【シンポジウムレポ】 成約はゴールじゃない。その先にある「幸せ」を科学する。早稲田大学との共同研究から見えた新しいM&A仲介のスタンダード
こんにちは!インクグロウ採用担当です。
6月5日、中小M&A研究教育センター主催の「第5回年次シンポジウム:中小M&Aの現状と課題~エビデンスに基づく対話~」が開催されました。
本シンポジウムに当社代表の鈴木が登壇し、「中小M&Aにおける産学連携の意義 ―非可視市場を可視化し、実務とエビデンスを接続するために―」というテーマのもと、基調講演を行いました。
本シンポジウムでは、同センターが新たにまとめた『中小M&A白書(2026–27年版)』の最新データに基づき、研究者や実務家、政策担当者といった多様な立場の有識者が、日本の事業承継の未来や市場発展について多角的に議論しました。私自身も当日は現地にて参加いたしましたが、改めてM&A仲介業において学術的な要素が必要不可欠であると再認識しました。
この日本の中小M&Aにおける重要な議論の場において、実務家を代表する形で鈴木が伝えたメッセージは私たちが取り組んできた「産学連携の真の価値」です。
では、なぜ1986年の当社の祖業である中小企業支援のための会員事業を立ち上げ以来、現在に至るまで全国144の金融機関と提携して中小企業の経営支援を行ってきたインクグロウが、早稲田大学とM&Aの共同研究に全力を注いでいるのか。
そこから見えてきた、これからのM&A業界が向き合うべき課題と合わせて、当日の内容をお届けします。
なぜ、いま「中小企業M&Aの学術研究」が必要なのか?
現在、後継者不足に悩む中小企業の存続・成長手段として、M&A市場は成長が拡大しています。M&A仲介という仕事の社会的認知も上がり、華やかなイメージや高いインセンティブに惹かれて業界に飛び込む若手も増えました。
しかし、その一方で、私たちはある本質的な問いを置き去りにしてこなかったでしょうか。
「そもそも、中小企業のM&Aは本当に成功しているのか?」
従来のM&A研究といえば、データが豊富な上場企業や海外の論文が中心。それらの知見におけるM&Aの成功率は様々な定義があるものの「3割〜5割」程度と言われており、社会的な認識同様に決して高い印象ではありません。
皆さんが「成功確率は3割しかありません・・・」と言われたらどうしますか?また、成功確率が3割しかない提案をクライアントに対して積極的に提案できますか?
「中小M&Aが成功しているかどうかもわからないまま、経営者の方々に会社の未来を提案することは、本当に社会的意義があると言い切れるのか」
「確かな根拠がないのに、経営者の方々の人生を左右するM&Aを自信を持って提案できるのか?」
実務の現場において、「成約さえすればいい」という成果至上主義的な風潮や、アドバイザー個人の勘と経験だけに頼った不透明な役務提供が一部で常態化していることへの強い危機感。この現状が共同研究チームを立ち上げる最大のトリガーとなりました。
大規模調査。「自社データ」に頼らなかった理由
私たちが目指しているのは、これまで見えなかった中小M&Aの実態を明らかにし、個人の勘に頼らない仕組みを確立することです。インクグロウが現場で長年積み上げてきた実務値と、早稲田大学の高度な学術的アプローチを融合させ、データの収集・構造化・検証を行ってきました。
ここで私たちが強くこだわったのは、「自社データに依存しない」ということです。
自社に関わった企業への調査は、その企業独自のM&Aの進め方や文化、そして何よりもデータ抽出の定義によりどうしても偏りが出てしまいがちです。それでは個社のデータとしては有意ですが、業界全体の本当の課題は見えてきません。よりリアルな本質的な課題を浮き彫りにするため、あえて東京商工リサーチのデータを活用し、2021年以降、毎年テーマを進化させながら大規模なアンケート調査を実施しました。
定説を覆す「買い手」の満足度
従来の「成功率3〜5割」という定説に対し、今回の中小企業に特化した調査では、買い手企業の約70%が「M&Aは成功だった」と回答する結果となりました。 中小M&Aの買い手企業は、イメージ以上に、譲受後の満足度や成功度が高いという新たな発見が得られたのです。
ここまで、自社データに頼らない客観的な調査によって見えてきた「買い手企業」のリアルな満足度をお届けしました。 では、実際に会社を譲渡した「売り手(前オーナー)」は、M&Aの決断をどう振り返っているのでしょうか?
次回の【後編】では、2,879名の前オーナーへの大規模調査で見えてきた「驚きの幸福度」と、自由記述欄に綴られていた「仲介業者への赤裸々な不満」に切り込みます。私たちがなぜ、泥臭く研究と実務を積み重ねるのか。その核心に迫りますので、どうぞお楽しみに!
「個人の勘や成果至上主義ではない、本質的なM&Aを追求したい方へ」
インクグロウでは、今回の早稲田大学との共同研究のように「エビデンスに基づく正しい経営支援」を共に実践する仲間を募集しています。少しでも当社のスタンスに共感してくださった方は、ぜひ採用サイトを覗いてみてください。
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