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【社外対談(前編)】これからの時代に求められる事業のあり方とは?(w/シグマクシス社)

ファーメンステーションは先日第三者割当増資によって資金調達を行いました。

ファーメンステーション、第三者割当増資により2億円の資金調達を完了、未利用資源の再生・循環でサステナブルな事業開発・技術強化を加速
【資金調達の背景】 ...
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000051332.html

今回新たに株主として参画いただいたSXキャピタルのファンド出資者である、コンサルティングファームのシグマクシス。同社は従来型のコンサルティングファームと異なり、スタートアップへの投資・協業をはじめとし、サステナビリティ領域に自社として/クライアントワークとしていち早く取り組まれています。また、コンサルタントがクライアントワーク以外にも各自のミッションを掲げ、それぞれにコミットしながら活動するという働き方を採用するなど、ユニークな取り組みを仕掛けられている次世代型のコンサルティングファームです。

ファーメンステーションとは、大企業との価値共創やサステナビリティの領域で協業・連携を進めていますが、今回は外部の視点から見たファーメンステーションの事業や会社の価値、チームなどについてお話をいただきました。登場いただくのは、シグマクシスの常務執行役員である柴沼俊一さん、同社アシスタントマネジャーの小川知紗さんです。柴沼さんには、大企業との共創やサステナビリティ領域、また投資担当の視点でスタートアップとしてのファーメンステーションについて、小川さんにはコンサルティングで経験を積まれたミレニアル世代として見るファーメンステーションやそこでのキャリアについて、ファーメンステーション代表酒井とお話しいただきました。(聞き手:COO北畠)

ファーメンステーションという会社やそこでのキャリアに加えて、プロフェッショナルキャリアの皆さんのキャリアを考えるヒントも色々とある内容になっています。前編の今回は、主にファーメンステーションという会社に関してお二人からの見立てをお話しいただきます!

※対談はシグマクシスさんのこんな素敵なオフィスで実施しました

「ファーメンステーションは事業としても回る新しいモデル?」から始まった会話

――最初にお二人から自己紹介やお仕事のご紹介をお願いできますでしょうか。

柴沼さん:
新卒で日本銀行に入社し、10年間務める中で経済産業省に出向もしました。その後マッキンゼーで3年ほどコンサルティングに従事し、経営者と仕事をさせていただくうちに自分自身も企業経営にチャレンジしたいと考えるようになり、あるファンドの投資先企業の再生に3年ほど関わりました。その後、縁あって創業時のシグマクシスに参画し、以来13年にわたり会社づくりとその経営に携わってきました。
弊社の特徴は、企業の成長や変革を支援する活動を通じて社会にも価値を生んでいくというビジョンを掲げ、実行している点です。このビジョンを全社員が共有し、それぞれプロフェッショナルとしての強みを引き出し合うコラボレーションをしています。私自身は、事業開発と投資の領域をメインに活動しています。

小川さん:
私は、学生時代はロンドン大学でバイオメディカルサイエンスという生物医療系について学び、その後東京大学の大学院で生物学の研究に打ち込んだ後、新卒でマッキンゼーに入社しました。研究者になりたくて修士課程に進んだのですがキャリアに迷うところがあり、外に出てみることにしたのです。
当時は、コンサルティングファームであれば、様々な業界に触れながら最短で多様な能力を身に付けられる場所だろうと思っていました。でも、入社して3年、次はマネジャーに昇進となった時に立ち止まり、自分が本当にしたい事は何だろうと再度考えました。「社会のために何かをしたい」という初心に立ち戻り、国際機関やNPO、財団などのオプションを考えながらも、具体的なイメージがつかないでいるときに、シグマクシスに出会いました。ここにはマッキンゼー出身の先輩が数人いるのですが、その一人と話す中で「まずは我々との活動を通して視野を拡げながら、自らのビジョンを引き出し深めて行ってはどうか」というアドバイスがありました。迷いながらも、その言葉を信じてみようと思い21年3月に参画しました。

――最初に柴沼さんにお伺いします。ファーメンステーションとの出会いや、チーム・人についてどのように見ていたか教えてください。

柴沼さん:
酒井さんと初めてお会いした時は、三年前、投資のお話抜きでしたね。金融機関出身でありながら、東京農大に入りなおされて、そこで岩手県奥州市での未利用資源やお米からエタノールを作るというプロジェクトに関わったというお話を伺いました。プロジェクトから立ち上がった事業の引き取り手として手を挙げられたともお聞きし、はじめは「ずいぶん奇特な方だな」と思ったのですが、よくよく聞いていると、まさに社会課題を解決しながら、経済価値に繋がる事業モデル。当時はJR東日本さんと協業を開始されていましたね。りんごのお酒であるシードルを作る際に出るりんごの搾りかすからエタノールを抽出して化粧品等に活用し、その抽出過程に出る発酵粕を牛や鶏の飼料にして美味しい肉や卵をつくるというプロジェクトについて伺い、循環モデルを実現されている方なのだと感銘を受けたことを覚えています。同時に、社会課題を目的とするNPOとしてではなく、「事業」として回していくモデルであれば、我々の支援で大きく育てていけるのではと考えました。

酒井:
コンサルティングの人が面白いって思うんだってびっくりしましたね。普通だと、どこで儲けるのかとか、原価率とか、売上いくらとか、米は買っているのかとか、そういう話になるのですけど、そうではなくて、世の中・社会の在り方とか、新しい資本主義の形とか、仰っていて、やっていることに意味を見つけていくというお話ができてすごく面白かったのを覚えています。

柴沼さん:
私も、酒井さんのお考えを知れば知るほど興味を持ちました。米からエタノール作るとなると、普通だったら「ジェット燃料にしませんか」となるところを、酒井さんはエタノールをエタノールとして売らない。さらには、「このエタノールはお米由来である」「誰がどんな思いで作った」ということまで可視化して、未来をより良くしたい思う人々へのエンゲージに注力している。商品の使用シーンでも「地球を大事にしよう」と思える機会を創る。人々の共感をきちんと押さえることができるセンスが秀逸ですよね。この素晴らしさを届けたくて20年2月にWIREDさんに対談を企画していただきました。

「発酵」の力で実現する、新しいサステナビリティのかたち:ファーメンステーション酒井里奈×シグマクシス柴沼俊一
柴沼俊一: 酒井さんに2年ほど前に初めてお会いしたときに「ファーメンステーション」という社名を聞いて、実際には存在しない言葉だけれど、どこか聞きなれた言葉のような気がしたんです。どうして会社名として、この言葉を選ばれたのでしょうか。 酒井里奈: ...
https://wired.jp/2020/02/27/sigmaxyz-fermenstation-ws/


酒井:
あの記事が好きだっていう人はすごく弊社の考え方にフィットいただける方が多いですね。良い記事にしていただきました。その時に、柴沼さんがファーメンステーションの循環の構造を絵に書いて下さったのですよね。そういうブレストをタダでしていただきました。

柴沼さん:
実はシグマクシスにも、仕事に直接関係なくても、社会をより良くするためにやるべきだと考えたことに自ら取り組むメンバーが多数います。経営側も、それが結果としてプラスになって会社と個人に返ってくると考えている。これをやり続けていることが、シグマクシスという会社の社会的価値だと思うんですよ。私自身が特にこうした企業のありかたを追求してきましたから、ファーメンステーションさんとは是非一緒に取り組みたいと思いました。

※当時ブレストで書いたホワイトボード

チームで事業を大きくするフェーズに移ったファーメンステーション

――少し視点を変えて、当時のチームやリーダーシップについてはどう見ておられましたか。

柴沼さん:
リーダーシップチームに酒井さん以外いらっしゃらなかったということが、心配でした。酒井さんの周りに微生物は沢山いるけど人がいないという(笑)。もちろん仲間はいるはずなんですけど、事業として組み立てたり、営業して大きく育てたりするチームがなかったんです。だからこそ我々が資金を提供し、チームを作り、ビジネスをスケールしていくことを支援したいと考えました。

――酒井さんはチームや人に関してどのように感じていたのですか。

酒井:
頭ではチームが必要だということは分かっていたのですが、本当に経営を一緒にやる人が必要だということを私が深く理解していなかったんだと思います。私は事業のことを四六時中考えるんですよね。全く同じとまでは言わないけれど、同じくらいの目線の人に会ったことがなく、いたら理想ですがそんなに簡単に見つかるとも思っていなくて本気で探していなかったかもしれません。私の周囲にいわゆるTHE起業家みたいな人が少なかったんですよ。これまでスタートアップ業界みたいなところとあまり縁がなかったこともあり、私の周囲ではいわゆる経営チームを組成して、役割を持って補完し合ってやっている事例をあまり見たことがなかった。今はよくわかります。だから、今は同じような状況の起業家仲間に聞かれたら経営メンバーいた方がいいよって話します。
今回COOとして参画した北畠さんに会えたのは、資金調達ができそうなタイミングでしたし、本当に良いタイミングだったなと思います。

柴沼さん:
本当にぴったりのタイミングでしたね。

初期のフェーズから一気通貫で事業展開することが持つ意味

――次は小川さんにお伺いします。今とあるプロジェクトでご一緒している小川さんから見てファーメンステーションに感じられた印象をお伺いできますか。

小川さん:
代表が女性というのが素敵だなと、直感的に思いました。また、プロジェクトを通じて御社への事業の理解が深まるにつれ、そのユニークさを実感しています。スタートアップは一般的に、一つの特化した領域で深く問題解決するというアプローチが多いと思いますが、ファーメンステーションさんはコアな技術と未利用資源でエタノールを創る事業を軸に、視野は社会全体にわたらせて、ものごとを完全に循環させています。化粧品等の商品を自社で完結して形にするなどの地に足のついた生活者目線と社会を俯瞰する大きな目線、この両立が素晴らしいと思っています。

――小川さんが仰ったように、スタートアップの一般的なセオリーはニッチに特定の領域でカスタマーにフィットするプロダクトを作る、そこでコアやビジネスモデルを作るまで誰にも見つかるな、そこでニッチに独占したら縦横に展開せよというようなことが言われますよね。ファーメンステーションはそれを全無視していますよね(笑) かなり早い時期から複数の事業をやったり、かなり多くのステークホルダーと上流から下流まで手広くやっている。

柴沼さん:
そうそう、それがファーメンステーションらしさであり、恐らく新しいモデルなんですよ。

酒井:
循環やモデルが回ると考えると、関係するみんなでやらないとうまくできないし、みんなに良いようになるといいなって思っていたらこうなりましたね(笑)

小川さん:
思っていても、実現に向けてやることが多すぎて諦めるケースが多いじゃないですか、妥協するというか。なかなか全部はできない。「今はここだけやって、段階的に良くしていこう」と考えてしまいそうです。

酒井:
最初は使っていない田んぼ(休耕田)でお米を作って、発酵してアルコールを作り商品を作るとなると、どうやっても発酵の過程で粕が出るんですよね。ごみゼロを徹底することは決めていたので、当時はお金もないし上手く使い切るには家畜の餌にするしかなくて引き受けていただけるように農家さんと関係ができるんですよね。だから、本質的な思考に立ち返ると、エタノールだけ作って終わり、とかはできないんです。お金をかけてゴミにしてしまうという選択肢もこだわりがなければできることですが、事業の過程で出るもの全部を上手く収めようと思うとそうなったという感じです。

柴沼さん:
これは江戸時代ですね(笑) まじめな話、今、市場の定義がどんどん変わってきています。市場全体が循環して限界費用がゼロになる世界ができつつあると、私は思っています。
例えば、テスラ。彼らの利益の大部分は、電気自動車(EV)ではなく二酸化炭素の排出権売買の利益です。自前でソーラーシステムを作り、発電・蓄電して電力を販売し、その過程で獲得した二酸化炭素排出権を売買するという一連全てをやって初めてサステイナブルエナジーのマーケットはできあがるのですが、実はこれを全部やると社会インフラとして限界費用がゼロになるんですよ。全てが繋がり循環する市場になってくると、自ら一気通貫で完結させる方が強いんです。一部だけだと一時的には生き延びられるけれど、中長期的には難しい。それを酒井さんは素でやっているからすごいなって思っていたんですよね。

酒井:
一部しかやっていない人がほとんどなので、なかなか理解されなかったですね。例えば、ファーメンステーションに未利用資源を扱っているのだからごみ処理できるだろうと相談に来られる方とかはそうかもしれません。

柴沼さん:
全てを系でつなぐという新しいモデルなんですよ。

いかがでしたでしょうか。後編では今の時代に求められる組織のあり方とファーメンステーションのカルチャーについてお届けします!

【社外対談(後編)】今の時代に求められる組織のあり方とは?(w/シグマクシス社) | 株式会社ファーメンステーション
前編に引き続き、シグマクシスの常務執行役員である柴沼さん、同社アシスタントマネジャーの小川さんとファーメンステーション代表酒井の対談をお届けします。(聞き手:COO北畠) 前編では、主にこれからの時代に求められる事業のあり方とファーメンステーションという会社に関してお二人からの見立てをお話しいただきました。 ...
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