世界中のクリエイターが熱視線を送る、Figma社主催のデザインカンファレンス「Config」。2026年6月23日から25日にかけて、アメリカのサンフランシスコで「Config 2026」が開催されました。
フェンリルでは、最先端の知見をデザインや開発現場に生かすため、「カンファレンス・社外勉強会参加費補助制度」を活用して毎年複数のメンバーが現地へ赴いています。
今回は、Config 2026に参加した6人のうち、ディレクター2人へのインタビューをお届けします。印象に残っているセッションやディレクター視点で得た知見、そして今後のものづくりへの展望を紹介します。
(写真左から岡さん、今冨さん)
アイデア出しから壁打ちまで、日常に溶け込むFigma
─── 普段、お二人はどのようにFigmaを活用していますか?
今冨:FigJamは情報整理やアイデア出しに欠かせないツールです。ディレクターとして、ほぼ毎日利用しています。デザインやプロトタイプ制作にはFigmaを活用しています。
岡:私もFigmaを毎日利用しています。情報の整理や資料を作成するときにはFigJam、デザインやプロトタイプの制作にはFigmaを使っており、今冨さんと同じです。
─── Configへの参加が決まった背景を教えてください
岡:私が所属するデザインセンターでは、定期的に報告会を実施しています。その報告会でFigmaの活用事例を発表したところ、上司から声を掛けてもらいました。選んでいただけるとは思っていなかったのですが、「ぜひ行きたいです!」と回答しました。
今冨:私はマネージャーから「現地の情報を吸収し、他企業と交流して成果を持ち帰れる人に」と期待して声を掛けてもらいました。以前からいつか現地へ行ってみたいと思っていたので、チャンスをもらえてとてもうれしかったです!
日本とは違う、サンフランシスコの圧倒的なスケール
─── お二人ともサンフランシスコへ行くのは初めてだったと聞きました。現地でまず感じたことは何でしたか?
岡:夕方になるまでサンフランシスコは深い霧に包まれていて、街全体が白っぽい雰囲気でした。湿度が低く、カラッとしていて過ごしやすかったです。ちょうどワールドカップの開催やLGBTQ+などのイベントと重なっていたこともあり、街全体がお祭りムードに包まれていましたね。
今冨:はい、賑やかでしたね。それから、サンフランシスコは坂の傾斜がきつくて驚きました。
岡:バスで坂を下っているときは、絶叫アトラクションに乗っているような気分でしたね。
─── Configの会場で、「日本とは違う」と感じた現地の熱量や文化の違いによる驚きはありましたか?
岡:Configの会場には1万人以上が参加していたらしく、Figmaというツールがいかに愛されているかを実感しました。
今冨:道路を封鎖して会場をつなぐ圧倒的な規模感に驚きました。荷物検査が行われる安心のセキュリティ体制の一方で、誘導スタッフはとてもフランクで明るかったです。
また、参加者の服装は完全なカジュアル(ジャケット姿は見当たりませんでした)。中には芝生に寝転がったり、地面に座ってランチを食べたりと、ピクニックを楽しむような姿も見られます。このラフな雰囲気に、日本とは大きく異なる文化の衝撃を受けました。
岡:Configの会場以外でもそうでしたが、フランクに話し掛けてくださる方がとても多かったです。会場では「そのノベルティはどこでもらえるの?」と聞かれたり、スマホを見て移動していたら「場所は分かる?」と親切に声を掛けてもらったりしました。
DJブースもあり、スタッフの方がノリノリでダンスをしていました。日本にはない光景だと感じ、とても新鮮に映りました。
ディレクターを揺さぶったセッションと注目の新機能
─── ディレクター視点で、最も刺激を受けたセッションは何ですか?
岡:Catt Small氏による「The canvas is not dead」です。
仕事においてAIが役立ったこと、実際には妨げになっていたこと、そしてそこから学んだことについての話をされていました。その中でも、特に次のエピソードが印象に残っています。
AIは、あなたが答えを持っているときに最もよく機能する。
AIは、あなたの決定に対して責任を負うことができません。あなたは責任を問われる可能性があります。
まさにその通りだと実感しました。AIを活用する機会は増えていますが、振り返ってみると、最終的にはいつも自分で選択してきたのだと思います。その事実が言語化されたことで、自分の選択に対する責任の重さを、改めて深く考えさせられました。
今冨:私が刺激を受けたセッションは、自動運転タクシーを手掛けるWaymo(ウェイモ)のリードデザイナー、Ryan Pal氏による「Legibility by design」です。セッションのテーマは、自動運転車におけるユーザーの信頼構築についてでした。
最新のテクノロジーを、いかにして日常的で安心できるインフラへと落とし込んだかが語られていました。車両UIを乗客にどこまで見せると安心してもらえるのか、逆にどこは見せないのか、という線引きが絶妙だなと感じました。「ひと目で伝わる安心をデザインする」というのを今後の企画や開発で生かしたいです。
─── ディレクター陣におすすめしたい新機能を教えてください
・Code Layers

Figmaキャンバス上のコード | Figma Blog
今冨:コードとデザインの相互変換、デザイナーだけでもコーディングまで完結できそうな可能性を感じました。
岡:デザインとコードが同じキャンバス上に併存するので、デザインから開発へというプロセスが変わっていきそうだなと思いました。
・Figma Motion

Figma Motionのご紹介: キャンバスにタイムラインが追加されました | Figma Blog
今冨:デザインファイル内で直感的にベクターアニメーションを作成できる機能です。共同編集や、さまざまな書き出しにも対応できます。
岡:今までアニメーションを作成するときはAdobe製品を利用していましたが、Figmaに1本化できるのがうれしいですね。
・Figma Weaveツール

FigmaとWeaveの接続 | Figma Blog
今冨:ビジュアル制作や完成見本の作成など、ブランド体験の向上に直結しそうです。
・Generative plugins(生成プラグイン)

Figmaのデザインエージェントにカスタムツールとより拡充されたコンテキストを導入 | Figma Blog
岡:独自のプラグインを生成できる機能です。私は、業務を効率化するためにプラグインを利用する機会が多いです。今はプラグインを探したり、検証する手間がありますが、これからは自分に必要なプラグインをその場で作成できるので、とても便利な機能だと思います。
─── 海外のトレンドやセッションを聴く中で、今後、ディレクターにはどのようなスキルや視点が求められると感じましたか?
岡:セッションを聴いて実感したのは、AIがデザインやコードを一瞬で形にする今、仕事は「判断」へとシフトしていくということです。私たちディレクターは、アイデアの中から何が本当にベストかを見極め、チームを導く視点が重要になると考えています。
今冨:たしかにそうですね。AIというテクノロジーと人間の感情を翻訳し、安心感と心を動かす遊び心を追求した、心地よい体験を構築する橋渡し役になることが、今後のディレクターには重要だと感じました。
オフィスデザインと自動運転車、体験で深める製品の世界観
─── Config以外にも、FigmaやSalesforceのオフィス見学に行かれたと聞きました。いかがでしたか?
今冨:Figmaのオフィスは、古い建物の良さを生かしつつ、どこを切り取ってもFigmaらしいカラフルさやかわいさが散りばめられた、本当に素敵な空間でした。
岡:色、形、リアルFigJamなど、あらゆるところにFigmaらしさを感じましたね。会議室が全面ガラス張りになっており、どの会議室も中の様子がすべて見える状態でした。
今冨:Salesforceのオフィスは、地域に根ざした空間作りや充実した施設に驚かされました。街で最も高いタワーから見下ろす、深い霧に包まれたサンフランシスコの景色は圧巻でした。最先端のクリエイティブ企業が集まる活気を肌で感じられました
─── そのほか、今回の渡米で印象に残っている旅の思い出を聞かせてください。
岡:WWDC(Worldwide Developers Conference)に参加したメンバーの話題にも挙がっていましたが、WaymoやZooxなどの自動運転車が当たり前のように街を走っている光景が印象に残っています。
Waymoに乗ってみると、運転席に人がいないソワソワ感はありましたが、近未来を肌で感じられてすごくワクワクしました。
今冨:そうですね。ConfigのセッションでWaymoの話を聴いた後に乗車したのですが、「セッションで言っていた心地よさはこれだったのか!」と、実際の体験をもって答え合わせができたことが一番の思い出です。車内のモニターには、周囲の歩行者やバイク、信号の状態がリアルタイムに表示されており、Waymoが周囲の状況をしっかりと把握していることが伝わるUIでした。
今冨:その他にも、安心感をもたらすサウンドデザインや、光のサインで車外とコミュニケーションを取る仕組みなど、これらが乗車時の安心感にどう直結しているのかを肌で感じることができました。
岡:Zooxはうまく左折ができず、後続車に抜かされるシーンを同じ場所で2回ほど目撃しましたね。
今冨:まだ完璧ではないんだな、とテクノロジーのリアルな現在地を知れたことも、強く印象に残っています。
─── 最後に、Configでの体験を今後どのように生かしていきたいですか?
今冨:私たちが海外カンファレンスに現地参加できるのは、フェンリルの制度として費用を負担してもらえているおかげです。現地で得たインプットや熱量をフェンリルのメンバーや今後のプロジェクトのモノづくりに還元していきたいと考えています。
岡:アメリカに行くのが初めてだったので、何もかもが新鮮で、日本では見ない文化や考え方に触れることができた1週間でした。今冨さんの言うとおり、このような貴重な機会をもらえたことは、本当にありがたかったです。Configで得た知見を社内へ共有することはもちろん大切ですが、それ以上に自分自身が現地で肌で感じた気づきや熱量を、今後の業務にしっかりと生かしていきたいです。