今回は、CTOの大竹雅登がインタビューするシリーズ「#WITH_OTAKE」の第3回として、エンジニアの奥原拓也との対談をお届けします!
元塾経営者や学生起業家、ベンチャー役員など、様々なバックグラウンドを持つ選りすぐりのメンバーが働いてるdely株式会社。そんな個性豊かなメンバーが「どうしてdelyを選んだのか?」「どういう想いで働いているのか?」など、実際にインタビューをしてお伝えしていきます!
~プロフィール~
奥原拓也(サーバーサイドエンジニア)
大学の研究室では微生物を用いたバイオテクノロジーの研究を行ない、並行して在学中に始めたプログラミングがきっかけとなりRuby on Railsを主にした受託会社で4年程働く。また、在学中にフットサルのマッチング&コミュニティサービス「ソーサル」の立ち上げを行なった。大学院時代にdelyから誘いを受け、可能性を直感し即日退学を決意しジョイン。現在はkurashiruのバックエンドを全て担当している。
大竹雅登(CTO)
2013年、インド・バンガロール、シリコンバレーでインターンを経験。帰国後に飲食店の自動予約システムを開発し事業化を試みるが拡大が困難と判断し断念。2014年初め、弊社代表の堀江氏と出会いdelyを共同で創業。iOSアプリ、サーバサイド、データ解析など開発業務全般を担当。現在はCTOとしてプロダクト責任者。
本の著者へのメールをきっかけに、プログラミング本格始動 大竹雅登(以下、大竹): WITH_OTAKEの第三回、今回はオックーこと奥原くんですね。開発チームのみならず、チーム全体の危機をいつも救ってくれています。では、プログラミングを始めたきっかけから、delyに入るまでの経緯を教えてください。
奥原拓也(以下、奥原): 大学1年生が終わる19歳の時に、何か新しいことを始めたいと思い、プログラミングをやってみることにしました。それで池袋のジュンク堂に行きプログラミングの本を探していたところ、初心者にはRubyが良いということで『改訂3版基礎 Ruby on Rails(KS IMPRESS KISO SERIES)』を買いました。それを見てプログラミングを始めたのですが、本の始めの導入の部分でつまずいてしまい「プログラミングの本に3000円も払ったのに進められない!」と残念な気持ちになり、本の著者である黒田努さん(Ruby on Railsを用いた受託会社ルビキタスのCEO)につまずいたところをメールで送ったんです。そしたらすぐに返事をくださって解決することができ、それから黒田さんとコンタクトをとるようになりました。その後すぐ「君何年生?うちで働いてみない?」というメールをいただき、大学1年生の終わりからルビキタスで働き始めました。
大竹: プログラミング以外に選択肢はなかったのですか?
奥原: 当時知り合いと一緒に起業してプロダクトを作ろうという話があり、それでプログラミングをやろうとなったので、プログラミング以外に選択肢はありませんでした。
大竹: 元々新しいことをやりたくてプログラミングを始めたと思うのですが、プログラミングをやる前は何をやっていて、何に対して物足りなさを感じていたのですか?
奥原: 大学生の春休みだったのでアルバイトしかほぼやることがなく、塾講師や遊園地のスタッフなど色んなことをやっていました。でもアルバイトはただ単に自分の時間をお金に変換する時間だと思ってしまっている部分があり、どれも情熱を傾けられなくて物足りなさを感じていました。
大竹: なるほど。それでプログラミングを始めて、ルビキタスには何年くらいいたんですか?
奥原: 大学1年生の終わりから始めて約4年間、delyに入る前日までいました。黒田さんは自身も東京大学を出ているので、学業も大事だとおっしゃっていて、夏休みや春休みは毎日通ってフルコミットしていましたが、大学の研究が忙しい時や試験の前は1ヶ月休みをもらえたり、リモートワークが可能だったので続けられたというのもあります。
大竹: 4年間だと結構長いですね。大学や大学院では何をやっていたのですか?
奥原: 早稲田大学の先進理工学部応用化学科に在籍して、応用を前提とした「役立つ化学」を研究していました。高校生の時に生物の授業で、僕自身も将来的にかかるかもしれない疾患の話をしていて「以前はその疾患の薬は高額で、庶民で手が届かなく、亡くなる人も多かったけど、微生物を用いた遺伝子組換えにより、治療に必要な薬を大量生産することが実現した」という話を聞き、「凄い!僕もそういうことができるようになりたい!」と思い、生物系の研究室がある応用化学科に行きました。
大竹: 一般的に、プログラミングとなると情報工学科とかに行くと思うのですが、そこは考えなかったのですか?
奥原: 当時はプログラミングをしようと思っていなくて、将来は研究職に就きたいと思っていました。だから大学では電気や石油化学など色んなことを学んだ後、4年生からは元々目指していた生物系の研究室に入り、そのまま大学院にも行きました。
大竹: 研究職につきたいと思っている中でプログラミングを始めて、目標にしていた人はいましたか?
奥原: エンジニアとしてプログラミングを続けている理由は、やはり前職の黒田さんの影響があると思います。黒田さんは元々ギリシャ文学の研究者として東京大学大学院の博士課程まで進学し、ギリシャの日本大使館にも勤めていたのですが、その後IT業界に転身して起業しました。その話を聞いて「自分が大学で学んできたことじゃなくても仕事にしていいんだ、自分がやりたいことに一生懸命になって楽しめばいいんだ」と思うようになり、僕もエンジニアになりたいと思いました。
「失敗したからこそ、次は絶対勝ちたい」という雰囲気を感じ、即日入社を決意 大竹: delyに出会ったきっかけは何ですか?
奥原: 大学時代に「ソーサル」というフットサルのコミュニティサービスを作っていたのですが、知人の知人が、柴田さん(現dely取締役)が設立したSign株式会社が運営するポイントサービス"Porepo"のエンジニアだったんです。それで同世代に感じるライバル心からどういうサービスなのか調べたところ柴田さんが代表だと分かり、Twitterでコンタクトを取って中目黒の喫茶店で会うことになりました。しかし、柴田さんはPorepoを辞めてP&Gへの就職を決めており「P&Gで成果をあげたら最終的にはまたプロダクトかサービスを作りたい」と言っていたので「将来的には何か一緒にできたら面白いですよね」という話でその時は終わりました。
大竹: そこで柴田さんに出会ったんですね!
奥原: それから1年半くらい経ち、就職のために化学系のインターンを探していたのですが、行きたいという感情がこみ上げてくる会社が見つかりませんでした。それで「僕って本当は何やりたいんだっけ?」と考えていたら、自然とプログラミングというかサービス開発って面白いなと思ったので、エンジニアの選択肢も悩んでいました。その折突然、柴田さんからFacebookで「最近どうですか?」と連絡がきたので一回会って話すことになり、五反田駅前のカフェに行きました。そこで初めて柴田さんから「クラシルが凄く伸びてるんだよ!」という話を聞きました。
大竹: その時は今ほど凄くなかった気がするのですが・・・(笑)
奥原: クラシルのアプリのリリースが5月で、僕が柴田さんに会ったのが8月の初めだったので、リリースしてからまだ3ヶ月しか経っておらず、レシピ動画もまだ1000本もないくらいでした。そんな時に「クラシルがすごいんだよ!」と柴田さんに言われたのですが、プログラマーをしていると「こういう出会い系アプリを作りたいんだよね」といった胡散臭そうな人に多くお声がけいただくので「またか」と、その時は警戒心を持っていて、時間がもったいないなーと思って、全く行く気はありませんでした(笑)でも「とりあえず、オフィスが近いから来てみてよ!」ということで、オフィスに行ったら大竹さんが出てきて、すごくロジカルにクラシルが何故流行りだしているのか、レシピ動画の展望など色々説明してくれました。
大竹: 柴田さんはパッションなんですよ(笑)
奥原: delyのサービスは全く見たことがなかったのですが、実際にオフィスに行ってみて、堀江さんや経営陣を見て「これはくるんじゃないか」という何とも表し難い雰囲気を肌で感じました。delyのことはイベントや記事を通して以前から知っていて、delyの宅配事業が終わったことも把握していたので、すごく疑心暗鬼だったのですが「失敗したからこそ、次は絶対勝ちたい」という雰囲気を感じたり、柴田さんがP&Gに行ったのに、すぐ辞めてまでdelyにくる理由があるんだと思い、堀江さんから「うちに来ない理由ってあるんですか?」と聞かれた時に「いや、特にないです」と答えていて、そのまま握手をして入社が決まりました。
大竹: 意気投合したとはいえ、一旦帰って考えてから少し間が空くかと思いましたが、その次の週にはFacebookに退学しましたって投稿していて「早っ!」と思いました(笑)ようやく僕以外のエンジニアが入社することになって嬉しかったですね。
奥原: 柴田さんと話した次の週くらいに退学することを教授に伝えて、その時していた研究をまとめ、引き継ぎして、退学届けを提出した次の日に初出社という感じでしたね(笑)
大竹: スピード退学スピード入社ですね!delyのジンクスでは入社を決めてから出社するまでの時間が短い人ほど活躍するというのがあって、それでいうとランキング上位ですね。ちなみに1位はファーストコンタクトから6時間という最短記録があります(笑)入社した時は僕1人しか開発がいなかったので「こんな感じなんで良い感じにお願い」と言って、とりあえずバックエンドを全部任せました。
奥原: 自分の得意分野であるバックエンドがdelyでちょうど欠けていたというのも、入社を決めたポイントの1つですね。その分野にかなり強い人がすでにいたら、もしかしたらdelyに来なかったかもしれないです。
大竹: 欠けてたというか、人がいないという感じでしたね(笑)
「クラシル終了!?」大事件を機に、自分の中でスイッチが変わった 大竹: 入社してからCMをやったり1000万ダウンロードまできましたが、自分なりにフェーズを分けるとしたらどうなりますか?
奥原: 入社してから2017年1月の「事件」が起きた時くらいまでが1つのフェーズですね。それからCMをやるフェーズがあり、CMが終わった8月くらいからまたフェーズが変わったと思います。
大竹: 「事件」・・・ありましたね。2016年は基礎機能をどんどん作っていたのですが、1月にデータが全部吹っ飛びかけたという。
奥原: 誤操作をしてしまって、データがどんどん消えていってしまって・・・。
大竹: バックアップを取っていたのでなんとか首の皮1枚つながって、24時間で基本の動画を見るところまで復活させたんですよね。
奥原: 僕の力で全くなかったのですが、ぎりぎり復活できました。完全にデータが消えてバックアップがなかったら、本当にこのクラシルという事業が潰れているというか、もしかしたら僕ら今ここにいなかったかもと思うくらいかなりギリギリでしたよね。事件があった時に SREのブンさん(深尾さん) とくわ君 (桑原くん)が手伝ってくれて「自分はちっぽけな人間だ、何にもできないな」と痛感しました。その時、泊まりで復旧作業をして楽しかったのですが、自分ごとのように真摯に対応してくれるブンさんやくわ君の姿を見て仲間意識が芽生え、自分の中でスイッチが変わり、とりあえず、自分が持てる全ての力をチームに注ぎこもうと思うようになりました。そこからは本当に自分ができることを全部やっていたらQのMVPに選んでもらい、やってきて良かったなと思いました。
大竹: やっぱりベンチャー企業だと、最初は仕組み的にも雑なところもあるんですよね。その状況下でガッとやるフェーズだったので、失敗することもありますが、周りがカバーしていけるようになった期間でもありました。そこからCMが始まるまで数ヶ月あり、その期間でトラフィックを経由したり、CMに向けてデータをしっかり計測し始めましたよね。CMが終わり1000万ダウンロードも達成したので、今後はさらにプロダクトの価値を高めていくフェーズですね。
奥原: 0から1の時にジョインして、1から10までは来たと思うので、10から100、そして100から1000とさらに上を目指していくフェーズはかなり面白いと思います。
大竹: サービスの立ち上げからこの規模のグロースまで一通り体験しているのは経験値としていいですよね。
世の中の人の生活を変え、世界に通用するサービスへ 大竹: 今の仕事のどんなところにやりがいを感じますか?
奥原: クラシルを使ってくださるユーザーがいることが、やりがいに繋がっていると思います。僕が元々化学を目指していたきっかけも、人の役に立ちたいというのが根底にあり、最終的にはエンドユーザーが幸せになるわけだから、化学もプログラミングも一緒だと思ったんですよね。ユーザーから「料理をすることが嫌で、台所に立つこと自体が恐怖でした。でもクラシルに出会って料理が簡単に思えるようになり、今では台所に立つことが好きです。」というメッセージが来たりして、世の中の人の生活を変えることができるサービスに携われていることが、一番根底にある楽しさややりがいです。
大竹: 使ってくれる人が沢山いて、その人たちの生活をよくできていることが一番のやりがいだということですね。開発チームの雰囲気はどうですか?
奥原: チームの特徴は、やっぱりみんな意識が高い。他の人が諦めちゃうようなことでも貪欲にチャレンジできる人たちがそろっていると思います。初期のメンバーはモチベーションが高くないとここまでやってこられないと思うのですが、新しく入ってきてくる人もすごくモチベーティングされていて、火が伝播するような感じで、チーム全員が熱い気持ちになれるチームというのが良い所だと思います。
大竹: 採用する時も仕事に対して熱中できるか、というところをすごく重要視しています。技術力はもちろん、熱量をもって仕事に取り組める人だとdelyにすごく合うと思いますよね。
奥原: 大学時代は全てではないのですが、周りがあまり熱意を持って物事に取り組めてないという雰囲気がしていて、そのような環境に身を置いていては、自分も同じようになってしまう気がしました。でもdelyはそういうのが全然なくて、むしろもっとやれ、もっと頑張れと言われるし、周りも本当にもっとこのサービスを伸ばしたいと思ってコミットしているので、そういう姿を見ると自分もモチベーティングされると思います。
大竹: そういうところがないとベンチャーとして戦っていけないということもあるので、これからもそういうチームにしたいですよね。今後はどんなことをやっていきたいですか?
奥原: 1000万ダウンロードでは全然足りないので、クラシルをもっと世の中の人に使ってもらって国内では知らない人がいないような存在になっていき、かつサービスの特性上グローバルにも展開しやすいと思うので、世界でも通用するサービスにしていきたいですね。
大竹: 最後に応募を迷っている人にメッセージをお願いします!
奥原: 「人生は一度しかないから、自分がやりたいことに対してとりあえず一歩踏み出してみる」これは、wantedlyのCTO川崎さんの言葉ですが「バグってる人生の方が面白い」ということを僕は大事にしています。新しいことを始めるのってかなり怖いと思いますが、僕がプログラミングのアルバイトを始めた時も、プロ集団がいるところに何にも知らない人がいきなり行ってもダメだと思いつつ、「やってみます」と言って一歩踏み出して働き始めたのですが、それでも世の中ってなんとかなるんですよね。なので、是非一歩踏み出してみてください!