ちょうど5年前の今日、都農町に移住してきました。
都農町で満5年。
まちづくり10個の振り返りと、これからのことを考えました。
1.まちづくりの振り返り
❶グランドデザイン
都農町に移住する1年前から関わってた仕事。
2020年、都農町100周年を機に、これからのまちづくりを、町民がパッと見てわかる理想の姿としてデザイン。
レゴを活用して、250名近い町民のみなさんと20回以上のワークショップを重ねたアウトプットの一部は、「つの未来マップ」として町内に掲示。
明日からできるアクションとして100個提案したアイデアを「つの未来ブック」として全世帯に配布。
小学生から高齢者まで、リアルな町民の声をたくさん聞けたことは、地方の小さな町でまちづくりをしていきたいぼくにとって今でも大きな財産です。
❷デジタル推進
移住して2週間で新型コロナウイルス「緊急事態宣言」
思ってた仕事は何一つできなくなった。
かわりに、なんら専門分野でもなかったデジタル領域の仕事を全面的に関わらせてもらいました。
「ピンチの後にチャンスあり」を実感。
全世帯にタブレットを配布。
44自治会をすべてまわってデジタル講習会。
通っているだけでは絶対に行けなかった自治会。
まちづくりのリアルを噛み締めることができたのが最大の収穫でした。
❸地域包括ケア
前職で都農町と関わることのきっかけになったのが、都農町が医師不足解消のため寄付講座を出して強化する宮崎大学医学部の総合診療医誘致と、地域包括ケアの推進。
都農町をまるごとケアする、略して「つのまる」のホームページの制作・運用を担当。
東京で20年近くまちづくりに関わって、
地方に移住してまでやりたかった理由は「福祉」と「教育」
いまでも、総合診療医の先生が院長になった都農町国民健康保険病院のパンフレットデザインやホームページの運用を担当(感謝)。
❹商店街再生
商店街をグランドデザインでは、ワークショップで商工会のみなさんから出た意見を参考に「さるきたくなる愉歩道」と位置づけました。
「さるく」は方言で「歩く」。
歩きたくなるきっかけづくりに、商店街の真ん中の空き地で、小中学生と一緒に「花とみどりで商店街を元気に!」をコンセプトに「みちくさ市」を開始。
いまでは、中学校の総合学習「つの未来学」のメインイベントに!
❺空き家活用
都農町には400近い空き家があり、全国共通の課題。
看板建築と言われる店舗住宅併設型の場合、店は空いてても奥の住宅に居住しているため借りることができなかったり。
移住してみてわかるシリアスな課題。
さらに!
都農町は公共下水道がなく浄化槽方式。
事業所の場合は浄化槽設置が事業者負担。
これではなかなか飲食店など開業しないはずだなぁと身をもって実感。
4件の空き家活用を実践しましたが、
ホステルの浄化槽設置で200万円以上の投資!(涙)
むずかしくて悩ましいところです。
❻観光・宿泊
観光地でも出張地でもない都農町で、「まちづくりの合宿所」をコンセプトに5,000㎡の耕作放棄地にある2件の空き家と1台のトレーラーをリノベーションしてつくったHOSTEL ALA。
小さな町で、まちづくりの仕事をしていくと、官民連携が不可欠で、結果的にどうしても行政からの委託事業がメインになりがち。
ただし、町長交代や役場の異動で仕事が一気にゼロになることも経験。
自社直営の事業、拠点をつくっておくことは本当に大事。
ALAとYARDの2拠点があったお陰で、いまも都農町で仕事できてるなぁとつくづく思います。
❼中学校の総合学習
都農町に移住して一番やりたかった「教育」
都農町はぼくが移住した年度で唯一の高校が廃校になり、残された1校の中学校と3校の小学校に、町の未来がかかってると思いました。
都農町・教育委員会・都農中学校の寛大なご理解のおかげで、
都農町で唯一、移住してからずっと関わらせてもらっている
都農中学校の総合学習「つの未来学」
教育長からもよく言われますが、やはり4〜5年続けないと新しいコトは起こせないしカタチづくれない。
❽ゼロカーボン
個人的に、デジタル推進と両輪で未来のまちづくりにとって最重要テーマだと思っているのがゼロカーボン。
小学生の選抜チームで議会に提言をはじめてから今年度は3校ある小学校の6年生全員の総合学習プログラム「つの学」として進化。
2月には「子ども議会」でゼロカーボン施策を8案提言できました。
来年度(来週)からは、6年生を卒業した新中学1年生と、都農中学校「つの未来学」で継続学習・企画をしていきます。
❾小中学生の居場所
中学生の地域クラブとして設立した「まちづくり部」。
総合学習の時間だけでは、日常的に関われないなと思って昨年度から創部。8人の中学生たちが毎日ぼくらのオフィスを部室に自由活動を。
昨年末からは、中学生が経営する駄菓子屋「だがしやーど」を開店。
小学生や、まちづくり部以外の中学生も日常的に来るようになり、
なるほど、これが居場所か
といま一番手応えを感じているプロジェクトです。
「だがしやーど」で稼いだお金を原資に、来週は8名とHOSTEL ALAで合宿します。どんな展開になるのやら。笑
➓PR・ブランディング
移住して、地元の経営者と日常的に話すようになってわかったこと。
日々、お互いの仕事のことはあまりガチで話さない(話せない)。
SNSで発信したり、メディアに掲載されたりは、出る杭的になるので自重したり、昔からの付き合いすぎて照れ臭かったり。
でも、外部から来ると、町外の人に知ってもらいたいと思える素敵な取り組みや素晴らしい経営者の人が多く、最初の1年はライターとして取材、記事を発信してました。
時間に余裕ができたら、またやりたいなと思ってる仕事です。
2.これからのこと
以上の仕事をしながら、あっという間に5年間。
結果的に何を成し遂げたのか?
と問われれば明確に答えられるものはなく。
さまざまな環境変化もあって、移住当初は都農町100%で考えていた事業計画は変更を余儀なくされ、移行期の今年度は決算ボロボロ。
ただ、都農町で5年間実践してきたことをベースに、高鍋町、宮崎市、日向市、延岡市など、少しずつ新しいプロジェクトやクライアントにも恵まれてきました。ありがとうございます!
仕事=売上がなくなり、社員も減って。
厳しいときこそ、
自分たちの本当の強み
やりたいこと
が明らかになってくるものです。
ぼくらがこれからやっていきたいことは
まちづくり×教育×観光をテーマに、
小中高校生とまちづくりをしていくことです。
4月からは久しぶりに、新入社員も加わります。
20代メンバーと、新たにどんどんチャレンジしていきます。
これからも、ミッションはブレずに
人からはじまる、まちづくり
6年目のイツノマもどうぞよろしくお願いします。