域ならこの人が一番詳しい」と信頼して任せることが多々あります。その一方で、自分は全体を見渡し、専門性と専門性をつなぐハブのような役割を意識しています。
チームとしての思想や方向性はしっかりと主張すべきですが、細かい領域まで自分が主張する必要はありません。どこで意見を出すべきか、どこを任せるべきか、その見極めを大切にしています。
小玉さん:
おこがましい言い方かもしれませんが、本当に優秀なメンバーが揃っています。一人ひとりが自身の得意な領域をいくつか持ち、「この場でそれを発揮しよう」という共通認識があるからこそ、お互いに信頼して任せられます。それが押し付けではなく、前向きなかたちでうまく噛み合っているところからも、とてもいいチームの雰囲気だなと感じています。
![]()
どんな仲間と一緒に仕事をしたいですか?
山本さん:
チャレンジが好きで、何事も自分ごと化できる人が向いていると思います。
私たちのチームでは、ハードウェアやIoTデバイス、アプリケーションの開発など非常に難易度の高いことに取り組んでいます。もっと簡単な方法もあるかもしれませんが、難しい道をあえて選び、目の前のユーザーや社会にとってベストな方法を模索している最中です。
組織がまだ整う前の段階から自ら関わって作り上げていくことができる、チャレンジ精神豊富な人に適した環境といえます。
小玉さん:
やはり、「ardi」の可能性を信じてくれる人がいいですね。「足の裏から人が変わる」ということに強く共感してくれる人と一緒に仕事をしたいです。
フリックフィットでは働く仲間を募集しております!
オンラインのカジュアル面談から、現在のプロダクトの状況などをざっくばらんにお話しできればと思っております。まずはお気軽に、以下の求人からお問い合わせください。