官と民がしなやかに循環する新たな「社会のインフラ」へ──。
日本を守るサイバーセキュリティや、官のシステム刷新におけるボトルネック。それは、閉ざされた組織の中で動くプロジェクトの真の魅力が、エンジニアに響く言葉で翻訳されていない点にあります。
IT・デジタル領域に特化した人材紹介を行う、当社キッカケクリエイションは、この課題を解消し、政府・公共セクターのIT人材不足を根本から覆すべく、新たなDX人材採用構想『KIKKAKE Talent OS for Gov』を始動しています。
今回は、警察庁サイバー捜査課長として国家レベルのサイバー攻撃・サイバー犯罪対策を主導し、主要省庁の要職や国際刑事警察機構の本部で一翼を担ってきた当社の戦略顧問・棚瀬誠氏と、新卒入社2年目のTさんによる対談をお届けします。
国家の治安対策の中枢に身を置き、日本のサイバー犯罪捜査を指揮してきた棚瀬氏が、なぜこのベンチャーの思想に共感し、参画を決めたのか──。その理由をお伝えするとともに、公共の採用が直面する課題構造や、これからのキャリアを模索するエンジニアへのメッセージまで、たっぷりと語っていただきました。

一橋大学法学部卒業後、2000年に警察庁へ入庁。25年間にわたり国内外の捜査・治安対策の中枢で指揮を執る。その間、総務省、財務省、法務省、内閣官房といった主要省庁の要職も歴任。警察庁サイバー警察局サイバー捜査課長として、犯罪捜査・防衛戦略を主導したほか、国際刑事警察機構(インターポール)本部(仏・リヨン)では金融犯罪ユニット長を務める。兵庫県警察本部刑事部長として3,000人規模の刑事部門を統括するなど国内外で組織を率いた経験を持ち、現在はセキュリティコンサルタント、株式会社キッカケクリエイション戦略顧問を務める。
S.T / リクルーティングアドバイザー・CoS(Chief of Staff)(写真右)
法政大学卒業。在学中はイギリスの路上で「漢字販売」を行うなど独自の経験を持つ。2025年4月株式会社キッカケクリエイションに新卒入社。現在はRA(リクルーティングアドバイザー)としてエンタープライズ企業を担当する傍ら、代表直轄のCoS(Chief of Staff)として顧問陣とのプロジェクト推進を担っている。
限界を迎えた内部人材での解決。行政のデジタル化を救う「官民一体」の体制づくり

ーー今回は、政府や公共セクターの採用課題を解決するプロジェクト『KIKKAKE Talent OS for Gov』をテーマにお話を伺います。まずは、棚瀬さんのキャリアについて教えていただけますか。
棚瀬氏:
2000年に警察庁へ入庁して以来、約25年にわたり国内外の治安対策の前線に身を置いてきました。都道府県警察での現場経験から始まり、財務省主計局や内閣官房など他省庁へ出向し、国家予算の編成や重要法案の制定といった国政の実務も経験しました。
その後、兵庫県警の刑事部長として約3,000人規模の刑事部門を統括し、フランス・リヨンのインターポールと呼ばれる国際刑事警察機構での勤務などを経て、直近では警察庁サイバー警察局にて、サイバー犯罪捜査の指揮を執ってきました。アニメだと銭形警部が所属する『ルパン三世』や、黒ずくめの組織との攻防が描かれる『名探偵コナン』をイメージしていただくとよりわかりやすいと思います。
現場・霞ヶ関・国際機関という異なるレイヤーから国家の治安・安全保障を見つめてきた経験を活かし、現在はセキュリティコンサルタントとして活動しています。
ーーこれまでのご経験から見て、現在の警察庁のIT人材配置にはどのような課題があるとお考えですか?
棚瀬氏:
一言で言えば、IT人材のバランスが「いびつ」になっていることです。サイバーセキュリティ人材などスキルの高い優秀なエンジニアが一部の民間企業に集中してしまっていて、国家の社会基盤、治安、安全保障を担うべき公的機関には、十分な人材が行き渡っていないと感じています。
国境のないサイバー犯罪がますます高度化し、デジタル課題が複雑さを増す現代において、これらを警察や行政の内部人材だけで抱え込み、解決しようとするのは、限界が来ていると言わざるを得ません。
これからの日本を守り抜くためには、行政の力だけでなく、民間の技術や柔軟なスピード感も結集し、まさに官民一体となって立ち向かう体制が不可欠だと感じています。
ーーその「官民一体の体制」の必要性を痛感されている中で、どのような経緯でキッカケクリエイションの戦略顧問への就任を決められたのでしょうか。
棚瀬氏:
知人を通じて川島社長と出会い、彼が思い描く「官民の人材流動化」というビジョンを聞いたのが直接のきっかけになりました。これまで携わってきたバックグラウンドが、少しでもお役に立てるのではないかと思った次第です。
実際に彼らの活動を見てみると、ベンチャーならではのスピード感と、新しい市場を自分たちで切り拓こうとする熱量がとにかくすばらしかった。加えて、ITエンジニア向けとして国内最大級のYouTubeチャンネルを自社で運用し、独自に集客できる強みがある。
この機動力とメディア集客力を掛け合わせれば、これまで硬直化していた官の採用を変え、本当に必要な場所へ人材を送り届けるインフラを創り上げられる可能性を感じたんです。
ーー実際に官公庁で民間のIT人材を受け入れようとした場合、現場ではどのようなことがハードルになるのでしょうか。
棚瀬氏:
警察組織内からは、かつては、必ずと言っていいほど「守秘義務があるから外部の人間には任せられない」「情報漏洩のリスクがある」といった後ろ向きな声が上がりました。
しかし、これは本質的な障壁ではなく、単なる言い訳に過ぎないと考えており、自分でできる改革をしてきました。守秘義務の重さに、プロパー職員か民間からの派遣人材かという区別はありません。問題は人の属性ではなく、組織側のルール・環境作りにあります。「どこからどこまでの情報を民間からの人材に開示・共有するのか」を事前に仕分ける手間を惜しんでいるだけなんですね。
ーーそうした「見えない壁」を壊してでも、民間の知見を取り入れるべきだと。
棚瀬氏:
その通りです。今はもう時代が変わって、外部のプロを柔軟に受け入れる体制づくりが、各省庁でも急務になっています。
これまでの閉鎖性に終止符を打ち、最先端の知見を持つエンジニアを組織に迎え入れ、技術や発想をダイレクトに吸収していく。そのメリットの方が、デメリットやリスクなんかより遥かに大きいはずです。行政のデジタル化を本気で推進していくためには、こうしたオープンイノベーションから逃げてはいけないなと感じます。
言語やツールは一般化する──だからこそ必要な、視座を高めてプロジェクトをやり遂げる経験

ーー民間企業で活躍するエンジニアが、あえて公共セクターや社会インフラに関わるプロジェクトを選ぶことには、どのような価値や面白さがあるのでしょうか。
棚瀬氏:
やはり、スケール感が圧倒的に違いますよね。民間ではなかなか経験できない巨大なデータや、国家の治安・安全保障や国民の生活を守るための社会基盤システムに直接関わることができます。
サイバー犯罪の捜査を例にすれば、具体的な証拠に直接触れ、海外の捜査・治安機関から寄せられるインテリジェンスにも触れ、自らが捜査員として犯罪捜査に携わることになります。
頼まれたものを作る業務も、当然ながら非常に価値があり素晴らしいものです。ただ公共セクターのプロジェクトはそれとはまた異なり、技術の使い道そのものが「国を支えること」に直結している。この面白さと手応えは、他では絶対に味わえないやりがいです。
それだけではなくて、もっと打算的に捉えてもらってもいいと思っています。国家レベルの治安・安全保障の現場を経験したエンジニアは、マーケットにおいて極めて希少な存在です。そのため、将来的に民間企業へ戻るとしても、頭一つ抜けた存在になれますし、ご自身の市場価値を決定づける強力な武器になることは間違いありません。
ーーそうした舞台で活躍するために、エンジニアは日頃からどのような意識を持つべきだと思われますか?
棚瀬氏:
大切なのは、個の技術の追求だけでなく、「その技術を社会のためにどう使うか」という一段高い目的意識を持つことです。
昨今は「どのプログラミング言語が書けるか」「どのツールが使えるか」といった、表面的なスキルが注目されがちですが、それはどうしても一般化していくもの。そうした高い視座を持ってプロジェクトをやり遂げた経験は、どんな環境や時代でも通用する、本当の意味で強いビジネスパーソンへと育ててくれるのではないでしょうか。
誰も手をつけていない「官民の架け橋」へ。市場の一歩先を攻めるキッカケクリエイションの独自性

ーーこうした魅力がある一方で、実際のエンジニアたちはこの領域をどう思っているのか、日々折衝を重ねるTさんはどう感じられますか?
Tさん:
正直なところ、今はまだ「自分には関係ない、遠い世界の話」という反応になってしまうと思います。
優秀な民間のエンジニアに対して、いきなり「官公庁や行政へ転職しませんか?」とアプローチしたとしても、なかなかピンとこないと思うんですよね。行政側がどれほど社会的意義があるプロジェクトを企画していても、外からは中身が見えにくいので、まだ選択肢にすら入っていないのが現状だと思います。
だからこそ、私たちが間に入って官と民を繋ぐ架け橋となり、実例を作っていくことに大きな意義があると感じています。
ーーどのようにして、そのギャップを埋め、人材を振り向かせていくのでしょうか。
Tさん:
最大の強みである自社YouTubeチャンネルを軸に、行政の現場にある「リアルな面白さ」をわかりやすく翻訳して発信し続けることです。その実態が外部に伝わりにくい環境だからこそ、まずはその魅力を丁寧に届けていくことが最初のステップになります。
ただ、そうした動画での「空中戦」だけで終わるわけではありません。本当に大切なのはそこからで、関心を持ってくださった求職者の方一人ひとりと、じっくり向き合う対話を重ねていくことです。
私たちの支援スタイルとしても、「目の前の人にどこまでも寄り添うこと」を大事にしているので、単発の条件マッチングで終わるのではなく、中長期的なコミュニケーションを通じて、候補者の方のキャリアの選択肢を一緒に広げていきます。
そうして伴走スタイルを続けていく中で、ミスマッチのないキャリアの結びつきが、これからどんどん生まれていくはずです。
▼当社が運営するYouTubeチャンネルはこちら!
IT菩薩モロー【ITエンジニア転職・キャリア発信系YouTuber】
ーーこうしたキッカケクリエイションの事業戦略を、棚瀬さんはどう評価されていますか。
棚瀬氏:
サイバーセキュリティ人材が「官」の組織でどう活躍できるのか、その選択肢や可能性を「民」の目線からわかりやすく発信して、さらに自分たちで紹介まで手掛けている会社は、現在の日本において唯一無二の存在と言えます。
多くの民間企業が既存の転職市場で競い合っている中で、誰も手をつけていない「官民の架け橋」という独自のポジションをいち早く取りにいっている。この市場の一歩先を攻める戦略こそがキッカケクリエイションの強みであり、他を圧倒する魅力だと思います。
「官民の往来」がもたらすIT業界全体のアップデート

ーーこの「KIKKAKE Talent OS for Gov」構想が、今後の日本社会にどのようなインパクトをもたらすか、未来の展望をお聞かせください。
棚瀬氏:
キッカケクリエイションが描いているゴールは、「民間のエンジニアを行政に転職させて終わり」という一方向のサポートではありません。
本当に目指しているのは、民間から一度官公庁へ飛び込み、そこで国家スケールの仕事にコミットした人材が、また民間へと戻ってその経験を社会に還元していくような、「官と民を循環する仕組み」を当たり前のものにすることなんです。
現在はどうしても、官と民の間に分厚い壁があります。この官民のキャリアの往来(リボルビング)が当たり前のものになれば、行政のシステムがアップデートされるのはもちろん、民間企業側にとっても「国を動かすレベルの視座を持ったエンジニアが在籍する企業」として、市場や顧客からの評価が一段と引き上がる。セキュリティクリアランスの観点も含めた複層的なメリットまで見据えた戦略なんです。
さらには、日本のIT業界全体の未来を大きく底上げし、次なる成長を牽引する原動力になると確信しています。
ーーこれからのキャリアを見据えているエンジニアの皆さんへメッセージもいただけますか。
棚瀬氏:
労働人口が減少していくこれからの日本において、限られた人材の偏りを解消し、流動化させていくことは、社会の持続可能性を左右するきわめて重要なテーマです。
自らの技術を一企業の利益のためだけでなく、社会の安心安全や、国を支える仕組みづくりにも活かしたいと願う志高いエンジニアの方々へ。皆さんが主役として輝ける舞台を、キッカケクリエイションは全力で創り出してくれるはずですし、私自身もその挑戦を心から応援しています。そうしたエンジニアが増えてくれると嬉しいですし、日本の将来のために心強い存在ですね。
ーー最後に、この新しい仕組みを、キッカケクリエイションの中で共に形にしていく「未来の仲間」に向けたメッセージをお願いします。
棚瀬氏:
キッカケクリエイションが取り組んでいるのは、日本における働き方のスタンダードそのものを変えていく”挑戦”です。だからこそ、社内のメンバーも日々の事業づくりに真っ直ぐな想いを持って向き合っています。
社会的意義の大きなビジネスに当事者として関わり、自らの手で会社と市場を大きくしていく。このフェーズならではの刺激的な環境に、キッカケクリエイションで一緒に挑みたいという方が増えるのがとても楽しみです。