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【updraft×埼玉・クラブ与野】社会に出て活躍する人財を輩出するために。街クラブとしてのこれまでの挑戦と2人が描くビジョンとは

“キャリアトレーニングを通じて自分自身の適性を見極める”

U-15カテゴリーにて、さいたま市中央区を中心にサッカースクールを展開するクラブ与野。父から監督を引き継ぎ、クラブを改革してきた中森翔太監督とクラブ与野5期生のupdraft事業本部長鶴巻の二人に、二人三脚で取り組んできた2年間の歩みと2人が描くこれからのビジョンについて伺いました。

Profile

クラブ与野

今年創設20周年になる、さいたま市中央区を中心に活動するJrユースサッカーチーム。選手の人間形成と地域貢献を軸に事業展開し、選手専用学習塾や、地域の人も利用できるトレーニングジム(Just Style:写真撮影場所)、小学生向け選手のサッカースクールを運営。民間企業と積極的にタイアップし、新しい街クラブのあり方を追求・実行しているチーム。昨年、本クラブ史上初の関東リーグに昇格し、人間形成×サッカーにおいて、その両方を高い質で目標達成したチームとして人気を集める。小学6年生のセレクション参加数は約400名。(2ヶ月間)

一般社団法人N-START
Jrユースサッカークラブ与野 監督
中森 翔太(写真右)

クラブ与野2期生として活動後、都内強豪校で成果を残し指導者として凱旋。学生コーチ時代にクラブ史上初の関東大会出場を決め、その後もクラブの記録を塗り替え続ける。監督就任後、Jリーガーを輩出するのはもちろんのこと、クラブ改革を進め、難易度の高いと言われた街クラブでの文武両道の仕組みを構築。「クラブ与野は、埼玉県内のトップレベルチーム」という代名詞を作ったのは同人。昨年見事、埼玉県優勝・関東リーグ昇格という実績を残し、指導者・経営者としての両面を持つ、今後の育成年代における日本サッカー界を牽引する若き次世代リーダー。

TOiRO株式会社 取締役
スポーツキャリアトレーニング事業「updraft」の事業責任者
鶴巻 翔平 (写真左)
クラブ与野5期生。大学時に埼玉県選抜としてフットサル選抜大会で全国制覇。人材教育コンサルティング会社に入社し、若年層教育に従事。その後、スポーツ人材に特化した大手人材会社に入社。採用戦略、社員研修を0から設計・実施。IPOに向けた採用プロジェクトを牽引。現在は、組織開発コンサルタントとして複数社の人事企画を手掛ける。また育成年代に特化したスポーツキャリアデザイン事業を展開している。キャリア支援実績は5,000名に上る。

本日はお忙しい中お時間いただきありがとうございます!お二人ともクラブ与野のOBなんですよね。

鶴巻:はい。翔太くん(中森監督)がクラブ与野2期生で自分が5期生です。

中森監督:年は3つ違うのかな。高校生のときも、クラブの練習にはちょくちょく来ていたので、鶴巻のことは高校生の時から知っていました。

ちなみに中森さんは当時の鶴巻について、覚えていますか?

中森監督:はい。昔から彼は礼儀正しくて、だから覚えているんだと思います。ちゃんとしている子がいるなぁと。他の子は目をそらしちゃったり下を向いたりするなかで、ちゃんと目を見て「こんにちは」とか「ありがとうございました」を言えるので。キーパーなので、ユニフォームも違って目立つからか覚えていたのかもしれませんね。なんか鶴巻をほめちゃった、後でカットしておいてください。(笑)



一点の曇りなく子どもたちに100%想いを注ぐ。その上で誰も成し遂げたことのない世界へ

お二人の仲の良さが伝わってきたところで、早速進めて行こうと思います!まずはクラブを運営するうえで、中森さんが大切にされていることについてお伺いできますか。

中森監督:そうですね、当クラブは、『人財育成・人間形成をサッカーを通じて実現する』という理念を掲げてきました。地域貢献をベースに、社会に出て活躍する人財を育成することを基本方針としてクラブ運営をしています。そのため、選手たちにはサッカーだけではなく、勉学と両立をしてほしいという願いから、学習塾も運営しています。あとは、地域の方々の健康を支援したいという思いで、トレーニングジムを選手だけではなく地域の方向けにも開放しています。


『人財育成・人間形成をサッカーを通じて実現する』という理念はどのような想いで掲げられているのでしょうか。

中森監督:サッカーって、11人しか試合に出れないじゃないですか。クラブ与野の選手たちはプロを目指して入ってくる子もいるんですけど、現実的にはプロになれない子もいますし、試合に出られない選手も出てきます。

そんな中で、サッカークラブとしての存在意義を考えたときに、彼らが社会人になったときにどうなっていたいか、どうなっていたら幸せか、という選手たちの将来を長期的な視点をもってクラブの運営を考えていく必要があるのではないかな、とずっと考え運営してきました。

たとえプロになれなかったとしても、社会に出て活躍してほしいと思ったときに、サッカーを教えるだけでは足りないんですよね。

そこまで考えて運営されている街クラブはなかなか無いのではと思うのですが、中森監督が参考にされているクラブやチームがあるんですか?

中森監督:そうですね。FCバルセロナが好きなんですけど、『クラブ以上の存在』っていうのがスローガンなんですよ。サッカークラブとしての存在価値だけではなくて、見に来てくれるサポーターさんだったりとか関係する全ての人の人生に貢献するくらいのコンセプトを掲げられているので、すごく共感しますし、自分たちもそうなっていきたいなと思っています。

クラブの「存在価値」というところに強いこだわりをお持ちなんですね。中森さんが監督をやられるようになってからいろんな変化があったと思うのですが、何か目に見える特にクラブとして変わったところなどありましたか?

中森監督:セレクションに来る人数ですかね。最初の頃は30人くらいだったんですけど、年々増えてます。直近では小学6年生だけでも350人参加してくれました。全国的にみても結構多いと思いますが、もしかしたら今年あたりで止めるかもしれないです、増えすぎているので。


10年間でセレクションのエントリーが10倍になったんですね。それだけ人気のクラブチームになったのは、チームとしての結果が出てきたからというのも大きいのでしょうか。

中森監督:そうですね。自分が最初担当学年になった子たちが今24歳の代なんですけど、その子たちが中3のときに初めて関東大会に出場して、その後、弟が学生コーチとして戻って来てからの12期生も関東大会に出場しました。そこからは、毎年成績が向上しています。

鶴巻:2019年は関東リーグに昇格決定しましたよね。学生コーチで関東大会に出るというのは本当に珍しいことだと思うのですが、指導者の世界観でいう、即戦力・早期に活躍するというテーマになった時に、当時の翔太君はどんなことを意識していたから関東大会に行けたと思いますか?

中森監督:100%のパワーを注ぎ込んだっていう事だと思います。当時、最初の担当学年だというのを自分も弟も意識していて、「この子たちを何とかして関東大会に連れていきたい」っていう想いだけで指導にあたっていました。

日常生活の中で彼らのことしか考えてなかったです。その想いだけですね。とにかくもうそれだけだった気がします。特にサッカーのことも、サッカーの指導をしてたっていう風にも今の自分からするとそうは思えないですし、気持ちだけですかね。絶対負けるなという感じでしたね。

本気は本気でしか伝わらないと思っていたので、彼らを本気にさせるためには自分が本気にならないと、と思って選手に本気でぶつかっていました。中途半端な気持ちでは出来ないなって思ってましたね。

鶴巻:きっと、その本気の姿勢が選手たちにも伝わって掴んだ勝利だったんですね。

中森監督:今、本気を伝えない大人が多いからね。大人の本気は怖いんだぞ、っていうところも必要ですし、怖さだったり真剣ていう部分だったり、選手に向き合ううえで、大事にしてきました。今、世間の大人たちは本気でやってるのかな、とも思いますけどね。


子どもたちにいろんな経験をさせてもらった。今の子どもたちをちゃんと理解する「お前たちはどうしたいの?」という主体性を引き出す魔法の言葉

チームを担当し始めた当時は「本気でぶつかること」を大切にされていたとお聞きしたのですが、今運営される上で大切にされていることはありますか?

中森監督:自分もいろんな経験をさせてもらってきて、子どもの質も変わってきたように感じます。頭ごなしに上から伝えてもなかなか伝わらなかったり、受け入れられなかったりする子どもたちが増えてきたので、選手たちがどう思っているかというのは気にするようになりましたし、直接選手に聴くこともあります。

これは賛否両論あると思うんですけど、試合のハーフタイムとかでは「お前たちはどうしたいんだ」って普通に聴きます。監督としての自分の意見と、実際にプレイしている選手たちとの感覚をすり合わせて、選手たちの同意を得た上で戦うという形が、今回のリーグ戦でも多かったですね。

昔はこちらから一方的に伝えるだけでしたが、試合以外でもあまり遠い存在になりすぎず、近くなりすぎず、距離感を大事にしながら選手の声を聴くことは意識しています。

例えば、選手たちとはどのようなやりとりをされるんですか。

中森監督:最近あったのが、3年生の子で試合のメンバーに入れなくて、練習のなかで味方にひどいプレーをしてしまった選手がいたんです。まあ、なにかあるんだろうなと思って聴いてみると、「何もありません、何もありません」の一点張りだったんですよ。

でも絶対に何かあるなと思って話を聴きに行ったら、「自分がメンバーに入れない理由がわかりません」という言葉が返ってきて。でも、その理由はちゃんとあったので、「こういうところが足りてなくてメンバーに入れていないんじゃないの?」という話をしたら、その日の練習から明らかに変わって、最終的にはその子も試合のメンバーに入ることができました。

子どもたちの質も変化していくなかで、指導する側にも変化が求められているんですね。鶴巻と一緒にクラブの改革を進めてきて約2年とお聞きしていますが、当時、クラブ運営においてどういった課題があったのでしょうか。

中森監督:こういうクラブって時間に対しての、運営側への対価としては相当低いと思います。もちろん、保護者の方に信頼をいただいているからこそ運営できているのは前提のお話しですが。例えば、土日とかは長時間、多いときで行ったら12時間ぐらいずっとグラウンドにいることもあるので、そういう意味で、月謝は安い業界だと思います。もちろんそれを変えようと思って金額を上げているクラブももちろんあるのは事実です。

相場なのかな、そこから抜け出せない中でどうやってお金をつくっていくか、というところにすごく課題を感じていました。得られる収益っていうのもすごく限られているので、会社として、社員の生活や関わってくれる方々の生活を考えたときには、かなり課題は多い業界だと思います。

そうなんですね。鶴巻に依頼しようと思ったのはどういった背景だったのでしょうか。

中森監督:きっかけはクラブのOBで集まることがあり、7年ぶりに再会したことです。久しぶりに飲みに行こうってなって、お互いの近況報告をしたんだよね。

鶴巻:そうですね。今翔太君が言ってくれた、クラブ運営にかける時間に対しての運営側への対価の話になったときに、新しい街クラブのあり方(街クラブ5.0=updraft)を作っていかないといけないよねという話になりましたね。話していくうちに、たくさんやりたいこと、やれそうなことが出てきて、翔太くんが「その未来を一緒に作っていこう」って言ってくださったことをすごく覚えてます。

中森さんの中で、鶴巻にお願いしようと思った決め手はあったんですか。

中森監督:どうでしょう、久々に鶴巻に会ったときに、まるで別人になっていたことですかね。もともと、しっかりしていましたが、社会に出て、ちょっと失礼な言い方をさせていただくと、ちゃんと一人前に苦しんで成長していたからですかね。(笑)

全ての基準は、選手のためになっているかどうか

成長を感じたことが決め手だったんですね。クラブを運営されていくうえで、updraftのサポートで特に助かっていることはありますか。

中森監督:協賛企業の獲得や資料作成、財務管理の整理についてはとても助かっています。

親子で運営していることもあり、親子間でどこかで意見が合わなくなるとけんかになるんですよね。どうしても感情的になると平常心で判断出来なくなってくるので、そんなときに鶴巻が間に入って客観視してくれるので、思考も整理できてとても助かっています。

あとは、とにかくレスポンスが早くて、こちらが課題としていることを投げたときに、スピード感をもって解決してくれるのが助かっています。自分からのこれはどう?っていう問題に対して早いタイミングで、3つくらい選択肢を出してくれて、最後決断するところは自分らクラブに残してくれて、その選択肢もこういうメリットがあるんで、とメリットを出してくれるので選びやすくて。

基本的に自分たちは選手のためになるかどうかという基準で考えるので、じゃあこれが選手・保護者にとっては一番いい選択だね、というふうに意思決定のサポートをしてもらえて感謝しています。

鶴巻:コロナが流行し出したときのzoomでのセミナー開催やフィジカルトレーニング、塾の実施を決めてから実行するのはすごく早かったですね。埼玉の街クラブでは1番だったんじゃないでしょうか。

中森監督:そうだね。選手やその家族からは、家にいながらできるのはとても感謝してもらいました。フィジカルトレーニングにしてもそうですけど、何をやったらいいかわからないと相談されていたので。




小学2年生にも伝わる。「将来に必要なキャリアトレーニング」

選手たちへのキャリアトレーニングも行っているとお聞きしているのですが、感じる変化はありますか。

中森監督:昨年の夏に小学生に対して行った、『目標設定』をテーマにした回は印象的ですね。当時小学校2年生の子が、キャリアトレーニングを受けた後、家で「自分はこうなりたいからこういう練習をしていく」と言っていたことに親御さんも驚いたそうです。自分もその話を聞いて、小学2年生でも伝わる話ができているというのは本当にすごいことだなと思いました。

中学生に関しては、将来自分がプレイヤーとして、社会人として「こういう仕事をしたいからこういう高校を選ぶ」っていう話ができるようになりましたね。今までは偏差値を基準に高校を選んでいたのが、自分がやりたいことを基準に選べるようになった点は変わったところですかね。親御さんと選手との三者面談をしていても、そういう会話になることが多いです。将来こういうことがしたいからこの高校に行きたいですとか。

鶴巻:夏にやったキャリアトレーニングのときに、「なんでこの仕事しようと思ったんですか?」ってある選手が聞いてきて。それを聞かれたときは、「あ、なんか刺さってるかも」って思った瞬間がありました。こんな仕事あるんですねって聞かれたことが嬉しかったです。

先日、特別講義をしたときのアンケートを見ても、年収や職業とか、結構みんな気になってるんだなと思いました。たしかに学校じゃ具体的なこと教えてもらえないんですよね。大学ですらやらないのに、どこでやるんだろうって思います。


日本一のキャリアトレーニング塾を併設したホームグラウンドの設立と、育成のバトンを繋ぐ仕組みを一緒に

選手たちのこれからが楽しみですね。これからクラブ与野として、updraftとしてやっていこうとしていることについて教えていただけますか。

鶴巻:グラウンド作り、やりたいですよね。

中森監督:そうだね。単純に鶴巻が考えていることって、すごく子どもの為になるし保護者も助かるのでたくさんの人にその考えに触れてほしいなって思っています。グラウンドがあれば、そこに人が集まってくるので、updraftの考え方に触れる機会をつくれると思うんです。

もし、触れられれば多少なりとも刺激になったり考え方が変わったりする可能性がありますが、触れられなければその可能性は0になっちゃうので。

それこそ、こういう記事を出してもらったりとか、埼玉通信の記事とかは自分らの考え方に触れてもらうきっかけになるのでありがたいですね。さらに場所があって、そこに人が集まってくるっていう仕組みを作れれば、これから社会で活躍するための考え方がもっと広がって行くんじゃないかなと思うんです。

鶴巻:すぐにでも作りたいですよね。updraftの施設もある世界一のキャリアトレーニング施設を作りたいです。

中森監督:まだ夢だけど、現実にしないとね。クラブ与野で最初にキャリアトレーニングを始めたのは今の高校1年生の代の子たちだから、就職活動の支援も同時にできたらいいですよね!育ってきた子たちのフォローも。彼ら・彼女らが「大学はどうしたらいいですか」とか、キャリアに関する質問を鶴巻にしてくれるんだろうなと思います。

鶴巻:はい、中学生の時代から成長を見守れることもあって、その当時からどんな変化があったとか、どんな資質があったとかそういうところも含めて生涯フォローができると思います。なので、OBこそたくさん連絡をしてくれたら嬉しいです!

中森監督:そうだね。後はクラブ与野の採用もどんどん進めていきたいな。本来であればキャリアトレーニングを受けてきた子たちが、うちのクラブに帰ってきてくれるのがベストな流れではあると思うんですけど、今はその段階ではないと思うので、まずは「真剣」な大人を繋いでいかないといけないというか。


なるほど、これから注力するのはキャリア教育に触れられる機会を増やすための専用グラウンド作り、育成のバトンをつなぐ仕組み作り、クラブの運営メンバーの採用育成の3つということですね。

鶴巻:そうですね。自分が勝手に思っていることなんですが、育成年代に関わってきた人たちの価値とか対価に対して明確な変化を業界としてもっと起こしたいなと思っています。そこで中学生や高校生に大人たちがどんな触れ方をしてもらえるかで学生たちの人生はかなり変わると思いますし、そこに本気でぶつかっている人たちの人生もあると思うので。

教育の価値を上げていくっていうことで、子どもたちが価値のある教育を受けられるようになっていくように、この業界にメスを入れていきたいです。

中森監督:そう思うよねほんとに。そこを実現していくうえでも、これからも鶴巻には、客観視する力を期待しています。クラブ、経営、仕組みづくりに対して客観的に意見をくれることだったり、気持ちは入り込んでても仕事の局面になった時にはドライになってほしいなって思います。

自分たちのクラブなので、どうしても、こうしていこうってなると

一部分しか見えていなかったりして違う部分が見れなくなったりするのですが、鶴巻にはリスクや見れていない裏側を見ていてほしいなって思います。


最近、新たな取り組みとしてクラブ与野の運営メンバー幹部全員にビノベーションレポート※1を受けていただいたとお聞きしたのですが、実際受けてみてどうでしたか。

※1:行動変革を促進し、人と組織の力を引き出すことを目的に開発された心理アセスメント。スポーツ庁委託事業「アスリートキャリアコーディネーター育成プログラム」に採用された。updraft(TOiRO)と事業提携し、キャリアトレーニングツールとして今注目を集めている。(画像:ビノベーションレポート受検結果例)


中森監督:自分で把握していた特徴と気づいていなかった特徴が明確になって、個人的には有意義なものでした。特に組織の中にいるから、組織としてのバランスがいいですよってフィードバックしてもらって、それぞれがやることをやっていればいいと腑に落ちました。指導者とか小さい街クラブって、みんなが同じことを出来ないといけないっていう思い込みがあるんですよね。でも、そうじゃなくて、それぞれみんな違う個性を持っていていいと改めて思えました。

父と母と話していて、母は俺の言うことなんかわかんないかっていうのと、父は、あ〜分かってるなっていうところが数値として出たって感じですかね。(笑) だからなんかスッキリして話ができます。今までは「親父は多分こういうふうに思ってるだろう」と考えながらやっていたのが明確になって分かりやすくなりました。

なるほど。選手にも今後ビノレポを受けてもらって、キャリアトレーニングに繋げていこうとしたときに、どのように使えそうですか。

中森監督:クラブで新しく取り入れようとしている役職配置に活かせると思います。今、結構学年別に構造化するチームが多くて、違う学年の先輩後輩との繋がりがないのはもったいなと思うんですよね。結構こういう繋がりって、大人になったときにどう繋がるかわかんないじゃないですか。

なので、3学年をミックスして、部署を分けようとしています。結局、「準備や片付けやれよ」って言っていてもやらない選手はやらないんですよね。でもそれってたぶん、得意じゃないんだなって。自分も準備とか片付けやらない派だったからわかるんですけど(笑)、やらなきゃいけない意味が分からんないって思っている選手も中にはいるんですよね。でも逆に、準備することにストレスがない選手もいて、そういう人がやったほうがいいっていうことかなって。

鶴巻:おもしろいですね。それを中学生がやるチームないですよ。(笑)

中森監督:あとはもう少し、保護者の方とももっと協力していった方がいいかなって思っています。スペインのビジャレアルって田舎のチームがあるんですけど、『家庭・サッカークラブ・学校の3つで子どもたちをしっかり育てましょう』という取り組みをしていて、学校の職員会議にクラブのコーチが出て子どもたちについて情報共有がされていたりするんです。家庭だけでは絶対に無理なので、こういう状況に合わせて3者が連携して子どもたちの精神状態を改善したり、教育するスタイルはいいなと思うんです。ということはまず、自分の特徴を理解した上で、ちゃんとキャリアトレーニングをする必要があると思います。

だからまだ先になってしまうかもしれないけど、学校とも連携したほうがいいのかなって、思います。今は外部の人間は入れない、とかあって難しいですけど。

これから目指すことはかなり難易度の高い挑戦だと思うのですが、お二人の頑張る理由は何ですか。

中森監督:子どもたちが頑張っているのを見ると、頑張ろうってすごい思えるんですよ。彼ら、彼女らが頑張ってるからこちらもなんとかしてあげたいなと思うんですよね。なので、これからグラウンドができて、目の前でサッカーしてるところで仕事出来たら最高だと思います。

鶴巻:見とれて仕事出来なかったりしそうですね。(笑)

中森監督:そうだね。(笑)やっぱり路頭に迷う子を減らしたいというか、好きなことを見つけさせてあげたいという想いはありますね。やりたいことが仕事になってない子がもちろんたくさんいると思うので、やりたいことが見つけられるような、キャリアトレーニングができたり、そういういい栄養を与えてあげたいなと思います。

鶴巻:こういう指導者の生の声を、民間企業はちゃんと聞いた上で事業を展開すべきだと思うんですよね。これ、時間制限なければずっと話をできてしまうと思いますし。今、リアルな現場ではどんなことが起こっているのか、どういうサービスが役に立てるのか、改めて真剣に考えていかないといけないなと感じました。

指導者として最前線で育成年代の教育に携われているお二人からリアルな小・中学生の今、キャリア教育の可能性について貴重なお話を伺えて、とても勉強になりました!
ありがとうございました!


企画/編集:TOiRO株式会社 広報 森高

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