「半農半X」という働き方
農業をやると聞くと、人生を全部畑やハウスに捧げるようなイメージを持つ人が多いと思います。
朝から晩まで、一年中、それだけをやる。
でも、農業ともう一つの仕事を組み合わせて暮らす人も居ますし、実際に増えています。
その働き方が、「半農半X」。
半分は農業、半分は自分のX
「半農半X」は、1990年代に塩見直紀さんが提唱した考え方です。
暮らしの半分は農業をして、もう半分は自分がやりたい仕事、つまり「X」をする。
Xには、デザインでも、文章を書く仕事でも、動画づくりでも、お店の経営でも、何でも入ります。
自治体が移住者向けに後押ししている例もあります。
島根県は2010年度から、農業ともう一つの仕事を組み合わせて県内に移り住む人を「半農半X」として支援してきました。
副業をしたい人は、500万人近くいる
もう一つの仕事を持つという働き方自体も、広がっています。
総務省の2022年の調査では、農林業以外の仕事をしている人のうち、副業をしている人は305万人。
5年前から60万人増えました。
さらに、副業をしたいと思っている人は493万人いて、こちらも5年で93万人増えています。
一つの会社、一つの仕事だけで生きていく、という前提は、少しずつ変わってきているんです。
農業は、組み合わせやすい仕事
実は、農業はもう一つの仕事と組み合わせやすい面があります。
季節によって忙しさに波があるので、時期をずらして別の仕事を入れやすい。
八峰町の周りでも、雪が降るまでは農業をして、冬は除雪の仕事をするという人が珍しくありません。
八峰町近郊の米農家さんも、過去に冬だけ椎茸をやりにレンチナスへ来てたこともあります。
レンチナスは、事前に承認をもらえば副業ができる会社です。
これは社員全員に当てはまるルールで、過去には副業をしながら働いていたスタッフもいました。
椎茸の現場で手に職をつけながら、自分のXも続けていける。
たとえば、昼間はハウスで椎茸を収穫して、夜は家でデザインの仕事をする。
休みの日は、地元のイベントで自分の作品を売る。
そんな暮らし方も、ここでなら組み立てられると思います。
もしかすると、そのXがいつか、椎茸の新しい売り方や商品につながることもあるかもしれません。
極端な話、条件を満たし、双方合意の上で責務を全うできるのであれば何個副業を抱えてもらっても問題ない。
私自身も、北海道に住みながらこの会社に関わる一方で、別の仕事も続けています。
海外にもよく行きます。
一つの場所、一つの肩書きに縛られずに働くことは、思っていたよりずっと現実的でした。
伊勢社長もこんなふうに話していました。
「やりがい持って、楽しくワクワクしながら」
本業も、もう一つの仕事も、やりたいことをやっている状態のほうが、たぶんどちらにもいい影響が出る。
そう考えると、副業を認めることは会社にとってもプラスだと思っています。
自由に見えて、自己管理の働き方
ただ、半農半Xは自由で楽な働き方、というわけではありません。
椎茸は毎日育つので、ハウスの仕事は待ってくれない。
本業であるレンチナスの仕事をおろそかにするようなら、副業は認めていません。
二つの仕事を回すには、時間の使い方を自分で決めて、自分で守る力が必要です。
それに、副業をする人をどう支えるか、会社としての仕組みもまだ十分ではありません。
シフトの組み方や、忙しい時期との調整など、個人の工夫に頼っている部分が大きいのが今の状態です。
もう一つ、副業が成り立つ本物の人はそもそも本業を疎かにしない。なんなら両方本業かなと。
掛け持ちでもそうですが、ある程度の能力がないとできないことではあるなと思います。
農業か、やりたいことか。
その二択で迷っている人がいるなら、両方を持つ生き方もあると知ってほしい。
自分のXを持ったまま、椎茸の現場に関わってみたい。
そう思う人がいたら、一度話を聞かせてもらえたら嬉しいです。