インフラエンジニアの仕事に、「完璧な日常」はありません。
システムは常に動き続け、人々の生活やビジネスを支えています。
その裏で私たちは、夜中でも、休日でも、何かが起これば駆けつける。
トラブル対応は、まさにこの仕事の宿命です。
ただ、今では思うのです。
あの緊張と混乱の時間こそが、いちばん自分を育ててくれた――と。
トラブルの現場では、教科書どおりにはいきません。
ログを見ても原因が見えない。
再現しようにも、環境が違う。
お客様の不安の声がリアルタイムで届く中、冷静に状況を整理し、
限られた情報から最善の判断を下す。
その一つひとつが、現場でしか学べない「生きた判断力」を鍛えてくれます。
思い返せば、初めて大規模障害に直面した日のこと。
画面のエラーを前に手が震え、何から手をつければいいのかも分からなかった。
それでも先輩の一言、「焦るな、まず全体を見ろ」に救われた。
原因を突き止め、復旧したときの安堵と達成感は、
今でもエンジニア人生の原点です。
トラブルは、誰にとっても避けたいものです。
でも、それを“嫌な時間”で終わらせるか、“学びの時間”に変えるかは、自分次第。
失敗を分析し、再発を防ぎ、チームで共有する。
それを繰り返すことで、組織全体の強さが少しずつ増していく。
「同じミスを二度しない」という積み重ねが、
最終的には「止まらない仕組み」をつくる。
それが、インフラエンジニアの成長であり、誇りだと思います。
平穏な日常を守るために、私たちは今日もトラブルと向き合う。
そして、トラブルに出会うたびに、また一歩、強くなっていく。
そう考えると、トラブルはやっぱり――最高の教材です。