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「私の好きな仕事で、世の中に貢献したい」人事部門の執行役員を経て選んだ人事パラレルワーカーの道


こんにちは。コーナーの浦滝です。
今回はパラレルワーカーとして活躍する小林 清佳さんへのインタビューです。

当社は採用、制度設計、組織・人材開発、労務など幅広い企業の人事・組織課題を、ご登録いただいているプロフェッショナル人材とともに解決していくサービスを提供しています。

※本記事は弊社メディアの「パラれる」からの転載記事です。

大好きな人事の仕事で、もっと世の中に貢献したい。人事パラレルワーカーはその最適解」

そう話をしてくれたのは、事業会社で人材採用実務・新規事業開発責任者・人事部門の執行役員を経験した上で、現在は人事パラレルワーカーとして活躍する小林 清佳さん。その得意分野を存分に活かし、現在は「CORNER」を通じて複数社の採用支援に取り組んでいます

小林さんは、なぜ人事パラレルワーカーの道を選んだのでしょうか。また、その中で大切にされている考え方についても伺いました。

<プロフィール>
小林 清佳(こばやし さやか)/人事パラレルワーカー
複数社の人材採用と人事向けコンサルタント経験に加え、30代からは新規事業開発責任者としても活躍し、現在は人事パラレルワーカーとして複数社の支援を行っている。事業全体を俯瞰して、経営に近い目線で中長期的な人事戦略を事業戦略・経営戦略から逆算的に構築、具体的な実行施策を打ち出し、自らPDCAを回すことを得意とする。人材採用領域全般と、事業立ち上げ時のマーケティング・サービス企画・営業戦略企画と実行・プレスリリース執筆とSNS運用などの広報など、限られたリソース下における事業立ち上げのスキルセットを併せ持つ。メディア出演▼NHK「おはよう日本」▼WBSワールドビジネスサテライト▼BSジャパン「日経FTサタデー9」▼高知新聞▼日経アソシエ など。 慶應義塾大学法学部法律学科卒、栃木県宇都宮市出身

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目次
1.一生極められない、だからこそ面白い仕事
2.やりたいことを追求した先にあった「人事パラレルワーカー」
3.選ばれる「プロフェッショナル人事」になるために
4.結果が新しい未来へ連れて行ってくれる
5.編集後記

一生極められない、だからこそ面白い仕事

人事・採用は「ヒト」にまつわる全てができる仕事

私が人事・採用領域にのめり込んだきっかけは、1社目のSlerで新卒採用担当になった時のこと。初めは右も左も分かりませんでしたが、先輩と一緒に経験を積む中でその楽しさに気づいたんです。「採用ってこんなに面白いんだ!」って。

その後もいろんなキャリアを経験しましたが、「やっぱり人って大事だな」と立ち返ることは多々ありましたね。30代でゼロイチの新規事業立ち上げを任せてもらった時もそう。よく「会社はヒト・モノ・カネでできている」なんて言われますが、実際の重要度もその順番とまったく同じなんじゃないかな。その一番大事な「ヒト」にまつわるすべてを担当するのが人事の責任範囲だと思うんです。

会社が違えばそこにいる人も変わるし、当然悩みや課題も異なります。さらに同じ会社でもステージによって変化し続けていくものなので、「もう人事・採用は極めたわ」とは一生ならない気がするんですよね。そんな終わりのない奥深さも、人事の仕事に魅力を感じている理由なのかもしれません。

やりたいことを追求した先にあった「人事パラレルワーカー」

複数の企業に長く寄り添い、伴走できるポジション

私は過去に人事部門の執行役員として、人事・採用における上流から下流までを経験しました。そこで感じたのが、この大好きな領域でもっと世の中に貢献したい、フェーズの異なる複数社と関わりながら知見を活かしたいという気持ちだったんです。

辞めることに対する躊躇は正直言えば、なかったわけではありません。成長過程にある企業での責任ある立場だったこともあり、今後成長していく過程をもっと体感したかったし、貢献もしたかった。しかしながら、企業が成長するにつれて優秀な方もどんどんジョインしてくれるようになりましたし、これからもっと社会的影響力のある企業になるためには、私のいたポジションにもより適任の方を迎えた方がいいだろうと考え、退任を決意しました。

そこで始めたのが人事パラレルワーカーという働き方です。当然スキルの切り売りだけで終わりたくなかったし、できる限り多くの企業と伴走して一緒に成長していきたいと思っていました。なので、「CORNER」の「1人が、複数の会社で、本気で働ける社会をつくる」(現在は「1人が複数の会社に貢献できる社会へ」にVisionに変更)という理念にはとても共感していて、独立当初からずっとお世話になっています。

実は、人事パラレルワーカーとして活動を始めてからの1年間で、ありがたいことに社員雇用のオファーをいただくことも何度かありました。ただその中で「うちは副業禁止なので、今やってる業務委託案件は全部終了して入社してください」と言われた時、咄嗟に「あ、その働き方はもうできないな」と思ったんです。それだけ今、やりたいと思った仕事だけを組み合わせて働けているし、それが自分が最も求めていることなんだと思い知らされました。

特別、パラレルワーカーという働き方にこだわっているわけではありません。でも「自分が“やりたい”と思える仕事で、世の中に貢献する」ことは心に決めています。たぶん「副業ありの週3日正社員」みたいな打診があっても受けないでしょうね。自分のやりたいことや身につけたいことはこれからもどんどん変わっていくはずだし、その時フレキシブルに対応できる自分でありたいですね。そういった意味でも人事パラレルワーカーは、現時点での最適解だなと思います。

選ばれる「プロフェッショナル人事」になるために

案件の継続をはじめ、すべては「結果」が前提

「CORNER」を通じて、これまでメーカー企業における採用戦略の設計や、組織エンゲージメント施策などにも関わってきましたが、現在は主に複数社のダイレクトリクルーティング支援に取り組んでいます

中でも、人事パラレルワーカーとしての働き方をスタートした当時「CORNER」経由で知り合ったお客様とは、今でも長いお付き合いが続いています。介護領域に特化したITサービス企業なのですが、当時「介護経験があるエンジニアがほしい」というピンポイントな要望をいただいて。市場的に絶対数の少ない条件であったことと、ダイレクトリクルーティングの運用経験が少ないクライアントだったため「まずはスカウト対象を広めにして候補者との接触可能性を拡げる」「カジュアル面談で会社やポジションの魅力を伝えて、応募意欲を作る」など、工数懸念でこれまで運用していないことを提案しました。提案するにあたって、工数が増える部分はこちら側で担うことをお伝えしたところ、安心していただけたようです。

それからテンプレートではない、画面の向こうの採用ターゲットである「あなた」に向けた1on1のスカウト文章を作成。スカウトは数回に分けて送る運用にし、始めの送信で「スカウトタイトル」「曜日」「時間帯」についてABテストを行いました。このPDCAを通して「いかにダイレクトリクルーティングが”ナマモノ”で”相場観”が必要か」を実感していただきたかったんです。

他にも、スカウトで母集団を作りつつ、以下のような価値観、考えを共有するようにしました。

(1) 市場に少ない候補者については、”譲る”ことも必要

有資格者のターゲットは、当初想定よりも「ジュニア」の方を採用するようにしました。カジュアル面談後のレポートの際に「ジュニアで少しアピールが控えめの候補者だが、成長意欲と向学心、継続力があるので採用してから育成する観点を持ってほしい」とレポートすることで、企業とのマッチングを実現しました。

(2) スカウト送信はPDCAを愚直にやる

スカウト送信の曜日、時間帯などを検証し「この媒体のスカウトは、”スマホから閲覧される割合が高く、12-13時の昼休み時間に閲覧されている”」という仮説を立て実行した結果、狙っていたペルソナの方からスカウト返信を獲得、採用に至りました。ターゲットによって行動形態は異なります。例えばエンジニアは大まかに平日夜・土曜にスカウトを閲覧していると言われているため、そのことを企業の採用担当者の皆様に説明した上で、送信結果(データ)で証明し、施策実行。結果につなげることができました。

最終的に、まさに企業が求めていた人材を採用できたという成果を残すことができました。その結果を認めていただいたからこそ、今では担当させてもらえる領域も広くなり、求人広告の出稿から1次カジュアル面接までは、ほぼワンストップで完結できるように。

他にも「株主対応やIRができる人がほしい」という企業要望を受けた上で、これまでの経験に基づいたアドバイスを実施。市場感や採用難易度をお伝えした上で「VCや監査法人など上場準備中の企業へアドバイスしている立場の方」にターゲット変更を提案することで、採用計画そのもののベクトル調整から携わったこともあります。

案件によって取り組み内容や選ぶ手法は異なりますが、どんなプロジェクトでも共通して大切にしているのは、やはり「結果を出す」こと。思うように採用が進んでいないからこそ、私のような外部人材がジョインしているわけですから。もちろん、結果以外にも採用に関する知見やノウハウを社内に残したり、外部の人間だからこそ気付けるその会社の強みや課題を伝えたりとできることはたくさんありますが、それらも結果が伴わなければ説得力を持ちません。

相手の時間を無駄にせず、とことん活用する

結果を出す上で大切にしているのは、企業と一緒に共有できる時間の「質」です。その会社の社員同士ならなら、「明日話せばいいや」的な身内ならではのいわゆる甘えのようなものも通用するかもしれません。でも、プロフェッショナル人事として外部から参画するとなると話は変わってきます。定例ミーティングの1時間ひとつにしても、それは企業からもらっている貴重な時間。1分足りとも無駄にしてはいけないと感じます。

いかにその時間で成果につなげるか、クリエイティブなものを生み出すか。企業と話せる時間は当たり前じゃない。この感覚はパラレルワーカーになってからより強くなったなと感じているし、結果を出して信頼してもらうためにも必要不可欠なスタンスだと思いますね。

結果が新しい未来へ連れて行ってくれる

パラレルワーカーとして自分を高めていくためには

会社に所属していれば昇級・昇格試験に向けて勉強して部長や役員を目指すこともできますが、パラレルワーカーはそうもいきません。自分自身でキャリアを切り拓く必要がありますよね。あるいは、いくら研修的なものを受けたり資格を取ったりしても、それが必ずしも信頼に値するかといえばそうでもない。

だから常々「どう自分を高めていくか」については考えています。その中で行き着いたのが、「自分の得意領域や専門領域を理解し、そこで実績を上げ続けるしかない」という考えです。これはジョブ型雇用にも通じる話で、常に自分は現場の最先端にいて、その上でコンスタントに結果を出しながら証明し続けるしかないなと。簡単ではありませんが、やりたいことをやり続けるためには欠かせないことだと思うんです。

ITエンジニアなどはすでにそんな世界観になってますよね。ポートフォリオとしてGitHubにコードを公開し、それによって任されるジョブが変わる、という流れはいまやスタンダードなもの。人事もその領域に今後近づいていくはずだと考えています。それにIT同様、採用トレンドなども毎年変わり続けるもの。10年前に成功した人が今年も結果を残せるわけではないように、「継続的に成果を残し続ける」「実践を通じて学び続ける」ことの重要性は、人事パラレルワーカーにおいても増すのではないでしょうか。

常に現場の最前線で活躍する存在であり続けたい

今私は人材採用と新規事業企画を得意としていますが、人事としてはまだまだ伸びしろがあると感じています。なぜなら、人を採用できたとしても、それだけで人材問題のすべてが解決するわけではないから。企業はいつも「良い人材を採用したい」と言いますが、採用後にその人材をどう活かすかまでをセットで考えなければ意味がありません。入口から出口まで、ヒトにまつわることはすべてやる──そんな人事としてさらに世の中に貢献できるよう、これからも現場の最前線で行動して結果を残し続けようと思います。

編集後記

なぜ人事部門の執行役員にまで上り詰めた小林さんが人事パラレルワーカーを選択したのか。正直インタビューするまでは想像もできませんでしたが、実際に話を聞くと「確かに」と感じる部分が多く、人事パラレルワーカーの可能性の広がりを実感できた取材となりました。「結果にこだわる」を言葉にすると当たり前に感じますが、その背景も合わせて理解できると見えるものが変わってくるかもしれません。

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