つむぎには、数字をつくる人がいます。
組織を整える人がいます。
誰かの挑戦に伴走し、その変化を信じ続ける人がいます。
そうして、一人の変化がチームに広がり、
チームの変化が組織を動かし、
やがてクライアントの未来まで変えていく。
それが、つむぎの仕事です。
「紡ぐ人」は、そんなつむぎメンバーの挑戦や支援実績を、バトン形式で紹介していくプロジェクト。
一人ひとりの仕事への向き合い方や価値観を届けながら、同じ志で働く仲間と出会いたい。そんな想いから始まりました。
今回紹介するのは、カケハシ事業部紡ぎ手・西本。
入社1年以内の離職率が約80%に達していたクライアントに対し、入社社員への月1回の継続的な対話を通じて、社員の本音を組織の改善へつないできました。
2024年8月の支援開始以降、今回のクライアントで、西本が重ねたインタビューは120回以上。クライアント自身の改善努力と、つむぎによる複数の施策が重なった結果、離職率は約30%にまで減少しました。
目次
西本友|
働くことに悩みながらも、インタビューライターの仕事にやりがいを見いだし、ライター・フォトグラファー・スポーツ実況アナウンサーという3つの顔を持つフリーランスとして、多様な働き方を実践中。
カケハシ事業部の紡ぎ手としては、広報記事の執筆や「カケハシインタビュー」などを担当。一人ひとりの価値観に触れ、選択肢を広げることが人生の幸せにつながると信じ、人の想いを紡いでいる。
「採用できる会社」から「働き続けたい会社」へ
今回のテーマは、紡ぎ手として活動している西本が、「カケハシインタビュー」の伴走支援を通じて、組織に変化をもたらした事例です。
「カケハシインタビュー」※とは、クライアントの課題に沿ったテーマについて、プロのインタビュアーであるカケハシ事業部の紡ぎ手が、社員の皆さまへ月1回30分のインタビューを継続的に行うサービスです。
※社員一人ひとりにインタビューし本音を把握する「カケハシインタビュー」をリリースしました|つむぎ株式会社
今回のクライアントは、鹿児島県で、70年以上にわたり地域に根差した葬儀を届けてきた老舗の葬儀会社様。
「より良い葬儀を届けること」への強いこだわりがあり、小規模な葬儀であっても、ディレクターやセレモニースタッフなど約4名を配置するなど、同業他社と比べても手厚い人員体制を整え、ご遺族の想いに寄り添った葬儀を大切にされています。
一方で、そうした会社の魅力を採用活動で十分に伝えきれず、求人を出しても思うように人が集まらない「人手不足」に悩んでいました。
そこで、つむぎが採用支援に入り、クライアントの魅力や仕事の価値を整理して発信したことで、入社人数は徐々に増えていきました。
しかし、採用が進んだことで、新たな課題が浮かび上がりました。
人は集まるようになったものの、入社後の受け入れ体制が十分に整っておらず、入社1年以内の離職率が約80%に達していたのです。
採用ができても、入社した人が定着しなければ、本当の意味で人手不足が解決したとはいえません。
そこでクライアントの経営・マネジメント層から寄せられたのが、「現場の社員が、どのような不満や悩みを抱えているのか、もっと知りたい」という声でした。
この相談をきっかけに、カケハシインタビューの支援が始まります。
支援開始当初は、西本ともう一人の紡ぎ手による2人体制で、入社1年未満の新卒・中途社員約15名を対象に、一人ひとり月1回のインタビューを行っていました。
対象者が入社から1年を迎えたタイミングでインタビューを終了し、新しく入社した社員を加える。このサイクルを繰り返しながら、継続的に現場の声を拾ってきました。
支援の依頼を受けたとき、西本が感じたのは、不安よりも「やってみたい」という気持ち。
「通常のインタビュー案件は、基本的に単発の支援になることが多いですが、カケハシインタビューでは、同じ人と基本的に1年間関わることができます。じっくりと時間をかけて信頼関係を構築し、徐々に深い対話につなげ、その人がどのように変化していくのかをみていく。そうした関わり方のほうが、自分の性格にも合っていると思いました」
大人数の場よりも、1対1での深い対話を得意とする西本。
毎月対話を重ねながら、その人が抱える迷いや気持ちの変化を見届けていく。そこに自分が関わる意味と、仕事の意義を感じたことが、この支援へ取り組む原動力となりました。
現場の本音を、組織へ届けるために
支援開始時、クライアントの入社1年以内の離職率は約80%でした。
カケハシインタビューを進めるなかで、その背景にある課題が徐々に明らかになっていきました。
当時は業務マニュアルが十分に整っておらず、新しく入社した社員が自分で仕事内容を確認し、段階的に仕事を覚えられる環境が整備されていませんでした。
また、社内には長く働くベテラン社員がいる一方、新人とベテランをつなぐ中堅層が少ないという組織構造上の課題もありました。新人にとっては、小さな疑問や不安を気軽に相談できる相手を見つけにくく、コミュニケーションに難しさを感じるという声も少なくありませんでした。
さらに、待遇面や福利厚生に対する不満の声もあり、日々働く中で生まれる小さな違和感が、少しずつ積み重なっている状態でした。
本来であれば、社員が自分の考えや悩みを会社へ直接伝え、会社側もその声を受け止められる状態が理想です。
しかし、役職や評価、日頃の人間関係がある中で、本音を直接伝えることには少なからず心理的なハードルがあります。
社内の人には伝えにくいことでも、役職や評価に直接関わらない第三者だからこそ、安心して話せることがあります。本人の中でもまだ整理しきれていなかった違和感や不満が、対話を通じて言葉になり、本音として表に出やすくなるのです。
また、第三者が継続的に声を集め、整理して組織へ届けることで、経営・マネジメント層が一人ひとりへのヒアリングに多くの時間を割く必要もなくなります。それぞれが本来の業務に集中しながら、現場で起きていることや組織課題を把握できる点も、クライアントにとっては大きなメリットでした。
社員が安心して本音を話せる場をつくり、その声を単なる不満で終わらせず、制度や環境を見直すための材料として組織へ届ける。
それが、カケハシインタビューに求められる役割でした。
「相手を否定しない対話」の徹底
西本が対話をする際に、いつも大切にしていることがあります。
それは、「相手を否定しないこと」。
仕事への前向きな話だけではありません。会社への不満、人間関係の悩み。ネガティブな内容であっても、すぐに正そうとするのではなく、まずは「その人が今、そう感じている」という事実を受け止めるようにしています。
その姿勢の原点は、コロナ禍以前に参加していた教育系NPOでの活動にありました。
当時、西本が関わっていたのは、定時制や通信制の高校に安心して過ごせる場をつくり、生徒たちと対話するボランティアです。10代の孤立を防ぎ、人とのつながりをつくることを目的とした活動でした。
そこで大切にされていたのが、「否定せずに関わること」と、「一人ひとりと向き合い、相手から学ぼうとする姿勢」です。
西本は、実際に生徒たちと関わる中で、家庭環境や過去の経験など一人ひとりが異なる背景を抱えていることを知りました。「定時制や通信制に通っている」というだけで、周囲から偏見を持たれることもあります。それでも、目の前にいる生徒たちは、それぞれが置かれた環境の中で懸命に生きていました。
中には、危うさを感じるような言葉を口にする生徒もいました。それでも、その言葉だけを切り取って、本人を否定しない。言葉の表面ではなく、その言葉が生まれた背景に目を向けることが、西本の対話の土台になっていきました。
「何かしらの背景があるから、その言葉が出てくる。確かによくない言葉だったとしても、その発言を否定してしまったら、その子の心の拠り所がさらに少なくなってしまうかもしれない、と思うんです」
人には、それぞれの考え方があります。育ってきた環境も、経験も、常識も違う。その人がその言葉を発した背景には、何らかの経験や意図がある。まずはそこに目を向けることが、相手を理解するための入り口になると考えています。
また、生徒たちと向き合う中で、西本自身が教えられることも多くありました。そこから、相手の年齢や役職によって向き合い方を変えないことも、大切にするようになったと言います。
「年齢や役職が上だから、人として偉いという感覚は持っていません。もちろん、最低限の礼儀や敬意は必要です。でも、肩書を外せば、みんな一人の個人だと思っています」
新人だから分かっていない。経験が浅いから考えが足りない。そう決めつけるのではなく、自分が相手から教わることもある、という前提で向き合う。
そのフラットな姿勢が、「この人には話してもいい」と思える安心や信頼につながっています。
「この人は、本当にそう思っているのだろうか」
以前であれば見過ごしていた表情の変化や、特定の話題に触れたときの声のトーン。そうした非言語のサインにも、自然と目を向けられるようになったと言います。
一方で、西本は、カケハシインタビューとコーチングを明確に区別しています。
もちろん、コーチングで学んだ傾聴力や観察力は、カケハシインタビューにも活かされています。しかし、コーチングが、本人の中にある願いや答えを引き出す「その人のための対話」であるのに対し、カケハシインタビューは、組織の現状を把握し、改善につなげるために社員の声を聞く、「組織と社員のための対話」です。
だからこそ、組織と社員のどちらか一方に偏ることもできません。
「例えば、組織寄りになり、『離職率を下げること』が先に立ってしまうと、社員から『辞めたい』と聞いたときに、『もう少し頑張りましょう』と引き止めてしまうかもしれません。でも、一番の目的は、社員を辞めさせないことではなく、なぜ辞めたいと感じているのか、現場で何が起きているのかを把握することです」
「組織の現状把握」という目的からはブレないようにしながら、社員の気持ちにも丁寧に向き合い、対話の深さを調整しています。
時には、社員から会社への強い不満を聞くこともあります。
そのとき、すぐに会社側の事情を説明すれば、「結局、西本さんは会社の味方なのだ」と感じさせてしまうかもしれません。反対に、会社への批判に全面的に同調すれば、支援の目的や、第三者としての信頼を損なう可能性があります。
社員の感情を否定せずに受け止めながらも、安易に同調せず、組織の現実を見失わない。
社員にも組織にも偏りすぎず、その場の相手の表情や感情に合わせて言葉を慎重に選んでいく。その難しさに向き合い続ける高度な対話力も、カケハシインタビューに欠かせない力なのです。
会社への信頼につながる、「声が届く」という実感
2024年8月の支援開始から現在までに、西本が実施したカケハシインタビューは120回を超えています。そこで集まった社員の声は、レポートとして経営・マネジメント層へ共有され、実際の制度改善にもつながっています。
※取材日時:2026年6月
その一つが、業務移動時のガソリン代支給です。
以前は、本社から各会館までの距離を基準に支給されていたため、自宅から会館へ自家用車で直接向かう社員にとっては、実際の負担との間に差が生まれていました。
本人にとっては不満であっても、会社へわざわざ改善提案するほどではない。けれども、そのような小さな違和感こそ、日々積み重なることで、働きにくさや会社への不信感につながります。
インタビューで拾った声を組織へ共有したことで、運用の見直しに繋がりました。
社員にとって、自分が話したことが制度の変化につながる。その経験は、単に負担が軽減されるだけでなく、「会社は社員の声を聞こうとしている」という信頼にもつながっていきました。
会社に対して不満がまったくない状態をつくることは、簡単ではありません。不満が生まれること自体が、悪いわけでもありません。
大切なのは、その不満を安心して話せる場所があり、聞いた声を放置せず、組織として丁寧に向き合うことです。
採用支援や教育体制の見直しなど、クライアント自身の改善努力と、つむぎによる複数の施策が重なった結果、入社1年以内の社員の離職率は約30%にまで減少しました。
「もっとさまざまな立場の人の話を聞いて、課題の本質を見極めたい」
そう考えた西本は、今年6月にクライアントの現地へ足を運びました。
現地では、カケハシインタビューの対象者以外の社員とも対話し、実際の葬儀現場も見学しました。仕事量や業務の緊張感、お客様へ向き合う社員の姿勢を、自分の目で確かめることができました。同時に、組織課題を捉えるうえでは、複数の視点を持つことの重要性を痛感したと言います。
そこで西本は、カケハシインタビューの可能性をさらに広げるため、中堅層や経営・マネジメント層の声も定期的に聞く仕組みを社内へ提案しています。
目の前の声を制度改善へつなげるだけでなく、現場へ足を運び、より本質的な課題を捉え、次の支援の形まで考える。
その積み重ねが、カケハシインタビューを単なるヒアリングではなく、組織の変化を支える伴走支援へと進化させています。
理想は、カケハシインタビューから卒業してもらうこと
現地支援に訪れた際、西本は、ある女性社員と再会しました。
彼女は過去1年にわたり、西本がカケハシインタビューを担当していた社員の一人です。当時はディレクターとして働いていましたが、インタビューを始めて半年ほど経った頃、こんな本音を口にしていました。
「もしかしたら、事務のほうが自分には合っているのかもしれません」
彼女には、前職で約20年間、事務職として働いてきた経験がありました。
しかし、西本は「事務のほうが向いていると思います」と答えることはしませんでした。今の仕事に感じている違和感や迷いを否定せず、一つひとつ受け止めながら対話を続けました。
その後、彼女は自らの意思で事務職への異動を申請。
現在は、事務担当として働いています。
再会した彼女は、西本に笑顔でこう伝えてくれました。
「部署異動ができたのは、カケハシインタビューのおかげです!」
誰かに勧められた選択ではなく、本人が納得したうえでキャリアを決める。その変化に伴走できたことに、西本は大きなやりがいを感じたと言います。
カケハシインタビューを通じて、自分の中にある違和感を言葉にする。その言葉を重ねるなかで、少しずつ本当の気持ちが見えてくる。そして、キャリアや働く環境も変化し、働くことへの気持ちが少しずつ前向きになっていく。
その積み重ねが、仕事のやりがいや、一人ひとりの人生の幸せにつながっていきます。
つむぎは、「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」というVission(Vision×Missionの造語)を掲げています。カケハシインタビューは、このVissionを個人の視点から実現できるきっかけでもあります。
「一番良いのは、クライアントがカケハシインタビューから卒業してもらうことだと思っています」
西本が考える支援の成功とは、クライアントが自分たちの力で対話できる組織になることです。もちろん、それが難しいからこそ、カケハシインタビューの需要があることも理解してます。
社員自身が本音に気づき、自分の言葉で声を上げられるようになる。そして会社も、社員の声を受け止め、対話を通じてよりよい組織をつくっていく。
その状態が生まれるまで、西本は一人ひとりとの信頼関係を築きながら、安心して話せる場を提供し続けています。
そんな西本の姿勢に支えられているのは、クライアントだけではありません。
つむぎの社内にも、西本の存在に安心感をもらっているメンバーが数多くいます。
誰かの考えを、最初から否定しないこと。年齢や役職に関わらず、フラットに意見を交わせること。そして、誰もが無理に自分を飾らず、自然体でいられること。
相手に誠実に向き合い、変化を急がずに見守り続ける西本の姿勢は、カケハシインタビューの価値を支えていると同時に、つむぎらしい文化を形づくる魅力の一つなのです。
次のバトンは、村田へ。
HRブランディング事業部で、採用や組織づくり支援などに携わる村田。
いつも落ち着いて物事を捉えている村田が、その冷静さの奥で、何を大切にしているのか。クライアントや仲間に対して、どのような想いを持って向き合っているのか。
次回は、村田の仕事をご紹介します。
インタビュー・執筆:門前 みほ
ディレクション・編集:川合 史夏
最後に
いかがでしたか?
つむぎには、派手な言葉よりも、目の前の人と組織に誠実に向き合い続けるメンバーがいます。
でもその誠実さは、決して“やさしいだけ”ではありません。
本気で相手の未来をよくしたいからこそ、深く考え、踏み込み、変化をつくりにいく。
そんな強さがあります。
もしこのストーリーに少しでも心が動いたなら、
ぜひ一度、つむぎのことを知ってください。
「この人たちとなら、いい仕事ができそう」
そんなふうに感じていただけたなら、うれしいです。
カジュアル面談で、お話しできるのを楽しみにしています。