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スペシャル対談・前編!安藤正晴校長(広島県瀬戸内高等学校 / 広島桜が丘高等学校)× 土岐靖(RGBサリヴァン代表)

広島県広島市。その中心である広島駅からほど近い2つの高校で、いま学校改革が進んでいます。ひとつが広島県瀬戸内高等学校。そしてもうひとつが広島桜が丘高等学校。その両校で、私たちサリヴァンもお手伝いさせていただいております。

広島県瀬戸内高等学校では3年前に校内予備校「セトスタ」を開設。また広島桜が丘高等学校では準備期間も挟み、今年度より本格的な「学校改革」に着手しています。

そして今回はなんと!両校にて校長を務める安藤正晴先生のお声をお届け!なぜ校内予備校を導入したのか?導入後の変化は?実際の効果は?学校改革への想いとは?気になるあれこれをたっぷりお聞きできた内容を、弊社代表・土岐との対談形式にてお送りします。

こちらの第1部では、瀬戸内高校の校内予備校に関する模様をお届け。どうぞご覧ください。

(対談後半では広島桜が丘高校での学校改革について触れられます)


01| サリヴァン校内予備校導入の背景

進学実績があって、部活もやりながら希望進路に行ける仕組みを学校に作りたいと思った


安藤校長:僕はサッカー畑の人間でね、当時はまだサッカー部の監督(※1)でした。そのときに、サッカー部を強化したいなら、学校自体を良くしないといけないと気づいたんです。部活も強くしようと思ったら、ただその競技だけやるっていう子が集まっても勝てないよなって。「考えられる」っていうことが大事だなと。

(※1:安藤校長は瀬戸内高校サッカー部を全国レベルに引き上げた「名将」。全国ベスト4になった際のサッカーダイジェストさんの取材記事がこちら

土岐:なるほど。

安藤校長:それで、進学実績があって、部活もやりながら希望進路にも行けるっていう仕組みを学校に作りたいと思った。だけど、生徒もクラブなどで大変で、時間的に塾にも行けない。そういうときにサリヴァンさんの記事に目がとまって、資料請求を送ったんです。

土岐:その当時おっしゃっていたのが、子供たちの進路実現のために特進コースを設けているけど、成果がなかなか上がらないっていうことでしたね。

安藤校長:そうそう。特進プロジェクトっていうのを作っていて、教員もすごい頑張ってね、 生徒も教師も一生懸命にやりながら…でも、実績が伸びなかった。「いや、これ絶対なにか他に方法あるよ」というところで私教育新聞を見て、サリヴァンさんの資料請求をしたんです。


02| 校内予備校、開校の前に 

1から作りなおさないといけないと思って、サリヴァンさんも一緒にどんどんやってもらうことにしました


安藤校長:サリヴァンさんの資料をみてみたら、ぜひそういう学校内の仕組み作りをしたいと思いました。それで連絡をさせてもらって、年明けのタイミングで土岐さんが初めて来てくれて、話し合ったんです。

土岐:考えが合致して、お話し合いもスムーズでしたね。

安藤校長:そうでしたね。1年間かけて土岐さんも一緒に準備をしていただいて、まず特進プロジェクトを一緒に分析してもらいました。で、分析すればするほど、いい成績の高1生が2年後に偏差値がみんな下がっているっていうことがわかって…。残念なんですが、データだから全部出るんですよね。頑張っている教員もがっかりだし、生徒にもその事実をなかなか言えないしで困りました。

土岐:偏差値50とか55ぐらいの生徒たちが60に乗らないでそのまま卒業していくということが結構多かったんですよね。

安藤校長:そうでした。1番辛かったのは、英語と数学は偏差値の50台が0人になっていたんです。偏差値が、全員が綺麗に落ちてるという。だから、これはもう1から作りなおさないといけないと思って、サリヴァンさんも一緒にどんどんやってもらうことにしました。


03 | 導入後・・・学びをアソビに、主体性の芽生え

お任せした前と後とでは、 生徒の雰囲気が違う


安藤校長:僕のサリヴァンさんの好きなとこっていうのは「学びをアソビに」という理念と、主体性というのがすごく繋がっているところ。やっぱりお任せした前と後とでは、 生徒の雰囲気が違うんですよね。その考え方や雰囲気に僕はすごく共感が持てて。「あれしろこれしろ」じゃなくて、「じゃあどうする?どうしたい?何をしたい?」っていうような感じで、生徒自身に色々やらせる。待つっていうのはすごくエネルギーがいるし、やっぱり色々教えたくなっちゃって結構大変なんだけど、やっぱりそれによってね、 すごく生徒が変わって。

土岐:確かに「教えすぎない」というのはとても大切にしています 

安藤校長:学校の授業を減らして土曜日も休みにしたけど、勉強したい生徒が増えてきている。それが多分セトスタの仕掛け、仕組み(の効果)だと思うんですよ。瀬戸内高校の生徒は、勉強も学校行事もクラブも全て自分たちが運営して、それで勝利や合格を目指すという方向でやっていくっていうのが、校長になって5年目のいま、学校全体に浸透してきていますね。それが1番嬉しいところです。

土岐:体育祭とか文化祭の実行委員が400名、500名ですもんね。こんな学校なかなかない。

安藤校長:そうそう、全体生徒の3分の1が立候補する。自分達がやりたいって言ったことが全部実現できるから、生徒もすごい立候補するわけ。生徒会の仕切りを中心に運営する。すると生徒によってはゴミ係とかになることもあるんです。でも、やるんです。先生に「ゴミ係やれ」とか言われたらめんどくさいことも、自分たちで作るもんだから「やる」と。協力してはじめて行事が運営されるという考えが浸透しているんじゃないですかね。


今の生徒たちがやっぱり好きだし、任せたいんです。授業を減らす、休みも増やす、でも生徒がどんどん変わり成長して、実績が上がっていく。


安藤校長:いま、そこを先生方がすごく実感されていると思う。生徒がよく喋って、いろんなことを要求して、学校行事でものすごく動く。挨拶しようなんかも校長になってこの5年間、言ったことがない。でも生徒が自分達から挨拶しているんです。前はね、「門の前で立ち止まって礼しなさい」とかもあって。

土岐:そういうことが多かったのですか?

安藤校長:多かったですね。あれしてから帰れ、これしてから帰れって。確かに形を作ることも大事なのかもしれないけど、私は今の生徒たちがやっぱり好きだし、任せたいんです。授業を減らす、休みも増やす、でも生徒がどんどん変わり成長して、実績が上がっていく。任せることで、生徒の主体性や自己肯定感が多分すごく高まっている。「任すことで、こんなに生徒って伸びるんだ」っていうのを教員たち自身が学べてるんじゃないかなと思います。

土岐:自分から掴みにいこうという生徒が増えていますよね。教科学習だけでなく、学校行事や部活とも深くリンクしていて。


04| 学校・生徒・教員・サリヴァンの「掛け算」

「掛け算」になっているんです。だからそれぞれの成長も早い。

土岐:弊社もそうですが、学校として生徒自身が判断する機会を大事にされていますよね。

安藤校長:サリヴァンさんの理念と、校訓の「自主・誠実・感謝」の特に「自主」の点で、本当に同じ方向を向いていて。教員と予備校の先生も一緒になってね、子供らのために自主的に動いてくれているところがあって。今、それぞれがリンクできているんです。多分「掛け算」になっているんですね。だからそれぞれの成長も早い

土岐:安藤校長とはコミュニケーションを特に取らせてもらっていて、その理念共有っていうところは常に一致しているなっていう感じはしますね。


↑瀬戸内高校敷地内にある校訓が記された石碑


05 | 成長の掛け算は生徒に先生に、そして校長自身にも

任せることで、現場の先生方が自分達ですごく動いてくれるようになった

安藤校長:ただ僕もね、実はその「任せる」っていうのはあまり得意じゃなかったんですよ。

土岐:そうなんですか。

安藤校長:自分がやる方が早いし、自分の方が上手くできるしということもあって。でもそれは、今の松本学園の理事長が「先生、色々任せないと、ずっと自分でやらないといけないですよ。安藤先生がいなくても回る組織にしないと。そのほうがきっと子どもたちにもいいですよ」って言ってくれて。 それで、いろんな不安がありながらも教頭や事務長、学年主任をはじめ、皆にまず任せてみました。「任せる」というのは、僕にとっても挑戦だったんです。すると、現場の先生方が自分達ですごく動いてくれるようになってね。 最初は僕もやっぱり管理しがちだったから、先生方からも「どうしましょうか」「これどうしたらいいですか」っていう質問が多かった。でも今では、連絡や会議でも「こういう風にすることにしました」「こうします」って先生方がしっかり判断して、単に報告してくれるように変わってきたんです。僕も学ばせてもらいました。

土岐:ものすごくいい話ですね。

安藤校長:僕は管理職や現場の先生方に対して、教員も生徒に対して「自由にやらせてしまったら色んなことが起きてしまうかもしれない」っていう不安があった。でも今は、勇気を持って任せることの価値を、たぶん先生方は実感していて、僕も今すごく実感しているんです。


06 | 社会の変化に対応できる学校へ、共に

進路実績を上げるのは自校の教員だと思う

安藤校長:基本的に、進路実績を上げるのは自校の教員だと思うんです。自分の学校の先生が成長して、昼の授業で質の高い授業をやってくれることが理想です。ただ、それを全て自分達でやるのはなかなか難しいので、そこを校内予備校の講師の方から学ばせてもらっている。教員も授業見学をしたり、教えてもらっていますが、そういう形で教員が成長していく。一方で、サリヴァンさんも多分成長していくと思います。例えば探究学習とかのところで、いま改革中の桜が丘高校の方で色々なお願いをしていますね。方針はすごく合致しているから、一緒に成長していけると思っています。


↑広島県瀬戸内高校の教員であり、校内予備校セトスタの運営責任者である小林先生。写真はセトスタでうけもつ英語の授業の様子。「まさに"学びを最高のアソビに"できる環境がセトスタです」との言葉をいただきました。


土岐:それは私も全く同じ思いでいます。ここまで一緒にやってきて強く感じるのは、生徒の志望校が高くなってきていること。結果を出している先輩たちを見て、前は難しいと思っていた大学に合格するのを当たり前と生徒たちが思えているのがいいですね。究極は、やはり生徒の多様な進路実現、これをどこまで叶えてあげるかというところだと思います。瀬戸内高校もそうですが、いまは進路的な選択っていうのがものすごく多様にあるじゃないですか。生徒自身がやりたいことをたくさん見つけますよね。

ここまでご一緒してきて、生徒たちの顔が変わって、教員もそれを実感できて、ありがたいことばかりです

安藤校長:だから、一緒に学んでいけたらいいですね。この時代、今やっていることも10年後は正解かどうかわかりません。もう10年後には、校内予備校だけだったら仕事がないかもしれないなんて話もしましたね。でも、そういった変化に対して一緒にね、広く日本全体の教育を考えて成長していけると思います。

土岐:サリヴァンのフェローも英語科の会議に出させてもらって、一緒にカリキュラムなどを探っていますね。

安藤校長:サリヴァン現場スタッフであるフェローの皆さんが、現場の先生方と一緒にやってくれるっていうのは、とてもありがたいことです。この学園の発展にプラスになるようにとここまでご一緒してきて、今は本当に生徒たちの顔が変わって、教員もそれを実感できて、ありがたいことばかりですね。


(後半に続く)


安藤校長と土岐の対談、いかがだったでしょうか。生徒や先生方の活躍や成長はもちろん、校長先生自身の思いや変化の一端にも触れられ、多くの貴重なお話が聞けました。

続きの後半では広島桜が丘高等学校における学校改革をテーマついて話した様子をお届けします!乞うご期待!

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