キャリアを考える上で、子育てというライフイベントは大きな節目です。
特に、20代〜30代の方々にとっては、キャリアプランと密接に関わるため、漠然とした不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
もちろんこれは女性だけの問題ではありません。
男性にとっても、今後の働き方や人生の優先順位を大きく見直すきっかけとなります。
今回はその内容を基に、皆さんが後悔のないキャリア選択をするために、「パパママとしてのキャリアを作っていく時に考えるべきこと7つ」
をご紹介します。
目次
- 「個人の人生」から「家族の人生」へ。最大の変化は“時間”の捉え方
- 新生児期の育児は、毎晩「夜行バス」に乗っているようなもの
- 子育てとキャリアを考える際に、考えておくべき7つの論点
- 論点①: これからの人生の方向性
- 論点②:それぞれの人生の中でのキャリアの位置付け
- 論点③:理想のキャリアを実現する上で必要な時間の設計
- 論点④:時間確保にあたっての具体的な方法
- 論点⑤:拠点の設計
- 論点⑥:ファイナンスの設計
- 論点⑦:これらを夫婦間で共通認識を持ち常にチューニングしていく
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まずはその前に前提となる「大きな変化」についてお話をします。
「個人の人生」から「家族の人生」へ。最大の変化は“時間”の捉え方
いきなりですが、企業経営では「ヒト・モノ・カネ」という資源をどう配分して事業成果を最大化するかを考えることは有名なお話しです。
実は、これは個人の人生設計にも通じる考え方です。
私たち一人ひとりは、「時間」という最も貴重な資本を「仕事」「趣味」「家族」などにどう投資して、人生の幸福度(ウェルビーイング)を最大化するかを無意識に選択しています。
個人の人生設計と企業の経営の構造は実はとても似ている
独身や夫婦二人だけの時期は、この「時間資本」はあくまで「個人のもの」でした。しかし、子どもが生まれると、状況は一変します。
夫婦の時間は「家族の共有財産」となり、「育児」という決して中断できない最優先かつ長期間の共同プロジェクトが始まります。(しかも難易度もやりがいも最高レベルです。)
これにより、これまで個人が自由に采配できていた仕事や趣味、休息のための時間が、トレードオフの関係になるのです。
結婚自体はキャリアに大きな影響を及ぼさないケースが多いが、
子供ができた時点で大きく前提が変わる
新生児期の育児は、毎晩「夜行バス」に乗っているようなもの
「育児で時間がなくなる」と言われても、具体的にイメージするのは難しいかもしれません。具体的な事例として新生児の育児における夜間のスケジュールを共有します。
新生児を迎えた初日、夜泣きでほぼ一睡もせず絶望のまま朝を迎えた思い出が、、
新生児期の赤ちゃんは基本的に3時間ごとに授乳が必要です。そのため、親は夜中に何度も起きなければなりません。睡眠は1.5〜2時間の細切れになり、慢性的な睡眠不足に陥ります。(「毎晩、夜行バスに乗っているような状態」という例えが個人的にはしっくりきています。)
このような極度の睡眠不足は、日中の仕事のパフォーマンスはもちろん、思考力や判断力、精神的な余裕にも大きく影響します。また、一般的には赤ちゃんが夜通し寝るようになるには半年前後かかるので、この問題に中長期でどう向き合っていくのかは、初期の子育てにおいて非常に重要なテーマの一つになります。この現実を夫婦で共有しておくことが、全ての議論のスタートラインになります。
子育てとキャリアを考える際に、考えておくべき7つの論点
では、具体的に何を考えておく必要があるのでしょうか?
結論、以下の7つの論点を、ぜひパートナーと一緒に考えてみてください。
- 論点①: これからの人生の方向性
- 論点②:それぞれの人生の中でのキャリアの位置付け
- 論点③:理想のキャリアを実現する上で必要な時間の設計
- 論点④:時間確保にあたっての具体的な方法
- 論点⑤:拠点の設計
- 論点⑥:ファイナンスの設計
- 論点⑦:これらを夫婦間で共通認識を持ち常にチューニングしていく
これらは家庭によって変数(コントロール可能なもの)の場合もあれば、定数(コントロール不可なもの)の場合もあるかと思います。ですので、かならず①→⑦の順で考えて下さいというものではなく、決まっているものがあればそれらをベースに考えていく形でも大丈夫です。
それではひとつずつ見ていきましょう!
論点①: これからの人生の方向性
最も重要なのは、「これからの人生をどのようなものにしたいか」です。
キャリアはその人生を実現するためのものだと考えており、キャリアを考える出発点はいつもここからだと思っています。
今回は下記の3つの視点から考えることが重要です。
- 家族単位: どんな家族になりたいか?家族としての幸せな形はどのようなものか?子供は何人欲しいのかとその予定についてもキャリア形成に大きく影響を及ぼすので考える必要があります。
- 自分自身: 個人としてどんな人生を送りたいか?どんな自分でありたいか?
- 子ども: どんな人に育ってほしいか?どんな経験をさせてあげたいか?
論点②:それぞれの人生の中でのキャリアの位置付け
自身の人生の中でキャリアをどう位置付けるのか?を改めて考える必要があります。
下図のように「仕事」の目的は"ファイナンス(収入)"と"自己実現(やりがいや成長)"の2つに大分されます。これらを前提に家庭の共有財産としての時間を投下して仕事を通じて何を得るのか?を明らかにしていく必要があります。
特に子供ができると、明確にファイナンスの重要度が増すケースがほとんどです。(詳細は後述)
ここの議論を怠ると、例えば時給が高い夫側は仕事、妻は育児といった分担に半ば強制的になりやすく、結果として家庭の幸福度が大きく下がる構造になるケースも。このバランスをどう考えるかは夫婦間できちんと話し合う必要があります。
キャリアの目的の整理についてはこちらの記事でも詳細触れているのでご参照下さい。
論点③:理想のキャリアを実現する上で必要な時間の設計
キャリア実現のために、どれくらいの時間投資が必要かを考えていきます。例えば、昇進のためにある程度大きな成果をつくりにいく期間が必要、資格取得のための勉強時間の確保など、実現したいもののために投下しなければならない時間を考えていきます。
捻出できる時間は定数だと思いがちですが、実は変数の要素も大きいので、変に現状を前提に考えず、理想から逆算して考えることが重要です。
捻出可能時間の可視化のためにも我が家の育児はシフト管理にしています。こちらは別記事で解説予定。
論点④:時間確保にあたっての具体的な方法
どうすれば必要な時間の捻出ができるのかを考えていきます。
夫婦間での分担はもちろん、両親の協力、保育園や学童、ベビーシッターなどの外部サービス活用を検討していくと持てるリソース(時間)の上限のリミッターが外れて、より設計の自由度が上がります。
論点⑤:拠点の設計
ここでの大きな論点は、今の拠点を継続するか、どちらかの両親の近くに住むのかです。④の時間捻出の話も大きく重なりますが、やはり両親の力を借りることができる場合は、キャリア設計の自由度も大きく上がります。
僕たち家族も、子供が生まれるのを機に家族で話し合い、10年間働いた東京を離れて妻の実家がある大阪へ移住をしています。夫婦共に仕事は継続していきたい意向が強く、その際には東京に残るよりも大阪で両親の手を借りた方がより良いキャリア形成に繋がる可能性が高いと判断したためです。
また、もう一つ考えるべきは今後の転勤の可能性です。
どちらかに今後転勤の可能性がある場合、その可能性をライフプランにどう組み込むかは話し合っておくべきです。当然、このタイミングで転勤がない職場への転職を検討される方も多いです。
共働きでのキャリア形成を想定する場合、1歳になったタイミングで保育園に入れて職場復帰を想定する方が多いですが、そうなると生後数ヶ月で保育園見学などいわゆる「保活」が始まります。そこまでに拠点を定めておかないと、保育園入園後に引っ越しをする場合は転居先でまた保育園に入れれるかわからずキャリアが思わぬ形で中断してしまうケースも発生します。
我が家では結婚を前に家族計画シートを作成し、どの時期に何をしてどこに住んでいるのかの具体的なイメージのすり合わせを行いました。こちら記事最下部の公式LINEよりテンプレートをプレゼントします!
論点⑥:ファイナンスの設計
これからの理想の人生を考えた際に、必要額の算出を行います。
特に育児においてはわかりやすく支出が増えるタイミングがあります。(大きな家への引越し/大学進学時など)最低限必要な生活費や教育費、また子供にさせてあげたい体験を、子どもの成長ステージごとに算出し、どう備えるかを考えていかないと、キャリアにおいてどの程度の年収をいつまでに作る必要があるのかは本来計算ができないはずです。
そして当然必要な額は、どこに住むのかによっても変わります。都内に住むのと大阪に住むのと地方に住むのでは生活コストに大きな差があります。(特に家賃は倍以上の開きが出る可能性があります)
そして、その費用を夫婦でどう稼ぎ、どう分担するかについても議論が必要です。
希望の年収として30代で1000万円といった要望をいただくケースが多いですが、子供ができてからは世帯収入としてどれだけ作るのか?の観点が必要です。どちらかがバリバリ働き1000万円を稼ぐよりも、どちらも育児とバランスをとりながら600万円ずつ稼ぐ方が世帯としての余裕は生まれるケースが多く、また万が一どちらかが怪我や病気などで働けなくなった際のリスクヘッジにもなるので、中長期での収入のポートフォリオを家庭でどう作るかは非常に大きな論点になります。
先ほどのシートで、ライフイベントごとの具体的な出費などを事前に調べてみるのは非常に重要。信頼できるFPなどに相談するのも一手です。
論点⑦:これらを夫婦間で共通認識を持ち常にチューニングしていく
今回最も重要なのがこの点です。普段からお子さんがいらっしゃる方のキャリア面談を行う中で、それぞれが考えを持っている場合でも夫婦間で話し合って共通認識を持っているケースはかなり稀です。
冒頭で人生およびキャリアの設計は会社経営に似ているとお伝えしましたが、この状況は会社経営に例えるとCEOとCOOがそれぞれ何となく「会社をこうしていきたいなぁ」という絵を持っているが、それを共有すり合わせしておらず、今後のアクションについても何となくその場の流れで動いていこうとしている状態です。この会社がその後どうなっていくのかは想像に難くないですね、、、
時間のトレードオフが発生する以上、お互いの目指す方向性において対立が発生するケースも当然発生します。
だからこそ前もって話しておくことがとても重要です。なぜなら時間があればあるほど取りうるオプションの自由度が上がるからです。今年中に実家近くに引っ越すとなると、仕事どうする?引き継ぎは?など問題が山積みで現実的ではないですが、3年後に実家近くへ引っ越すことがある程度想定されている場合は、そこに向けて様々な準備ができるでしょう。
キャリアの観点でいうと、例えば地方で働きたい会社がない場合は、フリーランスとして独立してフルリモートで仕事ができる体制を整える方向性もあるかもしれません。そうなるとこの3年ですべきことは、フルリモートでできる案件をこなしていく上で必要なスキルを学び実践の中で実績を作ることかもしれません。
もちろん、子供は授かり物ですし、キャリアについても予期せぬ異動があったりなど、先のことを考えてもわからないことは多いです。
重要なのは、常に状況は変わっていくことを前提におきながらも、お互いに共通認識の下、計画を都度チューニングしていく体制を作ることです。
まとめ:計画的な準備が、未来の選択肢を広げる
子育てとキャリアの両立には、正解がありません。
それぞれの家庭の価値観、状況、そして外部環境によって、最適な形は変わってきます。
しかし、一つだけ確かなことがあります。それは「夫婦で事前に話し合い、計画的に準備すること」が、将来の選択肢を大きく広げるということです。
特にキャリアにおいては、準備に2〜3年かかることもあります。「子どもが生まれてから考えよう」では、間に合わないケースも少なくありません。
※子供が生まれてからの毎日は想像以上にバタバタです。
僕が経営しているXbet株式会社では、ワーキングペアレンツに向けたハグキャリ(https://xbet.co.jp/hugcareer)というサービスを運営しており、ライフイベントを見据えた中長期的なキャリアプランニングの壁打ち相手になることができます。
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