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スペシャル対談・後編!安藤正晴校長(広島県瀬戸内高等学校 / 広島桜が丘高等学校)× 土岐靖(RGBサリヴァン代表)

今回は前回に引き続き、スペシャル対談の模様をお届け。後半となる今回は、広島桜が丘高校(学校HPはコチラ)で進められる「学校改革」について語られます。

取材当日は学校内部も見学。校舎の環境づくり、生徒会、探究学習、eスポーツ、食育、授業改革、教員研修などなど・・・あらゆる角度から行われる学校改革についての対談を、この日撮影した写真と共にお送りします。

学校改革。そこにあったのは、生徒自身の「生きづらさ」に寄り添おうとする学校づくりでした。どうぞご覧ください。

01 | 改革へ、共同着手のきっかけ

今までのものを一新するくらいのつもりでやらないといけないなと

安藤校長:瀬戸内高校は十数年、定員を確保しながらやってきました。その一方で、桜が丘高校では定員割れが続いている状況がありました。先生方が悪いんじゃないですよ。先生方や校長も一生懸命やっていたんです。だけど桜が丘高校に来たらこんないいことがありますよっていうお土産なしでは、なかなか生徒や保護者さんに選ばれない。そこで、今までのものを一新するくらいのつもりでやらないといけないなと。



瀬戸内高校では校内予備校をやりながら、校風も変えて、自主性をどんどん育んでいった。桜が丘もそういう風に舵を切ろうとなったときに、「学びをアソビに」というこれからの教育には絶対大切だと思える理念を持ったサリヴァンさんが近くにいたんです。だから土岐さんにまず相談してみようとなった。それが2022年の2月から3月ぐらいですかね。

土岐:我々としても、放課後だけじゃなく昼間もあわせて、生徒が楽しく通えるっていう学校づくりをお手伝いしたいなと思っていましたから、ぜひやらせてくださいとお答えしました。



安藤校長:少しずつ準備して、広報をすすめました。そうすると、その年の9月のオープンスクールで300人が来てくれたんですよ。これも過去最高の人数だったんだけど、直後の11月の入試説明会では初めての500人オーバーで。そして今年の入学生は320人集まってきました。で、先週(23年9月9日)やった今年のオープンスクールは600人!

土岐:集まりすぎている状況ですよね、嬉しいことに。


02 | 子どもたちのための改革、その手応え

保護者さんが「こんな表情初めて見た」って言ったりしていて。生徒がすごく生き生きしているようなんです。

安藤校長:小中学校の不登校生が去年24万5000人になって、今年は25万人を超すでしょう。その子たちを救える方法はないかなと思っているんです。中学校まではなかなか教室入れなかったけど、桜が丘高校に来たらどんどん歩み寄って、自分の武器を見つけられるように一緒に探し出していきたいんです。もちろん、教室入れない時にはオンラインでも学べるようにしてね。「リセットステーション」っていうのも今年から作りました。


↑リセットステーションの入り口。外部の刺激から一度距離をおき、自分のペースを保てる場で「リセット」する時間を過ごせます。


安藤校長:この部屋を利用する生徒も少なくなくて、稼働率は高めです。でも、家にいるのではなくて、なにか希望を持っているからわざわざ学校まで来てそこにいるのかなと。だから、作ってよかったと思います。作っていなかったら、多分学校まで来れていませんから。

土岐:小学校、中学校の時に不登校を経験してる子たちがほとんど辞めてないんですよね。

安藤校長:そう、やめてない。今の1年生320人中100人以上が中学校時代不登校で、ここまで数人やめてしまったけれど、その多くが楽しく過ごしてくれている。 1学期終わりの三者面談で、保護者さんが「こんな表情初めて見た」って言ったりしていて。生徒がすごく生き生きしているようなんですね。

土岐:改革の手応えと反響が感じられます。



安藤校長:悩みもあったりするなか、生徒たちも頑張って登校してきている。そういう子たちの武器が見つかるように、探究学習にも力を入れていて、週5コマ実施しています。

土岐:毎日ですもんね、探究の時間は。

安藤校長:はい。だから、先生方には大変な思いをさせてしまっているかもしれません。科目の教員になったのに、毎日探究の授業があるとなったら、これまでと全く違う勉強が必要です。ただ、これからますますそういう時代になると思うので、この試練を先生方と乗り越えていきたいですね。

土岐:私の方でも、授業改革のための教員研修をやらせてもらっていますね。研修っていうとおこがましいですが、月に2回の先生方との勉強会です。これもなかなか充実を感じています。


↑取材した日に開かれていた教員研修の様子。研修について「授業で感じる課題を他教科の教員間でも共有できるのが嬉しい」と語るのは、写真中央の陶山先生


03 | 生徒自身の手による学校改革

「自考自創」という理念。教員はサポートにまわって、運営をとにかく見守る。


土岐:生徒会の活躍も目立ちますね

安藤校長:瀬戸内高校と同じように、生徒会を中心に学校行事を生徒に任せていますね。学校の行事は校内のことだから、校長の裁量で失敗は許されるんですよ。だから教員はサポートにまわって、運営はとにかく見守る。

ただ今年はめちゃくちゃ段取り悪くて、2時間ぐらい押したんです(笑)教員はなにか言いたいわけです。でも「大人からは絶対なにも言わないようにしよう」ってして。

瀬戸内高校の体育祭は、去年は1時間ぐらい押したけど、今年は早かった。生徒が全部仕切って、ほか一部の生徒も仕切ったりしてね。桜が丘も来年は絶対そうなるから、今年はとにかく耐えようと思って、彼ら生徒に任せました。


↑学校の理念である「自考自創」が刻まれたクリアファイル。デザインもクールです


土岐:私も生徒会の立ち上げ時に生徒と面談をしました。

そこで私が伝えたのは「自考自創」っていう理念。「この理念の実践者は君たちだよ」っていう話だけして。そうしたら、桐原副校長がうまくサポートしながら、どんどん自分たちでやるようになりましたね。


↑生徒会室をのぞくと、この日は生徒会長を中心に文化祭の計画が練られており、大人にも相談しつつ生徒同士で活発な議論が行われていました。


安藤校長:今年もさっそく生徒会がいろんなことを言ってきて、プレゼンをしてもらって、色々と実現しました。

土岐:今年、生徒から提案してきた中で一番大きいものはなんですか。

安藤校長:1番大きいのはコンビニですね。10月10日にオープンしました。(コンビニオープンの様子を取材した記事は高校HPのコチラ

土岐:素晴らしい!やっぱり、食事は生徒たちにとってすごく大切ですもんね。


↑好評の食堂!そのメニュー看板がこちら。左下のマフィンも美味しそう。。


04 | 生徒が繋がるeスポーツ

eスポーツならより早く生徒同士の繋がりができる

土岐:あと注目は、探究学習の1つの柱であるeスポーツです。


↑図書室に設置された本格的なeスポーツの設備環境。現在準備中で、より充実していくのだとか。


土岐:このeスポーツ導入に対して私たちが強く働きかけたのは、生徒同士の横の繋がりができるツールとして最適だからです。今までは学校行事で生徒同士の横の繋がりができていた。でもeスポーツならより早く生徒同士の繋がりが生まれるし、生徒もきっと楽しいんじゃないかと。

安藤校長:うちには元プロゲーマーの職員もいるんです。先日のオープンスクールでは、保護者さんが自分の子どもが彼と対戦するのを見て、泣いちゃったりしてね。「うちの子がこんなに活き活きしているのをはじめて見ました」と。

土岐:あまり学校に行けない生徒が多くいて、彼らとのコミュニケーションに悩む保護者さんもきっといるはずです。だから、そこ(子どもが明るくなってくれること)に期待する保護者さんたちはかなり多いと思います。



05 | 学校改革の向かう先…理想の学校づくりを共に

これから行き詰まる生徒や先生もいるだろうし、皆を上手くサポートしていくのが私の仕事です

安藤校長:ここまで生徒も先生も、そして私も、皆一緒に学びながら学校づくりを進めています。これから行き詰まる生徒や先生もいるだろうし、皆を上手くサポートしていくのが私の仕事です。生徒会を中心に、生徒たちが自信をつけて、表情や歩く姿勢が変わってくれたらと思います。大人に対しても「先生、何々したい」っていうのが言いやすい環境が出来始めたところです。今すぐ結果は出ないけど、悩みがある生徒や、繊細な生徒たちが勇気を出して入学して、あの坂(下記写真参照)を上ってきてくれるから、私たちも変わりたいよね。いろんなことを修正をしながら、良い学校にしていきたいです。


↑高校からの景色。向こうに見えるのは広島市街地。高校が高い場所にあるのが分かりますね!長い長い坂を歩いて登って、生徒たちは登校してきます。


土岐:桜が丘高校では先生方がすごく生徒に寄り添ってる印象があるんです。なので、先生方自身がもっと自由になって、もっと成長されると、よりうまくいくんじゃないかなと。

不登校の生徒含め、多くの子どもたちが安心して楽しく通える学校づくりというのはすごく価値があるものです。大変楽しみです。

安藤校長:理念が一致しているから。だから、私はサリヴァンさんに委ねているんです。学校改革で新しいことをやるにしても、土岐さんを通じて紹介していただいている。学校改革のなかで、生徒や先生方の人生はもちろん、サリヴァンと学校の双方も発展してくれたら、私としては1番嬉しいな。



生徒や校内の様子の写真と共にお送りしてきたスペシャル対談後編、いかがだったでしょうか。

安藤校長に学校改革の実際について多くを語っていただきましたが、学校づくりの根底にあるその思いもまた、ひときわ印象的でした。

大人だけの考えにもとづいた「改革」では決してなく、学校が、校長が、先生方が、生徒自身の生きづらさに寄り添おうとする姿と想いがそこにはありました。そして生徒自身も改革の主役として、どんどん学校を変えていく。安藤校長のお言葉を借りれば、ここにあるのもまた「掛け算」でしょうか。

安藤校長のお言葉にもあった通り、私どもサリヴァンも、引き続き瀬戸内高校・桜が丘高校、両校の生徒さんや先生方と一緒に学び成長し、よりよい学校づくりをすすめていきたいと思います。

そしてその先に、より多くの学校さまと学びの環境づくりをご一緒できる未来があるならば。より多くの生徒や先生方と学びの時間をご一緒できたらば。そうした願いや想いとともに、RGBサリヴァンは今後とも、契約校さまのサポートをさせていただきます。


ここまで読んでいただき有難うございました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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