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Penetrator(ペネトレータ)~世界に挑むリーダーたち~vol.1


「宇宙から地球の不動産市場を変えたい!」 衛星データとAIを使って不動産市場の変革を目指すスタートアップ企業、ペネトレータ社の Founder & CEO阿久津岳生さん(以下、阿久津さん)が、スポーツ界のトップランナー、男子柔道金メダリスト・井上康生さん(以下、井上さん)と、「最強かつ最高のチーム作り」について本音で語り合いました。

(※対談の内容を6回に分けてお届けします)


対談① 世界を制するために必要なものは?


二人の出会いはボランティア事業

―――最初に、おふたりの出会いのきっかけを教えて下さい。

(阿久津)

最初は、僕がボランティアでウクライナに物資を支援しに行くことがあって、その時に井上さんの団体の柔道着を持って行ったのが、出会いのキッカケですね。



出会いのキッカケは、ウクライナにリサイクル柔道着を送るボランティア事業。

井上さんが理事長を務めるNPOの活動で、リサイクル柔道着をウクライナに届けようとしましたが、戦時で貨物輸送ができず困っていました。その時、人力で運ぶのを買って出たのが阿久津さんでした。


(井上)

相当大変だったんじゃないですか?


(阿久津)

50kgはある柔道着を運ぶと、電車やバスで乗車拒否をされたり、ちょっとした段差が登れなかったり、様々な問題が降りかかってきましたね。でもその都度、周りの人に助けてもらって、何とかミッションを達成できました。大切なものを運んでいるからこそ、多くの人の協力も得られた部分もあって、本当に良い経験させてもらったなと感謝しています。


(井上)

おかげさまで、届けられた場所で柔道をまた頑張れる子供たちがたくさんいますし、その後もさまざまな交流を深めて事業が展開できているので、本当に心から感謝しています。ありがとうございました。


―――お互いの第一印象は?

(阿久津)

井上さんを一言で言うと「感謝の男」。僕は「本当の強さの裏側には優しさがある」と思っていますが、「世界を取る人って、こんな風に人に感謝できるようになるんだ」というのを、すごく学ばせてもらって、自分もそうありたいなと思いましたね。


(井上)

阿久津さんは、宇宙産業という壮大な世界の中でビジネスをされている方なのに、すごく自然体でいろいろとお話ししてくださる姿に感動を覚えたというのが、出会った時の第一印象です。

今回は、改めて語り合える機会が得られたので、ぜひとも「阿久津さんが、なぜ宇宙のビジネスを手掛けたのか」、理念や目標などについてもお聞きしたいなと思っていました。


宇宙のビジネスを目指したワケは「1つ上の視座」を考えたから

(井上)

ちなみに、この仕事(宇宙のビジネス)を始めたきっかけは?


(阿久津)

なぜ宇宙だったのかというと、まずは、小学校の頃から、将来の夢が宇宙飛行士で(笑)。文集にも「宇宙飛行士になりたい」と書いたほど…宇宙に興味があったんですね。


それから、よく宗教哲学などでも最終的には「宇宙に真理がある」みたいなことが言われていますが、実際に行った事がない中で、本当にそこに真理があるのか…?と疑問に思ってしまって。どちらかというと、もう少し現実的に宇宙とかかわってみたかった。


あと、僕は今まで幾つか会社を経営しながら、いつも部下やメンバーに「1つ上の視座を持とうよ」と、ずっと言ってきたんですね。「1つ上の視座」というのは、例えば課長だったら部長の目線で考える。部長だったら、さらにどういう目線があるのかを考えるということで。


そんな中、「僕にとって“1つ上の視座”って何かな」と考えた時に、やっぱり「ビジネスで世界を変えたい」と思っていたので、じゃあ、「世界を変えるための1つ上の視座ってどこかな」と考えたんです。そしたら、すごい単純なんですけど「宇宙かな」と(笑)。 そこで一気に宇宙ビジネスを目指す方向に進みました。


人と同じ事をしても頂点には立てない

(井上)

「子どもの頃からの夢」という部分は私も同じで、昔は全然根拠がなかったんですけど、やはり夢は「オリンピックで金メダルを取ること」でした。「俺は取れるんだ」って勝手に思っていただけで、最初は具体的な手段も知りませんでしたが、やっぱり言葉ではそういうことを言い続けていたんですよね。


私も「人と同じことをしても頂点には立てない」と考えていて、いい意味で自分の存在意義を考えて、「いかに強みを活かしてナンバーワンになっていくか」という目線を持つことが、すごく大事だと思っています。そんな試行錯誤をしながらも「誰にもできないこと」にチャレンジするという点で、「あぁ、ビジネスの世界も同じなんだな」と、すごく共感しました。


言い続けると具現化する

(阿久津)

井上さんも「言い続けていると、それがだんだん具現化していく」という感覚が、いっぱいあったんですか?


(井上)

意識して言っていたワケではないですが、振り返ると沢山言ってましたね。自分の中で「俺はチャンピオンになるんだ!絶対強くなるんだ!日本一なるんだ!世界一になるんだ!」と常に思っていたし、やっぱり言葉で発したり、時には文章で書いたりというような形で表現していました。


もちろん言い続けるだけで目標が達成できるワケじゃありません。でも自分がなぜ目標を達成できたかというと、「思いを持ち続けて努力して、最終的には信じて、戦えたから」だとは、思っています。


(阿久津)

僕もスタートアップ企業を率いる立場で「世界を変えよう!」と言っていますが、そこを自分が一番信じてないと、周りの人たちにも本気度が伝わらないと思っています。ただ、何かを変えるためにはどうしたらいいのか、状況によっても変わるので、いつも模索しています。


(井上)

どの世界も一緒なんだな(笑)

僕の場合も同じで、例えば「世界一になりたい」とか「日本一になりたい」とか、目標をまず設定する。でもそれだけじゃ達成できないので、やはり実現させるプロセスが大事ですよね。


「守破離」が本物を培う

―――夢を実現させる具体的なプロセスとは?


(井上)

恩師から言われた言葉の一つが「守破離」。

まずは物事を真似て取り組み、形作りをする。その後、試行錯誤して自分の形を肉付けする。最終的には、そこから独立し、オリジナルを作っていく作業に、本物というものが培われてくる、という言葉です。


私自身は、「守破離」というプロセスを、本当にその通りだと思って大切にしています。例えば現役時代、得意技は内股でした。これは父から授かった技であり、また東海大学でも世界で勝つ為に、磨きをかけさせてもらいました。でも最終的には「誰もができない内股」をどう作るかを追求しました。どこまで完成できたかは別としても、「守破離」というプロセスがあったから、世界の頂点に立てたと思っています。


(阿久津)

なるほど。「誰もができない内股」。


世界を制するのは「チーム力」

―――世界を制するために必要なものは?

(井上)

世界を制するためには、自分自身の今の立ち位置を知り、自分の強みや弱みをちゃんと分析して、自分が成長できるようなプロセスを作っていく作業が非常に大事だと感じます。


(阿久津)

そういった成長するための自己分析も、自分でされるんですか?


(井上)

いえ、色々な方々のご協力をいただいて。やっぱり自分だけでは見えない世界ってあるんですよね。なので、時には先生のご指導をいただき、時には映像等を見て研究する、時には数字のデータを見て研究することもありました。そうやって材料を集めながら、次なるステージで自分をどう成長させていくかというプロセスを作っていきました。


(阿久津)

やっぱりそこは、チームなんですね。


(井上)

そうです、間違いないです!


個の力なんて、たかが知れている

(井上)

心から思うのは「個の力なんて本当にたかが知れている」という事。いかに、色々な方々のご協力を得た上で、形作りをしていくかというのがすごく大事じゃないかなと、私は思っています。


(阿久津)

テレビで見ると柔道は1対1のスポーツに見えますが、その裏側には、たくさんのチームができていて、その舞台に立っているということですよね。


本当に、起業やスタートアップと同じですね。僕も1人の力だったら、全然具現化できません。でもチームができると、その中で、どんどんいいものもできるし、どんどんチームも増えていくし、やっぱりいいチームを作っていくことが大事だと思ってます。



最終的には自分自身の戦い

―――チーム力のその先は?

(井上)

ただ、最後に畳に上がって戦っていくところだけは、もう誰も助けてくれないんで。そこはもう自分自身で切り開いていかなければいけない世界だなと思います。例えばビジネスの世界でも、「ここから戦っていこう」と決めるのは、やはり自分自身なのかなと。最終的な責任とか、最終的な覚悟とか、そういう部分において、やっぱり自分自身の戦いになってくるじゃないですか。結構、そこの戦いって、きつくないですか?(笑)


(阿久津)

そこが…結論から言うと「あんまりきつくない」っていうか…(笑)。

この話をすると飛躍するかもしれませんが。


例えばウクライナに行くと、もう死が隣り合わせの世界。歴史を見ても、江戸時代とか戦国時代は、何か失敗したら切腹するという話もありましたが、今、この日本において、責任をとって切腹するということはないわけですよね。どんなに失敗しても、これだけ平和な時代と場所はなくて。


そういった平和な時と場所に生きている以上、死で責任を取る必要がないと考えたら、何でもできるなと思って。逆に、何でもしないと、この平和な時と場所を作ってくださった先人の方とか、周りの方たちにやっぱり申し訳ないし、示しがつかない。平和だからこそできることってあるなと思って。そう考えると、何でもOKというか、受け入れられるというか。


「世界を変える事が一番の平和に対する恩返し」

(阿久津)

正直、僕は、責任と無責任は紙一重だと思っています。「責任取って辞めます」という政治家がいますが、辞めて責任取れるのは政治家だけ。


ビジネスの世界での責任の取り方は、基本、辞めることより続けることの方が大切な気もして。色々追求していくと「責任」と言っても、意外と、あってないようなもので。そう考えると、すごく気持ちが楽になれますね。

だから、覚悟というよりは…「世界を変える事が一番の平和に対する恩返し」だと思っているんです。


(井上)

やっぱり思考が大きいですよね。大きく物事を捉えられているなって思います。

私は元々視野が狭かったから、何かあるとすぐ「どうしよう」と思っていました。でもその葛藤があったから成長できたし、やっぱり多くの失敗を経験することで、だんだん視野が広がり、熱く物事を捉えられるようになった気がしています。なので、お話ししながら共感しつつも、もっと自分自身が大きくなんなきゃダメだなって改めて感じる部分もありました。


次回は、男子柔道金メダリスト・井上康生が、「最強かつ最高の柔道家」にこだわるワケ、そして、スタートアップ企業、Penetratorを率いる阿久津岳生が「経営で大事にしていること」についての対談内容をお伝えします。


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