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海外経験ゼロからメキシコへ転職!和食料理人、嘉文(カモン)の挑戦。VOL.2

1年半のメキシコ生活を得て感じる海外日本食ビジネスの可能性

「ラテンアメリカと日本の新しい歴史を創り、人々の人生を豊かにする」ことを理念としたEncounter Japanでは、中南米を舞台に飲食事業と広告代理店・コンサルティング事業を展開しています。日本での料理経験10年、海外経験ゼロから、メキシコに渡航し、現地の日本食レストランでシェフとして活躍する仲村嘉文さん(通称カモンくん)にメキシコでの仕事や生活、今後の展望について聞きました!


仲村嘉文 プロフィール

1995年、大阪府出身。高校を卒業後、大阪の割烹料理屋で料理人として経験を積む。「いつか海外で働いてみたい」という思いから、メキシコで働いていた友人の紹介で、2023年にメキシコへ渡航しEncounter Japanへ入社。現在はメキシコのケレタロ州にある日本食レストランGOEN FUJITAYAでシェフを務める。

- メキシコに渡航して、あっという間に1年半ですね!今働いているレストランについて教えてください。

ケレタロという都市にある「GOEN FUJITAYA」という100席程度の日本食レストランで働いています。250室以上の客席ホテルの中に入っているレストランであるのが特徴で、朝食、昼食、夕食を提供しています。メキシコ人のお客様が大半を占めますが、日本人や韓国人のお客さんにもお越し頂いています。日本人の料理人が3人と、サービススタッフとキッチンスタッフ合わせて、50人弱のメキシコ人が働く職場です。


-具体的にGOEN FUJITAYAではどんな仕事をしていますか?

レシピ開発や提供メニューの品質管理に加えて「GOEN FUJITAYA」をより良くするために必要な改善や仕事はなんでもしています。在メキシコ日系企業の方々が、当店で会食利用してくださることも少なくないため、予算に合わせて懐石料理を拵えることもあります。また日本ならではの食文化や季節の行事をメキシコでも愉しんで頂けるよう、お節料理や恵方巻、土用の丑の日の鰻重などのメニューの企画・提案も行っています。これらの取り組みはメキシコに住む日本人に対してのみならず、日本の文化をメキシコ人により知ってもらうという目的もあります。

「料理」だけに集中することなく、店舗全体を見渡してサービスの向上についても、常にどうすれば良くなるか考えています。日本らしい「おもてなし」が現場で届けられているか、お客様に取って居心地の良い空間を提供できているか、という点も自らキッチンを飛び出し確認するようにしています。またメキシコ人従業員の皆とコミュニケーションをとることを心がけていますね。


- 一緒に働くメキシコ人とのコミュニケーションはどのように取っていますか?

メキシコ人の皆との対話を図るために、一人一人のと仲良くなることを心がけています。1年半の勤務を通じて、最低限のスペイン語は理解できるようになりました。語学を学んだ上で「最低限の語学だとしても外国人とコミュニケーションは取れる」ということを身を持って理解しました。言葉の壁は想定していたよりも大きくなくて「言葉」を理解するよりも、「相手が言いたいこと」を理解することに努めれば、意思疎通が出来ることに気づいたんです。

自身の表情や伝え方なども意識して、ジェスチャーも交えて皆とコミュニケーションするようにしています。一緒に働くメキシコ人のメンバーは、意思が伝わるまでしっかり向き合ってくれる人が多くて、僕に対しては皆が意識的にゆっくり会話してくれます。外国語が話せないと、突っぱねられることがあるのかと思っていましたが(笑) 全然そんなことなくて。反対にみんなに支えられ、助けられているので日々働く上で、コミュニケーションを取る上でプレッシャーやストレスは殆ど感じないですね。みんなの優しさに毎日甘えさせてもらってます(笑)




- この1年半で印象に残っている仕事や出来事を教えてください。

日本からメキシコへ訪問される政府関係の方々や、メキシコに支社がある日系企業の役員の方などが当店で食事されるにあたって、会食に合わせて懐石料理を任せてもらっています。皆様の食事後に挨拶をさせて頂く際「日本で食べるご飯より美味しい」「メキシコでこんな本格的な日本食が食べれるとは思わなかった」というお言葉をもらえると、これまで自分が努力してきたことが認められたように思うんです。とてもやりがいを感じますね。

あとはコロンビア共和国で2024年6月に開店した鮨屋「NANA」のサポートを目的として1ヶ月コロンビアへ出張させて頂いた日々も印象的でした。開店直後であるにも関わらず、多くの方々から注目されていた「NANA」。成長過程の最中にある店舗の改善点を見つけながら、売上向上に向けて色んな提案をさせてもらう等、自分の力が発揮できた出張だったと思っています。


-メキシコに一年半暮らしてみてどうですか?

メキシコに来る前は常夏のイメージだったのですが、僕が働いているケレタロ市は日本と比べて乾燥しているため、茹るような暑さを感じることがありません。また冬も日本ほど寒くないため、メキシコの気候は過ごしやすいですね。

日本で生活していた頃は、日本特有の閉鎖感で息苦しくなることが多々ありましたが、メキシコ人と会話をしていると陽気な人々が多く、自分の悩みがちっぽけに思えてきて前向きになれることがよくあります。

メキシコで生活する上で、日本と比べて不自由があるかと言われるとあんまりないんですよね。近くに大きいショッピングモールやスーパーマーケットもあるし...。日本は全てが便利すぎて、ちょっとでも不便があるとイラっとしてしまいますが、メキシコにいると、むしろ便利なものに出くわすと嬉しい気持ちになります(笑)。

-日本で働いていた時との今の一番の違いはなんだと思いますか?

料理人にとっての一番のやりがいは、お客様が「美味しい」と言って喜んでくださることだと思っています。ただし日本では美味しいものがどこにでも溢れていて、美味しい食事を食べることが当たり前になっています。

他方こちらでは、本当の日本食が未だあまり知られていません。これまでは「本物の日本食」とは程遠い現地化された日本食を食べて満足していたメキシコ人やコロンビア人が、僕たちが提供する料理を食べることで「日本食の本当の美味しさ」に気づいて喜ぶ姿を見ると、料理人としてのやりがいを感じますね。

メキシコに来てから「自分が料理を振る舞う相手は日本人だけ」という考え方がなくなりました。料理で人を喜ばせることがやりがいなら、自分の身を海外においたほうがより多くの人々を喜ばせることができるのではないかと気づいたんです。

最近は今後の日本食のあり方などについても考えるようになりました。日本は人口が減少し続け、高齢化社会が加速する中で、果たして日本人だけを相手に商売、仕事をしていて良いのだろうか。これからの未来、きっと日本国内においても海外から旅行で来られる旅行客の方々や日本に在住する海外の人々が増えていく筈で、海外の方々の趣向や好みを理解することや、外国語に対するアレルギーを無くす必要があるのではないか、と考える日々です。

日本では老舗の飲食店で勤務していたため、僕が入社した時には既にオペレーションの形が完成していたため、飲食店経営について深く考えることや勉強することは殆どなく、目の前のお客様を料理で喜ばせることをひたすら追求する毎日でした。

Encounter Japanという会社は、以前僕が働いていたお店と比べてまだまだ成長段階で、形や型がまだ決まってない。中南米という未だ新規市場において、これといった正解がない中、自分にも裁量権を与えていただき、自分のアイデアや意見が採用され、具現化するためにメキシコ人と日本人が一丸となってチームとして動いてくれる。僕の仕事次第で会社を成長させる事も衰退させることもできると気づいたんです。


-メキシコに来る前の自分に何か伝えるなら何を伝えたいですか?

メキシコへの渡航が実現するまでに、海外に行きたいと思っていた時間が約3年ほどありました。当時働いていた店舗は知り合いの方がオーナーであったことから「自分が辞めたら、裏切ることになるんじゃないか」といった葛藤がずっとありました。そのお店の方々は、自分が何もできなかった時代から僕に本気で向きあってくださったので、本当にお世話になった気持ちがあって。「辞めるのが申し訳ない」という気持ちと「海外で料理がしたい」という感情の間でモヤモヤする日々でした。また当時は外国語も全く話せなかったし、海外旅行ですら行ったことのない自分が果たして海外にいって大丈夫なのか見当もつかなかった。

最終的には「死ぬときに後悔するならやったほうがよい」と思ってメキシコへ行くことを決断しましたが、今もその考え方は変わっていません。「周りのことは気にせず、生きたいように生きたほうが良い。絶対に自分の人生において、よい経験を積むことがことができるから、悩んでるなら今すぐに行け!大丈夫だから!」と伝えたいですね。

あとは「海外で働きたい」ということを言葉にして発することが重要だったと思います。僕自身、海外で働きたい想いを友人等に話してきたことで、メキシコに誘ってくれる人が身近にいました。きっかけがあれば、あとは一歩を踏み出すだけ。一歩踏みだす前は大きな変化に感じるけど、いざ踏み出してしまえば小さな一歩だったように思えます。


-今メキシコで働いている原動力は何だと思いますか?

Encounter Japanでは料理以外にもマーケティングなど、色んなことにチャレンジできる環境があって、うまくいくこともあれば、失敗することもあります。自発的に取り組むことやアイデアが数字として実際に変化していく日々が面白くて「自分自身も飲食店を経営している」というように感じます。だからこそ、危機感を感じることもありますが...。

将来いつかは独立して、自分のお店を持ちたいと思っているため、その経営の練習をさせて頂き、様々な経験を積めることが一番の原動力になっています。

あとは、一緒に働く周りのスタッフから「カモンが来てから料理が一層美味しくなった。お客様も増えて貰えるチップが増えたよ。ありがとう」と言われることも大きなモチベーションです。日本では日々当たり前に取り組んできたことも、メキシコではみんなが褒めてくれるため、より頑張れますね。モチベーションを高く保つことができ、恵まれた環境だと思います。思い返すと、大胆にこうして自身の環境を変えたことはとても良い決断だったと感じますね。


-今後実現したいことはありますか?

Encounter Japanでいろいろな経験をさせて頂いてることに感謝の気持ちでいっぱいなので、もっとこの会社を大きくしていきたいと思っています。先ずは拠点のあるメキシコやコロンビアを中心にですが、その他の中南米の国にもチャンスや機会があれば事業を拡大することで、本物の日本食をより多くの方々に提供して、喜んでもらいたいと思っています。

カモンくんのラテンアメリカでの挑戦は、つづく。


渡航前のカモンくんへのインタビューはこちら!

海外経験ゼロからメキシコへ転職!和食料理人、嘉文(カモン)の挑戦。VOL.1 | 株式会社Encounter Japan
【第一回】はじめまして、カモン君。メキシコで日本食料理店を経営するEncounter Japanに待望の新人料理人がジョイン!新人といっても、料理経験は8年以上。一方で海外経験はこれまでゼロ!そ...
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