Facilo(ファシロ)が大切にしている「多様性」は、メンバーの働き方にも現れている。中でも仕事以外にも活躍の場を持つメンバーが多いのは象徴的な事例だ。自らの会社を運営する人、育児やプライベートを充実させる人。今回インタビューに応えていただく折原 レオナルド賢さんもその一人で、Faciloのフロントエンジニアだけでなく、大学の客員講師としての顔を持つ。多角的な視点を持つ折原さんにとって、Faciloで開発することの魅力とは何か。話を聞いた。
PROFILE
折原 レオナルド賢さん
株式会社サイバーエージェントに入社し、新人賞を受賞。インフラアーキテクチャ設計・フロントエンド開発・デザイン・UI/UXといった多岐にわたる業務を経験。その後参画したLINE株式会社では、 LINE NEWS でのフロントエンド開発とともに、Front-End Advocates として対外活動も行う。2024年からはZEN大学の客員講師も務める。DevelopersSummit 2018公募賞をはじめ数々の受賞歴あり。最近の趣味は、行ったことないところに子供を連れて行って多くの体験をさせること。
プレイヤーを上手にガイドするゲームが、
UXの原体験
エンジニアの方に話を聞く時、その原体験が現在の開発スタイルに影響していることが多くある。折原さんもおそらくその一人だ。子供の頃遊んだゲームで、ユーザー自らに考えさせて行動を促すシステムに感銘を受けた。
「『メタルギアソリッド』をプレイした時、『あそこに行ったら何があるんだろう?』と、説明せずともプレイヤーに動機づけを行い、誘導する設計に驚きました。プレイヤーをうまくガイドしゲーム中で遊ばせるやり方に感動し、それを作った開発者に思いを馳せるようになったのです」
この感動がその後UXへの興味に昇華した。フロントエンドエンジニアとして大手企業で活躍したのち、Faciloに入社。現在は拡張機能を活用し不動産情報を整理するFaciloの基幹的なシステムと、物件を購入したいユーザーのマイページを作っている。
「物件情報を取得する部分から、ユーザーにその情報を届けるところまで、Faciloの両端を作っている感覚があり、楽しいですよ」
目を輝かせる折原さんには、もうひとつの仕事がある。ZEN大学というオンライン大学で客員講師としてWEBユーザーエクスペリエンスを教えているのだ。教えるのは、UX設計と、その効果測定だ。
「UIは、見えるモノで作られているので、誰でもエビデンスなしに意見できてしまうことがあります。授業ではUXの設計だけでなくその効果測定の仕方を学ぶことで裏付けのあるデザインを設計しつつ、『何%が迷わなくなった』『ページへの流入が何%増えそう』という具体的な数字をもとに画面を提案することができます」
Faciloのフロントエンジニアと大学講師、プライベートでは育児にコミットする折原さん。フルリモートかつ、自由に勤務時間を設計できるFaciloの働き方がそれを支えている。
自由な働き方とプロダクトの可能性に魅せられて
折原さんがFaciloに入社したのは、2023年3月のこと。それまで働いていたLINE株式会社からその活躍の場を移したきっかけは、その前の職場の上司であり、FaciloのCTOの梅林さんの存在だ。
「梅林さんが始めたなら大丈夫だろうという安心感と、自身の家を売買した時の経験から『あれに切り込むのは面白いな』という高揚感がありました」
大企業とスタートアップ。二つの視点を持つ折原さんに、転職時に感じたFaciloの魅力を聞いてみる。
「まず自由な働き方です。フルリモートであること、育児中のメンバーが多いことから、フレキシブルに働きやすい印象がありました。また、それと同じくらい大きかったのが、プロダクトのホットさ。『プロダクトのおかげで喜んでくれる人がいる』という実感を得られやすいのは、業界を変えようとするFaciloならではのやりがいだと感じました。実際に入社してみて、ユーザー数こそ大企業並みではありませんが、ひとつ機能をリリースした時の反響はこれまでより強いものを感じます」
そして、何よりも代表の市川さんのビジョンに共感した。
「初めて市川さんにFaciloについての話を聞いた時、アメリカでは日本の倍以上の回数の引っ越しが行われており、その背景には日本の不動産の流動性の低さがボトルネックになっていると知りました。それを解消すれば引っ越しをしやすくなるはず。誰もがライフスタイルや気分に合わせて自由に住みかえられる未来に共感し、Faciloに入社することを決めました」
DXが叶える不動産売買コミュニケーションにおける「公平性」
Faciloに入社し実際に開発に着手してみると、プロダクトの奥深さや技術的なやりがいを次々に感じたと話す折原さん。まず、不動産仲介をデジタル化するFaciloが作り出す「公平性」に魅力を感じた。
「例えば、対面で不動産会社さまとお客さまがやりとりをする時、予算以上の物件を提案されたとします。対面でのやりとりでは、不動産会社様に選択の幅を知っていただくための提案でも、その時の雰囲気や話の仕方によっては高圧的な提案だととられてしまう可能性があります。Faciloでは、提案物件がマイページ上に現れるだけなので、ユーザーは純粋な情報としてそれらを受け取ることができます。
不動産会社さまにとっても同様です。内見で購買意欲が高いように見えたお客さまが実はその物件に興味がなく話を合わせていただけであったり、興味がなさそうに見えても気になる物件があったりした場合に、マイページ上の行動履歴から正しいユーザーの温度感を把握することができるのです」
また、デジタル化と言えど不動産会社の人手をかけた情報が並ぶのも、Faciloの魅力だ。
「マイページで物件情報を確認できるというと、大手不動産情報サイトと似ていると思われるかもしれませんが、Faciloは不動産会社の営業担当者がその人に合わせて選んだ物件が表示されるのが特徴です。こうした言わばプッシュ型の情報のやりとりや、学区やスーパーの位置と一緒に物件を地図で確認できるなどの細かな機能がFaciloのすごいところなんです。マイページは物件が並んでいるだけのインターフェースのように思われがちかもしれませんが、不動産会社さまとユーザーの二者間の視点を行き来するUXを考慮する必要があり奥が深いです」
さらに、技術的なチャレンジを感じられる点も多いという。例えば、システム上に不動産情報を整理するのには、Google Chromeの拡張機能を応用。
「ブラウザ自体を拡張して情報を整理するという発想がとても面白い。拡張機能を通してブラウザのAPIをふんだんに使うことができるため、一般的なフロントエンドの開発では体験できない開発を行うことができるからです。今まで通りのJavaScriptを使うフロントエンド開発と比べて実現できるアイデアの幅が広いのはとても魅力的です」
また、生成AIなどの最新技術を使えるのも、小回りのきくスタートアップならではだ。
「AIを開発に多用しています。例えば、GitHub Copilotを使用したコードの生成・レビューを行ったり、WebAssemblyで画像を読み取って数字やテキストに起こしたり。最先端の技術を使えることにやりがいを感じるエンジニアは多いのではないでしょうか」
エンジニアがやりがいを感じられる高度な開発は、メンバーの人柄や、ビジネスチームやCTOの工夫により支えられている。
「エンジニアは、同じことを100回聞かれたとしても怒らない優しい人ばかりです。また、ビジネスチームの営業やCSのメンバーは不動産会社さまとエンジニアの橋渡しを上手にしてくれ、開発しやすい環境を維持してくれます。アメリカで働くCTOの梅林さんは、時差を上手に使った働き方で時には開発を巻き取ってくれたり、リードしてくれる頼もしい存在です」
プロダクトを拡充するFaciloには、
挑戦とそれを支える環境がある
まるでプレイヤーがゲームに夢中になるように、迷わず次にやることを選択できること。折原さんがUXにおいて大切にしていることだ。その対象は近いうちに現在の「物件を買いたい人」と「不動産会社」だけでなく「物件を売りたい人」にまで広がる見込みだ。
「現在のFaciloは物件を買いたい人向けのプロダクトですが、近いうちに物件を売りたい人向けのプロダクトがリリースされる予定です。また、それにより更にデータが蓄積され機械学習も加速していくはずです。すると拡張機能を使ったデータの整理や学習データをどう見せるかなどフロントエンドエンジニアとしてもスキルを問われるシーンが続々と出てくるはずで、私自身もそれにわくわくしています。Faciloならではのフロントエンドスキルにチャレンジしたい方は魅力的なフェーズのスタートラインに立っていると感じます」
インタビュー中、「今のFaciloの魅力を伝えるにはどう言えばいいか......」と何度も言葉を選んでくれた折原さん。その仕草からは、挙げきれないほどのやりがいやチャレンジが溢れた開発環境が用意されていることが伺える。最後の言葉をこう締め括った。
「挑戦的な体験を提供・実装したいエンジニアの方はとにかく楽しいはず。また、挑戦できるだけでなく、それをサポートする文化があるのも特徴です。Faciloのメンバーは、わからないことや、ついていけないことがあったとき、何度聞いても1回目に聞いた時と同じように教えてくれます。きっと、最高のチャレンジができますよ」
最先端の技術を駆使し、スタートアップで開発する。そのチャレンジを温かく受け止め応援してくれる環境も、Faciloの特徴のひとつなのかもしれない。
(写真・執筆:出川 光)