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「困っている人の役に立ちたい」だけでは活躍できません ― サイボウズのカスタマーサクセス部が大切にしていること

さまざまな業界にサブスクリプションの波が押し寄せる中、「カスタマーサクセス」という言葉が広く使われるようになりました。BtoBのサブスクリプション事業を主軸とするサイボウズでも2020年にカスタマーサクセス部が立ち上がり、組織の拡大に向けて採用活動を強化しています。

注目される職種であると同時に、まだまだ新しい領域だからこそ、外部から見ているだけでは分からないことがたくさんあるカスタマーサクセスの世界。

「日々どんな仕事をしているんですか?」

「カスタマーサクセスに向いている人って?」

カスタマーサクセス部の立ち上げメンバーである大脇一起さんに疑問をぶつけてみました。

(話を聞いた人)

大脇 一起(おおわき・いっき)さん
2014年に新卒で電力会社に入社し、担当業務の傍ら現場の業務改善に携わる。2018年5月にサイボウズへ転職。ダイレクトマーケティング部に配属され、ファンづくり施策や導入支援などを担当。2020年1月からは新設されたカスタマーサクセス部の立ち上げメンバーとなり、現在は「kintone」「Garoon」のカスタマーサクセスチームでリーダーを担当。海外拠点のCSチームへ後方支援も行っている。



モノを売るだけでなく、顧客の成功へ向けて一緒に走る時代に

――近年、さまざまな企業・現場で「カスタマーサクセス」という言葉が聞かれるようになりました。当事者として業務に携わっている大脇さんは、現在の流れをどのように見ていますか?

大脇:カスタマーサクセスが注目されている背景には、「モノを売り切る時代」から「サブスクリプションの時代」への変化があります。

ITの世界でも、システムを売り切るのではなく、月額課金のSaaSのようなサービスが主流になってきました。お客さまの目線で考えれば、企業の役割はサービスを届けることだけではなくなってきています。

……と言うと、ちょっと堅苦しいので、僕はよく「ジム」に例えるんです。モノを売り切る時代なら、ランニングマシンを作る企業は製品をジムに納品し、「使用方法で分からないことがあれば聞いてください」と伝えればよかった。これがいわゆる「カスタマーサポート」ですね。でも今は、ジムへ通い自社のランニングマシンを使うユーザーに対して、「1年間で5キロやせる」などの目標達成を支援することが企業のミッションとなっています。

――そうした目標達成のために伴走することが「カスタマーサクセス」の役割となるわけですね。

大脇:はい。サイボウズのカスタマーサクセスでいえば「お客さまの業務改善を実現する」「そこで働く人を幸せにする」、そして「チームワークを高める」といった目標に向けてカスタマーサクセスが伴走しています。


「既存顧客重視」の役割分担から生まれたカスタマーサクセス部

――サイボウズでは2020年1月にカスタマーサクセス部が立ち上がっています。ここに至るまでの経緯を教えてください。

大脇:サイボウズにはもともと顧客重視の文化があります。クラウド事業が中心となっていく中で、あらゆる部署がお客さまのことを考え、連携してきました。世の中で広がるカスタマーサクセスの概念に注目し始めたのは自然な流れだったと思います。全社的に「既存顧客へ注力していこう」という動きが高まっていたこともあって、独立した部署としてカスタマーサクセス部が立ち上がることとなりました。

――kintone などのサービスは積極的にユーザー数を拡大する方針を掲げていると思いますが、「既存顧客へ注力する」というのは?

大脇:営業的な視点でご契約いただいた企業を見ると、kintone の場合は部門導入などのスモールスタートで使い始めていただくお客様も多いんです。そうした企業を継続的に支援し、会社全体で kintone を使っていただけるようになれば、新規アカウントを獲得するのと同じか、それ以上にユーザー数の拡大につながっていくのではないかと考えています。

――なるほど。だからこそ既存顧客の目標達成に、より深い部分で伴走していく必要があるのですね。具体的にカスタマーサクセスでは、どのような役割を果たしていくことが求められているのでしょうか。

大脇:どの部署にも顧客を大切にする気持ちがあり、かつ既存顧客に注力するという方針が明確に示されるようになると、「誰が何をやるのか」という役割分担を明確にしながら、それぞれの連携を強化していく必要性が高まってきました。

その中でカスタマーサクセス部は、「顧客の成功」に向けて、特に導入初期のお客さまのフロントに立って、戦略的かつ積極的な支援を実行していく部門として立ち上がりました。

最初の壁を超え、自走できるように支える仕事

――カスタマーサクセス部の皆さんは日頃、どのような業務を担当しているのでしょうか。

大脇:電話やメール、Zoomといった様々なチャネルを使ってお客様の製品活用のご相談に乗りながら、一緒にアプリ作成を進めたり、活用方法のご提案をしたり、導入推進のコンサルティングなどを行っています。こうした支援は1回で終わることはほぼなく、3〜4回と継続的に接点を作っていきます。その中でお客さまの自走力を高めていくことがミッションです。

――「自走力」とは?

大脇:プロダクトをうまく活用していくためには、自社の業務を整理したり、機能や仕組みを勉強したり、どんなアプリを作るべきかを考えたり、現場のメンバーを巻き込んだり、といったプロセスを経ることが大切になります。サイボウズのプロダクトは自由度が高いので、そうした最初の成功までのプロセスを少しでも自分自身で進められるようになると、その後の活用シーンも大きく広がります。

逆にここは導入直後につまずきやすいポイントでもあり、例えば「ジムに通い始めたけどなかなか成果が出ない」といった最初の壁に近いものがあります。だからこそ僕たちはトレーナーの視点で、最初の成功体験を早く届けられるように支援しなければいけません。壁を超えられれば、「プロダクトを使えば使うほど業務改善やチームワーク向上が進む」というボーナス期間に突入できますから。

――お話を聞いていると、「最初の辛い期間を支えるカスタマーサクセスの仕事は大変だなぁ」と率直に感じます。

大脇:簡単な仕事ではありませんが、とても大切な役割だと思います。プロダクトとお客さまの付き合いが長くなることを考えれば、時には適切な相談相手に頼りながら、お客さま自身でもアプリを作ったり、問題を自己解決していただけるようになっていくといいなと思います。

お客さまにはあえて宿題をお出しすることもあります。週1回、1時間の習い事のようなものです。パーソナルトレーナーが「食生活ではここに気をつけてください」「こんな運動をしてください」とアドバイスするのと同じですね。そうして、いずれは卒業してもらえるようにすることが僕たちの仕事です。

また、お客さまが抱える課題と常に向き合っている僕たちは、その声を社内に共有していくミッションも担っています。実際に開発部門のメンバーから「この機能についてお客さまがどう考えているか教えてほしい」といった形で聞かれることも多いです。お客さまだけでなく、社内の仲間にも貢献できることがやりがいになっています。


農園から官公庁まで、幅広い世界で課題解決に貢献できる

――お客さまの課題と直接向き合うという意味では、営業職の仕事にも通じるところがあるのでしょうか。

大脇:お客さまを深く理解するという意味では営業もカスタマーサクセスも共通していると思います。ただ、営業は「サイボウズ製品を使えば課題解決できそう」と提案してプロダクトを届けることが主なミッションですが、カスタマーサクセスは「プロダクトを活用することで実際に課題解決や目標達成ができた」と着地するところまでが責任範囲となります。

サイボウズ製品を使ってお客さまが課題解決に向かう成功までのプロセスを4つのフェーズに分けて定義したり、日々探求を続けています。とはいえカスタマーサクセス部だけがその役割を背負っているのではなく、サイボウズでは全社でカスタマーサクセスに向き合っているんです。

――他社のカスタマーサクセスの取り組みと比べて違いを感じる部分はありますか?

大脇:サイボウズのカスタマーサクセスはまだまだ立ち上げフェーズで、型が決まっているわけではありません。型がないため難しさもありますが、自ら考えて色々なことに挑戦できる環境だと思います。

また、SaaSの中には特定の分野に特化して展開している製品も多いですが、サイボウズのプロダクトはお客さまの業種や職種、用途を選びません。農園さんから官公庁まで、幅広い世界で課題解決に貢献できるのはサイボウズならではだと言えるかもしれません。

――そうした意味では、カスタマーサクセスに近しい業務の経験はもちろん、幅広いバックグラウンドを活かせる仕事だと言えるのかもしれませんね。

大脇:そうですね。サポートや営業、業務改善系コンサルティング、マーケティングなどさまざまなバックグラウンドが生かされるはずです。

僕の場合は、前職の経験はもちろん、学生時代にクリーニング店やガソリンスタンドでアルバイトをした経験も今になって大いに生きていると感じます。限られた時間で対応していくカスタマーサクセスのメンバーには、お客さまの何気ない一言から「どれだけ多くを察することができるか」も問われます。だから、さまざまな世界を知っていることは強みになると思います。



「目の前の困っている人のために」という思いだけでは活躍できない

――カスタマーサクセス自体がまだまだ新しい領域であり、この仕事に興味があっても「自分に向いているか分からない」と思う人が多いかもしれません。実際のところ、サイボウズのカスタマーサクセス部で活躍できるのはどんな人だと思いますか?

大脇:お客さまの課題を理解し、それを解決することにやりがいを感じられる人です。加えて kintone などのプロダクトに関する深い知識を身につけられる人。最初から精通している必要はありませんが、システムを触ることに興味を持ち、楽しく学び続けられることが大切だと思います。カスタマーサクセスはプロダクトとお客さまをつなぐ通訳的な存在でもあるので、難しいことを分かりやすく伝えるホスピタリティも必要ですね。

ただ、これらはカスタマーサクセスに携わる個人の業務をミクロの視点で見たもの。もう一つ大切なことがあって、それはマクロの視点を持つことです。

――「マクロの視点」とは。

大脇:カスタマーサクセスは、目の前のお客さまのことだけを考えていても成り立ちません。

すぐ目の前にとても困っている人がいて、自分の力で助けてあげたいけど、kintone の顧客数はすでに1万9000社を超えていて他にも困っている人はたくさんいる。そんな状況で目の前のお客さまにどこまでリソースを割くのか? 全体を見渡した上で目の前のお客さまへ対応しなければいけません。「とにかく目の前の困っている人の役に立ちたい」という思いだけでは活躍できないんです。

電話やZoomなどによって1対1で支援する以外に、セミナーやテンプレートを整備してたくさんのお客さまを同時に支援する方法もあります。また、人が介在せずにツールやコンテンツで接触する支援方法もあります。何が最適かを探求し続けて、判断していく。そのための大きな裁量も委ねられています。

――自分自身も一つのリソースとして捉えるということですね。一人ひとりのメンバーにマネジメント視点が求められる仕事であるようにも感じます。

大脇:カスタマーサクセスの業務をライン作業のように分解して効率的に組み立てる方法もあります。そのほうが人を増やしたり、教育したり、マネジメントもしやすくなるかもしれません。ですが今のうちのチームでは、あくまでも個人が主体的に考え行動することにこだわっているため、そうした視点はより求められるかもしれませんね。

一方で、社内のグループウェア上ではカスタマーサクセスが動き出してからのたくさんのノウハウが共有されていますし、いつでも気軽に相談できる体制もあるので、孤独感を覚えることはないと思います。研修メニューも充実させているところなので、臆せずに飛び込んできていただけるとうれしいです。

――最後に、カスタマーサクセスの仕事に興味を持っている方へ向けて、ぜひメッセージをお願いします。

大脇:カスタマーサクセスは「顧客の成功」を探求することが結果的に「自社の成功」にも繋がるという、とても夢のある仕事だと思っています。サイボウズのカスタマーサクセスはまだまだ未開拓の部分も多いので、自分の関わり方一つでチームが変化していくことを実感できますし、お客さまのために貢献できる可能性もまだまだあると感じています。2021年は組織をさらに拡大していきたいと考えているので、興味があればぜひ、オンラインやリアルのイベントに参加していただければ嬉しいです。

編集後記

はじめまして。カスタマーサクセス部の山路です。

今回の記事を読んで、サイボウズのカスタマーサクセスについて
少しでもご理解いただけましたでしょうか?

私も丁度1年前に入社して、サイボウズで初めてカスタマーサクセスの仕事を始めました。
1社1社違った対応が求められるので最初は戸惑う事も多くありましたが、
困った時はチームメンバーに課題を共有し、対応策を一緒に考え乗り越える事ができました。

また、組織としてはまだ新しく、各メンバーの経験を活かしてアイディアを出し、みんなで作り上げている段階にあります。

是非この記事を読んで「サイボウズのカスタマーサクセスを一緒に作っていきたい!」という熱い気持ちをお持ちの方のエントリーをお待ちしております!

企画:サイボウズ採用育成部/取材・執筆:多田慎介

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